市立函館博物館では、6/14から「平成28年度企画展 市立函館博物館五十年 函博コレクション ―未来に残したい珠玉の逸品」が開催されている。
チラシのコピー
企画展は70万点にも及ぶ所蔵品の中から、コレクション(資料群)となっている資料を展示。館内全体が展示会場で、“Deepな函館”をテーマに、大きく①自然②美術・民族③歴史・考古―に分類している。
「自然に」関しては、函館の植物研究発展に寄与した菅原繁蔵が樺太や函館山などで採集した植物標本が中心となる。愛用した調査道具類などの展示とともに、菅原の足跡をたどる。そのほかにも多くの植物学者の資料が展示されている。
個人的に興味のある 人気の高山植物のチョウノスケソウの由来となる須川長之助の写真。
左端は、その雇い主でチョウノスケソウの名付け親であるロシアの植物学者マキシモビッチ
「美術・民族」では、博物館建設運動にも深く関わった堤清治郎が収集した刀のつばのコレクションや、アイヌ民族の衣服や装飾品などのほかに、いろいろな函館に関係した有名人のコレクションが見られる。
彫刻家・梁川剛一の挿絵の原画
箱館戦争の錦絵
蠣崎波響の絵
「歴史・考古」では箱館戦争に関連し、鉄砲を時代順に並べたり、新撰組隊士の中島登がともに戦った仲間を描いた「戦友姿絵」の全場面を紹介している。また同館で最近見つかった、サイベ沢遺跡(桔梗町)の発掘調査風景を収めた映像フィルムを公開するスペースも設けるなど、存分に魅力を味わうことができる。
函館がルーツとなっている貴重な資料が多く、博物館の歴史の重みを感じながらディープな函館を発見できる貴重な展示ばかりだった。
このほかに、「パノラマで見る明治と今の函館」が展示されている。
明治25年のパノラマ写真がとてもクリアに写されている。意外に立派な建物群と、停泊している船の数が当時の貿易港としての繁栄を感じさせる。
内容的にもとても貴重で豊富な企画展なのに、自分が観ていたときには、誰も観覧者がいなかったのは、函館市民として寂しい思いを抱いた。