ライトフロウズ ノウト:Lightflowz-Note

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【十二ヶ月の風の詩:2月 風を読むひと /3月 早春の時】

2023-04-01 | 十二か月の月の詩

ライトフロウズノウト新しいページにようこそ♬

 

先日更新したときに、

2月の詩はほとんどできていたので

続けてもう一つと思っていたのですが

そうはいかず、

3月二週目に入った時点で、2月の詩は”周回遅れ”どころか

2周遅れかも、ならば3月の詩と一緒にアップしよう、

と思ったのですが

3月のも結局4月に入ってからになりました。

 

一緒に載せたい画像のイメージがすぐに湧かなかったり

あと一息が収まらなかったりで、季節の変わり目に

作りかけで置いといたからか

日ごとに上がる3月の気温に暖められて

詩の温度もちょっとずつ上がり

微調整するうち少し雰囲気が柔らかくなった…と思います。

この少しの調整がしっくりするまで時間がかかる…

前からこうだったかなあと振り返ってみたりしますが

いずれにしても「何をしているんだろう私。」

と自分で思います。季節が変わってちょっと、このとっかかりの遅さが

改善できるような感触もあります。

 

詩作に関しては、折に触れ

「何故詩を作るのか、作りたいと思うのか」という

疑問が自分の内側から出てきます。その時によって

その語感は軽かったり重かったり色々です。

 

先日この私的な自分への質問に答えを貰えるような、

そんな文章に出会いました。

『新撰天沢退二郎詩集』天沢退二郎著 1980年3月1日初版 発行思潮社

私の手元にあるのはとても古い本でどの頁も

茶色がかって活字小さいです。その詩集の最後の部分に

平出隆氏の解説があり、その最終段落のはじめ

「詩は詩の本源を問うことなしにも書くことができる。

なぜなら源の方が詩人たちに向けて、絶えずというの波を

打ち寄せてやまないからである。」

この部分が私が「詩」を書こうとする時の意識に

近いと感じました。

もちろん、優れた現代詩作品・詩集で深い世界を創られ、その

分野で足跡を残された現代詩人天沢退次郎の詩集とその解説の一部を

自分と同じ感覚と言ってただ取り上げるのは軽々しいことですが、

上の括弧内の記述を詩の創作始めの意識の環境としたいと思います。

 

ーーー上の解説の文章は以下のように続きます。

「天沢退二郎はこの聴き取り難いというの波を

源に向けて真向から打ち返すような詩人である。(後略)」

後に続く文章にもこの詩人の詩作の真の姿についての

示唆があるのですが、自作の詩を載せるページに

引き合いに出すにはあまりに力不足の私で

ここには書かずにおきます。

 

さてここまで

こう書いてはきましたが、以下に掲載の

2月と3月の詩は春先に言葉を置き換えたこともあり

ふわふわしている部分もあると思います。

気軽にお読みいただければ嬉しいです

 

 

 

【十二ヶ月の風の詩:2月 風を読むひと】

春の息吹は
細かく小さな
震えとなって
風を読むひとの
指先に触れる

金色の光の粒が
陽光とともに舞い降りて
花の蕾に寄り添いながら
語りあいつつ
増殖をする

研ぎ澄まされた
白い指先は
早春の風に撒かれて広がる
無数の光を拾い集める


真冬の眠りの夢の奥底に
記憶の石を
置いては並べた
次の冬にはもう届かない

星の終わりに吹く風の
行き着く先を
いつか見るため
ただ今は
無心に集める
光のシグナル


春の始まりに
別れと出会いを
秤に乗せる

心は揺れる
抗いがたい定めの中でも
愛しい願いを
送る心は誰でも自在

新しい時の明るい陽の下
光の粒は近くに見つけた
願いのかけらを
取りこんで守る

風を読むひとが
集めて浮かべた
光の粒の幾つかは

互いに呼びあい
純な思いの元の形を
取り戻し

水色の空へ翔けてゆく

 

 

【十二ヶ月の風の詩:3月 早春の時】


空き地の隅に取り残されて
うずくまる影は
強い風に掃かれて
消えた

陽の気は今
冷たい季節の足跡を
覆い隠して
さざなみのように
広がり満ちる

草木の新芽は
ずいぶん膨らみ
もうすぐに来る
百花の季節を
待っている

新しい時の彩りが
在るもの全てに
置かれて始まる
清明の季節


春の鳥達は木立を震わせ
生まれたばかりの歌を唄う
翠色の響き
清らかに渡る

神様の音譜
誰に貰ったか
鳥の言葉が解るなら
尋ねることができようか


薄い羽根雲を散らした空は
丸い地球のどの方角にも
繋がっている

あなたが暮らす
遠い国は今
何色の空か
優しい雲は浮かんでいるか

見上げてかざした手の指先に
暖かな日差しが触れて
体と心を透過する

今ここにいる私の座標
五感で測れば
試される精度
指針は心の声でも振れる
声は透明か 自らに
繰り返し問う

そうして過ぎる
早春の時

 



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