結局伺うのがとても遅くなってしまいました。
東京と名古屋、既に2回も展覧会にお出かけのお客様もいらっしゃるというのに。
そして佐橋はこのマネに会えるのをとても楽しみにしていたのに。。です。
皆さまはもうお出かけになられたでしょうか?イギリスコートールド美術館展。
人絹の発明で実業に成功を納め、その完璧な審美感と強い意思でコートールド氏が短い間に収集したと言われるフランス近代絵画の名品の数々。
印象派の絵画に高い評価がくだされるようになる以前でありましたので、収集しやすかったとは思うのですが、それにしても、「完璧なコレクション」と言っていいように思います。
が、人間というのは不思議ですね。
完璧なコレクションに唸るような感動を多く覚えても、自分の心に入ってくる絵というのは
案外多くはないのです。
こんなに完全な、多くのセザンヌの作品群も、なぜか少し寂しく感じ、
1番よいと思ったのは、まさかのルノアールの作品達でした。
私が1番よいと思ったのはこの風景。後から聞いてみますと佐橋も同じ意見でした。
若い頃は絶対セザンヌだったのに、、作品のレベルによりますが
近頃ではルノアールの一級品に細やかな心と不思議な温かみを感じます。
そして
ルソーはこの一点だけでしたが、「ルソーにもここまでの質を求められたのか」と
大変驚き感動いたしました。
私は結局マネやルソーという画家が好きなのですね。
後はもうどのようにもお楽しみいただける展覧会だとは思うのですが、、
最後に
今回は出口のところで、コートールド美術館さんの案内のビデオを一通り見させていただいたのです。
私にしては珍しいのですが、佐橋を待つ間少しの間拝見したのです。
すると、その中に
コートールドさんは、作品収集にあたり、ながく愛着を持てそうにない作品は、どんなに名画とわかっていても購入をされなかった。
また、時には、購入前に作品を数日自宅に置かせて貰い、絵との対話を繰り返し、ながく愛蔵できると思う作品を購入したというような紹介がありました。
美術品に触れ、作品を所蔵されることにより、コレクターさま方は日々ご自分を磨き
人間としての愛情を深めていかれるものだろうと私は常づね考えています。
けれど、ひとつ間違えてしまうと「美術品」「コレクター」の名の元に
人は奢り、目先の変化だけに心を奪われ、玉石混淆のコレクションをきずいてしまうのですね。
どんな作品にも軽々しく対峙しないこと。
それが全ての美術品に対して敬意を払うという事であり、美術品に触れる本当の幸せを知る一番大切な手立てなのだと
このビデオ映像に学ばせていただきました。
「どんなに世界の名画を見て感動しても、やはり私は日本の作品の方が心にピンとくるのですよね。」
この展覧会をご覧になったお客様がこんな感想もお聞かせくださいました。
それもまたひとつ真実かと今の私は思います。
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