
「わが恋せし乙女」
監督 木下恵介
主演 原保美
(物語)赤ん坊の時に牧場の前に捨てられていた女の子と、牧場の跡取り息子。2人は実の兄妹のように仲良く育ちます。やがて戦争で出征し、戦後復員してきた兄は、五年ぶりに成長した妹を見て、自分が兄妹としてではなく、女性として相手を愛していることに気付きます。ところが…。
◇ ◇
今年になってから、ぼちぼち木下恵介監督の映画を見ています。数多くの木下作品でヒロインを演じている、高峰秀子さんからの繋がりなんですけどね。
で、ブログで紹介するにあたっては、まずは定番「二十四の瞳」を、と考えたのですが、一緒にレンタルしたこの作品を先に見たところ、これがえらい拾い物で、気が付いたらポロポロ涙が流れていましたので、こっちを先に紹介してしまいます。しかも、この映画には高峰さん出てないんだけど(笑)。
さて、兄を演じる原保美さん(男性です)が、柳葉敏郎さんにちょっと雰囲気が似ていて、実に爽やかな好青年なんですが、本当に骨の髄までいい人なんですね。彼のみならず、ヒロインである妹、母、その他登場人物が全ていい人ばかりで、この映画には一人も悪人が出てきません。みんなが互いに相手を思いやり、全てが愛と優しさに満ち溢れています。しかも、反戦の主題も織り込まれているし。
昭和21年制作の古い作品であるため、フィルムの傷があったり音声が悪いのが若干見辛いところですが、心洗われる美しい映画です。
僕は、泣いてしまいました。