(鎌倉湖とはいうものの)
大船駅には大きなバスターミナルがあって、そこから多方面にわたって循環バスが出ている。
その一つに「鎌倉湖畔行き」という系統がある。
鎌倉湖畔というからには、どうしても平坦な場所にある湖を想像してしまう。
だが(散在が池)の別名があるように、近くの三つのが管理を任された溜池だったらしい。
実際に行ってみると、バス停から数分の近さなのに散策路の入口は鬱蒼とした原生林のように見えた。
入口からはいったん下り坂になり、そこからすぐに上りになって、まもなく山中の湖が見える場所に着く。
休日ではないので、訪れている人は数組だけだった。
散策路は湖の周囲を二手に分かれて回るコースが表示されていて、どちらを行っても1キロ未満なので、僕はちょっときつそうな「馬の背」コースを選んでみた。
たしかに鎌倉の山らしく、こちらのコースは起伏が激しい。
しかも土と木材で作られた階段は一様ではなく、いたるところに木の根が飛び出しているので非常に歩きづらい。
急な勾配のところには鎖の手すりが付いていて、それを頼りに先へ進んでいった。
一つ坂を登りきると、次は下り坂になる。
膝への負担は、やはり下りの方が大きい。
こりゃあ前途多難だわとビビり始めたとき、たまたま向こうからやってきた壮年のハイカーとすれ違った。
どのくらい時間がかかったのか、どこから登りだしたのか聞いてみると、ハイキング地図を取り出して親切に説明してくれた。
それによると、かなりの距離を歩いてきたが、バスが通るような道路とは交差しないという。
つまり、この散策路をどこまで行っても、バス停には出られないというわけだ。
それに要所要所にコースの案内板があるとは思えず、道の整備具合も心もとない。
こちらの準備不足もあって、今回は引き返す判断をした。
みずうみ側は崖に気をつければいいが、反対側の森はいかにも人の手がはいいっていない様子で、この時期クマやイノシシに遭遇しないとも限らない。
針葉樹が主体だから、どんぐりが頼りの動物はいないと思うが・・・・。
ただし湿気の多いところは、マムシにも要注意だ。
散策路入口にあった野鳥の種類を紹介する看板に気を取られていたが、<マムシに噛まれた時の応急処置>なる看板が禍々しく思い出される。
鎌倉湖という名称には違和感を覚えたものの、自然をなるべくそのまま残そうという意志が感じられて新鮮な印象だ。
思いつきでやって来て、すごすごと引き返す羽目になったが、鎌倉は奥が深いと思い知った。
山歩きの準備をし、散在が池のいわれを勉強してから、再度歩いてみようと思った。
(おわり)
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今回の場所は、どちらかというと北鎌倉に近い山塊に連なったところにあります。
鎌倉のメインは、鶴岡八幡などのある盆地から材木座などの海岸線にかけてなんでしょう。
ご友人と歩かれる散策路はどの辺かな? たぶん背後の山は奥が深いんじゃないでしょうか。
市はクルマやGSスタンドを規制しているように、自然にはあまり手を加えないようですね。
鎌倉湖からは、徒歩30分圏内に明月院があるので、6月には紫陽花が楽しめそうですよ。
余り有名なコースではないのでしょうが、一言で鎌倉と言っても奥が深いですね。
写真で見ると、あまり人手が加えられていない感じです。
マムシが出るとなると、散策の途中で、座って一休みという訳にもいきませんね・・・
御岳山ではぐれた子供がいましたが、どんな低山でも「甘く見てはいけないよ」ということでしょうか。
マムシに噛まれた人が実際にいたから、あんな看板を出したんでしょう。
「まさか」とかタカをくくっていましたが、陽射しがほとんど入らない印象ですから、それを好むヘビ類がいても不思議はありません。
怖いけど、そのうちもう一度歩いてみましょう。
ありがとうございました。
観光地として整備されているイメージでしたが、鎌倉の自然を見直しました。
毒蝮三太夫いやマムシまでいるとは、、、しかも噛まれた場合の対処法まで書かれているというのは、実際に噛まれた人がいたんでしょうね。
ますます興味が高まりますね。
いつか再度挑戦したらぜひその模様もアップしてください。楽しみにしていますよ。