世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

あの虹を渡りたい

2009年05月08日 | Weblog
「うわぁ」
という歓声がフロアに響く。
声の方を見ると、窓の外に大きな虹が出ていた。
けっこう太くて濃い虹である。

昨日から今日にかけて、ずっと雨が降り続いていた。
雨は小雨になり、夕日が差してきたと思っていた矢先のこと。

「赤、橙、黄、緑、青、藍、菫」
光の七色が天にアーチを描く、自然界からの贈り物。

視線をパソコンに移し、またしばらくして窓の外を見ると、もう虹は消えかかっていた。

「虹が10分も見えていたら、もう見る人はいなくなるだろう」
と言ったのはゲーテだ。
でも私は毎日見たいと思う。

まだ幼い頃、あの虹を渡れると信じていた。
渡った人がいないという事実に疑念を抱いていた。
そのぐらい、あの虹を渡れるということに確信づいた夢を持っていた。

いつからだろう。
「虹を渡る」ということを諦めてしまったのは。
虹だけではない。
夢を見ることさえも辞めてしまったのは。

でも。
密かに。
今でも虹を見る度に。

「渡りたい」と思ってしまう。



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