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以前からトスカーナ地方の小さな街、サンジミニャーノに行ってみたかった。ここもシエナと同様、中世の時代に通商路として栄えたコムーネ(自治都市)であった。今もその姿がほとんどそのまま残された、石造りの街だ。こういうところは、大きな博物館かテーマパークというより、過去へのリアルなタイム・トリップ体験をさせてくれる。これぞ旅の醍醐味よ(^益^)b
ここには沢山の石の塔が残っている。それはむかし家の勢いを示す、富の象徴だったのだ。田舎のこいのぼりみたいに、みなさん高く立派なやつを競って建てたというわけ。過去には数十本の塔が立ち並んだらしいが、その後戦禍や課税のおかげで、いまは十数本が残っているだけになった。
このときは同行していた友人らとフィレンツェで別れ、ひとりこの街を訪れた。田舎へのバスを乗り継がないと辿り着けない不便なところだ。見知らぬ小さな街の停車場で乗り換えバスを待っていると、とある中年女性が同じようにバス停にやってきた。ふと気がつくと、10mほど離れて立っている。なんかヤな感じだ。そのうち他の人々もチラホラやってきたが、みな離れて立ちやがる。ヨーロッパの田舎ではよくあるのだが、異人を嫌がるのですなあ。このイケメン好青年をつかまえて… ヽ(`益´)ノ
さて塔の街にやってきた。想像していた通り、静かで美しいところだ。さっそく昼メシを食おうと落ちついた食堂に入り、「黄金のワイン」と呼ばれるサンジミニャーノ産白ワインを注文する。これがしゃれた陶器の甕に入って出てくる。サラダとピッツァも旨く、機嫌はすっかり直った L(゜益゜L)♪
食後の散歩を始めると、爽やかな風に乗って美しい音色が聞こえてくる。とある宮殿の吹き抜けの片隅で、ハープを弾いている音楽師がいるのだ。暇そうな当地の少年らに交じってしばし聞き惚れる。
塔の立つ街の中心へ向う坂道を登ってゆくと、こんどはチェンバロの響きが流れてきた。見晴らしのよい坂道の道端で、オランダからやってきたチェンバロ弾きが演奏を行い、立ち止まる聴衆に自身の作品であるCDを売っているのだ。しばらく聞いていると、他に誰もいないので、その音楽家は話しかけてきた。旅から旅を続け、様々な国で街角演奏を行なっているらしい。小型とはいえ、チェンバロの移動は大変でしょうね。そやつの顔写真が写っているCDを買ってやると、嬉しそうに「サインをしてやる」と書き込んでいた。それは今も本棚のどこかに並んでいますよ^^
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ハープの音色が聞こえる宮殿の片隅で
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街の中心へ近づくと、塔が見えてきた^^ 手前のカポー、目ざわり!
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