黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

廃墟を感じた音 #03

2006-03-16 07:13:27 | コラム:アート・デザイン・音楽・映像
廃墟を感じた音楽として前回までアップしたものは、
一部の人にはよく知られた作品でしたが、
あまり一般的ではなかったので、
今回はもっと一般的な作品を、と思いました。

Prince : 1999
プリンス:1999



70年代後半にデビューし、
80年代にはその高い音楽性と変態的言動で、
マイケル・ジャクソンと人気を二分した、
アメリカのブラック・ポップ・スター、プリンスですが、
その名を世界に知らしめたアルバム
『1999』に収録されている
'Something in the water (does not compute)'
は、知名度が低い曲ながら、
限りなく廃墟感を感じます。

歌詞は自分をノケものにする彼等は、
きっと飲んでる水道の水に何かが混入されているからだ
というきわめて偏執狂的な内容ですが、
それはさておき、
イントロからほぼ最後まで暴力的に鳴る、
奇妙な(でも心地よい)エフェクトのかかったマシーン・ドラムの奥に、
限りなく美しく切ないシンセ・サウンドが見え隠れしながら、
プリンスのつぶやきと雄叫びが絡んで、
最後の最後に穏やかなシンセコードで終わる曲です。

表面的には奇怪で限りなく壊れていながら、
その裏側に柔らかく甘い憂鬱な感じがあるところが、
強烈に廃墟を連想します。

ところでプリンスの曲には他にもいくつか廃墟を感じる音が有ります。
CONTROVERCY』に納められた'Ronnie talk to Russia'、
SIGN OF THE TIMES』に納められた'Ballad of Dorothy parker'
などなど。
ブラック・ミュージックに廃墟感を感じることはめったにないので、
ちょっと不思議です。

ただ前回まで取り上げたTGノイバウテンは、
おそらく誰もが廃墟を連想されるでしょうが、
プリンスの場合は人それぞれかもしれませんね。
 


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