『作者:972作品』
『あとひとつの~ラストコンサート』
・少さな町営公民館で
今日ひとりの
シンガーソングライターの
ラストコンサートが
午後3時に始まった。
5人ぐらいだろうと思って
少さな町営公民館で始めた
曲は3曲目だが
人の出入りがはげしい
何か苦情か
心うちは良くない事を
想定した。
スポットライト
少さな町営公民館を
明々と一面ライト一色
少さな町営公民館では
この人の数におどろきで
何があったんだ
ざわざわとその話ばかり
本当はデビュー当時から
全く売れず
今日ラストコンサートになった
本当はデビューから
オリコン11年連続1位
本人にはその
ドッキリの事は言わずに
ラストコンサートまで
隠して歌っていた。
この歌手の歌も当人も
知らない人はいない
超有名人だった
知らないのは本人だけ
日本全国だけでなく
世界中を巻き込こむ
大ドッキリを
仕掛けていたのである
こんな心にしみる歌を歌う
シンガーソングライター
を引退なんて
誰も納得はしない
作詞作曲しても
まったく売れない
11年も本当は金額にしたら
わからないほどになっていた
本当にこんな
大ドッキリを
考えた人だけでなく
協力した人も
苦労があったと思われる
一番つらかったのは
今日ラストコンサートの
人生かかった大ドッキリ
TV局のアナウンサーから
聞かされた
デビュー当時からのことを
思い出して
本人は涙ぐんで歌っていた
「ポエム」
作家:中谷美咲
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