来週誕生日を迎える先輩へのプレゼントを買うべく池袋へ。アラフォー世代の先輩…贅沢を知っている世代の彼女には中途半端なものはあげられない。しかし、私の財政状況もあるし…。
毎年、ロダンの「考える人」のように悩んでしまう。
最寄り駅の喫煙所にて一服。
何にしようかなあ。先輩は何が好きなんだろう。
何をもらったら嬉しがるのかな。
お、電車が来た。
さあ乗ろうか…っと思った矢先、ご婦人に声を掛けられた。
「あのう、火を貸してくれませんか」
私にも駅で火を貸してもらった経験がある。喫煙所で繰り広げられる輪廻天性光景だ。
ポケットからライターを取りだし、火を点けて差し出しているうちに…電車は行ってしまった。
はあ…。
呆然とする私に、
「今ね、群馬に行ってきたのよ」
と、ご婦人。
唐突に話しかけられた。
「寒くなかったですか?群馬」
という私の質問で、話は芋づる式に繋がっていった。
彼女は弟の一周忌に参加していたらしい。
84歳とのことだが、彼女の肌艶はどう見ても60代だ。
つい最近まで働いていたので、足腰は強く、そして医者いらずとのこと。背筋も私よりピンとしていて、斜めに被ったフェルトの帽子のお洒落なことといったら!
「この不況、若い人には辛いかもしれないわね。でもね、戦争中に比べたら…って私なんかは思っちゃうのよ」
という言葉が印象的であった。
間もなくして、轟音と共に次の電車が来た。
「さようなら」
「さようなら。私みたいなおばあちゃんの話を聞いてくれてありがとうね」
走り出す電車からは、ホームをゆっくりと歩く彼女の姿が見え、やがて雑踏に消えていった。
何歳になっても彼女のように背筋を伸ばして粋に煙草を吸っていたい。
不況になんか、負けてたまるか。
毎年、ロダンの「考える人」のように悩んでしまう。
最寄り駅の喫煙所にて一服。
何にしようかなあ。先輩は何が好きなんだろう。
何をもらったら嬉しがるのかな。
お、電車が来た。
さあ乗ろうか…っと思った矢先、ご婦人に声を掛けられた。
「あのう、火を貸してくれませんか」
私にも駅で火を貸してもらった経験がある。喫煙所で繰り広げられる輪廻天性光景だ。
ポケットからライターを取りだし、火を点けて差し出しているうちに…電車は行ってしまった。
はあ…。
呆然とする私に、
「今ね、群馬に行ってきたのよ」
と、ご婦人。
唐突に話しかけられた。
「寒くなかったですか?群馬」
という私の質問で、話は芋づる式に繋がっていった。
彼女は弟の一周忌に参加していたらしい。
84歳とのことだが、彼女の肌艶はどう見ても60代だ。
つい最近まで働いていたので、足腰は強く、そして医者いらずとのこと。背筋も私よりピンとしていて、斜めに被ったフェルトの帽子のお洒落なことといったら!
「この不況、若い人には辛いかもしれないわね。でもね、戦争中に比べたら…って私なんかは思っちゃうのよ」
という言葉が印象的であった。
間もなくして、轟音と共に次の電車が来た。
「さようなら」
「さようなら。私みたいなおばあちゃんの話を聞いてくれてありがとうね」
走り出す電車からは、ホームをゆっくりと歩く彼女の姿が見え、やがて雑踏に消えていった。
何歳になっても彼女のように背筋を伸ばして粋に煙草を吸っていたい。
不況になんか、負けてたまるか。