東京電力は4日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉格納容器の内部調査で撮影した動画を公開した。核燃料があった圧力容器を支える円筒形の鉄筋コンクリートの土台(厚さ1.2メートル)は、内側の壁は全周にわたって損傷し、内部の鉄筋が露出している可能性があることが分かった。
土台の損傷が激しい実態が明らかとなり、東電は数カ月かけて画像を詳しく分析し、耐震性を再評価する。事故収束作業で最難関とされる溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しに向け、新たな課題が明白になった。
調査は遠隔操作の水中ロボットを使い、3月28〜31日に実施。圧力容器下の直径5メートルの作業スペースに初めて入り、動画を撮影した。撮影できた半周分以上は内壁の床から高さ1メートルほどまでコンクリートがなくなり、鉄筋が露出していることを確認。どれほどの厚さまで損傷しているかは現時点では不明だが、一部では壁の中心にある部材が見えていた。
残りの半周弱については、ロボットのケーブルが構造物に引っかかるなどして入れず調査できなかったが、東電は全周にわたって同様に損傷しているとみられると判断した。
圧力容器真下には、高さ40〜50センチほどの堆積物が積もっていた。一方で、土台の外側には1メートルほどの堆積物が確認された場所もあり、デブリが広範囲に散らばった可能性が高く、取り出し作業の難航は必至だ。(小野沢健太)
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