〈まだ雪が融けきっていない鳥海湖の南岸から鳥海山を望む〉
秋田と山形の県境に位置する鳥海山は、その秀麗な容姿から出羽富士、秋田富士、鳥海富士と呼ばれている。成層火山であるが、山頂部は複式火山特有の荒々しい表情を見せている。
高山植物の種類と群生は東北随一で、チョウカイアザミやチョウカイフスマなどの固有種も多い。今回どちらもカメラに収めることができた。
初登は07年8月30日の初秋の雰囲気が漂うときだった。今回は、花の山の花狙いで10年ぶりの再訪となった。
登山道は、秋田、山形の両県から9起点13コースがあるらしい。中でも人気が高いのは、変化に富んだ鉾立コースのようだ。
今回は、鉾立コースから山頂部(新山)へは、千蛇谷コースを登り、下山は、七高山経由で外輪コースを下り、さらに、御田ケ浜分岐から御浜小屋までの間は鳥海湖の南岸を通るコースを下った。
昨夕のうちに鳥海ブルーラインを走り、5合目の鉾立登山口で夜を明かした。涼しいうちに登りたかったのと、長丁場なので、夜明けの4:30にスタート。
スタートまもない地点から深い谷越しに鳥海山を望む
御浜小屋裏からまだ残雪を抱いている鳥海湖を見下ろす
頂上までもっとも多く群生しているホソバイワベンケイの群落
ハクサンイチゲの群落
あと1週間もしたら、一面オレンジ色に染まりそうなニッコウキスゲの群落
鳥海山と月山でしか見られないというチョウカイアザミ
七五三掛の上の分岐から千蛇谷コースを登ったが、谷へ下りるコースが新しく付け替えられていた
雪渓で覆われた千蛇谷から山頂部を見上げる
ベニバナイチゴの木がたくさん生えていた。
雪渓を横切り、岩混じりの草付き斜面を登り切ると、大物忌神社と御室小屋に到着。
神社の横から、岩塊が積み重なる斜面を白いペンキの印に導かれて山頂を目指す
こんな狭くて深い大岩の間を通る
8:15、前回と全く同じ3時間45分で、誰もいない頂上(新山)に到着。殺風景な岩塊に囲まれた、一人きりの狭い頂上は居心地が良くないので、15分ほど休んで下山開始。
岩塊の間に咲くジムカデ
下山は、雪渓を下り、千蛇谷の源頭部から外輪コースへ登り返した。
分岐から外輪山の最高峰七高山へ。
外輪コースにはイワウメが多く目に付いた
一等三角点(点名・鳥海山)やいろいろな信仰関係の設置物が多い七高山。ここの方が新山より展望が広がるし、とても落ち着く。
右手に神社と山小屋や山頂部を眺めながら、外輪コースを下る
外輪コースの行者岳から、山頂部(新山)と右手奥の七高山を眺める
外輪コースは展望が素晴らしい。庄内平野と日本海を見ながら下山を続ける
チョウカイフスマにも対面。メアカンフスマの亜種らしい。
千蛇谷分岐で登りと同じコースに合流。御田ケ原分岐から鳥海湖の南岸を通るコースへ。
この写真が撮りたかった。しかし、このあと難関が待っていた。
鳥海湖から御浜小屋へのコースの急斜面に雪庇の雪で遮られていた。ここを登れなければ、引き返すしかない。
幸い雪解けが進んでいて、軍手をはめた指ピッケルと、足でステップを刻みながら突破できそうだった。
四つん這いになり、慎重に三点確保で登り始めた。急で戻ることはできない。滑落したら下は岩混じりの急な草付き斜面である。わずか20m位だったのかもしれないが、すごく長く感じた。
登り切って、よじ登った横の急な雪庇斜面越しに眼下の鳥海湖と山頂部を眺めて、ホッとする。このあとは、御浜小屋で登りのコースと合流し、登山口を目指した。
12:35、8時間05分で、鉾立登山口へゴール。今年初の8時間超え山行だった。
その後、道の駅象潟の温泉に入り、エアコンの効いた休憩室でブログのアップ作業。
まさか、梅雨時の本州で6日連続の山になるとは思わなかった。明日以降も、天気予報が良い方には外れて、好天が続きそう。しかし、明日は休息日として、観光に当てる予定。