昨夜の講演会はとても貴重な時間となった。
今やセリ市場でのレポジトリー資料の提出は常識となりつつあるので、生産者といえどもある程度の判断ができなければならない。
私としては、喉頭片麻痺とDDSPに興味があって参加しました。
また、JBBAの主催による講演会だったが、進行役はノーサイ家畜診療センターの樋口獣医師さんが担当されていた。
樋口先生は日高での第一人者といっても過言ではないくらいの経験をお持ちで、数年前に三石で「喉頭片麻痺」についてお話いただき、とても参考になっています。
簡単に、私なりに聞いた事をまとめます。
サラブレッドの上気道の評価における現時点でのゴールドスタンダードは高速トレッドミルでの運動時内視鏡検査である。
「喉鳴り」の原因には、反回喉頭神経障害、先天的な喉頭形成不全の他、感染や喉頭外部外部からの圧迫などがあり、原因を明らかにすることから始める。
若馬では、破裂軟骨の外転が不十分な場合、喉頭片麻痺だけではなく、喉頭軟骨形成不全を考慮にいれる必要がある。形成不全は主に喉頭の右側で認められる。
軟口蓋変位について、若齢競走馬の安静時内視鏡検査によるDDSPの診断は偽陽性であることが多い。安静時内視鏡検査時に内視鏡を気管内に挿入することでほとんどの馬にDDSPを起こしうるので、これらの検査では偽陽性が起こりやすい。ある臨床獣医師グループは『サラブレッド一歳馬において安静時内鏡検査にて認められたDDSPはその馬が将来運動中にDDSPを発症するか否かを予測する判断材料になり得ない』と宣言している。
軟口蓋背側変位(DDSP)について、ほとんどの場合、競走馬で診断される。症状として軟口蓋の波状変化、軟口蓋の弛緩、そして軟口蓋の後方変位が見られた場合にDDSPと仮診断する。また、DDSP発症馬の中には騎乗時の喘鳴音が認められないため、診断されていない馬(10~20%)も存在する。
DDSPは成長により改善する可能性がある問題である。逆に喉頭片麻痺は成長により悪化する可能性がある問題です。
デシャルム教授はコーネル大学で指導している方ですので、質問にも丁寧にお答えになっておられましたよ。