世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

昇進

2021年07月01日 23時38分29秒 | Weblog
本日付で係長になった。
主任から係長心得になったのは2年前。


今日からガチの係長になったのである。

寝耳にウォーターだったので、今朝、上司から辞令を受け取って吃驚した。



辞令を受け取る手が震えた…。


今宵、globeの「Feel Like dance」を聴いていたら、昔のことが走馬灯のように駆け巡り、泣いた。


他部署の後輩に昇進を抜かれて、悔しくて泣いた夜。
どうせ私なんか、とふてくされた帰り道。
同じ境遇の者同士で飲んだ酒の味。
自暴自棄になった一人カラオケ。

それでも辞めなかった。
耐えて耐えた。
サラリーマンとはそういうものだと父の背を見て刷り込まれていたからである。



私の中には祖母がいる。
母方の祖母だ。
幼い頃から苦労したせいか神経質で厳しい人だった。
結婚後に夫が出征し、女手一つで娘(母の姉)を5年ほど育てた。
戦後はヨイトマケよろしく、肉体労働に勤しんだ。
自分の時間なんて全然なかったっぽい。

母親になった母が少しでも彼女に弱い姿を見せ、愚痴を述べたりすると「甘ったれてんじゃないよ」と叱咤。
同居する姑が子供の面倒を見てくれないと口にしようものならば、「甘ったれてんじゃない。誰が子供を育てるんだ!人をあてにするから腹が立つんだ!」と怒られたと母は証言する。
怖くて実家には帰れず、母は歯を食いしばって我が強い姑・毎日来る小姑、そして仕事と飲み会に勤しむ夫に仕え、孤独のなかで3人の子育てをしていた。

おかげで母は強くなり、姑・小姑にも負けず、そして家を出ることなく、姑の死後はとっととボロ家をぶっ壊して自分好みの家をカスタムして建て、父と悠々自適に過ごしている。穏やかな日々を楽しんでいる。

祖母が他界して随分経つが、最近、祖母が私の中で生まれて育っている。
仕事で「これめんどい」などと思ったり「なんで私がやんのこれ。マジでイミフなんすけど」と考えたりすると、祖母が脳内に降臨してきて「甘ったれんじゃないよ。お前の仕事だろ。やるんだよ。他に誰がやるのさ?」としゃがれた声で言うのである。

怖い。実に怖い。

祖母が見ている、と誰もいない制服の在庫部屋で何度か祖母の気配を感じた。

今回の昇進はいつも気にかけてくださる社長、上司、同僚、支えてくれた家族や友達のおかげでもあるけれども、厳しく監視してくれている祖母のおかげでもある。
いつも見守っていてくれてありがとう。

持ち帰ってきた辞令を立てて、その前にお香を1本立てて合掌した。

晩年は認知症になり、私がお見舞いに行っても「どちらさん?足尾から来たんけ?」と訊いてきた祖母。
私のことは覚えていなくても「ヨーコは私の娘だよ」と言って、母のことは亡くなるまで覚えていた。
厳しく接していたけれど、祖母は母のことを大切に思っていたのだ。


今夜の酒は最高。
私の好きなジントニックと吉熊の好きなサーモンのパスタ。

吉熊も、いつもありがとう。

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という先人たちの教えを噛みしめ、そして祖母の監視のもと、明日からも精進しようと誓った。

最後に一言だけ。

やった!!!
嬉しい!!!