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心斎橋でバンド・デシネとクィア映画(尾道・大阪旅3日目)

2022-09-10 00:49:44 | 旅行

さて、尾道旅も最終日。

尾道といいながら、旅の締めくくりは、大阪へ。

出発前、福山の宿アンカーホテルで朝食をすませる(宿泊者には全員ついてくる!)。

映画でみるブルックリンのような内装だ。

 

地元の「ザ・スタンダード・ベーカリー」さんのパンと「池口精肉店」さんのソーセージを使ったホットドッグ。

BLTサンドも選べたけど、旅先ではジャンクに決めたいところ。

......これはおいしい。ソーセージの香ばしい肉汁をクラフトコーラでさらりと流し込む。至福。

私は全粒粉パン、相方はクロワッサンをカスタム。持論だが、ホットドッグには控えめで肝の据わったパンが合う。

 

フンフンご機嫌に部屋へ戻ると、予約していた新幹線の出発時刻が10分後だと知る。

慌てて福山駅に走る。福山城、ゆっくり見たかったなぁ。

 

後ろ髪を引かれながらも、新大阪へ心を弾ませる。

お目当ては、「関西クィア映画祭」。

上演は夕方からだったので、落ち着いて過ごせるカフェを探す。

海外のマンガやバンド・デシネが豊富に取り揃える「書肆喫茶mori」さんにたどり着く。

ひっそりとした路地裏にひょこっとたたずんでいた。

 

書肆喫茶mori~海外コミックスのブックカフェ

書肆喫茶moriは、大阪・谷町六丁目にある海外コミックスの古民家ブックカフェです。路地裏の隠れ家的ブックカフェで、バンドデシネやグラフィックノベルなどの海外マンガを...

書肆喫茶mori~海外コミックスのブックカフェ

 

 

 

台湾のイラストレーター・高研さんの『緑の歌』をお供に、シトラスティーを飲む。

仕草の機微があまりにリアリスティックで静かに心揺さぶられる。

「はっぴぃえんど」をはじめとする日本のロックバンドが好きなひとにはたまらない作品である(私は全く明るくない)。

下巻は買って読むことにする。

 

 

ふと顔をあげると、相方が指で何かを示している。「M」の字を空に描いているようだ。

......マクドナルドだ。どうやら腹が減って仕方がないようだ。

結局、一時間足らずでカフェを出て近くのモスバーガーに。

「仕方ないなぁ」という表情をしつつ、わたしもモリモリ食べましたけどね。

 

ここから映画の時間まで別行動をとることに。

わたしは書店巡りに繰り出す。

人通りに当てられて、ふと横道にそれると偶然にも好みの店構えの書店さんが。

 

colombo cornershop

コロンボコーナーショップは、大阪・南船場に実店舗がある古本と雑貨とコーヒーのお店です。

colombo cornershop

 

画集やカタログ、インテリアデザイン、雑誌などソフトからハードまでを幅広く取り揃えている。

店主の方と色々とおしゃべりしているあいだじゅう客足は絶えない。

そろそろお暇しようかなと思ったところに、面白そうな古雑誌を引っ張ってきてくださる。

 

その名も「The Meditation」。1970年代のヒッピー文化を遺憾なく発揮した精神文化誌である。

横尾忠則想定のどぎついデザインに負けることなく、内容も骨太だ。

ヨガや瞑想の方法からアメリカのスピリチュアル・サークル実践者、今西錦司(!)と横尾忠則の対談など、

極限にまで振り切っている。

国会図書館のアーカイブを確認する限り3年間で廃刊しているようだ。

 

古本はこんなトンデモと出会えるからたまらない。

映画の上映が近づいてきたので、心斎橋シネマートに向かう。

 

 

 

今回観たのは、国内コンペティション部門。

最優秀観客賞を選ぶために五つの作品から一つの作品に投票する。

わたしは生殖補助技術の倫理性をミニマルに問うた「少し未来のある部屋で」に投票した。

妊娠にまつわる意思決定と行動に男性がどう参与するのか。SF的な設定から逸脱的に想像することができる示唆深い作品だと思った。

 

悲しいかな、この旅も終わり。

プチ夏休み、のびのびと羽を伸ばすことができました。

年末までボチボチがんばりましょう。


さびしんぼうを探して(尾道旅2日目)

2022-09-06 22:26:31 | 旅行

二泊三日の尾道旅行、二日目。

湿った朝、むっくりと目を覚ます。

寝ぼけ眼で階下のレストランを覗くと、モーニングはちょうど5分前に終わったばかりという。

 

昼食にはまだ早いので、屋上で時間を潰すことに。

相変わらず雲は厚いが、昨日よりも明るく、気温も高い。

熱中症に気をつけなくっちゃ。

 

宿のチェックアウトを済ませ、足早にしおまち商店街へ。

お目当ては、汐待亭さんのあいかけカレー。

汐待亭ホームページ

欧風カレーとチキンバターカレーのハーフ&ハーフ、私はやさしい酸味の欧風カレーが好みだった。

 

相方はものの5分で飲み干して(!)ので、デザートもいただくことに。

食後の一杯は、エスプレッソ・レモネード。爽やかなのでゴクゴク飲めちゃいます。

 

フェリーの出航時間まで、船着場を散策する。

 

14:00ごろ、再び尾道港に。

お目当ては、大林宜彦監督の尾道三部作のひとつ『さびしんぼう』のロケ地である。

作中の名の通り「西願寺」というお寺へ向かう。

 

急峻な斜面をヒィヒィ登る。年季の入った瓦屋根の住宅が、所狭しと山肌を覆っている。

もはや再開発しようもない、人々の暮らしが細かな網目として土地に根付いている。

滴る汗を拭いながら、例の階段を仰ぐ。

藤田弓子演じるパワフルでセンシティヴな母親をふふっと思い出しながら、鳥居をくぐる。

だが、誰もいない。ガラン、としている。

相方が鐘を鳴らす。振動音が長く尾を引くほどに、静けさが際立つ。なんだか寂しい。

 

下山する。

現界芸術を探すのも、旅の楽しみである。

 

尾道駅前のアーケード街へ。土曜日だったが、シャッターを下ろしている店が目に付く。

喉も乾いて無言になってきた頃、良さげなカフェを見つける。

ノエルプルス (@noelplus_onomichi) • Instagram photos and videos

店内にはムーミングッズや書籍があちこちに。

ムーミンを読んだことがない相方に、即席ムーミン講座を開く。

いっとう好きな『ムーミンパパ海へ行く(Pappan och havet)』のあらすじを熱弁すると、

「なんだか寂しいね」と一言。

西願寺の静けさが再び胸に迫る。尾道は寂しさと手を取り合った街なのかもしれない。

 

この日は福山に宿を取っていたため、山陽本線に乗る。

アパートを改装した客室は、さらりとした木材家具とデニムのアメニティが感じよく配置されている。

ANCHOR HOTEL|アンカーホテル福山

 

そして夜ご飯は、尾道ラーメン。いや尾道で食べんのかい。

ごはんに唐揚げまで付けてモリモリ食べていると、ラーメン(単品)を啜るお兄さんたちと何度も目が合う。

旅先くらいたらふく食べさせてくれやと自分に言い聞かせ、完食。

豚骨ラーメンで育ったはずだが、醤油ラーメンが一番好きである。

尾道ラーメン 一丁|広島県福山市

ごちそうさまでした。

 

よく歩き、よく食べた一日であった。

尾道旅2日目、おしまい。


曇天の尾道でポン・デ・リング(尾道旅1日目)

2022-09-05 23:32:05 | 旅行

少し遅めの夏休みということで、尾道を訪れた。

7駅のうちどこが出るのかお楽しみというサイコロきっぷを使った。

どの行き先にも興味があったので、新幹線往復5000円のただただお得な旅となった。

 

さて、旅の始まりは、有給を使って休日に錬成した金曜日の朝9:00。

旅の相方と待ち合わせをするために、12:00ごろ新大阪で途中下車。

 

旅先はどうも食い意地が出るので困る。

早速、キオスクでたこ焼きとおにぎりを購入。ペロリと完食。

 

相方とは二ヶ月ぶりの再会だったので、興奮気味にあれこれと語るうちに福山に到着。

山陽本線でもお喋りは止まらない。お互い最近読んでいる本について競うように話す。

話がいよいよ壮大になってきた頃(たしかイスラエルのスタートアップの話だった気がする)、尾道着。

 

あいにくの曇天だったこともあり、なんだか駅前は寂しげであった。

乗じてお口も寂しげになったきたので、駅前のミスタードーナツに入店。

ポン・デ・リングとダブルチョコレート、そしてホットコーヒー。今のところ尾道感はない。

 

いよいよ本日最後のフェリーの出航時間になったので、あわてて乗船する。

瀬戸田港まで一時間弱、片道1300円。乗客は10人足らず。

夕刻ということもあろうか、誰もが走る海原をぼんやりと眺めるだけで船内はシンとしていた。

 

本日の宿、SOIL瀬戸田へ到着。かつての塩蔵を改装したゲストハウスのようで、外観もさることながら、高い天井と木目の壁が気持ちの良いホテルである。

SOIL Setoda | Living room of Setoda

しおまち商店街を望む窓辺のテーブルには瀬戸内ゆかりの書籍が数冊。そのうちの一冊に宮本常一が。なかなかに渋い。

(写真左手の白い錠剤はなんだか怪しいが、タブレット型の歯磨き粉である。慣れないうちは結構ツライ。)

 

ラッキーなことに、銭湯の回数券をホテルから頂いたので、喜び勇んで暖簾をくぐる。

yubune | 瀬戸内海に浸たる銭湯宿

東京の雑多な銭湯に慣れているので、こざっぱりとした観光地の銭湯はなんだか気恥ずかしくなる。

それでも、気合の入った温度のサウナ(水分少なめ・熱め)と気合の入った温度の水風呂(3回目でも肩まで入れないくらい)で完全にノックダウン。外気浴中に爆睡し、ハッと目覚めると、集合時間を過ぎていた。

 

茹で蛸のような赤ら顔のまま、蛸料理の有名な「ちどり」さんへ。

御食事処ちどり公式サイト 尾道しまなみ海道

私は蛸天丼の卵とじ、相方は蛸飯。蛸の唐揚げも注文。金曜ロードショーの『るろうに剣心』に夢中になっている間に唐揚げはほとんど食べられてしまった。

蛸はかみごたえがあるので、食事をしていて楽しい。モキュモキュと顎を動かしながらニコニコする。

 

腹ごなしに商店街を抜けて港へ。

 

瀬戸田の海は、柔らかな静けさだ。ちゃぽんと魚が跳ねる音以外、何も聞こえない。

堤防でぼんやりと波間を眺めているうちに眠くなったので、宿へ帰る。

蔵の造りからか、案外と他所の部屋の声が響く。が、移動で疲れた体には心地が良い。

 

旅行一日目の記録はおしまい。


8月27日(土) GOTOと秋刀魚と漱石と

2022-08-28 21:00:49 | 日記

朝8時40分に起床。

束の間の晴天みたいなので洗濯機を回す。

 

来週末の尾道旅行に向けてモンベルの登山リュックを洗うことにする。

上京してすぐに叔父がくれたものである。当時背負っていたノースフェイスのリュックはかさばって電車で邪魔になるからと小ぶりなものをあてがってくれた。

風呂場でジャブジャブと洗う。室外機の上で干物のように乾かす。

 

のんびりしていると約束の時間が迫っていたので、そそくさと家を出る。

 

向かうは早稲田のゴトーという喫茶店である。3b出口を出てすぐの建物二階にある。

もちろん朝ごはんなど食べていないので腹ペコ。ボリューミーなパウンドケーキとブレンドコーヒーをオーダー(合計1010円)。

 

部屋の真ん中にある大きな丸テーブルはできたてのケーキが冷ましてある。

オーナーがドン、とタルトタタンを置く。ものすごい量の湯気が天井に上る。

 

どうやらここは早稲田の学生や教授御用達の喫茶店らしい。

広々としたテーブルでゆったりと話題が転がっていく。初めて会う人ばかりだったのでなかなか核心に迫るお話しができず。

 

次の予定があったので一時間たらずで店を出る。

急がねばならなかったが、高田馬場駅まで歩く。上京してすぐの二年間お世話になった町だ。

 

足早にワシワシと歩いていると、小さな書店のウィンドーに『秋刀魚』が。

日本文化を紹介している台湾の雑誌である。ずっと気になっていたが、実際に手を取る機会がなかったので日延べになっていた。

中国語なんて読めないけれど、ついつい店主の方とお話ししているうちに一冊購入。

言語がわからなくても分かるかなと直感的に手に取った昨年の夏号を選んだけれど、HPで内容を確認すると女性を取り巻くさまざまな問題にかんする特集であったようだ。

目を惹くデザインながら、骨太である。すこしずつ読み進めようと思うので、

その模様はブログでも上げていきたい。

店主の方から台湾文学について色々と教えてもらう。呉明益の『自転車泥棒』をお薦めしてもらう。

 

アカン遅刻遅刻、と急ぎながらも、やはり古本屋が目に入る。

二冊、出版関係の書籍を買う。一冊100円。

 

いよいよ間に合わなさそうなので、山手線に駆け込む。

汗だくで駒場東大前駅に到着。

お目当ては日本近代文学館の企画展「教科書のなかの文学/教室のそとの文学Ⅳ──夏目漱石「こころ」とその時代」。

しかし、どうにも汗が引かないので、併設カフェのBUNDANでアイスコーヒー片手に涼むことにする。

テラス席で歓談をしながら、ギリシャに旅行に行っていた友人の土産話を聞く。

白いパラソルを仰ぎながら、気分はさながらクレタ島である。

 

さて、本日のメインである企画展に。

正直「こころ」のことはよく覚えていなかったが、

相変わらず関連資料がおもしろい。

 

たとえば『早稲田文学』に掲載されていた流行言葉の欄であったり、

漱石から和辻哲郎への手紙。

主人公の歩いた道のり(神田・小川町・神保町のルート)は案外起伏があり、心情の揺動と呼応しているとの指摘が書いてあった。

今度この友人と会うのは神保町との約束になったので、真似して歩いてみようかしら。

 

夜はかるく温玉うどんと茄子の煮浸し。

ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』を観る。日常と紛争が同居するヒンヤリとしたおそろしさとそこでも生き続ける人間の泥臭さが同居する名作であった。

 

よく動き回った一日なので、明日は仕事でもしながら静かに過ごすことにする。