「快走爛漫Ⅱ」

アウトドア大好き人間です。 (since2005.10) 

木曽駒ケ岳

2012年09月22日 13時14分41秒 | 山歩き

 「木曽駒ケ岳」 

 私はこの山頂に二度立った。 いずれも戦争前で、 最初は伊那から登って木曽へ下りその次は南の越百山から
 主稜を縦走してこの山頂へ来た。 その時はすばらしい天気に恵まれて四周の展望を欲しいままにした。
 頂上と中岳の中間はお庭と称する広々した美しい原で、 そこをブラブラさまよっていると時のたつのも忘れた。

                                   深田久弥 「日本百名山」 より抜粋引用。

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 9/20(木)   木曽駒ケ岳に登ってきました。

 今回の (も?) 紀行分はちょいと長いです。  読むのつまらない場合は即落してくださいませ。
  (2日目の行程を忘れないためにも敢えて書き残すことにした)


 水曜会社退社しそのまま高速道路へ。  (木~金はまだ取得していなかった夏季休暇)
 夜半過ぎ中央道駒ヶ根ICを下り 菅の台駐車場にて車泊。  平日の駐車場は空いていた。
 朝5時起床、 バス時間を確認、 7時10分始発。  (平日ため始発も遅め)

 6時過ぎチケット売り場に人が並び始める。  頃合いを見て自分も6時30分過ぎに並んだ。
 (チケット売り場の窓口は6時45分頃開いた)

 

 今日は人多いため臨時便を出すと言う。     「あー良かった、 これで予定より早く上に行ける」 

 臨時便、 7時5分発でした。    なんやねん。。 (笑)
 

 しらび平着。  ここでロープウェイに乗り換え一気に千畳敷まで上がる。
 

 

 駒ヶ根市街は雲の下。   遠く南アルプスの峰々が・・。
 

 千畳敷着。
 

 目の前には、、    「へイ、  カール!!」        (by 長嶋茂雄)
 

 あのカールを登り詰めて行きます。    お天気サイコーです。

 下を見れば先ほど下りたロープウェイ駅が見えます。
 

 カールを乗っ越した所に建つ宝剣山荘。     あの右手の尾根を登って行きます。
 

 中岳を過ぎれば駒ケ岳の頂上が見えます。    中腹に見えるは駒ケ岳頂上山荘。
 

 振り返ると・・    左にこの後登る宝剣岳とこれから歩く縦走路、 そして最奥に明日登る空木岳。(うつぎだけ)
 

 木曽駒ケ岳着。
 

 四方雲海のため御嶽山や北アは見えませんでした。 ここまでトップで来たため今のとこ回りには誰もいない。
 景色を楽しみしばし休憩後下山。   ぽつぽつと他者が登って来るのがわかります。

 これから登る宝剣岳。
  

 直下。   垂直壁、 鎖、 深い谷底、、   けっこう嶮しいです。
 

 足の置き場はこんな感じ。     それでもこの前の剱岳の比ではありません。
 

 しかし気を抜くと宝剣沢に真っ逆さまのため慎重に登りました。   (背中ゾクゾク箇所もあり)
 
 
 宝剣岳山頂。    
  

 下からここまで(先もずーっと)誰とも会いませんでした。  やっぱ平日登山はサイコーです。 
 右側に足をかけあのテッペン直下まで登ったのですが撮ってくれる誰も人いないので証拠写真なしです。 (笑) 

 サイトでよく見る突きだした岩の先端です。  下は数百メートル何もありません。  チョー怖かったです。
 

 正面の空木岳さん、 明日登ります。   待っててね♪    (この時は明日の展開を知るよしもなく・・)

 ちょっと下がった所で上の岩を撮りました。
 

 宝剣岳無事終了。
 

 先へ進みます。   ここからアップダウンを繰り返す気持のいい縦走路が続きます。
 

 でも、 しかし、、   雲が出てきたなあ。。   です。

 振り返ります。
 

 こんな岩場も出現します。   ある場所など左右切れている所もありました。
 

 で、 先の左手に延びる稜線に小屋が見えます。

 
 「檜尾避難小屋」(ひのきおひなんこや)    予てから泊りたかった本日の宿です。 (笑)
 

 稜線に建つかわいい小屋で、 各種サイトで見ると、 木曽駒 ~ 空木岳縦走時に泊っている方が多い。
 (その他 有人で宿泊料のかかる普通の山小屋もあるが、 自分は一度この檜尾避難小屋に泊りたかった)

 あの小屋目的に一歩づつ進みます。
 

 コース的には宝剣岳後、  極楽平、 七曲(島田娘)、 濁沢大峰、 檜尾岳へとアップダウンを繰り返します。
 このアップダウンがまた太腿四頭筋を鍛えてくれることくれること。。 (笑)    なかなかキツかった。

 今回は泊登山。   時間もたっぷりあるので景色を眺めつつゆっくりのんびり歩きました。

 檜尾岳への最後の登りです。  (この頃足パンパン)
 

 檜尾岳着。
 

 ここから空木岳への縦走コースを少しそれ、 避難小屋まで下ります。
 

 雲が出てきたなあ・・。   

 気温や風向きはまだまだ夏の様相で、 南からの湿った空気でいっぱいだった。  崩れるのかな。
 ここのところ今だに天候安定していない。  台風一過後も夏の気候気温が占めている、 そんな感じ。 

 稜線に建つかわいい小屋です。   いい感じです。   貸切りです。   (^^v
 

 ふー、、  着いたー!!
 

 先ずは水場へ向かいます。

 小屋から2分ほど下がった場所にある水場。
 

 これがまた細いのなんの。  500ml満たすのに5~7分のチョロチョロ。  (この前の飯豊よりはよかった)  
 お陰様で2.5リットル入れる間 持参のビールがよく冷えました。 (爆)

 水場全景。   
 

 上には小屋があるし勿論トイレもあります。   んんっ ???      ハイ、 水は貴重ですけん。

 小屋に戻ってベッドメイキング完了!
 
  (雨風凌げて居心地抜群の小屋。  しかも貸切り状態で言うことなし。  避難小屋泊にハマリそ)

 で、 独り宴会開始。     (まずは第一ラウンド)
 

 木曽駒ケ岳、 宝剣岳にカンパーイ!!    (ガスで見えないけど)
 

 明るいうちから飲むビール、   もっ、 サイコー!!      日本一の居酒屋です。  (^^v

 下界の駒ヶ根市街が見えてきました。
 

 ズーム。   
  

 そして目の前には空木岳がドーンと。。      (しかし怪しい雲)
 

 外は寒くなってきた(薄でのダウン着てても)ので小屋に入り 第二ラウンド開始のゴングを鳴らしました。
 

 また外に出て(なにやっとんねん)景色を眺めます。   (することないのでこの繰り返し)

 
 今日登った千畳敷カール、 木曽駒ケ岳、 宝剣岳が顔を出してくれました。
 

 

 なかでもこの宝剣岳は、 中央高速駒ヶ根IC周辺から見上げるとオベリスクのように尖った剣先が見えます。

 こちら明日登る予定の空木岳。
 

 風が完全に南風に変わりました。 雲が左から右手に稜線を越えていきます。  (普通は逆吹き)
 明日は崩れるかも、  ですね。。

 

 先ほど到着した同宿者と立ち話です。

  
 お若い夫婦連れで仲良さそうなお二人です。  この後お互いの山行、 危険個所や時間等情報交換をしました。
 聞けば北アはほぼコンプリート、 南アは先週ガッツリ歩いて来たと。 そしてやはり冬は八ヶ岳に出没するそう。 
 静かで優しい話し方といい行く山域といい、 完全に意気投合しました。 やはり一人より同宿者がいた方が安心だし。

 「山、 いいですよねー」  って言ってました。     感じのいいご主人と快活で綺麗な奥さまです。

 

 ムム、、   こりゃあ明日は本当にヤバイかも・・。      (第3ラウンドはホットウィスキーで)

 おやすみなさい。

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 9/21(金)

 おはようございます。      目の前に空木岳がドーンと  ・・見えない。    あちゃー  です。

 

 4時起床。  外は暴風雨。     

 って言うか起きる前から気付いていた。
 昨夜は夜半過ぎから凄い強風で小屋の扉がガタンガタンと音を立てうるさかった。  
 
 「外の天気はどうなっているんだろう」   夜中、 そんな音を聞きながらウトウトしながら考えていた。

 で、 前出のまだ真っ暗な4時起床。 
  
 例の若夫婦は準備を整えこの悪天候(出た時は少しマシ)の中出て行った。  僕は少し様子をみることにした。
  
 そのうち強風の中 小屋を叩きつける雨音が聞こえるようになってきた。 風の音もゴーっと凄いことになってきた。

 先ほど出撃していった若夫婦が心配で外を見る。  ヘッデンが遠く檜尾岳近くの斜面をチラチラ照らしながら動いているのが
 暗闇の中でもわかる。   これは引き返して来た方がいい、 上の稜線に出たらもっと凄いことになっているゾ、
 と思った。  (この暴風雨の中進めば遭難確実?  風雨を長時間モロに受け低体温症になり、 が頭をよぎる)

 そんな心配をしている時に小屋の扉がガラガラと開いた。

 「すみません、 戻って来ました」                と若夫婦。      
 「よかったよかった、 心配したよ、 戻ってきて正解」      と僕。

 お互い熟考。  若夫婦は明日の天候回復を期待しこの小屋に停滞するそう。
 (ネットで天気予報を確認してた  ←auは立つ場所により電波OK、 僕のドコモは完全にアウト)

 僕の考えはこの天候の中 空木岳まで4時間は絶対絶えられない、 120%遭難確実?  (最悪凍死?)
 明日天候回復する保障は何もない。  (現にこの2日間は天気晴れだったからここに来た、 しかし現実はこれ)

 なにより本日中に下山しないと家族が心配する。 (当初の予定は今日空木に登り池山尾根を下り菅の台BTに戻る計画)
 
 もう何も迷う必要はなし。      「自分はこの檜尾尾根を下ります」   と伝えた。  

 そう、 敗退撤退決定。    しかし遭難する確立は確実に減った。

 で、 前出の8時1分の写真となる。     上記のことを若夫婦と検討話し合っている頃の景色。
 

 湯を沸かし飲み、 カロリーメイトとチョコパンを食べ、 飴玉を口に入れ身体を十分に温めてから下山開始。

 若夫婦と冬の八ヶ岳再会を約束し別れた。   「お世話になりました」  「気を付けて!」  が最後の会話。

 かろうじて撮れた1枚。  体が飛ばされそうなほどの風、 そして横殴りの雨。 (少しだけ小屋が見えた)
 

 この尾根下りは勿論頭に無かった。  
 登山計画書作成段階(毎回メールで県警本部へ事前送付)でエスケープルートとして見逃してしまった僕のミス。  
 なのでどんな尾根なのか皆目見当もつかない。  細い線だし各サイトでもこの道利用している登山者いないしで。

 ただ地図を見る限り千畳敷BTと菅の台BTのほぼ中間地点の “檜尾バス停” までつながっている。
 そしてコースタイムは4時間強と記されている。  しかし今は登山者あまり使わなくなり荒廃気味とも。

 「焦らず慎重に下ろう」   を心がけた。

 薄らと先が見える時がある。    あの中へ突っ込みます、 それしか進む道はなし。
 

 これはまだいい方でほぼ視界ゼロ。   今歩いている細い道を逃さず捉えて行くしかない。
 そのうち段々と樹林帯に入り風が遮られ視界も良くなってきた。    ホッと一安心。

 こんな木を撮ったり・・       (でもこの辺ヤブ漕ぎ長し)
 

 中間地点の 赤沢の頭 (あかさわのかしら) で休憩したりで 少々余裕が出てきた?
 

 でもこのコースとてもハードだった。  しかも今日の天候では登って来る人絶対にいないハズ。   
 しかも後ろも絶対来ない。  それは僕自身が一番よく知っている。   ハハ・・。

 「これは絶対に怪我事故起こしてはいけない」    と改めて誓った。

 少し人の手の入った道が出てくるようになった。   
 

 ここまで細い尾根通しの道や獣道らしき道、 太い大木が倒れていてどうにこうにも先に進めず大回りをした場所、
 ガスで視界不良、 雨で泥泥滑る道、 笹漕ぎ、 orz。  僕の今のスキルでは限界に近いような道だった。

 チョー怖かったっス。。   

 頭に思い浮かべたのは下山後こまくさの湯に入りソースかつ丼を食べること!  それを目的に歩き続けた。 (爆)

 で、 やっと登山口着。   無事下山できました!!
 
  (なるほど、 場所と登山口のイメージから、 こんなコースの途中から登る人少ないだろうと理解した)

 コースタイム4時間強のところ少々飛ばし気味(焦らずと思っても心のどこかで焦っていた?)に下りて2時間半。
 
 太腿四頭筋くん ありがとう!

 この後展開よろしく、  合羽を脱いでいたらちょうど上から (しらび平) バスが下りてきた。
 手を上げ無理やり (?) バスに停まってもらった。 (本来のバス停はもう少し下の檜尾橋にある檜尾バス停)

 こんな辺鄙な所でバスを停め雨に濡れ泥だらけの僕の体裁を皆さん見て見ぬフリをしてた顔を見逃さなかった。
 (僕と関わりたくないような、 そんな冷たい視線を感じました。。 (苦笑) )

 そして地上の人となる。       イエイ  (^^v
 

 バスの中はさっきの悪戦苦闘の風をよそに、 皆さん至極普通の会話をしながら観光を楽しむ空気に包まれていた。

 
 「さっきのあの緊張状態って何だったんだろう・・。   夢か幻か!? 」

 そしてあっちゅー間に菅の台BT着。
 

 いやあ、  今回は本当にお疲れ様でした。。
 

 んで、、    待望の・・・
 

 右、 左、 どっちかな?
 

 むほほ~     僕は約束を絶対に守ります!   (何のこっちゃ)
 

 下界は普通に時が流れていました。    こんな平々凡々さがいいですネ。    改めて実感できました。

 以上です!

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 横浜の若夫婦さま。 
   
  その節はいろいろお世話になりました。 短い時間でしたがとても楽しかったです。  
  その後の行程はいかがでしたか。  八ヶ岳で再会しましょう!!

 Special Thanks  For   山ちゃん、 柏原新道Mさん。
  下山後の心強い励ましメール、 心に沁み入りました。   ありがとうござました。
  仲間っていいもんです。。


 【後記】

 今回の山行は天候の崩れに対する判断と、 その後の行動をどうすべきか悩んだ。  
 あの場面で一人だったらパニクって違った回答を選択していたかもしれない。 (同宿者に感謝)
 実に紙一重だった?   生と死の境目。   大袈裟かもしれないがそんな感じがする。

 「せっかくここまで来たのだから、空木岳直下に小屋がある、あそこまで行けば・・  
   or  この天候じゃ無理だから下山しよう  or  天候回復まで避難小屋で停滞」 

 一人だったら難しい判断を迫られていた?  かもです。 

 (でもあの天候なら迷わず後者。  小屋停滞案は予備食料と天候回復の根拠が今イチ不安。
  今回の下山判断はガスの流れと樹林帯突入後の風雨を遮る事が最大の決定力だった)

 この体験を基に今後の山行に生かしていこう。

 「山は逃げない」      

 またソースかつ丼食べに行くか。    嬉しい宿題ができました。。  


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