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【看取りで後悔しないためにできること】 たった一言で家族も医療者も救われる

2021-03-03 15:30:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です

16年にわたり医療現場で1000人以上の患者とその家族に関わってきた看護師によって綴られた『後悔しない死の迎え方』は、看護師として患者のさまざまな命の終わりを見つめる中で学んだ、家族など身近な人の死や自分自身の死を意識した時に、それから死の瞬間までを後悔せずに生きるために知っておいてほしいことを伝える一冊です。
今回は、『後悔しない死の迎え方』の著者で看護師の後閑愛実(ごかんめぐみ)さんと、『ホントは看護が苦手だったかげさんの イラスト看護帖〜かげ看〜』著者かげさんという2人の看護師が、「いのちの終わりの向き合い方」をテーマに対談し、現役看護師のリアルな現場での実話をお伝えします。(この対談は2019年9月に行われたものです)
2人の看護師が語る
「いのちの終わりの向き合い方」
後閑愛実(ごかん・めぐみ)
正看護師
BLS(一次救命処置)及びACLS(二次救命処置)インストラクター
看取りコミュニケーター
看護師だった母親の影響を受け、幼少時より看護師を目指す。2002年、群馬パース看護短期大学卒業、2003年より看護師として病院勤務を開始する。以来、1000人以上の患者と関わり、さまざまな看取りを経験する中で、どうしたら人は幸せな最期を迎えられるようになるのかを日々考えるようになる。看取ってきた患者から学んだことを生かして、「最期まで笑顔で生ききる生き方をサポートしたい」と2013年より看取りコミュニケーション講師として研修や講演活動を始める。また、穏やかな死のために突然死を防ぎたいという思いからBLSインストラクターの資格を取得後、啓発活動も始め、医療従事者を対象としたACLS講習の講師も務める。現在は病院に非常勤の看護師として勤務しながら、研修、講演、執筆などを行っている。著書に『後悔しない死の迎え方』(ダイヤモンド社)がある。
後閑愛実さん(以下、後閑):患者さんのご家族に、「そろそろ命の終わりが近いです」という話をしたところ、ご家族からは「何回も呼び出されては持ち直して、呼び出されては持ち直して、ということを繰り返したから、『死ぬ死ぬ詐欺』にあったのはこれで7回目です」と言われたことがあります。
かげさん(以下、かげ):あるあるですよね。
後閑:余命って、医師は症状やデータ、経験などから言うけど、臨床の統計では3割しか当たらないと言われていますし、当然長いほうに外れるほうがいいけれど、短いほうに外れてしまうこともある。そこに執着するよりは、いいことを期待しながらも悪いことに備えるということが大事だと思うんですよね。
かげ:救命センターでも、いろんな理由で延命できない、しないという場合に同意を取ったら(DNAR)、個室に移動してご家族に患者さんのそばについていてもらうんですけど、医療者側が考える以上に心臓は動き続けて、そのまま家族が付き添い続ける中、何時間も、ときには1日過ぎてしまうこともあって、「もう間に合わなくていいので帰らせてください」とご家族に言われたりすることもあります。
後閑:救急に運ばれた患者さんからしたら、それは突然でそれこそ必死ですもんね。家族が近くにいたら、患者さんは頑張るでしょうし、一緒にいたいだろうし。
私も夜中にご家族を呼んだら、やっぱり丸一日ぐらいもって、ご家族も「疲れてしまったからそろそろ帰ります」となったときに、お孫さんが「ばあちゃん、もう頑張らなくていいよ」と言ったら、その数分後にお亡くなりになったということがありました。聞こえていたのかなって、そのとき思いました。
かげ:聴覚は最後まで聞こえるって言いますもんね。
後閑:おばあちゃんはそのお孫さんが大好きで、お孫さんもおばあちゃんが大好きで、毎日お見舞いに来てたんです。だから、おばあちゃんはずっと孫が心配だったんですよ。だけどそのお孫さんが「ばあちゃん、もう頑張らなくていいよ」って言ったから、「わかった、もう私がいなくても大丈夫なのね」って安心したんじゃないかな。
ところで、かげさんは今、救急にいるんですか?
かげ:そうです。5年以上看護師をしてるんですが、もともとスタートは外科が中心の病棟で、救命に来たのは数年前です。
救急へ異動して感じたのは、思っていたのとは違ったということです。自殺の人もいれば、普通にいつも通りに仕事をしていた人が心筋梗塞でそのまま亡くなってしまって、その死をご家族が受け入れられないということもあります。こちらでは死にたかったのに生きていると落ち込んでる人にどう介入するのかを悩み、あちらでは生きたかったのに亡くなってしまった人のご家族にどう声をかけようかと悩んで。
助かりはしたけれども、もうこれ以上何もできないというときに延命をどうするか、人工呼吸器とか胃ろうとか、そういうときのご家族の意思決定支援など、今までならしなかったなという体験をたくさんしています。自分だったらどうするんだろう、というのをすごく感じます。
全然答えは出ていませんけど、こういうときはこうすればよかったのかと思ったり、ここにいる患者さんのご家族はこうしたけれど、私はこうしたいなと思ったりすることがあります。
私のイメージだと救急は、あらゆる疾患、解剖生理、治療、薬といったものをすべて勉強できて、身体のことについて学べるところと思っていました。しかし、思っていたのとは違いましたが、学びは多かったかなって。結果的にはいい経験ができたと思っています。
後閑:救急にいる知り合いからも自殺者が多いと聞いたことがあり、私も思っていた救急のイメージと違うことに驚きました。その人の幸せだったり、暮らしに直結する助けになったり、その人にとって必要なことは「医療」だけじゃないなと思いました。
かげ:そうなんです。地域や行政についてすごく考えるようになりました。
自分の中ではまずは医療が大事というのがあるんですけど、でも、看取りとなると、違う要素、たとえば関わりだとか、本人の思いや考えについて配慮する。あとはコミュニケーションなどがすごく重要なんだということを改めて感じていて、苦戦しているところです。
かげ
7月27日生まれの看護がとっても苦手な看護師
チョコレート中毒。さまざまな診療科で看護しているが、循環器、消化器、脳神経、救急が特に長い。看護が苦手だからこそ、それをフォローするために看護・医療について勉強し、まとめたイラストを日々描いている。日々の勉強ネタやイラストを公開しているTwitterはフォロワー数4万人を超える。日本うんこ学会より配信予定の大腸がん等の知識普及を目的としたスマホゲーム「うんコレ」でもゲーム内イラストを手がけている。
後閑:私は療養病棟にいるから、患者さんとはわりと長く関わるんです。なかには転院・転棟してきてすぐに亡くなられてしまう方もいますが、だいたい月単位、下手したら年単位で一緒に関わっていく人ですから、その間にその人の人生を本人やご家族から聞いたりして、落としどころを見つけるというか、みんなで最後に「これでよかったんだ」と思えるように自然に持っていけるようになったらいいなと思って関わっています。けれど救命では、初めて会って、そのまま亡くなられてしまう方もいますよね。
かげ:たとえ数時間でも、ご家族が「これでよかった」まではいかなくても、少しでも「ああだったな、あれでよかったよな」と、あとからでも思えるようにするには、今何をしたらいいんだろうとすごく悩んでるところです。
以前に悩んだのが、仕事の最中に心筋梗塞で心停止したけれど、その後なんとか蘇生した40代の男性の患者さんのことでした。心臓は動いたけれど、脳の機能が低下して意識が戻らず、肺やほかの臓器もやられてしまい、「今日が山です」という状態が何日も続いたんです。生きてはいるが、いつ亡くなるかわからないという状態が長期間続いたので、やがてご家族が来なくなってしまったんです。
ソーシャルワーカーさんが電話をしたら、奥さんが「行かなきゃいけないって思っているけど行けないんです。怖いし、つらくなってしまうから行けない」と。ここで私たちがあまり電話してしまうと追い込まれてしまうと思うんですよね。でも、電話しなければご家族は来ない、患者さんは誰も面会に来てくれない中、治療は続く。ただただ転院待ちの状態。そうなる前に、どうしたらよかったんだろう、ご家族に来てもらえないと、私たちはどうにもできない。このケースではソーシャルワーカーさんとは話をしているのがわかったので、ソーシャルワーカーさんに窓口になってもらおうということになったんですが。
後閑:今現在、そうやって関わろうとしてるところ、私は素敵なことだと思います。
話は変わりますが、転院してきた高齢の男性患者さんが、せん妄で混乱して看護師を殴ったりしたことがあったんです。それを見た息子さんが、「親父は家に帰さなかった自分たちを怒ってる」って思ったみたいで、それからあまりお見舞いに来てくれなくなってしまったんです。最終的に亡くなられたんですが、見送りのときに息子さんに私が、「お父さん、笑うとかわいらしい人でしたね」と言ったら、「親父の入院生活はつらくて苦しいだけじゃなかったんですね。その言葉に救われました」って涙されたんです。
看取りはチームでするものだから、たとえご家族が本人に対して何もやらなかったとしても、仲間である医療者や周りがその人にとっていい関わりをしてくれていたとわかったら、それはそれで家族の救いにもなるんじゃないかと思うんです。今現在かげさんたちがしている看護は、家族にとっても救いになってると思うんですよね。もし転院になったとしても、転院までの関わりをお伝えできるとまた違うかもしれないです。
かげ:一般病棟のときはそういうことも多くて、一番印象に残ってるのが2年目のときに私が初めて受け持った患者さんが亡くなったときです。
その患者さんは、狭心症の治療をしていたんですが、悪化し、そこから心不全になって終末期になってしまったんです。心不全の終末期はここ数年で注目されるようになりましたが、そのときはまだ先生たちもどうしたらいいのかわからないという感じでした。
呼吸状態が悪くなって苦しみだし、結局挿管することになってしまい、そのまま人工呼吸器が外せずに亡くなってしまったんです。この患者さんには、息子さんが唯一のご家族。息子さんは「苦しんでいる姿を見るのがつらい」と、だんだん来なくなりました。
この患者さんは入院時からずっと、息子さんからもらったお守りを持っていました。ご自身のパジャマのボタンにいつもつけていたんです。亡くなった後に息子さんに「このお守り、入院する時につけていたやつですよね。ボタンにつけてって、よく言われたんですよね」と言いながらお渡ししたら、息子さんが泣き崩れて、「やっと救われた気がします」と。
私もはじめての受け持ちだったので、これでよかったのかなぁとか、挿管するときもご家族の意思決定をちゃんと支えられていたのかな、とすごく悩みました。でも、この息子さんの言葉に、お互い救われたと思ったんです。途中経過はすごく悩みましたが、医療者もご家族もうまく着地できたのかなと思えました。
こういう着地点を見つけられることばかりではなく、家族が来ないままになってしまったとか、ただただ泣くばかりだったので、あまり会話もできずに死亡届だけ受け取られて帰られてしまったご家族とか、救急だと性質上、そういうことが大半で、死の受容段階で言うと「衝撃」の段階でそのまま退院していくことが多いなというところで、やっぱりもやもやしている自分がいるなと思います。
後閑:救急は救急で、短時間であっても、そのときできるベストと思えることをして関わっていると思うんですよね。そのときにある医療資源や人的資源、時間もだし、その中ではベストを尽くしている。
当然、もっと人手があったら、もっと医療資源があったら、というのはあるだろうけれど、そのときのベストを尽くした、それでも思うような結果になっていないってことは、そのときの自分たちより病気や老化のほうが一枚も二枚もうわてだったということだと私は思うようにしているんです。何でもできたら神様なわけですから。
かげ:たしかにそうですよね。
後閑:こういう話はご家族にも伝えています。私の講演でもお話ししているんですけれど、看護師さんも介護士さんも看取りで後悔していたご家族も、そう思えばいいんですね、と言ってくれたり、救われた気がします、と言ってくれたりします。
かげ:たしかにそう声をかければいいんですね。
後閑:「あのときああしておけば」と自分を責めている人がいたら、「「あのときああしておけば」って、結果がわかっている今だから言えることなんです。でも、あのときは誰にも結果がわからなかった。その結果がわからない中で、そのときできるベストだと思えることを選択したはずなんです。それでも思うような結果になってないのであれば、病気や老化のほうが一枚も二枚もうわてだったってことなんです」と伝えたりしています。
私の本のタイトルに「後悔しない」とつけましたけれど、みんな後悔するんですよね。絶対、後悔はあって、だけど、それはそのときはベストだったんだよと思えるように、そのときそのときを大切にする。
悲しみって、別れをそれほど悲しめる関係性が築けた幸せがそこには隠されているんだから、悲しみを消すのではなくて、悲しみとともにある幸せとともに、その後どう生きていくかが大切なんだと思うんです。
まとめ
・命の終わりは予想しにくく、期待しながらも死に向けた備えは必要
・今だけを見るのではなく、あとにどうつなげるかを考えながら今動く
・悲しみの奥にある幸せとともに、どう生きていくかを考える


「涙」で乳がんがわかる、2年後めどに実用化目指す

2021-03-03 13:30:00 | 日記

下記の記事はビヨンドヘルス(日経)からの借用(コピー)です  記事はテキストに変換していますから画像は出ません

涙の中に含まれるエクソソームを調べることで、乳がんかどうかがわかる──。そんなまったく新しい検査法の開発が進行中だ。エクソソームはさまざまな細胞から放出される100ナノメートル程度の大きさの細胞外小胞の一つ。がん細胞から出るエクソソームは、がんの増殖や転移に関わることが明らかになっており、体の負担が少ないキリッドバイオプシー(液体生検)によるがん診断のバイオマーカーとして大いに注目されている。
神戸大学大学院工学研究科の竹内俊文教授らは、分子インプリンティング技術を用いて、このエクソソームを超高感度に検出する測定法を開発した。超高感度ゆえに、「涙」という微量な検体でも測定が可能。しかも従来の検査法に比べ、簡便かつ迅速にがん細胞由来のエクソソームを識別できるという。今後は臨床試験によるデータを蓄積し、2022年度までの実用化を目指す。涙が乳がん早期発見の立役者になるというユニークな検査法に期待大だ。
 ドライアイの検査で用いるシルマー試験紙を目尻に挟んで、待つこと数分。試験紙に涙が滲んで青色に変わってきたら、涙の採取は終了。あとは自動分析計で涙の中のエクソソームを測定すれば、乳がんかどうかがわかるというのだから、驚きだ。乳がんの検査といえば、乳房を強く圧迫してレントゲン撮影をする乳房マンモグラフィや超音波検査が一般的だが、それに比べるとあっけないほどに簡単で、受ける側の負担はすこぶる軽い。
シルマー試験紙による涙の採取
瞼の縁にシルマー試験紙(濾紙)を挟んでしばらく目を閉じていると、涙が滲みだして試験紙が青色になる。青色の部分が1~数ミリほどになれば、検体として十分だという(写真提供:竹内教授)
 それにしても、乳がんの検査になぜ「涙」なのか。神戸大学大学院工学研究科の竹内俊文教授は次のように語る。
 「エクソソームは体液中に存在するので、もちろん血液や唾液などから検出することもできる。ただ血液中には食事から摂取した栄養素など様々な物質が溶け込んでいるし、唾液ともなれば食べかすや細菌なども多い。その点、涙にはそういった夾雑物(きょうざつぶつ)が少なく、生体試料として非常に魅力的。涙液中のエクソソームは血液中に比べると10の1から100分の1程度と少ないが、私たちが開発した超高感度の分析計を使えば、十分に測定できる」
 涙が魅力的な点は他にもある。前述したように、検体採取が非常に容易なことだ。被験者自身が簡単に短時間で採取できるし、マンモグラフィのような痛みも伴わない。わざわざ病院に足を運ばなくても、自宅や近所のドラッグストアなどで自己採取をして検査機関に送るといった方法も将来的には可能だろう。多くの女性が手軽に検査を受けられるようになれば、早期に発見できる乳がんがもっと多くなる。
低迷する乳がん検診受診率への問題意識
 乳がんは、女性がかかるがんで最も多い。患者数は増加の一途で、2017年の最新がん統計によると、生涯で乳がんに罹患する確率は10.6%。実に女性の9人に1人に相当する。罹患者数は40代と60代にピークがあり、働き盛りの女性や子育て中の女性にとって大きな脅威となっている。
 「乳がんは早く見つけて治療をすれば治る病気だが、それにもかかわらず死亡者数も年々増加している。乳がんで亡くなった有名人などのニュースを見るにつけ、どうして治るはずの病気で……と非常に残念な気持ちになった。命を落とさないためには早期発見しかないが、乳がん検診の受診率は4割程度で低迷しているのが現状。ならば、もっと簡単に気軽に受けられ、しかも精度の高い新しい検査法を創れないものか。そんな思いが研究開発の動機になった」と竹内教授は話す。
 そこで2016年から取り組み始めたのが、涙液中のエクソソームを測定することで乳がんを検出する「TearExo(ティアエクソ)法」の開発だ。神戸大学医学部附属病院放射線腫瘍科の佐々木良平教授、乳腺内分泌外科の谷野裕一教授、測定機器メーカーのシステム・インスツルメンツらとタッグを組み、共同研究を行う研究集団「チームTearExo」を立ち上げた。言うまでもなく、「Exo」はエクソソームを表している。
 エクソソームは、体の中のあらゆる細胞から放出される脂質二重膜を有する100ナノメートルほどの小胞。現在、感染拡大が続く新型コロナウイルスとちょうど同じくらいの大きさだ。内部にはそれを放出した細胞に由来するマイクロRNAやメッセンジャーRNAなどの核酸物質が含まれ、膜表面にもそれを放出した細胞の細胞膜に由来する物質が存在する。つまり、エクソソームには放出元の細胞の特徴が反映されているわけだ。
 「がん細胞由来のエクソソームが検出されれば、体内にがんが存在するということ。エクソソームはがんの新しいバイオマーカーとして有望視され、エクソソームを用いた体の負担が少ないリキッドバイオプシー(液体生検)の開発が現在、盛んに行われている。その多くは血液中のエクソソームを回収して破砕し、その中のマイクロRNAを測定する方法だが、我々はエクソソームの表面にある膜たんぱく質(表面抗原)をターゲットにし、エクソソームを破砕せず、インタクトの状態で測定している」(竹内教授)
エクソソームの構造と役割
細胞から放出されるエクソソームには、その細胞と同じ核酸物質(マイクロRNAやメッセンジャーRNA、DNAなど)やたんぱく質が含まれている。エクソソームは体液に乗って体内を移動し、放出元細胞の情報を他の細胞に伝える。細胞間の情報伝達という役割を担っているわけだ。がんの増殖や転移にも関
ナノ加工技術を用いて独自のセンシングチップを開発
 では、どうやってエクソソームを検出するのか。竹内教授らは独自のセンシングチップを開発しているが、その仕組みが実にユニークだ。チップ表面にナノメートルサイズの穴をたくさん開けて、そこにエクソソームを誘導して捕捉するのだという。
 「センシングチップ上に開けた穴は、エクソソームとほぼ同じ大きさ。そして穴の中にはエクソソームの表面抗原と選択的に結合する抗体と、その結合を知らせるための蛍光物質を仕込んでいる。エクソソームが抗体に引き寄せられて穴の中にはまると、蛍光物質の発光量が変化する仕組みだ。この光の変化を蛍光顕微鏡で読み出して、エクソソームを測定する。夜空の星のように光を放っていた穴が、エクソソームが入り込むことで輝きが鈍ってしまう、そんなイメージを想像してもらえればいいだろうか」
 星空の下、精巧な罠を仕掛けて獲物(エクソソーム)を捕らえる。そんな絵本のような光景が浮かんでくる。センシングチップの構造にしては、なかなか文学的だ。
 センシングチップ上に穴を開ける際、活用したのが鋳型重合法の一つである分子インプリンティング技術だという。竹内教授は30年ほど前から、この分野の研究を続けてきた。
 「ある形の物質を混ぜ入れて固め、後でそれを取り除くと、そこにはその物質と同じ形の空間ができる。石膏のギプスや金型を作るのと原理は同じ。それを分子レベルで行うのが、分子インプリンティング技術だ。我々は、エクソソームとほぼ同じ大きさのシリカナノ粒子を利用して、センシングチップ上にエクソソームが結合するナノ空孔を形成。さらに独自の修飾技術を用いて、エクソソーム表面に発現している抗原に対する抗体と蛍光物質を空孔内のみに導入することに成功した」
 ナノ加工技術でエクソソーム結合空孔を作り、抗原抗体反応を利用してエクソソームを回収する方法は、これまでにない画期的な測定法として注目されている。鋳型を作るのに最初はエクソソームそのものを利用していたが、シリカナノ粒子の方が強度に優れているし、コストも抑えられるという。
エクソソームセンシングチップのメカニズム
センシングチップの基板上に約30ナノメートルの厚さのポリマー層を形成し、エクソソームを捕らえる空孔を作る。空孔内には、エクソソーム表面の膜たんぱく(表面抗原)と結合する抗体、及び蛍光分子が仕込まれている。抗体に引き寄せられてエクソソームが空孔内に入ると、蛍光強度が変化する(提供:竹内教授)
ることが報告されている(作図:三弓素青)

従来の検査法に比べ約1000倍の高感度測定が可能に
 実際の検査の流れはこうだ。涙を採取したシルマー試験紙をリン酸緩衝液に浸して、涙液中のエクソソームを抽出する。その検体を、独自に開発したエクソソーム自動分析計でセンシングチップに吸い込み、1分後、センシングチップ表面の蛍光変化を測定する。分析時間は、一チップにつき5分以内。超遠心などの前処理が要らず、短時間で分析できるのが特長だという。
 また精度も高い。「100μL中に約50個程度のエクソソームを検出できる。従来の酵素免疫測定法に比べると、約1000倍の高感度測定が可能になった」と竹内教授は自信をのぞかせる。
エクソソーム自動分析計とセンシングチップを組み込んだ特注の扁平型ピペットチップ
右上の写真赤丸がセンシングチップ。金色に輝くチップの表面上に形成された極少の穴が、エクソソームを待ち構えている。エクソソーム自動分析計は、システム・インスツルメンツと共同で開発。3Dロボットアームを備えた自動分注装置に高感度CMOSカメラ搭載の蛍光顕微鏡ユニットを装着。試料の吸引・吐出・チップの洗浄も自動で行う(ピペットチップの写真:今 紀之、自動分析計の写真提供:竹内教授)
 竹内教授らは、このTearExo法を用いて乳がん患者と健常人の涙液中のエクソソームを比較した。乳がんに関連する抗Her2抗体や抗ER抗体など、エクソソーム表面に発現する5種類の抗原を調べた結果、抗Her2抗体と抗GGT1抗体に対する応答が乳がん患者と健常人で大きく異なり、5種類の抗体に対する結合パターンを主成分分析したところ、乳がん患者と健常人の識別ができた(グラフ)。
乳がん患者と健常人の比較
乳がん患者と健常人(各5人)の涙液中のエクソソームをTearExo法で調べた結果、乳がん患者と健常人がきれいに分離(識別)できた。(データ提供:竹内教授)
 また、乳がん患者が手術で乳がんを摘出した後は、エクソソームも健常人と同様になることも確認できたという。40代のある患者は、手術前に高値だった抗Her2抗体と抗ER抗体が術後には低下し、健常人のレベルに戻った。また検査ではHer2ネガティブとされていたが、TearExo法は感度が高いせいか、ポジティブである可能性が示唆されたという。ポジティブなら分子標的薬のハーセプチンが適応になる。治療の選択肢が広がるわけだ。
 「TearExo法は、乳がん検診だけでなく、治療薬の適応や効果、投薬の止め時を確認したり、再発の予兆をつかんだりするのにも役立てられると期待している。まだまだ検体数が少ないので、今後は対象者を増やして乳がん検出の感度と特異度を評価していきたい。患者さんの協力をいただいて100人以上の臨床研究を目指している。また、乳がん以外のがんにも対象を広げていきたい。神戸大学附属病院の先生方も関心を示してくれ、大腸がんや膀胱がん、卵巣がんなども調べていく計画だ」と竹内教授。
 TearExo法は国際的にも評価が高い。2019年1月にはドイツ化学会国際誌『Angewandte Chemie International Edition』電子版に、また2020年3月にはアメリカ化学会国際誌『Journal of the American Chemical Society』電子版に論文が掲載された。いずれも高インパクトファクターの著名な論文誌だ。研究イメージのイラスト(下)は表紙にも採用された。
竹内教授の背面に映っているのが、アメリカ化学会国際誌『Journal of the American Chemical Society』の表紙。涙のエクソソームが、光を放つセンシングチップの穴の中に引き寄せられていくイメージをイラスト化した吸着概念図が掲載された(写真:今 紀之)
 また国内では、2019年12月に開催された技術コンペ「第2回メドテックグランプリ神戸」で最優秀賞と「ロート賞」と「日本ユニシス賞」のトリプル受賞も果たしている。最優秀賞では、賞金30万円と事業投資500万円を受ける権利を獲得した。
実用化に向けたクラウドファンディングも開始
 竹内教授らの研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム(START)にも採択されている。このプログラムが終了する2022年度までには、TearExo法を実用化して神戸大学発ベンチャーを立ち上げる予定だ。また体外診断用医薬品として、医薬品医療機器総合機構(PMDA)にも承認審査請求をしていくという。
 「実用化に向けて、クラウドファンディングも始めることにした。現在、エクソソーム自動分析計は工学研究科にのみ設置されているが、今後は乳がんの検出を本格化させるため、神戸大学医学部附属病院内にも配置したい。そのための経費約1000万円をみなさんの協力で調達できたらと考えている。ぜひ一度、サイトをのぞいてみてください」と竹内教授は協力を呼びかける。
クラウドファンディングのURLは下記の通り。
「涙で乳がんを検出する!研究を加速させる一歩にご支援を」
https://readyfor.jp/projects/TearExo

 乳がんで泣かなくてもすむように、涙は早期発見のために捧げたい。実用化が待ち遠しい新技術だ。


天皇陛下が眞子さま結婚問題に言及 「裁可」を覆すに等しい内容か

2021-03-03 11:00:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブンからの借用(コピー)です

 3年もの間、「沈黙」を貫き続けられた天皇皇后両陛下。だが、その日、陛下が初めて「問題」に触れられ、大きな波紋を呼んでいる。
 令和皇室全体を揺るがす最大の問題──秋篠宮家長女の眞子さまのご結婚についてだ。2017年の婚約内定当初こそ、雅子さまは誕生日文書で《心からのお幸せをお祈りしております》と言及されたが、ご結婚問題が「国民の関心事」となってから一変された。
「両陛下はこれまで公の場では眞子さまのご結婚や小室圭さんについて言及されてきませんでした。あくまで他家のプライベートな事柄であり、ご発言が眞子さまにとってプレッシャーになりかねないと案じられたのでしょう。特に雅子さまは、私的な場でも頑ななまでに触れられないといいます」(皇室関係者)
 だが、沈黙を貫くには“傷口”が広がりすぎた。陛下はご自身のお誕生日というタイミングで、ついにご結婚問題に言及された。いや、せざるを得ない状況だった。
「その内容は、ご結婚に重大な懸念を持たれていることがわかる手厳しいもの。陛下は事前に秋篠宮ご夫妻だけでなく、上皇ご夫妻にも内容を伝えられたでしょうから、相当な危機感とご覚悟の上での発言だったと思います」(宮内庁関係者)
 異例ともいえる陛下の開口。その内幕を辿ると、眞子さまに向けられた「祈り」の思いが浮かび上がった──。
結婚の「裁可」を覆されたに等しい
《眞子内親王の結婚については、国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。このことについては、眞子内親王が、ご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております》
 2月19日、お誕生日を前にした記者会見の場で、陛下はそう述べられた。そのおことばの持つ意味は、あまりにも重い。
「公式の場でここまで踏み込んだ発言をされたことに、眞子さまへの“最後通告”とも取れる強いご意思を感じました。まずは両親の言うことに耳を傾けなさい──そんな眞子さまへのメッセージが込められていると読み取れます」(前出・宮内庁関係者)
 そもそも、陛下がお誕生日に他家のプライベートに関して触れられること自体、異例のことだ。たとえ質問されても、「私的な事柄なので、発言は控える」などと、言及を避けることもできたはずだ。だが、陛下が言及せざるを得ない状況をつくられたのは、ほかでもない、眞子さまご本人だった。
眞子さまは昨年11月、ご結婚に関する「お気持ち」を記された文書を発表された。そこでは、《天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下にご報告を申し上げ》たこと、そして、両陛下が《私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっている》ことが記された。続く12月には宮内庁のトップである西村泰彦長官が小室家側の「説明責任」について言及。その2つのことで、眞子さまのご結婚は、プライベートの範疇を超え、皇室全体の課題となった。
「それだけの問題ですから、陛下には“自分が言及しないわけにはいかない”という思いもおありだったのでしょう。
 もともと関係者の間では、 もし言及されるにしても、“意思を尊重したい”“見守っていきたい”といった、眞子さまの文書に応える形で、ある意味、あたりさわりのない発言をされるというのが大方の見方でした。ですが、まさかここまで踏み込んだ発言をされるとは……」(皇室ジャーナリスト)
 関係者を驚かせるほど、差し迫った発言をされた陛下。前出の皇室ジャーナリストは次のようにつなげる。
「眞子さまのご結婚を認める『裁可』をされたのは、当時の天皇である上皇陛下です。天皇が認めることで初めて、内親王の婚約内定は成立するものなのです。天皇陛下は裁可をされたご本人ではないとはいえ、“もう一度両親とよく話し合って”と取れる発言をされた。それは、裁可を根本から覆すに等しい、非常に厳しい注文ではないでしょうか」
 眞子さまはこの言葉をどのように受け止められたのだろうか。


循環器専門医が勧める内臓脂肪を減らす運動法2つ

2021-03-03 08:30:00 | 日記

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です

心筋(心臓の筋肉)に血液と酸素を送っている冠動脈が詰まって発症する「心筋梗塞」。狭心症から心筋梗塞に移行する場合もあるが、3人に1人は何の前触れもなく起こるといわれる。

 冠動脈が詰まる原因は大きく分けて、「動脈硬化」と「血管の機能異常(痙攣)」の2つがある。

 動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールや脂肪などが沈着して、コブのように盛り上がったプラークができ、血管の通り道が狭くなった状態。薄い膜で覆われているプラークは破れやすく、傷つくとその周りに血栓ができて血管を詰まらせるのだ。

 動脈硬化を進行させる危険因子には、生活習慣病や肥満、喫煙などがある。つまり、これらの危険因子を予防・改善することで動脈硬化の進行を抑えることができる。特に「運動習慣」が強く勧められるのは、なぜなのか。循環器専門医である「すぎおかクリニック」(千葉県船橋市)の杉岡充爾院長が言う。

「私たちの体には、傷付いた血管を修復する機能が備わっています。最近、脂肪を構成している脂肪細胞から、体の働きを調整する物質が多く分泌されていることが分かっています。そのひとつがホルモン様物質の『アディポネクチン』です。この物質には血液に乗って全身を巡り、傷付いている血管を修復したり、血管の炎症や酸化を抑えたりする働きがあります。血液中のアディポネクチンを増やすことが、血管の健康維持に直結するのです」

 脂肪細胞から分泌されるホルモン様物質を増やすことと、運動習慣にどんな関係があるのか。じつは、脂肪細胞は大きくなり過ぎると、途端にアディポネクチンの分泌をストップさせてしまうのだ。

 特に皮下脂肪よりも内臓脂肪が増加すると、アディポネクチンの分泌量が低下するという。

 逆に内臓脂肪が増えると、脂肪細胞は悪玉物質の「悪玉アディポサイトカイン」を大量に分泌するようになる。この悪玉物質は、血栓をできやすくしたり、血圧を上昇させたり、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くしたりする。つまり、アディポネクチンの分泌を増やすには、運動習慣で内臓脂肪を減らすことが重要になるわけだ。


「内臓脂肪は皮下脂肪より燃焼しやすいので、定期的に運動すれば必ず減らすことができます。ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動は、脂肪燃焼効果が高いので、内臓脂肪を減らすのに効果的です。さらにもっとおすすめなのは『ドローイング』という腹筋トレーニングです。お腹をへこませるだけの簡単な運動ですが、内臓脂肪を減らす効果は抜群です」

【ドローイングのやり方】

①肩幅くらいに足を開いて立ち、お腹をリラックスさせる。②3秒くらいかけて鼻から息を吸い込み、お腹を膨らませる。③次に6秒くらいかけてゆっくりと口から息を吐きながら、お腹を思い切りへこませる。そしてさらに、お腹に力を入れながら2秒息を吐き、お腹をギュッとへこませる。④そのままお腹に力を入れ、お腹をへこませた状態をキープ。このとき息は止めないで、自然呼吸を続ける。30秒を目標に持続する。

このドローイングは、体勢を変えると鍛えられる場所も変わる。両腕を上げて行うと、お腹の上の方の筋肉が鍛えられる。お腹をへこませた後に体を左や右にひねると、脇腹の筋肉が鍛えられる。

 内臓脂肪を減らすためには、体の表面にある筋肉だけでなく、体幹部にあるインナーマッスルも鍛えるとより効果的。それは背骨・骨盤・太ももの骨をつなぐ「腸腰筋」のトレーニングだ。

「腸腰筋を鍛えると骨盤が安定して体の歪みが取れ、姿勢がよくなります。すると立っていても座っていても、自然にお腹の筋肉に力が入るようになり、内臓脂肪が付きにくく、減りやすくなるのです。腸腰筋を鍛える運動で最も効果的なのは『もも上げ運動』です」

【もも上げ運動のやり方】

①立っていても椅子に座っていてもいい。②背筋を真っすぐ伸ばして、お腹に力を入れて、左右のももを片足ずつできるだけ引き上げる。③ポイントは超スローペースで行うこと。3秒かけてももを持ち上げて、3秒かけて元に戻すようにする。④まずは1日、左右10回ずつを目安に行う。