老いと向かい合うということ

2009-01-23 09:21:15 | ヘルパーのお仕事
昨年秋からずっと関わっているOさん
日を追うごとに認知症が進むのかと思っていたが
ある時期に 先生とご家族の判断で
主たる病気の投薬をやめたところ
(ご本人いわく)頭のもやもやが取れたとのこと
つまり いわゆる呆け症状は薬の副作用であることがわかった
脳梗塞で倒れてから薬の量が増え きっと体内で
様々な問題を起こしていたのだろう
薬にも優先順位があるのだろう
命にどれほど関わっているか・・・
それによって 投薬中止になる薬が決められていくのだろうと思った
主たる病気の先生もそれを認めないわけにはいかないようだった
この病気の進行のゆるやかなことを願わずにはいられない

認知症が改善されてからは
もとの自立心の強い気丈なOさんに戻られたため
ヘルパーがいることを あまり心地よく思われなくなったようだ
人に頼らずに生きてきたOさんの気持ちは
のほほんと生きている私にもわかる気がした
プライドという言葉で片付かない重い骨太な人生を送られてきたのだ
難病を抱えて ずっと一人で生きてこられたOさん
以前に生い立ちや若い頃のお話をうかがったことがある
今のように 障害者の人権が認められていなかった時代
石を投げられるような状況の中で つよく明るく生き抜いてきた

私の出番は少なくなり 今は病院同行と
ご家族の留守の時の見守りだけとなった
私が行かない分 ご家族は大変なのだけれど
二人で 色々な工夫をされてゆっくりでも 
なんでもご自分でなさろうとするOさんを見ていると
生きることへのまじめさと強さを教えていただいている気がする

でも どこまでも人間には老いや衰えがついてくる
先日の病院同行で 最近の視力の低下は眼底出血が原因だとわかった
これは おそらく脳梗塞予防のための薬の副作用だろうと・・・

このごろのOさんは あまり元気がなく またちょっと怖い感じだ
きっと 視野が狭くなってくることを受け入れがたい気持ちがあるのだろう
認知症が改善されたのはいいことだけれど
ご自身のいろいろなことがわかってしまうのは
なんともつらいことかもしれない・・・・

明日死ぬかもしれないなんて 私も思うことがある
でも そのリアリティは お年寄りのそれと比べ物にならないだろう
私の目が 日に日に視力を失っていくとしたら・・・
四肢が思うように動かないもどかしさを 毎日抱えるようになったら・・

私はどうやって それらを拒み 抵抗し
そして 受け入れていくんだろう

ささやかなヘルパーの仕事の中で
私は老いや死に向かう人の心を 
疑似体験させてもらっている気がしている



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