大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

真凡プレジデント・31《うちの学校の一大事・1》

2021-03-24 06:40:17 | 小説3

レジデント・31

《うちの学校の一大事・1》  

 

 

 大阪の高校でイジメがあった。

 

 SNSを使った執拗で陰湿なものだったらしい。

 被害者の生徒は不登校になるが、学校は認識が甘かったのか、マスコミが取り上げる事件になってしまった。

 学校名は伏せられているので、ひょっとしたら、その学校の関係者でも知らない人が居るのかもしれない。

「初期対応のまずさだろうね……そのうち、みんな知るところになって……見えるようね、こじれるのが」

 朝ごはん食べながらのお姉ちゃんの感想。

 この三月まで女子アナだったお姉ちゃんは、ニュースなんかで日常茶飯にこういうニュースに接して来ているので、こういう事件の行方は予想が付くようなのだ。

「ニュースになるまでは何か月もほったらかしといたんだろうね……」

 後の言葉は呑み込んで、チャンネルを変える。どこだかの知事がセクハラをやって進退窮まる……米軍の戦闘機が不時着……アイドルが二十歳のお誕生日……パリで万博のプレゼンテーション行われる……この夏のファッション……。

 くるくる切り替わっているうちに、わたしはタイムリミット。鏡でササッと髪とリボンを整えて、行ってきまーす!

 さっきのニュースの切れ切れ、夏のファッションが気になってスマホで確認しようと思ったのは、うまく空いたシートに座れたからなのかもしれない。

 

 え…………ネットニュースが飛び込んできた。

 

――昨春の入試でミス、本当は合格していた――

 そんなニュースで手が停まってしまった。

 だって、出てきた学校名は、なにを隠そう、わが都立中町高校なのだ。

 こんな噂は聞いたことが無い、中町高校入試ミスで検索してみる。

 次の駅で下りなければならないところで概要が分かった。

 

 昨春と言えば、わたしたちが受けた入試だ。

 それだけでも気持ちが悪いのに、入試ミスで落ちた本人は、こう言っている。

――本当は、わたしが合格していた。ずっと言ってきたのに学校も教育委員会もなしのつぶて。だから訴えることにしました――

 これは、大阪のイジメ問題と同じ……それ以上にこじれた問題になるかもしれない。

 

☆ 主な登場人物

  •  田中 真凡(生徒会長)  ブスでも美人でもなく、人の印象に残らないことを密かに気にしている高校二年生
  •  福島 みずき(副会長)  真凡たちの一組とは反対の位置にある六組
  •  橘 なつき(会計)     入学以来の友だち、勉強は苦手だが真凡のことは大好き 
  •  北白川 綾乃(書記)   モテカワ美少女の同級生 
  •  田中 美樹         真凡の姉、東大卒で美人の誉れも高き女子アナだったが三月で退職、家でゴロゴロしている。
  •  柳沢 琢磨         対立候補だった ちょっとサイコパス 
  •  橘 健二           なつきの弟
  •  藤田先生          定年間近の生徒会顧問
  •  中谷先生          若い生徒会顧問

 

 


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