桜の思い出

桜には色々な思い出がある

母方の祖母が 桜並木の先にある老人病院で亡くなった
あの頃はまだ 介護保険とかもなかったし
病院は人生の墓場的なイメージがあった
祖母も それを知っていたし お嫁さんに
「しもの世話が必要になったら入れますから」
と言われていたので (^_^;)
90ギリギリまで自分のことは全部やっていた
20年前の90歳は今の100歳過ぎの感じだった
とうとう脳梗塞で倒れて 病院に入院となり
そのまま出ることはなかった

冬の終わりに倒れて
桜が咲き終わる頃に
祖母は逝った

入院中 数回お見舞いに行った
桜の咲く道を抜けて病院に着く、、、
外の明るい生命の息吹と正反対に
院内病室の空気は暗く重くどんよりしていた
１つの部屋にいくつものベッドが並んでいて
どのベッドの上の人も起き上がりはしない
時折 うめき声や寝言のようや声が聞こえるだけだ
祖母のベッドのそばに行くが はじめのうちは
目で挨拶を仕草を見せてくれたが
回を重ねるうちに なんの反応も示さなくなって行った
最初の頃 祖母の口の動く言葉を探したことがある
ツライ、、？シニタイ？、、
よくはわからなかったが
目に涙をためていたから
いい言葉でないことはわかった

桜咲く春の思い出としたら 悲しい思い出だ


嬉しい桜の思い出もある
父が亡くなる年の春 よぼよぼになった父を
市ヶ谷の土手に連れて行った
帰りに父の大好きな銀座に出て
天ぷらを食べて 東京会館でお茶を飲んだ
親孝行のつもりだったが 全部おごってもらったな
市ヶ谷の土手や 皇居の周りの桜が綺麗だった

よぼよぼだったけれど
最期まで 社長さんとして働き
外出時はいつも身なりをちゃんとする
ダンディな父だった




そうだ
義父にも素敵な桜の思い出があった！
義父は最後は施設のお世話になっていた
私が旅行から帰った翌日の朝
桜の咲く季節の その朝に 義父は逝った
斎場の近くには目黒川があり
満開の桜道を 私たちは楽しんだ
96歳の義父のプレゼントに
みんなの心が和んだ


今朝の散歩の桜道
新宿公園と都庁の桜

人がいなくて 桜を独り占め
この桜たちが 三人を思い出させてくれた

ありがとう