新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

廊下のむし探検 ハエの仲間

2020-03-31 20:02:30 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第174弾


3月19日の残りで、ハエの仲間です。





最初はガガンボです。翅脈から、たぶん、ガガンボ科だとは思いますが・・・。





これは両方ともクロバネキノコバエの仲間。



それからオドリバエ。R4脈が分岐していないので、たぶん、Rhamphomyiaだと思われます。



これはクロツヤニセケバエ



これが問題ですね。たぶん、キノコバエだと思って、MND(Manual of Nearctic Diptera)を見てみました。翅脈を比べてみると、Sciophilinae亜科のMycomya属に似ています。そこでまず、翅脈に名前をつけてみました。



これはMNDに載っていた翅脈の名称をそのまま書いたものですが、三枝氏による命名だと、たぶん、翅の後半部分はCuA1→M4 or M3+4、CuA2→CuA、A1→CuP、A2→A1になるのだと思います。これは三枝氏の次の論文に載っているユスリカ科、タマバエ科の翅脈の説明と同じだと思われます。M4はもともとM脈と結ばれていたのですが、それが退化して分離したと解釈しているようです。

T. Saigusa, "A new interpretation of the wing venation of the order Diptera and its influence on the theory of the origin of the Diptera (Insecta: Homometabola)", 6th International Congress of Dipterogy, Fukuoka 2006. (ここからpdfがダウンロードできます)

ところで、Mycomya属かどうかは、MNDに載っている検索表で確かめることができます。ちょっと訳してみました。

①翅長は普通で、腹部の長さと同じくらい
②M脈とCuA脈はほとんど翅の基部あるいはh横脈に大変近いレベルで結合する
③Rs脈はh横脈から十分に離れてR脈から生じ、M脈の基幹部は存在するかしない;口器は通常頭部より十分に短い。もし口器が長くて細いなら、M脈とCuA脈は共に完全で、通常分岐する
④M脈の基幹部は存在する(ときどきは弱いが);頭部は胸部の下縁より下に挿入され、盾板の最高所より背側に達することはない・・・
⑤翅膜は不規則なミクロトリキアに覆われるか、マクロトリキアがあるかないか、またはマクロトリキアが密に覆う;Sc脈はいろいろでC脈か、R脈、またはフリーに終わる;R2+3脈はあるかないか;側背板は毛で覆われるかない;単眼の位置はいろいろで、しばしば複眼の縁から十分離れる  Sciophilinae
⑥細かい脛節刺毛は規則正しい縦列で並ぶ;単眼は前額の中央付近で接近して存在する;翅膜にはマクロトリキアはない
⑦R2+3脈がある;R1脈はM脈の分岐点より十分に離れて、少なくともr-m横脈の少なくとも6倍の長さで終了する;r-m脈はほぼ横向き;Sc脈は長く、C脈あるいはR脈に終わる;二つの単眼は存在する;側背板は無毛
⑧C脈はR4+5脈の先端で終わる;R4+5脈は翅端に達する;翅膜にはR4+5脈とM1脈の間に擬脈はない;翅には斑紋はないか、ぼんやりした曇りがある  Mycomya

検索表ではこの手順でMycomya属であることが確かめられます。実際に調べてみると、翅の毛と側背板、単眼、脛節刺毛については分からないのではっきりしないのですが、翅脈だけ見ていくと何となく合っているようです。「日本昆虫目録第8巻」によると。Mycomya属には12種、そのうち本州産は10種。もう少しの感じがします。

雑談)本日をもってマンションの管理組合理事の職務が終わりました。これからは虫に集中できるのではと期待しています。


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