世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

「沈まぬ太陽」

2009年10月25日 | Weblog
映画「沈まぬ太陽」を観た。

あらすじ: 国民航空の労働組合委員長・恩地(渡辺謙)は職場環境の改善に奔走した結果、海外勤務を命じられてしまう。10年におよぶ孤独な生活に耐え、本社復帰を果たすもジャンボ機墜落事故が起き、救援隊として現地に行った彼はさまざまな悲劇を目の当たりにする。そして、組織の建て直しを図るべく就任した国見新会長(石坂浩二)のもとで、恩地は会社の腐敗と闘うが……。
(シネマトゥデイ)

リンパ腺の様子もアレだし、今日は一日休んでいようと思ったのだが、急に思い立ち、レイトショーで「沈まぬ太陽」を観てきた。
3時間20分の長丁場。(10分間の休憩アリ。過去に休憩時間が設けられた日本映画は「七人の侍」、「赤ひげ」で、それ以来だという。)

長い作品だが、一瞬たりとも退屈さを感じさせなかった。
出だしのジャンボ機の墜落シーン、…コックピットの緊迫とした様子や乗客の恐怖が大画面で押し迫ってきて、涙が出てきた。
以前、テレビのニュースで観た日航ジャンボ機のボイスレコーダーが脳裏に蘇った。
それに追い討ちをかける遺体が収められた棺の数々。
息をするのも忘れた。


本当に見事なまで精緻に作られた映画だった。
この映画はフィクションだと謳っていながらも、「123便」や「御巣鷹山」という2つのキーワードが、「現実」と「非現実」の垣根を曖昧にしていていた。
なかなか映像化には苦労したという本作品だが、その意味が分かった。

国民航空労働組合の委員長として活躍する恩地。
左遷人事でパキスタン、イラン、ケニアといった僻地へ飛ばされる。
冷遇されても自らが正しいと思ったこと、社員(仲間)の為になることを貫き通す為に、会社を辞めない。

私事なのであるが、以前、父が3ヶ月だけ東京に勉強のために家を離れたことがあった。
たった3ヶ月。それに宇都宮から100キロしか離れていない東京に家族が住むだけだったのに、子供心に凄く切なくなったのを思い出した。

恩地にはやはり年老いた母と妻と息子と娘がいる。
ある日、ケニアに単身赴任中の恩地に、娘が「お父さんのせいで家族はバラバラよ」と手紙を寄越す。
そのシーンがけっこうきた。
娘の気持ちも恩地の気持ちも分かるからだ。

かつて恩地と共に労働組合を盛り立てていた行天は、出世街道まっしぐら。
アノ手コノ手を使い、常務にまで昇進する。
彼の愛人兼スパイの美樹役に松雪泰子。これがぴったりの役どころだった。

色々と書きたいと思う感想はあるのだが、如何せん長い作品なので集約すると、恩地の「逃げない生き方」に惹かれた、この一言に尽きる。
その生き方を、最後、アフリカの大地で真っ赤に燃える夕日が象徴していた。
私にも、彼の数百分の一の正義感と責任感があったら、夕日を何かの象徴として拝めるのだろうか…と帰り道に思った。

あと、加藤剛が出ていて嬉しかった。
かっこいい!!!!!!!


『沈まぬ太陽』
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