世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》

2015年01月09日 23時07分36秒 | Weblog
仕事帰りに、日本フィルさいたま定期演奏会@大宮ソニックシティへ。
12日ぶりに再び小林研一郎氏の紡ぎだす世界観に触れる。




「日本フィルハーモニー交響楽団 第87回さいたま定期演奏会」

指揮:小林研一郎
演奏:日本フィルハーモニー交響楽団
ソプラノ:天羽明恵
コンサートマスター:木野雅之



まずはコバケンの年始の挨拶から。

1.J.シュトラウス2世:喜歌劇《こうもり》序曲
聴いたことがあるということでまず安心。

2.J.シュトラウス2世:喜歌劇《こうもり》より「侯爵様、あなたのようなお方は」
天羽さんの動きながら歌うダイナミックな様子に惹かれた。

3.J.シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ
口笛大会で少女がこの曲を吹いて優勝したことを思い出した。
トリッチ・トラッチとは、ぺちゃくちゃ。社交界の有閑マダムのサロン風景。


4.レハール:《メリー・ウィドウ》より「ヴィリアの歌」
天羽さんがこの曲について説明してくれた。
情熱的な気まぐれな妖精が狩人たちをたぶらかす歌らしい。
天羽さんの声が、まるで楽器のようでぶったまげた。


5.J.シュトラウス2世:美しく青きドナウ
キター!!
「美しく青きドナウ」っていったら、真っ先に思い浮かぶのが映画「下妻物語」である。
牛久大仏をバックに、ロリ服を着た桃子が友人・いちごを救うべく、レディース暴走族「舗爾威帝劉」(ポニーテール)と乱闘を展開したシーンで流れていた。族との乱闘でこの曲!?という意外性がたまらん。ロリータな深キョンが、族相手に「我いちびっとったらほんま逝てまうぞ、ゴルァ!」という啖呵を吐くのもかっこ良かった。



コバケン氏は実際にホテルの窓からドナウ河を見たことがあり、その美しさに見とれてしまい、気付いたら足元が温かったそうだ。・・・風呂のお湯が足元まで迫っていたとのこと。・・・そんなユーモア溢れるお話まで聞けて嬉しい。

肝心の演奏は、・・・最高!
優雅で気品溢れるメロディが、オーケストラから発生し、やがてうねりとなって二階席の私のところまで届いた。


6.J.シュトラウス2世:《春の声》
華やかで上品なメロディ。
ひたすらうっとり。
まさに「この世の春が来た」という感じの曲だ。
シュトラウスは、この頃三度目の結婚をしたので、その気持ちがにじみ出ているかのようだとパンフレットに書いてある。
なるほど。


休憩
トイレで長蛇の列ができ、20分の休憩時間が終わっちゃうんではないかと焦った。


7.ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》
第1楽章
かっこいい!サンダーバード的なかっちょいい乗り物に乗って青空をぐんぐん飛ぶイメージ。
個人的にはSFの世界を思い起こさせる。
ぞくぞく来る!!

第2楽章
泣いた。
あまりにも美しすぎて、涙が出た。
とくにヴァイオリンがさざめくところで、心の襞が震えた。
映画「銀河鉄道の夜」で大きな時計の振り子が出てくる、静かで清らかなシーンで流れていた曲。その印象が強い。

あと、なぜだか故郷が恋しくなった。


第3楽章
ヴェートーベンの第九の第2楽章に似た激しい曲。
油断していると音のうねりに吸い込まれていきそう・・・。
それもまた快感であったりする。

コバケン、唸る。


第4楽章
何百回もCDで聴いた曲。
でも生のオーケストラで聴いたのは初めてだ。
ずっと文通していた顔の分からない人と初めて対面したかのような錯覚に陥った。

たった1ヶ所のみメゾフォルテでシンバルが出る。
他の楽器がピアニッシモの時に一発、シャーンと長く延ばすものだ。
全体で約40分かかる交響曲の中で一発だけ。・・・「シャーン」である。
通称「シンバル乙(お疲れ様)」のシーンを見られたことに興奮。



アンコール
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
耳馴染みのある情熱的なあのメロディーが、今まさに目の前で生産されてその場で聴けることに興奮。
身を乗り出して聞き入ってしまった。


いつも年末の第九は奮発してS席にしており、オーケストラを間近で体感しているのだが、今回は2階のA席。
各パートがどの部分でどんな動きをしているのかが一目瞭然なのが新鮮だった。
遠くからでもコバケンのダイナミック且つ繊細な指揮がよく分かった。

チケットを入手してから、「短期間で生オケを2回も聴いちゃっていいのかな」と小市民な私は後ろめたく感じていたのだが、奮発してよかった。
年始に相応しく、私なりの「新世界」を心の中で描けたから。


大宮ソニック。