ノーベル物理学賞:宇宙の加速膨張の発見に!カギを握る暗黒エネルギーと暗黒物質
[HRPニュース・ファイル049]転載
(参考:暗黒物質の研究についての分かりやすいYouTube映像)
http://youtu.be/uMTnsaeNIm8
2011年のノーベル物理学賞は「宇宙の加速膨張」を発見した、
米国立ローレンス・バークレー研究所のS. パールムター(Saul Perlmutter, 52)、
オーストラリア国立大学のシュミット(Brian P. Schmidt, 44)、
ジョンズ・ホプキンズ大学のリース(Adam G. Riess, 42)の
3人に贈られることになりました。
どのような内容なのでしょうか。「日経サイエンス」の記事等を参考に、
紹介したいと思います。
●3人は宇宙の加速膨張を発見した研究チームで中心的な
役割を果たしました。
●宇宙は約140億年前、ビッグバンで誕生して以来、膨張を
続けているが、物質の重力で膨張にブレーキがかかっていると
半世紀以上考えられていました。
●ところが両チームは遠方の超新星の観測から、減速していると
思われた宇宙膨張が加速していることを明らかにしました。
●宇宙全体では重力による引力を上回る斥力(反発しあう力、
遠ざけようとする力)が働いていることになります。
●巨大な斥力を生み出す未知の存在は暗黒エネルギーと
名付けられ、その解明は天文学と宇宙論、素粒子論にまたがる
21世紀の基礎物理学における最重要課題となっています。
●両チームは1998年、絶対光度がわかるIa型という超新星に
ついて、その見かけの光度と、その超新星が属する銀河(母銀河)の
赤方偏移(光が長波長側に移動する現象)を調べました。
●絶対光度と見かけの光度を比較すれば超新星までの
距離がわかり、宇宙の膨張速度がわかります。
●その結果は驚くべきものでした。
●宇宙は物質や暗黒物質(重力を及ぼす正体不明の存在)に
よる重力のため、膨張が徐々に減速しているのが当然と
考えられていたのですが、実際にはそれとは逆に加速膨張を
していることをグラフは物語っていたのです。
●宇宙が内包する物質と暗黒物質を合わせた重力を打ち負かす
ほどの斥力(反発しあう力、遠ざけようとする力)が、宇宙全体に働いていることを意味します。
●この斥力を生み出す未知の存在、暗黒エネルギーは
多くの素粒子論研究者を魅了しています。
宇宙マイクロ波背景放射を観測するWMAP衛星の観測によって、
宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、
22%が暗黒物質で、人類が見知ることができる物質の大半を
占めていると思われる水素やヘリウムは4%ぐらいしかないことが
分かってきています。
21世紀の物理学は、目に見えている4%の研究から、目に見えない
未知の96%(暗黒エネルギーや暗黒物質)の研究によって
新しい扉が開くことになるでしょう。
目に見えない領域の研究が進むことによって、同じく目に見えない
「霊界科学」の領域ともつながってくることを期待したいと思います。
(文責:小島一郎)