世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

炎天下の道、生まれてくる君へ

2017年04月09日 | Weblog
2016年8月9日 8月9日という日

こんなに普通っぽく書いているが、本当はけっこう大変な一日であった。
今となって、ようやく書けるのだが。

この日の三日前に、妹から妊娠を知らされた。
しかも駅で。
エコー写真を見せ付けられ無言で妊娠を告げられたのである。
白黒の写真にクリオネっぽい何か(推定2ミリ)が映っているそれを見させられた私は泣きながら喜んだ。
「自分は伯母さんになるんだ」
「芋子は母親になるんだ」
という高揚した心で、その後、一人で花火を鑑賞した。

そして8月9日の朝。
「とと姉ちゃん」を観ながら化粧をしていた私に着信アリ。
掛けてきたのは妹で、泣きながら「出血したんだけど」と言うではないか。
幸い、私と妹夫妻の家は近いので、とりあえず彼女に付き添おうと思った。
吉熊上司に午前中休むことを連絡し、妹宅へ向かう。


母には妹の妊娠を告げていなかった。
安定期に入るまで母には言わないと妹が述べていたので。


妊娠6週目の出血ってどうなの?と、本当は母に聞きたくて聞きたくてどうしようもなかった。
不安だった。私は子供を産んだことがないし、これからも産まないので、その分野についてよく分からないのである。
何度もスマホを握って母に聞きたかったけれども、聞けず。
無力な私に蝉時雨が降る。
真っ青な空が途端に憎たらしくなってきた。イライラしていた。

電車内でGoogle先生に尋ねる。しかしモヤモヤとした解答しか得られない。

駅を降り、妹宅へ。
きつい坂を歩く。
朝とはいえ容赦なく降り注ぐ夏の光のなか、えっちらおっちら歩く。
汗が一気に噴出す。化粧が落ちそうだ。

妹宅に到着すると、妹は泣きはらした目で「どうしよう」「私が毎晩残業していたからだ」と泣きじゃくりながら繰り返す。
そんな彼女を宥め、これから病院に行くというので歩いて付き添った。
病院の待合室でがっくりと俯く芋子のそばで佇むしかない私。
やがて診察室に呼ばれて入室する芋子。

「神様、どうか芋子の子が無事でありますように」
そう祈っていた。

10分ぐらいで芋子は帰ってきた。
「赤ちゃん、大丈夫だって。動いてるって」
と芋子は泣きながら喜んでいた。

二人で病院近くの薬局へ行き、処方された薬が出てくるまで待合室で待機。
テレビでニュース番組を見ていた。
長崎の原爆投下の日を伝えるニュースで、11:02、嗚呼私は一生この日を忘れないのだろうなあと思った。

二人で駅まで歩く。
日はさっきよりもだいぶ上にあり、息をするのも難儀なほど暑い。
隣で歩く妹のお腹を見ると、朝見た時よりもなんとなく生命力が感じられた。

「あそこのパン屋のパン、すっげーおいしいから、ねーちゃん、何でも買ってあげる」
と芋子。
急に気が大きくなったYO!

ということでパンを買ってもらった。
「吉熊上司たちにも」
と、吉熊上司そして後輩男女の分までクロワッサンを買ってくれた。

「芋子さん、これからお金が掛かるのだから・・・」
と制したのだが、聞かない。

駅に到着。
「じゃあね!今日はありがとう!今日は会社を休んでこれから母子手帳もらいに行くから!じゃあねえ!」
と芋子はゆらゆらする陽炎の中、元気いっぱい去っていった。

あれから、あのクリオネくんはムクムクと成長し、いまや推定3,700グラムのジャンボベイベーになった。
そして来週には出てくるらしい。

私、伯母さんになるんだな・・・クリオネ写真を見せられてから、この半年ほど、幾度となく思っていた。
芋子のお腹が大きくなるたびに、その思いはますます大きくなっていった。
そして今は、その気持ちを遥かに凌駕する、「どうか無事にこの世に出てきてほしい」という気持ちでいっぱいだ。


生まれてくる君へ。
一緒に歩いた炎天下の道を、君は覚えているだろうか。

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気の向くまま、花見

2017年04月09日 | Weblog
お昼過ぎにむっくりと起きる。
昨晩、深夜に宮沢賢治の特集が放映されていて、うっかり観はじめたら全部観てしまった。

そんなこんなで昼過ぎに起きて家事や調べ物をしながらぼんやり。
生憎天気が悪く、やる気が出ない。
昨晩スーパーで買ってきた惣菜もあまり食べられず。


夕方、雨が止んだので、六本木ヒルズのふもとにある毛利庭園に花見に出かけた。







近代的な建物と叙情的な桜のコラボレーション。


池に映る桜の官能的なこと。




東京タワーと桜。


まるで夢の世界。





ペットショップの猫にゃん。カワユス。



ヴィトンさま。


ウインドーも素敵。



恵比寿で下車し、初代へ。


長蛇の列ができていたが、15分ほどで着席できた。
お目当ては去年食べて衝撃を受けた白いカレーうどん。





白の部分はじゃがいものムースで、とても美味。
混ぜるとカレーがマイルドになる。


目黒で下車し、目黒川の桜を愛でる。





以前、両親と妹で来たことがある。
妹・芋子は以前、目黒の会社に勤務していた。
あの時は、芋子がプランを練ってくれて、とても頼もしかった。
芋子行きつけの店・かつ壱でカツを食べたっけ。

妹は今夜、病院に入院した。
明日の朝から促進剤を打つ。
今月1日が予定日だったのだが一向に産まれてこない。
家族共々、気が気でない。

でもまあ、私が心配したところで事態は変わらないので、仕方がない。
心の中で応援しませう。


明日からまた新たな一週間が始まる。
週末は親友わたとデートもある!楽しみだ!!