田村義也さんからの年賀状 2017年04月02日 | 気になる装幀者 田村義也さんからいただいた年賀状です。私信は何通かありますが、年賀状に限ると1992年~1995年の間に4通いただきました。 田村義也さんが、いかに「文字」を大切にしていたかということが良く表れていると思います。
私のコレクション 気になる装幀者*田村義也さん(7) 2017年03月31日 | 気になる装幀者 田村義也さんが装幀した本のつづきです。順不同。 大庭みな子『幽霊達の復活祭』 大江健三郎『同時代と戦後』 大江健三郎『みずからわが涙をぬぐいたまう日』 多田道太郎『ことわざの風景』 函 表紙 多田道太郎『文章術』 椎名誠『全日本 食えばわかる図鑑』 椎名誠『インドでわしも考えた』 長部日出雄『醒めて見る夢』 中村きい子『女と刀』 函 普及版の表紙 特装本の表紙 綱淵謙錠『幕末風塵録』 綱淵謙錠『歴史の海 四季の風』 寺久保友哉『蕪村の風影』 高森和子『母の言いぶん』 岡部伊都子『いのち明かり』 高橋揆一郎『悪党のトマト』 柴田道子『ひとすじの光』 高橋喜平『遠野物語考』 最後は田村義也さんと仕事を始めるきっかけになった本。全5巻+索引巻の完結までにほぼ10年を費やしたシリーズ。私の編集生活の大半--というよりは、ほぼすべてでした。その間(準備期間を含めると、もっと)、3人の編集委員が集まる編集委員会にも編集委員以外にこのシリーズに関わった再話、写真、挿絵などを担当した方々と共にご参加いただき、お付き合いいただいた年月はかなり長かったのです。 「いまは昔 むかしは今」第1巻『瓜と龍蛇』 「いまは昔 むかしは今」第2巻『天の橋 地の橋』 「いまは昔 むかしは今」第3巻『鳥獣戯語』 「いまは昔 むかしは今」第4巻『春・夏・秋・冬』 「いまは昔 むかしは今」第5巻『人生の階段』 「いまは昔 むかしは今」別巻『索引』 田村義也さんの装幀本の紹介は、これでおしまいにします。 田村さんが装幀を手掛けた本は、ほかにもたくさんありますので、興味がわいた方は本を手に取ったら、表紙を開き、見返しをめくり、タイトルページの裏に装幀した人の名前が載っていますので、ちょっと気にしてみてください。装幀者の名前は、目次ページの最後や奥付に入っていることもあります。 本を手にするときは、テーマで選んだり著者で選びますが、ちょっと見方を変えて「装幀者」をキーワードにすると、また違った面白さが垣間見えてくる気がします。
私のコレクション 気になる装幀者*田村義也さん(6) 2017年03月29日 | 気になる装幀者 田村義也さんが装幀した本のつづきです。順不同です。 李恢成『流民伝』 矢島翠『ラ・ジャポネーズ』 野村進『海の果ての祖国』 本多勝一『中国の旅』 浜畑賢吉『ぼっけもん走る』 飯尾憲士『静かな自裁』 田村明『ヨコハマ物語』 藤本義一『いいたい放題』 八木義徳『夕虹』 金石範『往生異聞』 金石範『司祭なき祭り』 三浦清宏『長男の出家』 金達寿『対馬まで』 稲垣史生『考証 江戸を歩く』 吉本隆明『源氏物語論』 次の記事「田村義也さん(7)」につづきます。
私のコレクション 気になる装幀者*田村義也さん(5)著者 北方謙三 2017年03月27日 | 気になる装幀者 北方謙三さんの著者はけっこう集めていて、署名が入ったものもたくさん持っていたのですが、東日本大震災の後に被災地の図書ボランティア団体に寄贈してしまったので、ほとんど残っていません。 『望郷』 『傷痕』 『牙』 *北方謙三さんの思い出* 星新一さんがショートショート1001編という偉業を達成された後、池袋西武デパートで達成記念のイベントが開催され、私のコレクション全点を展示したことがありました。そのときに出版社の営業担当者と知り合い、後日、神田神保町の東京堂書店で星新一さんのサイン会があるというお知らせをいただきました。 当時、勤め先が神保町にほど近い所にあったので、仕事を終えてからサイン会の会場に行きました。 サイン会が終った後、星新一さんと一緒に食事をするので、一緒にどうですかというお誘いをいただいたのです。担当者に連れられて行ったお店は、生ビールが美味しいことで有名な洋食屋でした。 席に着くと、星さんのテーブルに挨拶に見えた方がいました。それが北方謙三さんでした。 星さんは北方謙三さんをご存じなかったようで、北方さんが席に戻った後で「今の方はどなたですか?」と出版社の担当者に聞いていたのが印象に残っているだけで、何を話して、何を食べたのかまったく覚えていません (-_-;) 次の記事につづきます。
私のコレクション 気になる装幀者*田村義也さん(4)著者 安岡章太郎 2017年03月25日 | 気になる装幀者 前(2014年)に、田村義也さんの装幀本の記事を3つ載せた時に、ほかの装幀本をまとめて紹介しようと思っていたのですが、そのままにしていたのがずっと気になっていました。 ※過去記事はこちら「私のコレクション 気になる装幀者 *田村義也さん」から始まる3つです。 その時にも書きましたが、田村さんと知り合ったのは、装幀の仕事をお願いしにお宅に伺ったのが最初でした。岩波書店で岩波新書の編集や雑誌「文学」の編集長をなさっていたことは後から知りました。 仕事場の壁に貼り付けてある進行中のさまざまな著者の装幀デザインを目にし、出来上がった本が並ぶ書棚を見て、装幀の奥の深さを実感しました。田村義也さんを知れば知るほど、その魅力に惹かれていきました。 書店、古書店巡りが好きなので、自然と「田村義也装幀本」が手元に集まってきました。その中から紹介していきます。 所蔵本の中でいちばん数が多いのは安岡章太郎さんの著書の装幀です。 所蔵本からの紹介なので、偏りがあると思いますがご容赦ください。順不同です。 『歳々年々』 『言葉のなかの旅』 『私説 聊斎志異』 函 表紙 『放屁抄』 『酒屋へ三里 豆腐屋へ二里』 『僕の昭和史』Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、対談 『流離譚』上・下 『僕の東京地図』 次の記事につづきます。
私のコレクション 気になる装幀者 *田村義也さん(3) 2014年07月09日 | 気になる装幀者 田村義也さんが亡くなられたのは、2003年2月でした。 その年の12月に刊行されたのが『田村義也 編集現場の115人の回想』(田村義也追悼集刊行会 頒価3000円) 12月13日に開かれた「田村義也さんを偲ぶ会」で配られました。装幀は桂川潤さん。私も一文を寄せました。 本書には田村義也さんが岩波新書の編集者として担当した「岩波新書」の主要書目一覧が載っていて、それを見ると…… 『モゴール族探検記』『南極越冬記』『アユの話』『ゴリラとピグミーの森』『アメリカ感情旅行』『南ベトナム戦争従軍記』など、印象に残っている本が並んでいます。ひとりの読者として、私が高校生の頃に既に田村義也さんと出会っていたことになります。 当日、本と一緒に配布された「あなたのお好きな田村義也装幀本/集計一覧」 『のの字ものがたり』がダントツ1位です。 田村義也さんのご著書『のの字ものがたり』を前に紹介しましたが、その続編として計画されていたのが『ゆの字ものがたり』。 本書は亡くなられてから4年後に刊行されたので、編集内容についてご本人の意向が反映されているものではありません。 そのジャケット。 2007年3月10日初版発行 新宿書房刊 定価3000円 ご本人が装幀したのではないかと思えるデザインですが、装幀をしたのはやはり桂川潤さん、本扉の文字は田村義也さんご本人によるものです。 本書のタイトルおよび本扉の文字は、厚冊の『人生の階段』(1999年2月 福音館書店刊)で、見開き2ページ(184~185ページ)で展開されたものです。 左ページの図版は本書に再録されていますが、右ページの図版は載っていません。 巻末付録として(完全版)田村義也装幀作品一覧が載っています。 装幀作品一覧は『田村義也 編集現場の115人の回想』でも載せていますが、こちらは(完全版)です。 この後、つづけて装幀本を紹介するつもりでしたが、間が空いてしまいました。 2017年3月にまとめてアップしましたので、つづきはこちらからご覧ください。
私のコレクション 気になる装幀者 *田村義也さん(2) 2014年07月04日 | 気になる装幀者 田村義也さんの『のの字ものがたり』(1996年3月25日 朝日新聞社刊)の刊行をお祝いする会が開かれたのは同年4月27日、場所は教育会館でした。 本は横判ですが、函は縦置き出来るようになっているので、口は上に開いています。 ジャケット。 ジャケットを外した本の表紙。 日本で出版される本の題名を見ると、「の」が入っているものがとても多いんです。 ご自分の蔵書を眺めてみてください。多いことを実感できると思います。 私もお祝いに駆けつけて、ご署名をいただきました。
私のコレクション 気になる装幀者 *田村義也さん(1) 2014年06月24日 | 気になる装幀者 最初に取り上げるのは、旺文社文庫版の内田百閒(うちだひゃくけん)作品。このシリーズは1979~1990年にかけて39冊が刊行され、すべて田村義也さんが装幀しています。 全冊揃えているわけではないので、手持ちの表紙を並べます。 内田百閒は夏目漱石門下のひとりで、最後の門下生として1971年に亡くなりました。 生涯において単行本が何冊出たのか把握していませんが、随筆を読んでいると、借金をしにあちこちに行っている感があります。 単行本とは別に全集や作品集が出ていたはずだと、記憶をたどると……古書展で函がヤケて茶色くなっている端本をときどき見かけたのは、版画荘版『全輯百閒随筆』(全6巻 1936~1937年)。全集は講談社版『内田百閒全集』(全10巻 1971~1973年)と、福武書店版『新輯内田百閒全集』(全33巻 1986~1989年)がありました。 ……と書きながら、そういえば、六興出版からシリーズで出ていたことを思い出しました。 漏れがあるかもしれませんが、1980~1984年に刊行されました。 『サラサーテの盤』『青炎抄 内田百閒創作全輯』『たらちをの記』『内田百閒短編全輯』『大貧帳』『定本阿房列車 全』『居候匆々』『比良の虹』『狐の裁判』『王様の背中 絵入りお伽噺』『猫の耳の秋風』『鬼苑乗物帖』『定本 阿房列車』『阿房列車の車輪の音』『阿房の鳥飼』『贋作 吾輩ハ猫デアル』『百鬼園言行録』。 ずいぶんたくさん出ていたんですね。 文庫判で出たのは…… 新潮文庫から『百鬼園随筆』『第一阿房列車』『第二阿房列車』『第三阿房列車』 中公文庫から『御馳走帖』『ノラや』 岩波文庫から『冥途・旅順入城式』『東京日記』……。 福武文庫から1990年~1994年にかけて出た30冊の装幀は、田村義也さんが手がけていました。 ちくま文庫の「内田百閒集成」シリーズもありました。『百鬼園写真帖』を入れて2002~2004年の間に24巻が刊行されました。 旺文社文庫に戻って…… 39巻の完結を記念して発行されたのが『百鬼園寫眞帖』(1984年)。 サイズは文庫本ではなく、単行本です。 ジャケットを見ると、画題は「鬼の三味線引図」と呼ばれる、大津絵の中でも人気の高い絵柄です。この版画、誕生した頃は庶民のものだったのが、かなり早い時期から日本国内にとどまらず、コレクションの対象になっていったようです。その大津絵を素材にして、コピーで拡大縮小、濃淡の強弱をつけながら作業を繰り返し、ホワイトで修正を加えてスミの版下を作り、そこに色指定をして入稿原稿を作っていったのだと思います。 「店頭ではっきり書名が読めなければならない」というのが持論で、どのジャケットを見ても、まず書名が目に飛び込んできます。この書体も選んだ写植の書体から扁平率を変えたり、線を書き加えたり削ったりしながら作り上げていくのです。写植をベースにせずに、ご自身の書き文字という場合もあったに違いありません。 帯は装幀者にとっては表紙のデザインが一部分隠れてしまうので、やっかいな存在に違いありません。しかし営業的に見れば、いかに内容が素晴らしいかをアピールするためのものでもあります。 帯を外した状態。 帯がかけられることを前提にデザインされていることが分かります。 帯は破れてはずれてしまうこともあるので、帯が無くても間が抜けないように考えられているのです。 しばらく田村義也装幀本を紹介することにしますので、お付き合いください。 国会図書館の蔵書検索で調べましたが、巻数に誤りがあるかもしれません。お気づきの点はご指摘ください。