笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

「イミテーション・ゲーム」~彼は犯罪者か英雄か~

2015年03月26日 21時57分04秒 | 映画
「イミテーション・ゲーム」というクールなタイトルに惑わされることなかれ、です。

戦争に勝った喜びもなく、
歴史に残る栄誉も名声もなく、
不名誉な刑を課せられ、
ひっそりと消えた天才数学者アラン・チューリングの苦悩の物語。

正直、決して「後味の良い」作品ではないです。
「あまりにも理不尽ではないか!」と、もやもやした気持ちで着地点が見つからないまま映画館を後にしました。

エニグマ暗号を解いた! という「歴史的偉業」を成し遂げた彼が、本来英雄であるべき彼が、なぜこんなことで貶められ、才能を発揮する機会を奪われ、若くして死ななければならなかったのか、さっぱりわからないよ! という思いばかりが後を引く、そんな作品でした。

もちろん彼の「歴史的偉業」が国家機密の「秘中の秘」であり、当然誰もそれを知らない訳ですから、それをもって彼を擁護できる人はいません。そして同性愛を「犯罪」とみなす当時の社会。
彼は完全に一市民として罰せられ、葬られたんですね。

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その後、2012年に英国貴族院に正式な恩赦の法案が提出され、2013年12月24日にエリザベス2世女王の名をもって正式に恩赦が発効した。キャメロン首相は、彼の業績をたたえる声明を発表した。
ウィキペディア「アラン・チューリング」より
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彼の名誉が回復されたのが、こんなにも最近であることが驚きです。

ところで、エニグマ暗号を解読したことは、ナチスドイツに知られてはいけない訳です。なので解読後にチューリングらが行ったのが「攻撃地区の選別」。
つまり解読したのかしていないのかを知られないため「攻撃を受け入れる場所」と「受け入れない場所」を慎重に選別する作業だったんですね。彼の存在自体が秘密だったのもこんな理由によるのかもしれません。

戦争って、国は必ずしも全ての自国民を守るとは限らない。戦中も(ひょっとしたら)戦後も。。

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