広島から尾道まで1時間半。
その間、「夕凪の街 桜の国」を読んだ。
100ページあまりの短い作品。
尾道に着く頃に読み終えたのだが、電車内で涙が止まらなかった。
「読後、まだ名前のついていない感情が あなたの心の深い所を突き刺します。」という帯のとおり、この作品から得た感情が私の体内を循環し、まだ消化できないでいる。東京に帰った後も何度も読み返してしまう。
昭和30年。
灼熱の光線が放たれた時から10年。
ヒロシマを舞台に、一人の女性の魂が大きく大きく揺れた。
淡い装丁のような淡々とした物語の流れとは裏腹に、
原爆の光線を受けて生き残った人たちの苦悩がリアルに描かれていた。
「生き残って良かった」ではなく「生き残ってしまった」という被爆者の苦悩について、私はこの作品を読むまで考えたことも無かった。
「わかっているのは”死ねばいい”と誰かに思われたということ
思われたのに生き延びているということ」
復興中のヒロシマで、母と二人、頑張って生きる皆実。
時々「あの日」の惨事を思い出し、生き延びた自分を責めている。
傷跡は身体だけでなく、心にまでついている。深く深く。
同僚の打越への思い…。
その思いは通じるが、強烈な最期が皆実を待ち受けている。
残酷なシーンは出てこないが故、ストーリーの残酷さが浮き彫りになっていた。
その間、「夕凪の街 桜の国」を読んだ。
100ページあまりの短い作品。
尾道に着く頃に読み終えたのだが、電車内で涙が止まらなかった。
「読後、まだ名前のついていない感情が あなたの心の深い所を突き刺します。」という帯のとおり、この作品から得た感情が私の体内を循環し、まだ消化できないでいる。東京に帰った後も何度も読み返してしまう。
昭和30年。
灼熱の光線が放たれた時から10年。
ヒロシマを舞台に、一人の女性の魂が大きく大きく揺れた。
淡い装丁のような淡々とした物語の流れとは裏腹に、
原爆の光線を受けて生き残った人たちの苦悩がリアルに描かれていた。
「生き残って良かった」ではなく「生き残ってしまった」という被爆者の苦悩について、私はこの作品を読むまで考えたことも無かった。
「わかっているのは”死ねばいい”と誰かに思われたということ
思われたのに生き延びているということ」
復興中のヒロシマで、母と二人、頑張って生きる皆実。
時々「あの日」の惨事を思い出し、生き延びた自分を責めている。
傷跡は身体だけでなく、心にまでついている。深く深く。
同僚の打越への思い…。
その思いは通じるが、強烈な最期が皆実を待ち受けている。
残酷なシーンは出てこないが故、ストーリーの残酷さが浮き彫りになっていた。