世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

真珠物語

2008年12月15日 22時13分53秒 | Weblog
今年、両親から、
「これで記念になるものを買いなさい」
と、お小遣いをもらっていた。

「これは使えない…」
と思っていた。恐れ多くて。

でも、ついに使う日が来た。
いや、使うべき日というか。

真珠の一連ネックレス(鑑別書付き)である。
今年の祖母の葬式に、イミテーションの真珠のネックレスを着けようとしたときに、ふと「これはいけない」と思ったんである。
そろそろイミテーションは卒業しないと、と思った。

今回、たまたま良い縁があった。

見た瞬間、
「このコが欲しい」と強く思ったのである。


宝石ヲタの母に価格と写メールを送り、報告連絡相談。
なかなか返事がこない。
どうしたんだろ。

「その真珠、ママの持っているのよりも綺麗で癪だった…。だから写真もあまり直視していない」
と、後から告白した母。そういう素直なところが可愛い。
勿論絶賛してくれ、
「買いだね」
と一言。


真珠はとてつもなくデリケートな宝石である。
学校の朝礼や徒競走で貧血を起こしてぶっ倒れる女子並みである。もしくは市販のシャンプーを使用するとオデコにニキビができてしまう敏感肌を所持する女性並み。

取り外したあと、柔らかい布で拭き拭きしないと、照りがなくなる。他にも、湿気に注意しなければならない云々…売ってくれた人に言われた。

こんな厄介なコ、私が管理できるんだろうか。
私、マゾになっちゃったんかしら。

しかし、今回の真珠購入には、理由がある。

真珠は、貝に入った砂や生物を排除しようと、貝が自ら出した分泌液が幾重にも重なったものである。
養殖では、アコヤ貝に無理矢理ピース(核)を入れられる。
「痛いよー!痛いよー!」
アコヤ貝は痛みに悶え、涙のような分泌液を出しまくるんである。

(うう。書いているそばから怖くなっちまったぜ。自分、アコヤ貝でなくてホントに良かった。)

時期がきたら、浜揚げされ、人間様に「おお、でかした」と真珠を取られるアコヤ貝。鵜飼いの鵜状態である。

そんなアコヤ貝の我慢強さの結果が、この照り、巻き、色…なんである。

アコヤ貝の涙は、この数年間の私の涙と重なり、今目の前にある輝きになったんだ…と思って、購入に踏み切った。





涙を形にしておきたかった。
忘れたくなかった。
悔しかったり悲しかったり、嬉しかったり切なかったときのあの涙。
流してはいけなかったのかもしれないけれども、忘れてしまえるほど無意味な位置付けにはできないし、したくはなかった。


真珠…それは、涙の結晶である。
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