矢作厩舎は今日2勝をあげましたね!
昨夜は浦河での講習会へ行って来ましたが、直前に大雪が降って三石からの参加者は少なめでした。今日も道路は圧雪状態です。
昨夜の講習の概略を簡単に書いてみます。(勝手に纏めたものですからアシカラズ)
「分娩時期と初乳についてーアイルランドの最新事情」頃末憲治氏(JRA日高育成牧場専門役)
アイルランドの馬産は、広大な放牧地とミネラルに富んだ土壌、年間を通じて緑を失うことのない気候に恵まれ、最大の市場である英国の隣という立地条件もあり繁栄してきた。しかし、発展の最大の要素は種牡馬に対する優遇税制にあったでしょう。その馬産は、自然条件を最大限に生かした昼夜放牧を中心に行われています。アイルランドの昼夜放牧は、馬を鍛えるという考え方ではなく、労働力と経費の削減ということに主眼がおかれていると思われます。また、夏至の頃には午前5時から午後10時までの17時間にも及ぶ日照時間の長さが骨形成に良い影響を与えているものと考えます。さらには、日本との大きな相違点として、幼少期から馬は友達という感覚でふれあい、乗馬は馬と共に楽しむ時間として過ごしていることでしょう。
現代のアイルランド競馬は、クールモアとダーレーという二大グループによる種牡馬ビジネスの色合いが濃く、初年度の多頭数交配による早期資金回収、早期評価が重視され、種牡馬及び繁殖牝馬の血統の偏りも危惧されるところである。それに対して、自らをトラディショナル・ブリーダーと呼ぶアガ・カーン殿下は、20年先を見据えた馬産、牡系より牝系の血統を重要視し、将来的に牧場の基礎となる牝系の確率のために種牡馬を選定する必要がある。その観点から、リーディング上位種牡馬の多頭数交配や商業主義を否定しなければ、生産者が生き残ることはできず、競馬の発展も望めない。一方、これを実行するには、市場の理解および改革も不可欠である、としている。しかしながらアガ・カーン殿下の理論は非現実的であり、マーケットブリーダーは市場のニーズを供給、今後も種牡馬ビジネスを中心に廻ると思われる。
アイルランドで行われている分娩時期の予測方法として、これまで行われてきた方法以外に乳汁を使ってpHを測定する方法と糖度を測定して判断する方法が紹介された。
phによる方法は、市販のリトマス紙を使い、乳汁に2~3秒浸してph値を判断、ph6.4くらいまで下がると24~36時間後までに生まれる。また、分娩時には糖度(Brix値)が上昇することを利用した糖度計(デジタル式で22,500円)を使った予測法も紹介された。また、出産後もこのBrix値を計ることにより、子馬への免疫の移行を確認できるという説明もありました。更には、保存初乳として採って置くものはBrix値が25%以上のものに限るということです。[*Brix値とは、溶液中の可溶固形分の%濃度。]
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「子馬の肢勢について」田中弘祐氏(JBBA静内種馬場調査役)
子馬の肢勢について、基本肢勢と異常肢勢の説明の後、主に充填剤と靴を使った矯正の仕方やその後の改善結果などについての説明がありました。
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「JBBA牧場巡回指導の取り組み総括」井上喜信氏(JRA日高育成牧場生産育成研究室主査)
巡回指導の成果を強調された他、興味深かったのは、GPSといって、骨形成板の一部にブリスタ(ヨウ素+アーモンドオイル)を皮下注射し、その部分の成長を促すことで、肢軸異常を矯正する治療法で、近年ケンタッキーやフロリダを中心に実施されている方法についての説明がありました。もう一点、駆虫剤について、近年、イベルメクチンに対して耐性をもつものがみられるので、フェンベンダゾールを使った駆虫のローテーション(フェンベンダゾール・イベルメクチン・ソルビー)の説明もありました。