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50代から発症率急騰「血圧がちょっと高めの人」は注意が必要な"新・国民病"とは

2021-09-01 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

患者数が2100万人を超えて糖尿病以上に多くなっている「新・国民病」がある。「慢性腎臓病(CKD)」だ。発症すると様々な病気の死亡率が平均4倍に上昇し、新型コロナをはじめウイルス感染症の悪化リスクも高まる。一度人工透析になれば、一生やめられない。「実は、人間ドックや健康診断では予兆を捉えることができないのです。働き盛り世代は一刻も早く対策が必要」と、20万人の患者を診た牧田善二医師が警鐘を鳴らす──。
※本稿は、牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
日本人の死亡率上昇をもたらす要因
慢性腎臓病になると、「心腎連関」が起きて心血管性の疾患しっかんが増えます。加えて、脳卒中やがんにも罹かかりやすくなります。とくに、がんの中でも大腸がんの発生率が高くなることがわかっています。
最近、大腸がんで亡くなる人が増え、がんの部位別死亡率で女性は1位、男性も3位になっています。その原因の1つが、慢性腎臓病の増加なのかもしれません。
日本人の死亡原因1位のがんや、2位の心疾患を心配するのはもちろんですが、その裏で慢性腎臓病が大きな影響を及ぼしているということに気づく必要があります。
すなわち、日本人の死亡率上位の疾患の背後には、“裏ボス”として慢性腎臓病があるということです。
悪くなっても自覚症状はない…
本当なら慢性腎臓病で亡くなったかもしれない人が、その前に心筋梗塞しんきんこうそくや脳卒中の発作を起こしたり、がんを併発して亡くなったりしている可能性は十分にあります。逆に言えば、慢性腎臓病を防いでいれば、心筋梗塞や脳卒中、がんにさえも罹らずに長生きできたかもしれないのです。
しかし、慢性腎臓病は地味。それに、少しくらい腎臓が悪くなっていても自覚症状はありません。だから、気づかぬうちに病を進行させ、取り返しがつかないことになってしまうのです。
実は、慢性腎臓病は「年齢を重ねること」それ自体がリスクであり、とくに、50代から急激に発症率が増加します。そして、その慢性腎臓病が万病の元だとすれば、100歳を見据みすえた健康管理で最も重視すべきは腎臓だということがわかるでしょう。
すべての病気はAGEによる「炎症」
それにしても、なぜ慢性腎臓病があらゆる病気を招くのでしょうか。
慢性腎臓病に罹ると、「AGE=終末糖化産物」というとてもタチの悪い老化促進物質が体内で大量に生産され、あちこちに炎症が起きるからです。
AGEは、体中の正常な組織にベタベタとくっついては、その組織を壊していきます。見た目でわかりやすいところでは、肌の組織にくっついてシミやシワをつくります。ほかにも血管や脳、内臓組織など、どこにでもくっついて炎症を起こし、あらゆる深刻な病気の原因となります。
腎臓には、老廃物を濾過ろかするための大事な「膜」があります。この膜は、コーヒーをいれるときに用いるペーパーフィルターのような役割を果たします。ところが、AGEがその膜にくっついて炎症を起こすと、小さな穴が開いてしまいます。その穴から、本来は出てこないはずのタンパク質などの物質が尿に漏もれ出してきてしまうのです。そうして体中に毒素や老廃物が充満することになってしまうのです。
慢性腎臓病もそうですが、心疾患や脳疾患、がんといったほかのほとんどの病気も、「炎症が原因で引き起こされる」というのが最近の考え方となっています。
もっとも炎症自体は、私たちの体にとって重要な免疫反応でもあります。ケガをしたときなど、傷口が膿うんだり腫はれたりと、外から見ても炎症が起きていることが明らかですね。それは、免疫反応が体を守るために戦っている証拠です。しかし、炎症が慢性的に持続するようになると、免疫システムに狂いが生じ、病気を誘発するのです。
AGEは、それ自体でも炎症を引き起こしますが、すでに起きている炎症を悪化させもします。つまり、病気を引き起こすだけでなく、病気の進行を早めてしまうのです。
さらには、腎臓が悪くなると、AGEが加速度的に増えることがわかっています。ということは、慢性腎臓病があれば、ほかの病気の発症率が高まり、かつ悪化もしやすいわけです。
感染症で一番危ない「腎機能の弱い人」
新型コロナウイルスに感染して命を落とした人の中には、各界の著名人も含まれていました。ウイルスは人を選ばないこと、また、治療法が確立されていない新しい感染症には、いくら地位や経済力があっても太刀打ちできないことを、私たちは改めて思い知らされました。
一方で、感染してもなんの症状も出ない人、ごく軽い症状で済む人もたくさんいて、どうやら「重症化リスクの高い人」が存在するらしいこともわかってきました。
新型コロナウイルスに限らず、ほとんどの感染症において、「高齢であること」と「持病があること」は重症化の大きな要因です。
このうち、年齢自体を変えることはできませんが、持病があるかどうかは人それぞれです。実際に、新型コロナウイルスでは、持病があったために40代で亡くなった人もいれば、80代でも無事に生還した人もいました。
持病について、テレビのニュースなどでは、高血圧症や糖尿病が真っ先に挙げられていました。しかし、私は、血圧や血糖値が高いこと自体よりも、それによって腎臓の働きが悪くなっていることこそ、重症化を進めたと考えています。
とくに、慢性腎臓病で人工透析を受けている人は、免疫力が落ちているために、感染症に対してひどく脆弱ぜいじゃくです。それがわかっているから、今回のコロナ禍かにあって、透析中の患者さんは相当恐怖心を抱いているはずです。
そうした持病のない人の中にも、「病院でウイルス感染したら嫌だから」と、健康診断さえ受けないケースが続出しました。免疫力の落ちている透析の患者さんは、なおさら病院に行きたくないはずです。しかし、透析をサボれば死んでしまいます。だから、危険を冒おかしてでも透析に通わざるを得なかったのです。
医療施設側も、そういう事情はよく理解しており、透析の患者さんを受け入れている病棟では厳重な注意を払っていることでしょう。それでも、2021年3月26日16時現在のデータで、1356人の透析患者さんが新型コロナウイルスに感染しています(日本透析医会・日本透析医学会・日本腎臓学会、新型コロナウイルス感染対策合同委員会「透析患者における累積の新型コロナウイルス感染者の登録数」)。
高血圧と動脈硬化が腎臓の機能をダメにする
現在、日本には4300万人の高血圧患者がいると推定されています。とくに男性の場合、30代で5人に1人、40代になると3人に1人、70歳以上ともなると60%が高血圧です。つまり、加齢とともに高血圧になるのは当たり前のような状況にあります。
しかも、4300万人もいる高血圧患者のうち、3分の1は自覚がないために治療しておらず、1割以上が自覚しているけれど未治療です。
治療している人の中でも、コントロールが良いのは27%にすぎません。高血圧自体は、よほど重症にならない限り自覚症状はありませんし、それによって動脈硬化が進行しても痛くも痒かゆくもありません。だから、真剣に治療を受けようという気にならないのかもしれません。
しかし、高血圧は、人々が考えているよりもはるかにリスキーです。ビル&メリンダ・ゲイツ財団(マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏とその妻が設立した慈善団体)によって進められた研究では、世界中の人が命を落とす最大の原因は高血圧にあるという結果が出ています。
高血圧で腎臓の血管の動脈硬化が進む
高血圧が命に関わると聞いて、すぐに思い浮かぶのが心筋梗塞や脳卒中でしょう。でも、最も問題なのは慢性腎臓病です。そのメカニズムを説明しましょう。
高血圧によって、腎臓の血管も動脈硬化が進みます。腎臓の血管は細いので、動脈硬化による影響を受けやすく、腎臓の機能がどんどん落ちていきます。
一方で、腎臓の機能が落ちると、塩分と水分の排泄はいせつ調整がうまくいかなくなり、血圧が上がります。これを「腎性高血圧」といって、これまで血圧が低めだった人ですら、慢性腎臓病が進んでステージ分類で3以上になると血圧が上がります。
そして、ステージ4(血清クレアチニン値が正常値を超えて腎不全になった状態)ともなれば、血圧は猛烈に上昇して、大量の降圧剤を飲まないとコントロールできなくなります。
つまりは、血圧と腎機能は明確にリンクしており、血圧をコントロールすることが腎臓を守ることに直結するのです。
なお、慢性腎臓病のステージの詳細については、拙著『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)でも紹介していますし、インターネットで検索していただければすぐわかります。
「ちょっと血圧が高め」の今が運命の分かれ道
病院や健診で「血圧が高め」と指摘されたら、まず考えなければならないのは腎臓のことです。血圧が高くてもどこも痛くも痒かゆくもないからと油断してはなりません。
というのも、「ちょっと血圧が高め」くらいの人でも、放置すれば腎臓が悪くなることが報告されているからです。
2016年、中国の北京大学で、過去に世界中で行われた血圧に関する7つの研究が解析されました。その論文によると、上(収縮期)の血圧が120~139、下(拡張期)の血圧が80~89の「高値血圧」レベルでも、慢性腎臓病の発症リスクが1.28倍高くなることがわかったのです。
しかも、この傾向は人種と性別によって差があり、東アジア人のとくに女性に強く見られました。ということは、日本人の女性は、軽度であっても高血圧を治療したほうがいいと考えられます。
また、同じく2016年のイタリア・ナポリ大学の研究で、高血圧によってすでに罹っている慢性腎臓病が悪化する危険性について発表されています。それによると、正常高値血圧の人では慢性腎臓病の悪化リスクが1.19倍に上がることがわかりました。また、上の血圧が140以上、下の血圧が90以上の高血圧症だと、悪化リスクは1.76倍となりました(American Journal of Kidney Diseases 2016;67:89-97)。
さらに、腎臓病でない人4万3300人に対して行った調査で、上の血圧が120を超えると慢性腎臓病が増えることがわかっています。この調査では、上の血圧が10上がるごとに慢性腎臓病のリスクが6%上昇することも明らかになりました。とくに、上の血圧(収縮期血圧)には厳重な注意が必要ということのようです(American Society of Nephrology 2011;6:2605-2611)。
慢性腎臓病は、進行してしまうと治療が難しくなり、透析が避けられなくなります。その慢性腎臓病の進行に血圧の上昇が大きく影響することが明確になっているのですから、「ちょっと高めくらいだから様子を見よう」と放置するのは賢明ではありません。「ちょっと高めの今のうちにわかってラッキーだった」と対処する道を選んでください。
血糖値コントロールより大事な糖尿病患者の腎症回避
人工透析を必要とする患者さんのうち、実は44%が糖尿病の合併症によるものです。だからこそ私は、糖尿病専門医として「自分の患者さんを透析にだけはしない」をモットーに治療に臨んできました。
しかし、残念なことに、多くの糖尿病治療の現場で、医師たちは血糖値コントロール(具体的には、ここ1~2カ月の血糖値変化を表すヘモグロビンA1c値を下げること)に注力し、腎臓については適切な手を打てずにいます。
糖尿病で怖いのは、高血糖になることではなく合併症です。合併症には腎症、網膜症、神経障害があり、中でも腎症は命に直結します。しかも、網膜症や神経障害と違い、激増しているのです。
専門医として断言しますが、糖尿病の患者さんを診るうえで最も大事なのは、血糖値コントロールではなく腎臓の状態を丁寧にチェックしていくことです。というのも、今は血糖値のコントロールがうまくいっていても、過去の高血糖が影響して腎臓に合併症が出てくることがよくあるからです。
つまり、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値がいくら理想的な範囲内に収まっていても、それで腎症が起きないわけではなく、その人が過去に高血糖であったならば、十分に腎症になる可能性はあるということです。
しかも、本人も担当医も、その人が過去にどれだけ高血糖であったかなど正確に把握できていません。そういう状態で、「血糖値コントロールが上手にできているね」と喜び合っていれば、その間に腎臓の状態を悪化させてしまいかねません。
早期治療のタイミングを逃す2つの理由
今はいい薬があって、合併症の腎症も早い段階なら確実に治すことができます。しかし、せっかくの早期治療のタイミングを逃しているケースが多々あります。
その理由は2つあります。
牧田善二『医者が教える最強の解毒術』(プレジデント社)
1つは、ここで述べたように血糖値コントロールに終始していて、腎症を早期に発見する検査がなされていないからです。
もう1つは、腎臓が悪くなっても治す治療法を知らない医師が多いからです。
糖尿病の専門医でも腎症を早期に発見する検査をしないくらいですから、その治療法を知らないのも当たり前。多くの糖尿病専門医にとって腎臓病の治療は専門外なのです。
そこで、40年間で20万人の患者を診てきた糖尿病専門医であり、腎臓病とAGEの研究を続けてきた立場から、今すぐできること、やるべきことをまとめたのが『医者が教える最強の解毒術』です。
尿アルブミン検査を受け、早めに対処をすれば、一生人工透析とは無縁でいられます。慢性腎臓病の悪影響も避けられます。ぜひご一読いただき、行動を起こして欲しいと切に願っています。


「夫に養ってほしい」が7割、日本女性たちの不都合な真実

2021-09-01 13:30:00 | 日記

下記の記事は日経ビジネスオンラインからの借用(コピー)です。

現代の日本では男性も女性も大半が「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という古臭い考え方に反対している。しかし行動が伴っていない。多くの男性は家事・育児を手伝わず、女性は夫に養ってもらいたいと思っている。性差別的な因習が残る経済界、労働界、行政から変わらねば、女性活躍推進など絵空事だ。世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」で日本は世界156カ国中120位。「ジェンダー最貧国」の惨状から目を背けてはいけない。
 電話ブースやパソコンが並ぶビルの一室で、相談員たちが人々の苦しみと向き合っている。通話やチャットでひっきりなしに届く「死にたい」「消えたい」などのメッセージは、日本社会が抱える苦悩の深さを物語る。
 ここは東京・千代田区にある自殺相談窓口。相談業務を担っているのはNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」である。代表を務める清水康之氏は、「自殺で亡くなった人は一般的に複数の課題を抱えている」と切り出した。
東京・千代田区のビルの一室ではライフリンクの職員が電話で「死にたい」と訴える人々の相談に乗っている
 失業し、生活苦に陥り、家族関係が悪化し、精神的に追い詰められて──、という具合に平均で4つの課題が重なって自殺に至るという。「コロナ禍で課題が積み上がっていくスピードが速くなった」と清水氏は実感している。
DVに雇い止め、窮地の末に……
 様々な課題を抱えた人たちの中でも、コロナ禍は特に女性を追い詰めている。警察庁によると2020年に男性の自殺者は前年を下回ったのに対して、女性が増加し、差し引きで912人多い2万1081人となった。リーマン・ショック後の09年以来、日本の自殺者数は11年ぶりに増加に転じてしまった。
 21年に入ってからも女性自殺者の増加基調が続く。警察庁の集計では、6月まで毎月のように前年同月を上回った。
 清水氏は「コロナ禍で保育所に子どもを預けられなくなったり、介護で親族の助けを借りづらくなったりして、負担が増した女性が多い」と話す。雇い止めに遭った女性も多いという。総務省の労働力調査によると、コロナ禍が直撃した飲食業や宿泊業、小売業では多くの女性が職場を離れた。
 「ドメスティックバイオレンス(DV)を受けているとの訴えも多数寄せられている」(清水氏)。全国の配偶者暴力相談支援センターなどへの相談件数が増加しており、その多くは夫からDVを受けている女性からの悲痛なSOSだ。緊急事態宣言で夫が家にいる時間が増えた影響とみられる。
 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という価値観が日本社会の隅々に浸透している。この固定的な性別役割分担意識が悲劇を生む。
あなたの隣の「ジェンダー革命」
性的少数者(LGBTQ+)の割合はおよそ10人に1人といわれ、比率でいうと左利きの人と同程度であ…
 家庭を守るのは女性の役割だとすると、コロナ禍で周囲の助けを借りられなくなった女性に育児や介護の負担が一層重くのしかかる。外で仕事をするにも、家庭を長時間留守にできないので、レストランやホテル、スーパーといった自宅近くの職場でパートタイム労働者などとして働くことになる。そのためコロナ禍で飲食業や宿泊業、小売業が低迷すると、雇用調整のしわ寄せが主に女性にいく。
 女性たちの経済的な自立は容易ではなく、緊急事態宣言で自宅にいる夫からDVを受けていても、逃げ出すことに二の足を踏む。コロナ禍に伴う自殺者の増加は、多くの女性たちが依然として家庭に縛り付けられているという事実の反映でもあるわけだ。
家事をしない日本の男性
 日本の性別役割分担意識は欧州諸国と比べても強い。内閣府が20~21年に実施した「少子化社会に関する国際意識調査」によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「反対」する日本人の割合は56.9%だった(「どちらかといえば反対」を含む)。過半数に達しており、一見すると反対者は多いように見える。だが、同時に調査したドイツの63.5%、フランスの75.7%、スウェーデンの95.3%を下回っており、日本は最低の水準だ。
 日本人男性に限っても、形の上では性別役割分担の反対者は54.9%と過半数に上る。では実際に日本人男性が反対の立場を実行に移しているかというと、それはまた別の話である。
 夫と妻で家事・育児に費やす時間を比べた場合、日本は夫の方が圧倒的に短く、妻にほぼ任せっきり。性別役割分担に反対するポーズを見せる日本人男性にとっての「不都合な真実」だ。
 米・英・仏・独・ノルウェー・スウェーデンで夫が家事・育児に費やす時間は妻の4~6割に達しているのに対して、日本は2割にすぎない(内閣府の令和2年版「男女共同参画白書」のデータを基に編集部で計算)。近年「イクメン」などという言葉が広く使われるようになっているのは、育児に積極的な男性が日本ではいまだに珍しいことの裏返しでもある。
 日本の極端な性別役割分担は核家族化が進んだ高度成長期に確立した。妻が家事・育児を一手に引き受けることで、夫は家庭を顧みることなく、外で長時間働くことができた。夫が家を留守にしている間に妻は、将来誰かの夫や妻となる子どもたちを育て上げ、世代を超えて性別役割分担を受け継いでいった。こうして持続的な経済成長を可能とした。
 だが、極端な性別役割分担意識が女性たちの生き方を制限しているとすれば、憲法でうたう男女平等の理念に反する。また高度成長期と違って現在は労働力人口が減っている。労働力不足が続く中で、企業社会で活躍したくてもできない女性たちを生み出している現状は、日本経済にとってもマイナスだ。それにもかかわらず経済界、労働界、行政には今なお性別役割分担意識が強く残る。
 さらには肝心の日本人女性の多くが、外で働く夫に収入を頼り、自らは家庭を守る存在になることを望んでいる。これは女性たちにとっての「不都合な真実」だろう。
 内閣府が14~15年に実施した「結婚・家族形成に関する意識調査」で、結婚を望む20~30代の未婚者に「結婚相手に求める条件」を聞いている。それによると、結婚相手に「経済力があること」を挙げた男性が7.5%にとどまったのに対して、女性は52.5%にも上った。
多くの日本人女性は夫に養ってほしいと思っている。イメージ写真(写真:PIXTA)
 また結婚後に「夫が家計の担い手になる」のが理想と答えた20~30代の女性の割合は、未婚・既婚を合わせて68.4%に達した(「どちらかというと夫が担い手になる」を含む)。
 経済学者の森口千晶・一橋大学教授は、「夫の経済力に頼って暮らしていると、離婚して独身に戻ったときに貧困に陥りかねない。離婚時のリスクが極めて高いのが性別役割分担のワナだ」と解説する。
家に収まりたい女性たち
 それでも日本人女性の多くは経済的な自立よりも、自らが家庭の守り手になることに強いこだわりがありそうだ。
 内閣府が20~21年に、子を持つ女性に対する調査で、自分自身の育児負担を減らすために民間のベビーシッターや家事支援サービスを利用することへの意識を聞いたところ、日本人女性の62.9%が「抵抗あり」とした(「抵抗が大いにある」「抵抗が少しある」の合計。「少子化社会に関する国際意識調査」から)。同時に調査したスウェーデンの43.3%、ドイツの33.2%、フランスの26.0%を大きく上回り、最も強い抵抗感を示した。
 家事や育児を業者に代行させれば、女性は家の外で活動しやすくなる。だが「家事や育児をサボっている」との罪悪感が勝るのかもしれない。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方は日本人女性にも広く刷り込まれている。
 日本は女性が家庭の外で活躍するのが難しい社会なので、女性が自らの役割を家庭内に制限しているのか、あるいはその逆か。これは「鶏が先か、卵が先か」の議論であり、答えはない。
 とはいえ社会が先に変わらねば、大勢の女性を性別役割分担のくびきから解き放つことはできない。先に変わるべきは経済界、労働界、行政だ。そうでないと「女性の活躍を推進する」という各界のアピールはむなしいだけだ。
 経団連は6月、新会長の選任に合わせて初の女性副会長としてディー・エヌ・エーの南場智子会長を「入閣」させ、女性の活躍推進をアピールした。連合の神津里季生会長は2月の記者会見で「男女平等参画を推進していかなければいけない」と強調した。菅義偉首相は1月の施政方針演説で「すべての女性が輝く令和の社会をつくり上げていく」と宣言した。
 経済界、労働界、行政のトップがこぞってアピールする女性の活躍推進を単なるきれいごとで終わらせるわけにはいかない。性別役割分担を維持させている各界の制度や慣習をあぶり出すべく、貧困の現場に向かった。


「新型コロナより怖いウイルスは山のようにある」京大准教授が恐れる"最悪のシナリオ"

2021-09-01 12:00:00 | 日記

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新型コロナのようなパンデミックにはどんな備えが有効なのか。京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は「これまでウイルス学の対象は、人や動物に病気を起こす危険なものに限られていた。これからは非病原性のウイルスも対象に加え、ウイルス研究を『面』で捉えられるように、研究の次元を変える必要がある」という――。
※本稿は宮沢孝幸『京大おどろきのウイルス学講義』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
コウモリから人に感染して始まったMERSとSARS
MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルス、SARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルスは、ともにコウモリからやってきました。MERSは、コウモリからヒトコブラクダに感染し、それがヒトに感染したと考えられています。SARSは、コウモリからハクビシンを介してヒトに感染したと言われています。
MERSコロナウイルスもSARSコロナウイルスも、元々の宿主はコウモリです。コウモリにとっては、それらのコロナウイルスは非病原性であると見られています。下痢くらいは起こすかもしれないけど、特に影響はないのでしょう。
つまり、コウモリはMERSコロナウイルス、SARSコロナウイルスに感染して共存をしているわけです。もしかすると、コウモリにとっては、コロナウイルスは都合の良いウイルスなのかもしれません。
コウモリの中で共存していたコロナウイルスが、コウモリの体内で起こるのか、あるいは、別の動物に入ってから起こるのかはわかりませんが、ウイルスのゲノムの組換えが起こって、人に感染して増殖するウイルスに変化すると、ヒトMERSコロナウイルス、ヒトSARSコロナウイルスになります。これらのコロナウイルスは、ヒトにとっては病原性をもったウイルス、ということになります。
病気を起こさないウイルスは研究されない
動物のウイルスが別の種の動物に感染したときには、多くのウイルスはあまり増殖できません。感染したとしても新しい宿主間で広がらずその個体の感染で終わります。ところが、ごくまれに別の種の動物に感染すると、ドンピシャの相性でよく増殖し、病気を引き起こすことがあるんです。こうしたものが新興ウイルス感染症となるのです。
「ウイルス(virus)」という言葉は、語源はラテン語で「病気や死をもたらす毒」という意味です。中国ではウイルスは「病毒」と表現されます。歴史的に見ても、病気を調べることでウイルスは発見されてきました。一般的に「ウイルスは病気を起こすもの」と考えられているため、ウイルス研究は病気との関係で行われているものばかりです。
しかし、人に病気を起こすSARSコロナウイルスもMERSコロナウイルスも、コウモリなどの元々の宿主の中では非病原性であり、病気を起こさないと思われます。ここが非常に重要な点です。
自然界には未知のウイルスが山のようにある
病気を起こすウイルスであれば、研究者たちは一生懸命に研究をします。逆に、人にも動物にも病気を起こさないものは、ほとんど研究されません。
前述しましたが、自然界には、動物を宿主としているときには何の病気も引き起こさないのに、人に感染すると恐ろしい病気を引き起こすウイルスがたくさん潜んでいる可能性があるにもかかわらず、そのほとんどはまったく研究されていないんです。
人の体から、血液を採取したり、便を採取したりして調べていくと、様々なウイルス由来の塩基配列が見つかります。これらは、病気を起こしていないものが多いですから、研究はされていません。動物の体の中にもたくさんのウイルスが潜んでいますが、非病原性であるため、ほとんど研究されていません。
つまり自然界には、まったく研究されていない未知のウイルスが山のようにあるということです。
次の「新興ウイルス感染症」に備えるための研究とは
これまで非病原性のウイルスへの研究はあまり進んでいませんでした。しかし、「次に来るウイルス」に対処するためにも、非病原性のウイルスへの研究は必要不可欠と言えます。
そして、ゆくゆくは病原性のウイルスも非病原性のウイルスもひっくるめて、網羅的に相関関係を示す全体像を示さなければならないと思っています。そのために、ウイルス学は「次元」を高めなければなりません。
今までのウイルス学はゼロ次元でした。どういうことかというと、研究者は一種のウイルス、あるいは一種の宿主の専門家となり、1つあるいは少数のウイルスを深く深く研究していました。いわば、「点」の研究にとどまっている状態です。
次元を1つ上げて、点を線にしてみます。線には、横の線と縦の線がありますが、横の線は、新型コロナウイルス感染症のような、人獣共通感染症や新興感染症の研究になります。
例えば1つの感染症について、ウイルスが異なった宿主の間をどのようにジャンプしていくのかを辿ったり、ウイルスがどのような変異を遂げたかを調べたりします。一方、縦の線は時間軸を設けるやり方で、あるウイルスが過去から未来へどう変化したか、どう進化してきたかを探ります。
4億年前からウイルスを追跡する「三次元のウイルス学」
さらに次元を1つ上げて、二次元になると、点が面になります。すなわち、一種の宿主の中に何種類のウイルスが潜んでいるか、あるいは、土壌や水圏(川、池や海)などの環境の中にどのようなウイルスが存在し、どのような関係を結んでいるのかを研究する段階です。
最終的な目標は、生物全体を網羅したウイルスの分布図や相関関係を明示することになるでしょうが、まずは人と家畜の間におけるウイルスについて調べ、それから野生動物にも広げていく……という順序になります。
では三次元のウイルス学はどうなるかというと、「面」に時間軸が加わります。違う宿主のウイルスの関係を、時間を追って追跡する学問になります。
例えば、1970年代に発見されたサルレトロウイルスは、約1200万年前にウサギに感染したウイルスで、現在は胎盤形成に関与する内在性レトロウイルスと遺伝的に近縁であることがわかりました。さらに、サルレトロウイルスはネコの内在性レトロウイルス、ヒヒの内在性レトロウイルスとも近縁だったんです。「近縁」というのは、ウイルスの遺伝情報(配列)が似ているということです。数百万年前の地中海沿岸でネコとヒヒに同じようなウイルスが感染したこともわかっているのです。
これらのサルレトロウイルスは、ウサギの胎盤形成に関与する内在性レトロウイルスが、何らかのウイルスと組換えを起こして、復活したと考えられます。このように三次元で考えることで、ウイルス進化の過程を正確につかむことができるようになるのです。
この三次元のウイルス学は、時間のスパンによって大きく2つの分野に分かれます。1つはシャロー(浅い)な古代ウイルス学で、おおむね1万年くらいのスパンでウイルスの進化を追跡します。エイズの原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の研究などはこちらになります。
もう1つはディープ(深い)な古代ウイルス学で、私たちは2億年くらいのスパンで考えます。私たちが行なっているレトロウイルスの研究がこちらに属します。
レトロウイルス(もしくはそれに関連するウイルス)は少なくともおよそ4億年前には地球上に出現したと思われます。そのウイルスは、宿主の生殖細胞に入り込んだウイルスで、ゲノムの配列が子々孫々受け継がれて保存されています。ですから、その変化の過程や、宿主に与えた影響を追跡することができるのです。
技術革新で三日あれば未知ウイルスの同定が可能になった
ウイルス学を次元で捉えるのは、私が2015年12月に考えて発表した概念です。昔は遺伝子の解析をするのがすごく大変で、二次元や三次元の研究など到底無理だったのですが、2008年以降に「ムーアの法則」(集積回路あたりの部品数が毎年2倍になるという法則。毎年2倍の進化を遂げていくことを指す)をはるかに超える勢いで急激な技術革新が起こり、時間もコストも圧倒的に節約することができるようになって、多次元ネオウイルス学が現実味を帯びるようになりました。
宮沢孝幸『京大おどろきのウイルス学講義』(PHP新書)
どのような技術革新が起こったかというと、DNAやRNAの配列を速やかに決定できるようになったのです。それまでは、ウイルス解析の出発点は病気でした。何らかの感染症の病気が見つかったら、ウイルスを分離、同定して、そこから遺伝子解析を行っていました。
しかし技術革新により、病気を発見してウイルスを分離しなくても、病変部だけでなく非病変部にどんなウイルスがあるのか、三日あればわかるようになりました。サンプルからDNAとRNAを抽出して、その配列を解析するのです。どんなウイルスが存在しているのかが先にわかって、それから病気が発見できるようにもなりました。
例えば、ネコの尿にウイルスがいるのではという推測を立てて、ウイルスを同定することができれば、そこから腎不全などの病気を起こしていることがわかる、といった具合です。ネコモルビリウイルスはそのやり方で発見されました。
新興感染症が出現しやすい今、ウイルス学も進化しなければならない
このように、遺伝子解析が非常に楽になったことで、二次元、三次元のウイルス学が可能になりました。ただ、多次元のネオウイルス学は、遺伝子解析の技術があればすぐにできるわけではありません。動物学、繁殖学、医学、バイオインフォマティックス、コンピュータテクノロジーの支えを得ながら、総合的な知見を高めていく必要があります。
ヒトの動きがグローバルになった現在、ウイルス学も進化しなければならないのです。多次元ネオウイルス学の研究を進めていけば、予測ウイルス学、進化生物学の発展にも寄与することができます。
社会的にも、科学的にも大きな貢献を果たすことができるのです。

宮沢 孝幸(みやざわ・たかゆき)
京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授
1964年生まれ。東京大学農学部畜産獣医学科にて獣医師免許を取得後、同大学院で動物由来ウイルスを研究。東大初の飛び級で博士号を取得。大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター助手、帯広畜産大学畜産学部獣医学科助教授などを経て現職。


眞子さまは優秀な皇族、だから秋篠宮さまは手放したくない…小室圭さんと年内結婚の可能性はほぼ消滅

2021-09-01 11:00:00 | 日記
下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です。

 ご両親の秋篠宮さま、紀子さまの賛成を得られず、膠着状態が続く眞子さまの結婚問題。そこには母娘の確執もあるようで、秋篠宮家が眞子さまの結婚に積極的に手を差し伸べる気配はない。

 今年春ごろまでは、眞子さまが30歳になる10月までには結婚するような雰囲気もあったが、夏に入った今では時間的にはタイトすぎる。となれば、もう眞子さまは「駆け落ち婚」のように強引に入籍するしか方法はないのだろうか。

 こんなことを言った関係者がいる。

「両親との関係修復は眞子さまから申し出るしかないと思いますが、今のところはその動きはなさそうです。だからといって親の反対を押し切って強引に結婚することもないでしょう。結婚届を出すのは可能ですが、そのとたんに眞子さまは皇族でなくなります。一般人扱いです。すると秋篠宮家を出ていかなくちゃいけない。宮内庁の後ろ盾がなければ、眞子さまは赤坂御用地から出るのも困難なのに、成田空港までどうやって行くのですか。これまでは特別旅券でしたが、新たにパスポートを取るとなれば、どうやって取るのですか。アメリカに行ったとして、どうやって住まいを探せますか。親娘が仲たがいしたまま、国民の理解と祝福が得られない結婚を強行しても、実際は身動きが取れなくなります。万が一にもないとは思いますが、もしも殿下が宮内庁に『動くな』と言えば、眞子さまは何もできなくなります。リスクが大きすぎることは眞子さまも承知しているはずです」

では、長女の結婚問題が中ぶらりんになっていることに対し、秋篠宮さまに焦りがあるかというと、どうもそうではないらしい。

「殿下はこのままでもいいようです。眞子さまは優秀な皇族です。のみ込みが早いし、社交性もある。どんな場所に出ていっても皇族としての公務は上手だし、安定感があるからすごい戦力なのです。皇族の数が減少していく中で、そんな皇族は貴重な存在ですし、眞子さまがいなくなるのは皇室にとっても大きな痛手です。だから小室さんとの結婚が破談になってもいいから、皇族でいてほしいんだと思います」(秋篠宮家関係者)

■今秋以降は皇室行事が続々と

 今年4月に公表された「小室文書」について、西村宮内庁長官は「理解できた」と発言して泥をかぶったつもりだったが、あいにく国民には理解してもらえず、眞子さまが希望していた30歳(10月23日が誕生日)までの結婚は難しくなっている。

 延び延びになっている結婚時期はさらに延期か。

「秋になれば新型コロナも落ち着いてくるだろうということで、殿下はこの秋に、去年から延期になっている伊勢神宮などへの参拝を予定しています。そうなれば準備などで、眞子さまの結婚はますます厳しくなりますね。その後には、20歳になる愛子さまの誕生日を皮切りに、皇后さまの誕生日、上皇さまの誕生日、そして新年の行事へと突入していきます。年が明ければ歌会始まで皇室の大きな行事が続きますので、眞子さまの納采の儀をやっている場合ではなくなります。陛下の誕生日(2月23日)も控えていますから、落ち着くのは早くても来年の3月でしょう。それまでに世間が落ち着いてくれば、いよいよということになるのではないですか」(皇室事情通)

 どちらにしても、年内結婚の可能性は消えたということのようだ。

 来年の春までに、小室さんの司法試験合格と就職、それに伴う世論のバッシング軟化といった状況が生まれているかどうか。

 眞子さまと秋篠宮家の不安はまだまだ続く。

 
記:先日お知らせした内容 {精神科医の片田珠美さんは「小室圭さん、そして佳代さんは『例外者』だと思います」と語る。

「例外者というのは、自分は不利益を被ってきたのだから例外的な特権を求めていいと思い込んでしまう人のこと。精神科医のフロイトが名づけた性格類型です。とくに子供のころに苦労した経験があるとこのような思い込みを持ちやすい。佳代さんは母親が病気で裕福な家庭ではなかったといいますから、そうした生い立ちも影響しているのかもしれません」
であればもともと精神を患っている家族のもとに嫁いで一般社会のことに疎い眞子さまは家族団らんの生活ができるのでしょうか。そして生まれてくる子供にも精神的に何らかの異常が遺伝されたている可能性があるのではないでしょうか。。。。。。

都内のコロナ陽性率20%超えは「はっきり言って異常」 ウイルス研究者が警告

2021-09-01 10:00:00 | 日記

下記の記事はAERAdotからの借用(コピー)です。


 新型コロナのデルタ株が猛威を振るうなか、同等の感染力を持つとされるラムダ株が空港検疫で検出され、新たな変異株襲来の可能性に警戒感が高まっている。次々に出現する変異株の特徴や、感染の今後の見通しについて、ウイルス研究の専門家で、新型コロナ研究コンソーシアム「G2P-Japan」を主宰する、東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授に聞いた。


――佐藤氏が主催する研究で、日本人の6割がデルタ株に対する免疫反応を十分に起こすことができない可能性があるという結果が出ました。つまり、日本人はデルタ株にかかりやすいということでしょうか。

 日本人の6割は、HLA−A24という細胞性免疫を保有しています。HLA−A24は、免疫反応をつかさどるHLA(ヒト白血球抗原)の一種。このHLA−A24という免疫から、デルタ株は逃れることが研究でわかりました。

 だからと言って、日本人だけが、デルタ株に対する免疫が弱いというわけではありません。たくさんある免疫のうちの1つをすり抜けていくというだけです。1つの免疫を逃れることにより、どれほどインパクトがあるのかは、まだわかっていません。デルタ株は、世界中で流行しているので、日本人だけがかかりやすいとは言えません。

――第5波はピークアウトの兆しが見えません。どのような状況になったら減少傾向になると推測できますか。

 人の行動が減らない現状からすると、難しいと思います。これまでの波は、緊急事態宣言が発出されたからピークアウトしたのではありません。緊急事態宣言が発出され、実際に人の行動が変化したから減っていました。第5波では、行動が変化しているのか疑問です。

 ピークアウトどころか、現状のまま人々の行動が変わらなければ、感染者数は増え続けると思います。毎日、夕方に感染者数が発表されますが、おそらく東京都の場合は、現在の検査体制のままだと5000人台で頭打ちでしょう。見た目上はこの数字が続くでしょうが、実際の感染者はもっと多いはずです。8月以降、都内の陽性率はずっと20%を超えています。この数値は、はっきり言って異常です。

――感染者が増加の一途をたどるなか、ワクチン接種は特効薬となるのでしょうか。

 国民の7割がワクチンを接種しないと増加を抑えられないと言われています。日本はまだ4割。いま接種を急いだとしても、7割達成までにあと何カ月かかるのか。第5波のピークに歯止めをかける特効薬にはならないと思います。

 また、デルタ株は、ワクチンを接種しても感染する「ブレイクスルー感染」が世界中で報告されています。現状、ワクチン接種が進んだ後に流行しているのは主にデルタ株ですが、デルタ株だからブレイクスルー感染するのか、たまたまその地域で流行しているのがデルタ株なのか、まだわかっていません。

――南米由来の変異種ラムダ株が日本でも空港検疫で検出されました。もし市中に広がった場合、他の変異株と比べてどういった点を注視したほうがよいでしょうか。

 当研究チームで行ったラムダ株の実験では、ラムダ株もデルタ株と同じようにウイルスの感染力を増強させ、ワクチンで誘導された中和抗体に抵抗性があるという結果が出ました。

 ただ、デルタ株とラムダ株では、どちらのほうが危険かは不明です。ラムダ株は、主に南米で流行し、致死率が高いという情報もありますが、まだ研究が進んでいません。

――ワクチンを接種した人と未接種の人が混在しているなかで、ウイルスはどうのように生き残っていくのでしょうか。変異を繰り返し、ワクチンが効かない変異株も将来的に現れるのでしょうか。

 一般的に、細胞実験において、よく効く薬を適量入れると、ウイルスの増殖は止まります。しかし、中途半端な薬の量で増殖を半分くらい抑えると、ウイルスの増殖を一時的に抑えられたとしても、薬が効かなくなる変異を獲得して増殖していきます。これは、新型コロナだけでなく、どんなウイルスでも同じです。

 今のようにワクチンを接種した人と未接種の人がいるなかで、感染拡大している状況は、まさに、細胞実験と同じ状況が人の集団で起きているとも考えられます。免疫を持っている人と、持っていない人が混在してウイルスが広がっているということは、ワクチンで免疫を獲得した人の中ではあまり増えないけれど、そうではない人の中では増殖していきます。

ワクチン接種によって免疫を獲得しても、ウイルスはその免疫を逃れるような変異を獲得してしまう可能性があります。イギリスの緊急時科学助言グループ(SAGE)は、ワクチンが効かない新型コロナ変異株が出現する可能性を、高い確信をもって推測していました。これは十分に想定されることだと思います。

――新型コロナが、季節性インフルエンザの水準になるなど、収束する日は来るのでしょうか。

 ウイルスが勝手に弱毒化していく可能性は低いでしょう。そのため、少なくとも数年単位で弱毒化し、自然に収束していく可能性はきわめて低いでしょう。ワクチンから逃れる変異が出てこなくなり、世界中の7~8割の人にワクチンが行き届いたら、ウイルスは増殖する方法がなくなり、また重症化するリスクも減っていきます。そうなると、季節性の風邪と同じ扱いになると思います。ウイルスは残っていても、みんなが免疫を持っている状況になれば、収束となるでしょう。

 ただ、新型コロナは、ワクチンによって重症化が抑えられたとしても、インフルエンザに比べ、味覚障害や嗅覚障害、記憶障害など様々な後遺症が残る可能性が高いとされます。ワクチンを接種して重症化は抑えられたとしても、後遺症に対してはまだ把握されていません。

――日本でも3回目のワクチン接種が検討されていますが、有効性を教えてください。

 ワクチンのブースター接種は有効です。むしろ、高い効果を求めるよりは、持続性だと思います。イスラエルでは、今年の頭くらいにワクチンを打った人たちが、再び感染しだしました。ワクチンの効果が長持ちしない可能性があるため、もう3回目の接種に進んでいます。ただし、3回目を打ったところで、半年しかもたなかったら、また4回目を打たないといけないわけです。先進国だけ3、4回を打つよりも、途上国で1回、2回を打ったほうがいいのではないかという議論もあります。

(聞き手=AERA dot.編集部・岩下明日香)