S&R shudo's life

ロック、旅、小説、なんでもありだ!
人生はバクチだぜ!!!!

真冬の狂想曲21-2

2007-01-29 15:05:22 | 真冬の狂想曲
 俺は松から視線を外し平井に視線を移した。平井は俺と目が合うと慌てて下を向いた。すかさず俺の右足が平井の脇腹に食い込む。平井はもんどりうって床に転がった。それでも執拗に俺の足は平井を嬲り続けた。今回は松も何も言わなかった。俺は平井の髪の毛を掴み顔を上に向けた。苦痛に顔が変形していた。
「平井よー、これはどうなっとるんやろうかの?俺達にはもうお前しかおらんのやけ、いろいろ役に立ってもらわんと、生かしとく意味もなくなるんやけどのー。まだ俺達に話し足りん事があるんやねーんか?おう?よく思い出してみぃ」
 平井は声にならない声を絞り出しながら首を何度も横に振っている。
「松よー、もういいやろ、コイツ殺してどっか捨てようや。イライラするしよー」
 平井の歪んだ顔から一気に血の気が引き、松の膝にしがみついて自分の生命の保障を懇願した。
「とりあえず、どうしようも出来んけ、とりあえず何か考えようや。やっちゃん、そのお兄ちゃん、もう帰ってもらっていいわ。今日は動こうにも動けんやろうけ」
 俺は口に出さずに返事をして、ザキをエレベーターの所まで送った。俺はコートのポケットから平井から取り上げた金を出し、ザキに5万円手渡した。
「悪いの、ザキ。これ手間賃。もしまた人手が要るときは連絡するわ」
「こんなに貰っていいんすか!こんなに要らないですよ。たいした事もしてないのに」
「いいよいいよ、どうせ平井の金なんやけ。そのかわり、また何かあったら頼むぜ」
「はい、分かりました。ありがとうございます、兄さん。それじゃー」
コメント
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