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朝7時に目覚めた。
休日、こんなに早く起きることは異例のこと。
朝風呂に浸かったあと、背中にお日様を浴びせながらバナナを食し、セロトニンの活性化に励んだりしていた。
パキシルの在庫が次回の心療内科デーまで持たないことを思いだし、心療内科に行くことにした。
薬の処方せんを書くためだけの診察は予約なしでも良いらしい。
今日は午前中から暑いくらいの陽気で、アンサンブルニットだけで外出できた。
春色の淡いブルーのニットと白いスカートを着用し、少し高めのピンヒールで歩く。
公園を横切る。
虹色に輝く噴水。
昼寝をしている猫。
あと2週間もすれば、この公園も花見客で賑わうんだろう。
スクランブル交差点。
ゼブラゾーンに行き交う車。
その向こうに、当社の店舗が見える。
つい、自分が手掛けた制服の着こなしが気になり、凝視してしまう。ちょっとした制服フェチである。
心療内科到着。
狭い雑居ビル。
窓からはいつもネオンが見えるが、今日は眩しい春の光が待合室の奥まで差し込んでいた。
相変わらずの賑わいぶり。
予約が取れないということで有名なこの心療内科。待合室の混み様は昼も夜も変わらないようだ。
クマ医師に2週間分の処方箋を書いてもらい、近くの薬局に向かう。
飲み屋が犇めく、狭い下町のアーケード街に、その薬局はある。
普段は夜にここを通過するので、焼き鳥の煙やアルコールの臭いがする笑い声が飲み屋から漂ってくるんだが、今日は日中ということもあり、不気味なぐらい閑散としていた。
時間を変えただけで違った顔を見せる街。
薬局の薬剤師さんとはだいぶ仲良くなった。
40歳ぐらいの女性薬剤師さん。
前下がりボブが似合う、パワフルな人だ。
「あら、今日から漢方薬も処方されるようになったんですか?」
とか言われる。
「とてもお元気そうに見えますけど…ねぇ?」
とも言われたことがある。
元気に見えるのは、元気に見えるように努力しているから。
「そーなんですけどねぇー。あは」
元気そうに見せたいがゆえ。
期待をしてくれている人、優しくしてくれる人を裏切らないために私は私という値札の無い商品についてプロモーション活動をする。
生きていくために。
無理するな。
無駄だ。
と言われても。
それが私だから。
商店街に昼と夜の顔があるように、私にも、例えるならば、陰と陽みたいな対極性を持った二つの顔があるんだと思う。
それらのバランスを上手く保つために、今、薬を飲んでいる。
陰と陽の自分…どちらも愛せるように…セルフプロデューサーの手腕の見せどころだ。