How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

2017/06/10 南飛騨 益田川  スロースターターの解禁

2017-06-21 23:52:09 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)

とにかく釣果を出したい頃があった。
自分もそれなりの腕前の釣り師だと納得したくて堪らなかったのだろう。
そのための実績作りに躍起になっていたのだろう。
簡単に言ってしまえば「粋がっていた」のだろう。
何と青かったことかと振り返らざるを得ない。

でもそれも悪いことばかりではなかった。
魚という相手のあることとは言え、必死になって釣果に繋げようとしていると釣り方のアイディアが色々と浮かんでくる。
試行錯誤しながら「この釣り方でも食うんだな」「この仕掛けでも食うんだな」と発見したり体得したことは今も役立っていることが多い。


昨年辺りから、釣果そのものにはあまり拘らなくなってきた。
単純に「大物が狙えるポイントが河川改修で潰れた」とか、「大物が狙えるフィールドが不漁だった」ということで諦めざるを得なかった部分もある。
更には予想外に仕事が立て込んでおり、早い時間の帰宅が叶わないことが多かった。
率直に言って疲労が溜まる。
金曜の夜から出かけて土曜は終日竿を振るというような釣りが、年齢も相まってできなくなってきた。

逆に拘るようになった部分もある。
「ここだ。ここに大物が着くはずだ。」
「ここに着かずに何処に着くというのだ」
「ここで大物を掛けたい。ここで掛けなければ意味が無い。」
というように、自分が見込んだポイントで大物を獲るということに拘り始めた。

以前は拘りが無かったわけではない。
そのシーズンの最初からという長期的なスパン、1週間から10日間という中期的なスパン、1~2日という短期的なスパン、これらのスパンで見た季節の変化、気候の変化、気温の変化、それらから予測する水温の変化。
そのようなトレンドと釣行当日の天候や水況を考察の要素として、朝一番に入るポイントから夕まずめに入るポイントまでの順序を思い描き、それぞれのポイントで「一番大きいやつ」を獲りたいと考えていた。
このフローを経ないで竿を出すことは認めたくなかった。
必ずこの考察を経て川に降り立ちたいという拘りを持っていた。
魚との出会いは一期一会だ、二度と同じコンディションの時に竿は出せないという認識で、川に降り立っている時間を大切にしたかった。


それが少し変わったのだ。
水況や天候が多少思わしくなくても構わない。
自分が見込んだポイントで大物を掛けたい。
だから、僕はここで竿を出す。
そんな思いで竿を出すことが多くなった。

勿論いつもそんなストイックな思いで釣りをしているわけではない。
「あっ、あそこがよさそうだな」と目に着いたポイントには入りたいと思う。



2017年6月10日。
この日は午前中は拘りのポイントで竿を出し、午後は気になるポイントを回り、夕まずめにまた拘りのポイントに戻ってきた。
拘りのポイントはある一定区間の流域内に何箇所かある。
優劣は特にない。
間違いなくこの一帯には大物が居る筈だと思い、いつも順繰りに竿を出している。
時には別の釣り師が竿を出していることもある。
当然のことながら塞がっていればその区間の別のポイントに入る。


少し上流域で竿を出していた僕は16時くらいに戻ってきた。
今日の流れでは当初入ろうと考えていた目当てのポイントは少し釣りにくかった。
僕はその一つ上流の深瀬とも淵ともつかないようなポイントで竿を振っていた。

梅雨入りしたとはいえ降雨は殆どない。
魚はかなりスレてきている。
シーズン当初から感じてはいるが、今年はアマゴの数が少ないように思う。
この日も夕刻までの釣果はアマゴがたったの2匹。
それに引き換えニジマスは5匹。
アマゴは稚魚を放流しているはずだ。
ニジマスは釣り堀から落ちてきた個体だけだと思う。
でも、釣行の度に毎回のようにアマゴよりもニジマスの方がたくさん釣れる。
何かの理由でアマゴが少ないシーズンなのだと思うしかない。
多分、一昨年までの自分なら耐えられなかった。
いや、去年でも最終的には逃げ出しただろう。
事実、毎年盛夏の頃に足しげく通う高原川は、あまりにもの釣れなさに辟易して行かなくなった。
禁漁前の最終の釣行可能な日も僕は益田川に来ていた。

今シーズンはまだ逃げ出そうとは思わない。
長く釣りをやっていればこんなシーズンもあるだろう。
これが毎年になると辛いが、釣れないシーズンにも竿を出して、釣れない原因を探ってみても悪くはないとさえ思えるようになった。
しかし釣れないよりはやはり釣れた方が良い。
率直に言って嬉しい。
だから僕は日没まで1時間半という頃、望みを託してまたポイントを移動した。


昼前後に竿を出していたポイントに、夕闇迫る益田川のとあるポイントに僕は再び降り立った。
流れの押しは相当強い。
そして水深は深いところで6mはある。
場所によってはそれより深いだろう。
底波に入れないとあっという間に水勢に仕掛けが押されていく。
底波に入れても上層中層を垂れている糸が押されて餌が底波から浮いてしまいそうだ。
僕はゴム貼りガン玉のB号、5B号に更にナツメ型のゴム貼りオモリの1.5号をつけて「ドボン」という音とともに益田川の流れに投餌していた。


流芯の脇は流れがあまりない。
ウグイやカワムツなど雑魚の巣窟の様相で、餌が脇に逸れると忽ちにして雑魚たちが喰らい付く。
僕は流芯とその脇の境目辺りを流す。
先ずは手前側の境目。
自分よりかなり上流に投餌しないと、底波に入るまでの距離が相当必要だった。
流芯ど真ん中の底波も流してみる。
底波に入ると明らかに流れが遅くなる。
そして竿を持つ手許に感じる抵抗もぐっと重くなる。
これで底波に入っていると判別できる。
いや、正確に言うと「判別できたと思っている」のだが。
そして流芯の向こう側の境目も流してみる。
しかし、脇に逸れた時にウグイが食ってくるだけだ。


ある程度流して僕は一旦竿を上げた。
少し下流に立ち位置を変えた。
水勢は若干弱まり、流れは開きにかかる。
先程と同じように僕は自分よりもかなり上流側に投餌し、ちょうど自分の正面辺りで底波に入るように流していた。
いつもなら、目一杯下流側に竿を向けるまで流しているが、今はそれは避けた。
仮に目一杯下竿になったときに大物が掛かっても、この水勢では伸されるだけだと考えたからだ。
下流側に竿を45度も向けないうちに竿の送りを止めた。
強い水勢に上層中層を垂れる水中糸が押されて、餌が少しずつ浮かび上がる。
水勢は強いが、装着したオモリも相当重い。
イメージとしてはフワーッと餌が浮かび上がる様を演出しているつもりだった。

この夕まずめ、水面付近には羽虫が飛び交っている。
それを狙うウグイやカワムツなのか、雑魚たちがライズしている。
もしかしたらその中にアマゴも居るかもしれない。
ライズはしないまでもアマゴたちの意識は水面に向いている可能性は高いと思う。
いや、でも大物は底に居る筈じゃないのか。
とは言えさすがに活性の上がる夕まずめには意識は水面を向くのではないか。
いやいや、大物は虫なんか食わないんじゃないか。
なんだかんだと言いながらも、水深のあるポイントでは底からふわっと浮かび上がらせる演出によって、全てのタナを探ることになるのではないか。

夕闇迫る益田川で僕は流芯の向こう側に、自分よりもかなり上流側に投餌した。
重いオモリのため自然と仕掛けは手前に寄ってくる。
流芯の向こう側の緩流帯から流芯との境目を斜めに横切るように仕掛けは流れてきた。
ちょうど自分の正面辺りで底波に入る。
そのまま仕掛けを流す。
竿の送りを止めて仕掛けが浮かび上がってきたとき、何の前触れもなく突如「ゴンゴン」という引っ張るような明確な強いアタリがあった。
アワセを入れると激しい首振りの後に下流に向けて疾駆した。

間違いない。
そのシャープな引きはアマゴだろう。
僕は足場の悪い岩盤を一歩ずつ降って行った。
それ以上は行けないというところで少し強めに竿を絞った。
こんなとき、先代のエアマスターなら元上から曲がってくれただろう。
しかし今握っている二代目のエアマスターは違う。
全体的にシャキッとして強くなったが、元上の更に上が支点なっているように感じる。
さほど大きくはない、恐らく尺前後の個体だろうが「あまり無理はできないぞ」と自身に言い聞かせるように確認しながら竿を絞る。
水勢が強いためか、竿を絞ると魚が浮き上がり水面付近に顔を出した。
「さあ、バラしましょうか」と言わんばかりのお粗末な遣り取りになりかねない。
僕は敢えて少し絞りを緩める。
同時に竿の角度を少し寝かす。
寝かせ過ぎて水面に着くとその流れの強さに竿を持って行かれる。
慎重に魚を騙すようにいなしながら流芯の下を潜らせようと試みた。
狙い通り相手は潜行を始めた。
ゆっくり、ゆっくり流芯を潜る。
よしっ、流芯を抜けたと感じ取ったとき、思い切って竿を煽り、岸辺のワンド状のところに放り込むように魚を引っ張った。
相手はワンド状の溶存酸素の少ない水の中でひとしきり尾を使い、首を振り暴れる。
どさくさに紛れてワンドから飛び出したが、直ちに僕が竿を絞ると、そのまま素直に岸に寄ってきた。
右腕を天に向けて、尚相手を寄せる。
左手で腰から玉網を抜く。
水面に差し出して相手を待ち構える。
右腕を引き上げて相手を玉網に導き入れた。









夕闇せまる中での撮影のため、うまく写真に収められなかったが、非常に銀の強い体色だった。
更に体高もとても豊かで、メジャーを宛がうと体長は30cmだったが、取込んだときは33~34cmほどはあると錯覚したほどだった。


撮影を済ませ僕は竿を畳んだ。
自力でしっかり泳げることを確認し、僕は彼を流れに返した。
この厳しい状況の中で相対してくれて感謝していた。
ありがとう。
いつもなら「もう釣られるなよ」と思うが、厳しそうな今シーズンは違う。
「秋に、もう一度会えたらいいな」。
そんな贅沢なことを望んでしまう。


自身が主に通う釣り場は、解禁当初から尺ものが出るようなところではない。
だから自ずと尺アマゴを最初に獲るのも6月以降となることが多い。
正直なところ、スロースターターだと思う。
でもそれは仕方ない。
居住地の条件なのだから。
今シーズンはスロースターターどころではないかもしれない。
数えるほどしか尺アマゴは釣れないかも知れない。
腐らずに楽しもう。
釣れないシーズンは、何故釣れないシーズンとなってしまったのか。
それを考えるのも悪くはないと思いこむようにしよう。

 

 

釣ったときのタックル

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスター 105M

水中糸:フロロ 0.8号

ハリス:フロロ 0.6号

鈎:オーナー サクラマススペシャル8号

餌:ミミズ

 

 


2017/06/10 南飛騨 益田川 アマゴ 30cm

2017-06-12 02:37:00 | 原色美魚図鑑

あらかたパーマークが消失した銀色の強い魚体は、下流のダムからの戻りアマゴだと僕は勝手にそう思っている。
そもそもこの川のこの流域には戻りアマゴの数は多くない。
だからまず出会えただけで嬉しい。
スロースターターの僕は実はこの魚が今シーズンの初尺アマゴだったりするし。

単にランドロックを狙うだけなら最上流部のダムで狙えばいい。
僕はこの流域の戻りアマゴを獲りたいのだ。
できれば、もっともっと完全な銀色で、もっともっとデカイやつを獲りたい。

釣行記は後ほど。
先ずは写真だけ見てください。





 

【釣ったときのタックル】

竿:ダイワ 琥珀本流エアマスター105M
水中糸:フロロ0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー サクラマススペシャル8号
餌:ミミズ


2017/05/28, 06/03 南飛騨 益田川にて ~飛騨の川 美濃の川 思いを馳せる(後編)

2017-06-12 02:28:59 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)

 

鋭意執筆中。

暫しお時間をください。

乞うご期待。

 

 

と書いたものの、書こうとしている内容を一言で言うと、「今シーズンの飛騨の川は押し並べて不漁だと思う」ということです。
その根拠が、自身の実釣果、考察、経験からの推察等々ならばここで公開しても構わないのだが、人様に提供して頂いた情報を元にした考察もある。
SNSやブログ等で仕入れた情報(中には漁協関係者と思われる人物の述懐もある)やトラウトを20年やっているという地元釣り師からの情報等、かなり信頼できそうな情報もある。
しかし、特に後者の方はご本人の好意によって僕に提供して頂いた情報なのだ。
ポイントや着き場をピンポイントで公開するわけではないのだが、やはり釣り場で仕入れた情報をインターネット上で公開することはしたくない。

そのような理由で、途中まで書き進めたもののここはやはり公開を見合わせます。
分水嶺は隔ててはいるものの、恐らく益田も高原も今シーズンは良くないと思います。
高原と合流する宮川はわかりません。
普通に考えると同水系なので高原が悪いと宮川も悪いかもと考えがちですが、流域の位置関係で宮川は例年通りだけど高原と益田がよくないということも有り得ると思っています。





とは言え、ダメだと思いながら釣りに出かけるのも辛いものがあるので、嬉しい誤算に期待しながら通います。
以前のように、釣果を出すのに躍起になったり、血眼になったりということは最近はありません。
相変わらず週末の釣行の内に1本は尺を出したいなというのはありますが、それよりも今は「ここで掛けたい。ここで獲りたい。ここで獲らなければ意味がない。」というように、自身が見込んだポイント、見定めたポイントで大物を出すということに拘っています。

それには当然センスというか目利き度合いが重要ですが、たまたま運良く大物が掛かったということもあるかもしれません。
特に週末しか川に立てない僕のような接し方では運にも味方をしてもらわなければならないと思います。

でもその運の良さは、「何も考えずに竿を出していた時に、たまたま大物が通りがかって餌を口にしたとか、たまたま大物が入ってきた」という運の良さではなくて、「魚にとって居心地が良いから大物の着き場になるポイントだ」と目を付けた上で、「ちょうどそこに大物が入っていた」ときに僕が竿を出したという運の良さであって欲しい。

そういう場所が数箇所ある。
昨年はそのうちの幾つかで狙い通りの魚が獲れた。
大本命でまだ獲っていない。
出水などで流れが変わるとか、そういう不可抗力のアクシデントが起こらないうちに獲れたらいいな。

 

 

 

 

 

 


2017/05/27,28 南飛騨 益田川にて ~飛騨の川 美濃の川 思いを馳せる(前編)

2017-06-07 01:06:51 | 渓流釣り 釣行記(益田川水系)

益田川漁協管内で初めて竿を出したのは2007年の小坂川だった。
当時の僕は自宅から1時間余りで辿り着ける岐阜県の恵那市南部を流れる上村川に通っていた。
ホームリヴァーは?と問われたら「上村川だ」と答えていた。
南信州を流れる遠山川の支流にもその名を「上村川」と冠する川がある。
恵那の上村川からは国道418号線を辿って至近まで行くことができたため、僕はその道筋を「上村ライン」と勝手に呼び、二つの上村川で渓魚を狙うことを「上村ロマン」と喚いていた。
事実それくらい上村川に惚れこんでいたのだ。

これがその恵那の上村川の流れなのだが、本流でも7.5mのダイワの本流竿、初代の「琥珀本流ハイパードリフトサツキ75SC」で事が足りた。



2007年に本格的な本流釣りを経験しないままに長良川でサツキマスを狙い始めた。
すぐに「暴挙」「愚行」だと悟り、先ずは本流でまともに釣りができるようにしなければと思い直した。
さて、それでは僕は一体何処の川で経験を積んでいけばよいのかと思案した。


その何年か前に釣り以外の所用で訪れた飛騨川の本流を思い起こした。
「かなり濃い緑に着色していて透明度は低かったな。
上村川のように透明度の高い本流なんてないだろうな。
あっ、ちょっと待てよ、飛騨川って、益田川のことじゃないか。
小坂川は益田川の支流だったよな・・・どうしようかな・・・」


その当時の僕は、勿論全てではないが釣った魚を持ち帰って食べていた。
だから色づいた水の本流で釣った魚より、清廉な透明度の高い流れの支流や渓に入ることが多かった。
「小坂は支流だな。でも、本流竿で釣ったって、あのおじさんは言ってたなあ。」

妹の友人のお父上が釣りをする人だった。
2006年の7月、僕が上村川で尺アマゴを獲った同じ日、その父上が雨後の増水のおかげだといって、36cmのアマゴと40cmのイワナを小坂川で釣って上機嫌だったと、友人から聞いた妹が僕に伝えてくれた。
「小坂にはそんな大きなアマゴが居るんだな」。
その記憶と憧れは1年後も僕の中にそのままあった。

一度行ってみよう。
この目で小坂川を確かめてみよう。
是非ここで釣りをしたいと思ったら通ってみよう。

以来僕は毎年欠かさず益田川漁協の年券を購入している。



小坂川もよい川だった。






上村川が釣れなくなってからはホームリヴァーは「小坂川」だと思っていた(自宅から120km離れているが)。
それが2014年を最後に小坂もすっかり釣れなくなってしまった。
川虫が全然いない。
あれでは渓魚が育たないだろう。
本流竿の振れる支流。
渓流をそのままスケールアップしたようなダイナミックな流れ。
豊富な水量と豊かな餌。
アマゴが大きくなる要素は揃っていると思っていた。
パーマーク付きの40cmオーバーの個体が居る筈だと思って、当初は益田川本流ではなく小坂川に主に通っていた。


次第に釣った魚を持ち帰って食べるということが殆どなくなった僕は、大物と出会う確率を高めようとして、益田川本流でも少しずつ竿を出すようになった。
今では完全に益田川本流が僕のメインのフィールドとなった。
「ホームリヴァーは益田川です。中でも中山が好きです。ただし盛夏の頃だけは高原川に避暑に出かけます。」

 

 

前置きが長くなった。
そんな益田川で、僕がここ何年か足しげく通うポイントがある。
絶対に大物が着くはずだ。
着いて欲しいという希望も抱きながらそう思っている。
ここに着かなくて一体何処に着くのだというくらい惚れこんでいるポイントがある。
でも、自分の実績ではアマゴの大物は獲れていない。
ニジマスだけだ。
それでも腐らずに通っている。
でも、釣れない。
今シーズンは特に渋いと感じる。
最初は今シーズンは季節の進み方が遅いためだと思っていた。
水温が例年よりも低いなと感じていた。
しかし、いつまで経っても釣れる気配がない。
これは他に理由があるのではないか。
そう思い始めたものの、2017年の5月の最終の週末は益田川で竿を振っていた。


 

2017年5月27日、早朝から益田川の広大なポイントで竿を振っていると、漁協の監視員さんに声を掛けられた。
二言三言と言葉を交わした後、監視員さんが別のポイントで釣ったというアマゴの画像を見せて頂いた。
その画像に見覚えがあった。
益田川釣り情報のブログ主さんだった。

短い時間だったが、有益なお話をさせて頂いた。
地元民でない僕は「益田川釣り情報」は大変ありがたく釣行時の参考にさせて頂いている。
いつか川でばったりお会いするだろうとは思っていたが、やっとその機会が訪れた。

当日は漁協の用事がおありだということで、話を切り上げぼくはそのまま暫くそのポイントで竿を振っていた。
しかしやはりこのポイントも厳しいとのことで、もっと上流がよいとアドバイスを頂いた。
ある程度まで竿を振ったが、アマゴは1本も出なかったので、僕はアドバイスに従いポイントを移動した。

先程まで竿を振っていたポイントよりも少し上流の橋の下にあたる。
5月上旬にこの橋の上から川面を眺めたときにも、数匹の20~25cmほどの魚影を見た。
しかしアマゴではないだろうと思っていた。
場所からするとニジマスだろうと考え竿は出さなかった。
すぐ上流の釣り堀から逃げてきたのだろうと見向きもしなかった。

今日の同じポイントは、昨日の降雨の影響で薄めの泥濁りだった。
薄めと書いたが「いい感じに濁ってくれたな」というレベルは遥かに超えている。
食いが渋いのはこの濁りのせいかもしれない。

橋の脇から河原に降りて竿を振る仕度をした。
濁りのせいで川底は見えない。
水深は全く読めないどころか、何処に岩が入っているのかも分からない。
当然餌を流すタナも当てずっぽうだ。
そのような状況の中で、「浅めだろう」と思われるタナで、「ここに岩が入っているだろう」と思われる筋を流した。
ひと流しめで23cmくらいのアマゴを釣った。
アドバイスの通りだなと思った。
できればそのままそこで何匹かアマゴを出したかったが、その後はニジマスのみだった。

 

僕は更に上流に移動した。
瀬があって、川幅が狭まる辺りで段差となって一段落ちる。
流れの芯はそのまままっすぐ進み正面の岩盤にぶち当たる。
右岸側に別れた流れは渦を巻いてちょっとしたワンドのようなものを形成している。
左岸側の流れはそのまま岩盤伝いに下流へと向かう。
大物が着いているのは間違いなく岩盤前のブッツケだろう。
ブッツケの底近くに定位しているのだろう。
表層から中層にかけての段差からの強い水勢の流れの下で、流下する餌を待ち構えているに違いない。
そう思ったが、仮に掛けたとして左岸側の岩盤伝いに降られたら、そこに着いている魚を散らしてしまうことになる。
先ずは岩盤沿いに流してみよう。

しかし掛かったのはウグイと20cmに満たないニジマスだけだった。
かなり確率は高いだろうと思った。
ブッツケ前の底にデカイのが居ると踏んだ。

B+3B+5Bのオモリでブッツケ前の底に仕掛けを送りこもうと試みるが一向に入って行かない。
恐らく底に到達する流れの筋はあるのだろうが、うまくその流れに送りこめないのだ。
何度も繰り返すうちにそこに居るだろうデカイやつに警戒心を与えるのも避けたいと思い、まだるっこしいことも手伝って「おまえはバカ者か」というくらいのオモリをつけて投餌した。
B+5Bにナツメ型の1.5号のオモリを付けると、「ドボン」という音とともに段差直下の白泡に仕掛けは飲み込まれ、そのまま「脇目も振らずに」という表現がぴったりのように、一直線にブッツケ前の底に餌を送り届けてくれた。
案の定ククンと穂先まで伝わるようなアタリがあり、すかさずアワセを入れた。
掛けた魚は予想通り左岸側の岩盤伝いに降った。
力強い引きだったが残念ながら尺はないだろうと遣り取りしながら予測した。
ひとしきりローリングしながら岩盤伝いに降るとトロ場まで流れてきた。
トロ場で暫し遣り取りすると、素直に寄ってきた。

 



予想通り尺には届かない27cmのアマゴだった。
少し残念だが、このサイズが出て安心したのも事実だった。

 

【釣り上げた時のタックル】

シマノ:スーパーゲーム刀 NI MH90
水中糸:フロロ 0.6号
ハリス:フロロ 0.5号
鈎:オーナー スーパーヤマメ 7.5号
餌:ミミズ




その後上流に向けて移動しながら何箇所かで竿を出したが、アマゴを出せないポイントもあった。
出せたとしても1匹だった。

渋いなあ。
なんでこんなに渋いんだろうな。
もしかしたら着き場が変わったのかな。
だとしても、「去年はアマゴを出せた着き場ではあるが、今年は全く着かなくなった、だから鮭一には殆ど釣れない」ということがあるだろうか。

釈然としないまま日没を迎えその日の釣りを終えた。
日帰り温泉に浸かり、翌日の釣りに備え車中泊で朝を迎える支度をして眠りに着いた。

~後編に続く 2017年の飛騨の川はどうなるのか