昨夜のこと、娘から貸してもらっている国語の資料集を覘いていたら、秋の七草が載っていました。 尾花(おばな)くず花 なでしこが花 おみなへし また藤ばかま あさがほが花 …万葉集 山上憶良… 最初から、萩(ハギ)・薄(ススキ)・葛(クズ)・撫子(ナデシコ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴(フジバカマ)・桔梗(キキョウ)のことですね。 ふ~んと見ていたら、昔からいつも見ている、この辺りによくボーボーに生えている雑草(失礼)がその中の写真にあるじゃありませんか! この前初めてその草に、藤のような花が咲いているのを発見したのですが、まさかそれがあの“葛(クズ)”だったとは、いや~この年になるまで知りませんでした。 上の画像はそのクズの花です。甘い柑橘系のようないい香りがします。 もう花びらが散り始めていました。 近くにある群生には上の方ばかり花が咲いていますので、やっと見つけた下に咲いていた花です。 そしてこれが、その葉です。 ね!山野や土手や切り崩された崖などによくある、あの葉っぱの大きいつる状の草で群生する、あの草ですよ。 巨大な枝豆(大豆)の葉っぱのようでもありますね。 マメ科ソラマメ亜科アズキ族クズ属の蔓性多年草(長い!)だそうですので、もちろんサヤ豆が生ります。 …となると、このつる草は、あのくず餅の葛ですよね…?…えええっ 早速調べてみました 日本では繁殖力が旺盛で害草として扱われることの多いクズですが、古来から頑強なツルは民具に利用したり、茎の皮の繊維から葛布を織ることが万葉時代に既に行われていたといいます。 有用植物として(特にアメリカでは戦後日本から持ち帰り)栄養価の高い家畜のエサとして利用されたり、土壌保全、水源確保などの環境保全にも積極的に利用されたそうで、テネシー渓谷やその周辺地域の開発にも重要な役割を果たしたそうです。 日本では土手に這わせて土砂の流出を抑えたり、高速道路の防音対策に利用されたりしますが、あまりに旺盛な繁殖力に現在では処理にこまっているのだそうです。 残念なことに、日本では雑草として防除される対象で積極的な開発利用はされていないんですね。 そんなクズですが、その根っこから良質な澱粉 “葛粉” が採れます。 風邪をひいたときに飲む “くず湯 ”の主原料です。 “くず餅” など和菓子の原料にもなります。 また、根を乾燥させたものが生薬の “葛根(かっこん)” で、葛根湯などの漢方薬にも利用され、薬草の中でも漢方薬に最もおおく利用されるものの1つなのだそうですよ。 3年以上の肥大した根を秋に採取し、その根の汁からつくる “葛澱粉” はとても良質で最高級の澱粉です。 実は市販のくず餅や葛粉は安価な甘薯・馬鈴薯澱粉を使用しているものがほとんどで、本物のクズから葛粉を採っているのは奈良など一部の地域でしかありません。 硬いので塩茹でして下処理をすると、新芽や若葉はおひたしや炒め物、花は酢の物、天婦羅などでいただけるそうです。 葛は万葉集でも20首以上詠まれているそうですが、古今和歌集・新古今和歌集となるとぐっと少なくなってしまいます。 万葉集が花、ツルの伸びる様子、葉の色などを歌ったのにくらべ、それらは “恨み” に掛けて詠んでいます。 なんでも、クズの葉は風に吹かれてめくれると、裏が白くてよく目立つためだそうで。 「裏が見える」→「裏見」→「うらみ」→「恨み」ということですかね? 葛の語源は、奈良県の(くす・くず)だといいます。 もともとこの辺りに大和国家以前から住んでいた山人たちが後に国栖人(くずびと)と称されていて、彼らがつる草から澱粉を採り里に出て売ることがあったので、その澱粉やつる草のことを「くず」と呼ぶようになったといわれているそうです。 う~ん 小さい頃からうっとうしくも思っていたこのつる草が、じつはあの “葛” であり、いにしえの歌の中にも度々登場する「由緒ある」草だったとは…! 植物学者でもあった昭和天皇が “雑草” という言葉がお嫌いだったとというのは有名な話ですが、私もさらにそのお考えに共感いたします、はいっ |
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よく、春の七草は食べられるもので、秋の七草は食べられないといいますよね。
春の七草は邪気を払い縁起を祝うために食するもので
秋の七草は厳しい冬に備えて、効用効果のある薬草として利用しようということなのだそうですね。
その中でもこのクズは真打というわけで
>食の女王
あはは!
女王かどうかは?ですが、確かに当たってるかも~(笑)
実は私、(無謀な?)チャレンジャーでもあるんですよ~
くず湯くず餅の他に新芽や花も食すことが出来るなんて、さすが食の女王りょう様!笑、目の付け所が違います♪
(ほ、褒めてるんですよ~~;;)
私まだ葛の花は見てないんです;;
大きくてでっかい葉っぱですか、
なんかその辺に絶対ありそうなんですけど…
探すとなると見つからないんですねッ;;
ものすごく強靭なのだそうですね。
駆除となるとさぞや大変な事と思います。
実際のところ、ウチの建物の敷地にも、その近所のクズの葉がこれからの季節ぼろぼろと落ちてきて、掃除が本当に大変なのです。
葉っぱが大きくてかさばるでしょう?
清掃に入ってくださっている方が、いつも困っているんですよ(汗)
何か手軽な有効利用はないんでしょうかね…。
クズの葉から健康サプリを作るとか
おもいっきりテレビで葉食の効用を紹介するとか…(爆)
すみません。
うっかりものの私(それはよくご存知ですよね…)は、わらび餅とくず餅をまちがえてコメントしてしまいました。
書き直し~
くず餅、川崎市民なので家族がしょっちゅう買ってきては食べてましたが、私は大嫌いでした!
ううう
でも今はけっこう好きになりましたよ
あのくず餅もえせくず粉使用なのかな~。
ところで今日は風がすごいですね!
南北の窓が同時に開けられません。
窓の開けられない南側の部屋で、今パソコン打っているので結構暑くなってきてます
この台風が東京直撃だったら、いったいどうなっていたのか…!
被害に遭われました方々に、心からお見舞い申し上げます。
くずの木というのか くずの草というのか 草のくずというのか この葛は どこでも いっぱい生えていますね。
百姓としましては もっとも邪魔な草のひとつです。草刈機にからみついて困り者。
葛餅は大好きで 川崎大師の入り口前の住吉の葛餅はとっても美味しい。
夏でも冬でも、美味しくいただけるのでいっぱい生えてる葛、羨ましいです。
うらやましいとうらめしいはなんとなく似て非なるものな気がして、あまり羨むと「恨み」になるかなあ、とこの前から思っています。
食べ物の恨みは恐ろしいですもんねー。