参院が2日の本会議で、ロシアのウクライナ「侵略」を非難する決議を採択しました。衆院も1日に同様の決議を採択しました。ともに厳しい文言が盛り込まれましたが、外国政府の行動を縛るようなことはもちろん、そもそも非難決議に法的な拘束力はありません。それでは、どんな意味があるのでしょうか。(我那覇圭、大野暢子)
Q 非難決議はどんな内容ですか。
A 衆参両院でほぼ同じです。「武力の行使を禁ずる国際法違反で、ロシア軍による侵略を最も強い言葉で非難する」と強調し、即時の攻撃停止と部隊の撤収を求めました。参院の決議には「プーチン大統領が核使用を前提とするような発言をしているのは言語道断。唯一の被爆国として非難する」という一文もあります。
Q 文面はどのように決まったのでしょう。
A 決議案を共同提出した自民、公明の与党と立憲民主、日本維新の会、国民民主、共産の野党などが協議しました。れいわ新選組は「ロシアは強く非難する」と説明しつつ、ウクライナへの人道支援の記載が不十分などとして反対に回ったため、全会一致にはなりませんでした。
Q 今後の扱いはどうなりますか。
A 過去には、東日本大震災で支援を寄せた外国政府に日本政府を通じて感謝決議を送付した事例があります。しかし、今回の決議に「宛先」はありません。2月に衆院で採択された中国の新疆ウイグル自治区などの人権問題に懸念を示す決議や、ロシアを名指しせずにウクライナ情勢への憂慮を表明した衆参両院の決議と同様、国内外に国会の意思を示しただけとも言えます。
Q 効果はないのでは。
A 政治的にはあります。2014年にロシアがウクライナ南部クリミア半島を併合した際には非難決議はありませんでした。今回は、日本政府に国際社会と連携して制裁を含む「迅速かつ厳格な対応」も要請し、ロシアへの厳しい対応を後押ししました。松野博一官房長官は2日の記者会見で「決議の趣旨も踏まえ、強い制裁措置の速やかな実施を含めて対応する」との考えを示しました。
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