Sakita Blog

1級建築士事務所Sakita Space Design主宰
崎田由紀のブログ。

平成28年度2級建築士学科試験 構造

2016-07-11 23:33:52 | 建築士試験
7/3日曜日に平成28年度2級建築士学科試験がありました。
受験されたみなさん、おつかれさまでした。
昨年度は計画と法規が難しかったようですが、今年は特に難しい学科はなく、しいていえば施工が、新出問題が多かったので、難しかったかもしれませんが、例年どおりの難易度だったようです。

構造に関しては、初めて見るような形の問題もありますが、4学科の中では一番、新出問題が少なく、しっかり過去問を学習していた方は高得点をマークできたようです。

※簡単な問題に関しては答えを掲載していません※

No.1 断面の性質(断面二次モーメント) 
形は目新しく、計算も少々面倒くさいですが、計算手順は例年通りなので、落ち着いて計算できれば正答できたでしょう。正答者が大変多い、簡単な問題でした。

N0.2応力度(縁応力度) 答え 2
式が与えられているので、基本がわかっていれば解けたと思いますが、曲げ応力度と垂直応力度の足し算という目新しい問題のため、戸惑われたのではないでしょうか?また、垂直応力度に関してはほとんど出題がなかったので、公式くらいしか学習しないので、ちょっとむつかしかったかもしれませんね。ポイントは、A点は下側引張りになるので、断面下端では、右向き36KNの引張り軸方向力と、曲げ応力度の下側引張り(4.5KN×2000mm)のふたつの引張り力を足すことができたかどうか、です。目新しい問題にしては正答率が高かったのは、式が与えられていたからでしょう。

No.3応力(曲げモーメントとせん断力) 
これも、何度も出題されている形ですが、せん断力を聞かれたのは初めてでした。しかしみなさんきちんと学習していたようで、正答率は高かったです。

No.4反力・応力(せん断力) 
せん断力が2問もでるとは、ちょっと驚きましたが、こちらも正答率が高かったです。

No.5トラス 答え 5
タテトラスが横になった形も何度か出題されているのですが、やはりトラスは苦手な人が多いのか、正答率はそれほど高くありませんでした。切断法の斜め材の出し方がわかっていれば、簡単だったはずなのですが。

No.6座屈 
去年は同じ形式で「座屈長さの大小関係」と、ひっかけ問題だったわけですが、今年は例年どおりの何度も出題されている「弾性座屈荷重の大小関係」だったので、簡単でした。正答率も高いです。

No.7荷重・外力 答え 1
ここ10年は出ていなかったのですが、それ以前は出ていましたね。多雪区域の長期荷重のときの積雪荷重。0.7Sです。直前講習でやっていたので、みなさんできたのではないでしょうか?2番の選択肢が初出だったので、惑わされたのでしょうか?正答率はまあまあでした。

No.8風圧力・設計用地震力 答え 3
固有周期Tは剛性が小さいものの方が長い、というのは直前講習でもやったので、みなさんできたのではないでしょうか?ただ、2番の数字にちょっとびびったり、5番の第一種、二種、三種というのが、硬質、普通、軟質というのとリンクできずに迷われた方が多かったようです。正答率はまあまあでした。

No.9地盤・基礎 答え 4
N値が同じときは粘土>砂、は講義でやったので、みなさんできたのではないでしょうか?正答率とてもたかかったです。3番、5番の選択肢が初出ですが、落ち着いて取り組めた方は4番に気づけたのではないでしょうか?

No.10木造(部位部材) 答え 1
鴨居の上に水平にとりつける部材は「長押」ですね。これも直前講習でやったので、まあまあのできでした。

No.11木造 答え 3
曲げ材端部引張り側の切り欠きは材せいの1/3以下、というのは初出でした。(11年以上前には出題あり)しかし他の選択肢がすべて既出で正しい内容なので、消去法で選べたのではないでしょうか?正答率はまあまあでした。

No.12木造(接合) 答え 3
これは正答率が低い問題でした。こういう問題はみんなができないので、わからなくても焦らず次を落ち着いて解くことが大切ですね。
木造はこのようなマニアックな問題になる傾向があるのですが、そういう問題は割り切って捨てて、過去問ででたものを確実に得点することが合格の秘訣です。
3番の「大入れ蟻掛け」は材軸方向につなぐのではなく、直交する部材をつなぐ際の形式なのですが、初出です。また、他の選択肢、2番や4番も怪しい感じなので、惑わされたかもしれません。

No.13壁式鉄筋コンクリート造(壁量計算) 
壁式RCなので、0.45m(45センチ)は耐力壁にカウントし、0.40m(40センチ)はカウントしない、というのがポイント。正答率は高かったです。

No.14鉄筋コンクリート造 答え 1
これは1番の選択肢が、繰り返し繰り返しやっていたもので、直前講習でもやりました。
つりあい鉄筋比「以下」の時、鉄筋が足りないわけですから、鉄筋を増やせば増やすほど許容曲げモーメントが大きくなります(比例)。つりあい鉄筋比「以上」の時は鉄筋がすでにたっぷり足りているのですから、鉄筋を増やしても耐力は大きくなりません(比例しない)。
ただ、3番は柱の主筋の鉄筋比0.8%以上はやっていましたが、大梁の主筋の鉄筋比はやっていなかったので迷われた方が多かったようです。4番の「1/10を超える」という数値は直前講習でやったのですが、うろ覚えで惑わされてしまったかもしれません。簡単な問題だと思ったのですが、正答率はいまひとつでした。

No.15鉄筋コンクリート造(配筋) 答え 5
これは難しい問題でした。正答率も低かったので、これができなくても仕方ない問題といえます。
2、3、4、5どれも初出で数字や用語が含まれているため、難しかったですね。
「フックの最外端間の距離」ではなく、「フックの折り曲げ開始点間の距離」が正しいのですが、正しい言葉は学習していても、「最外端間の距離」の意味がイメージしにくい、日本語の問題のような気もします。
2番の柱のせん断補強筋は0.2%以上で覚えていたので、0.4%以上が誤りだと思った方、4番のフックは135°以上と覚えていたので、90°フックが誤りだと思った方が多かったです。これは仕方ありません。完全に出題者側のひっかけマニアック問題です。

No.16鉄骨構造 答え 4
これも正答率がとても低い問題でした。ただ、答えの4番の選択肢に出てくる「保有耐力接合」については本講義でも直前講習でも、最近よく出るキーワードですよ、と説明していたので、できて欲しかった問題ではあります。
「保有耐力接合」というのは、軸部が終局を迎えるまで接合部は壊れない(接合部の方が耐力が大きくなる)ように設計する設計方法です。座屈防止のためのものではありません。
他の選択肢に関しても、直前講習で確認したものばかりなので、正直この正答率の低さはちょっとがっかりでした。やはりみなさん鉄骨造は苦手ということなのでしょうか、、、
1番の柱の有効細長比200以下、柱以外250以下、5番の寝巻きは2.5倍以上、埋込は2倍以上、というのは直前講習でも確認したのですが、数字が入りきっていなかったのか、5番にしてしまった方が多かったですね。寝巻きと埋込を混同したのかもしれません。

No.17鉄骨構造(接合) 
摩擦接合の耐力は摩擦面の数に比例するというのも、何度もやっていますので、これは簡単だったと思います。正答率もまあまあよかったです。

No.18構造計画 答え 1
これも最後の講義や直前講習で確認していた部分なので、正答率よかったです。
袖壁、腰壁は、非耐力壁だったとしても重量がありますから、重さの中心である重心の算定に関係してきます。重心と剛心の距離が偏心距離といって、偏心率の算定に関係してくるものですから、影響はあります。

No.19耐震改修(鉄筋コンクリート造) 
これも直前講習でやりましたね!正答率高かったです。ただ、「1次は壁、2次は柱、3次は梁」で覚えてと言っていたので、それぞれが足されていくというイメージがないと間違ってしまったかもしれませんね。正確には「1次は壁、2次は壁と柱、3次は壁と柱と梁」です。でも「3次は梁」で覚えていた方も、2次で梁はおかしい!と選べたのではないでしょうか?

No.20材料(木材) 
木材の基準強度の大小関係は、曲げ>圧縮>引張>せん断。これは基本中の基本問題だったので、正答率がとても高かったです。CLTという目新しい木質材料の名称が登場していますが、惑わされずに正解できていました。

No.21材料(コンクリート混和剤) 答え 2
減水材を入れても耐久性は低下しませんが、早期に強度を発揮させることはできません。これはまるっきり同じ文言(減水材という限定)では出題はありませんでしたが、似たような過去問を取り上げていたので、まずまずの正答率でした。

No.22材料(コンクリート) 答え 5
これも基本中の基本問題ですね。もっと正答率が上がるかと思いました。
鋼材のヤング係数は強度に関係ないけれど、「コンクリートのヤング係数は、圧縮強度と質量に比例する」のでしたよね。ですから一定ではなく、強度に比例して大きくなります。
2番の高炉スラグ粗骨材に関しての詳しい講義はしていなかったので、この文言に惑わされてしまった方が多かったようです。

No.23材料(鋼材) 
平成22年と同じ問題です。これは正答率高かったです。

No.24材料(塗料・接着剤) 答え 4
これも講義でしっかり学習してきた内容です。酢酸ビニル樹脂系接着剤といわれたら、木工ボンド、でしたよね。なので外での使用には適していません。
正答率、まあまあでした。
1番と間違えてしまった方が多かったようですが、合成樹脂「調合」ペイントは「調合金!(超合金とのシャレ)」で金属用ですので、コンクリートには適さない、という覚え方を直前でやったので、私の受講生さんたちはできたのではないでしょうか?笑

No.25材料 
これも何度もやりましたね。パーティクル=木片、チップ、インシュレーション=繊維。そしてどちらも木質系材料ですから火に弱く燃えやすいです。耐火性はありません。正答率高かったです。

以上、正答率が5割に満たなかった問題は4問しかなく(受講生さんでは3問)、これらを落としても21点は取れる計算ですから、今年度の構造は簡単なほうだったといえるのではないでしょうか?

学科が簡単だった年は、製図が難しいかもしれませんね。気を引き締めて、製図の学習を進めていきましょう!

構造以外の学科に関する総評はこちらをご覧ください。→総合資格学院 平成28年度二級建築士学科試験 総評






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