ビデオレンタルだったか、テレビ放映だったか忘れたが、以前に、チャールズ・ブロンソン主演の「テレホン」という映画を見た。冷戦下、ソ連が米国に大勢のスパイを送り込んだ。彼らはマインドコントロールによって、あるキーワーズを埋め込まれている。本人達はそれと知らず、それぞれ家庭にも恵まれた一善良な市民として平和に暮らしている。
何年かして、そのキーワーズを電話で聞かせられた彼らは、次々と軍事施設の破壊活動やテロ行為に走らせられるといったものだが、そのキーワーズが問題なのだ。 このようなスパイアクション映画なんかで、(シェークスピアではなく)なんと、あのロバート・フロストの詩 STOPPING BY WOODS ON A SNOWY EVENING の一節
The woods are lovely, dark and deep
But I have promises to keep,
And miles to go before I sleep,
And miles to go before I sleep.
が耳元で囁やかれるのだ。この映画のキーとなる場面でフロストを登場させるなんて、たまらなく嬉しいんですよ。とくに現代の漫画社会というか、幼稚園的・即物的退廃社会では。文化の香がするではないですか。あたしゃ、そのために教師になったんです、はい。
*日本ではスティーブン・フォスターほどにも知られていないが、ロバート・フロストは、アメリカでは、ホイットマンに継ぐ国民的詩人である。わが国の高校英語教科書にもたびたび登場するので、知っている人もいるだろう。