私が撮った写真ではないのですが、車を運転していたら、同乗していた家族が窓に赤いバッタが止まっていると言って撮った写真です。
たぶん、クビキリギスですね。以前にもバッタの体色変化について論文を探したことがありましたが、その時は農業生物資源研究所の田中誠ニ氏の研究を見つけました。田中氏はトノサマバッタを試料として、体色多型を研究し、アラタ体から出る幼若ホルモンと側心体から出るコラゾニンという二つのホルモンが体色に関係していることを見つけました。
田中 誠二、「ホルモンの昆虫科学 その5 トノサマバッタの体色多型とホルモン制御」、日本比較内分泌学会ニュース No. 101、3 (2001). (ここからダウンロードできます)
この論文にはその研究の解説が載っています。彼はアルビノという色素を持たないバッタの幼虫にこれらのホルモンを注射して発色を誘導して、それらのホルモンの効果を調べました。それによると、アルビノの幼虫齢期の後半に高濃度の幼若ホルモンが働くと脱皮後、緑色の個体になります。一方、幼虫齢期後半に幼若ホルモンとコラゾニンが共に存在すると全体的に緑色になりますが、腹部が褐色の個体になります。幼虫齢期の前半にコラゾニンが少量存在すると、その量により茶色、紫、黄色などの個体ができたそうです。そして、前半に高濃度だと真っ黒、後半の前半だと群生相特有の黒化が起き、脱皮直前だと赤褐色になったそうです。これに対して、幼若ホルモンは後半に作用したときだけ体色に関係したそうです。一方、野外では幼虫齢期後半に幼若ホルモンとコラゾニンが共に存在するときには緑色になることが分かりました。ただ、野外でのコラゾニンの作用についてはまだよく分かっていないようです。アルビノの場合と同じだとすれば体色変化は前半にコラゾニンが少量存在することにより起きると予想されます。写真のような赤褐色の個体は脱皮直前にコラゾニンが作用したと考えられますが、脱皮直後に速やかにコラゾニンが抜けないと次の齢では黒色に変化してしまうので、環境に適応した体色にはなりません。なかなか複雑な現象ですね。
たぶん、クビキリギスですね。以前にもバッタの体色変化について論文を探したことがありましたが、その時は農業生物資源研究所の田中誠ニ氏の研究を見つけました。田中氏はトノサマバッタを試料として、体色多型を研究し、アラタ体から出る幼若ホルモンと側心体から出るコラゾニンという二つのホルモンが体色に関係していることを見つけました。
田中 誠二、「ホルモンの昆虫科学 その5 トノサマバッタの体色多型とホルモン制御」、日本比較内分泌学会ニュース No. 101、3 (2001). (ここからダウンロードできます)
この論文にはその研究の解説が載っています。彼はアルビノという色素を持たないバッタの幼虫にこれらのホルモンを注射して発色を誘導して、それらのホルモンの効果を調べました。それによると、アルビノの幼虫齢期の後半に高濃度の幼若ホルモンが働くと脱皮後、緑色の個体になります。一方、幼虫齢期後半に幼若ホルモンとコラゾニンが共に存在すると全体的に緑色になりますが、腹部が褐色の個体になります。幼虫齢期の前半にコラゾニンが少量存在すると、その量により茶色、紫、黄色などの個体ができたそうです。そして、前半に高濃度だと真っ黒、後半の前半だと群生相特有の黒化が起き、脱皮直前だと赤褐色になったそうです。これに対して、幼若ホルモンは後半に作用したときだけ体色に関係したそうです。一方、野外では幼虫齢期後半に幼若ホルモンとコラゾニンが共に存在するときには緑色になることが分かりました。ただ、野外でのコラゾニンの作用についてはまだよく分かっていないようです。アルビノの場合と同じだとすれば体色変化は前半にコラゾニンが少量存在することにより起きると予想されます。写真のような赤褐色の個体は脱皮直前にコラゾニンが作用したと考えられますが、脱皮直後に速やかにコラゾニンが抜けないと次の齢では黒色に変化してしまうので、環境に適応した体色にはなりません。なかなか複雑な現象ですね。
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