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実家から逃げられない「寺の跡取り娘」悲壮な告白

2021-09-09 15:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です。

以前この連載で「牧師さんの娘」の話を紹介したことがあります。「周りの子と違う」境遇に居心地の悪さを抱いてきた彼女は、似た環境ながらも周囲とはなじんだ「お寺や神社の子」をうらやんでいたものですが、今度はその「お寺の子」から連絡をもらいました。
姉妹の長女として、婿をとり「寺を継ぐ」ことを期待されて育った瑞樹さん(仮名、30代)。いまは地元を離れているという彼女も、「教会の子」とはまた違ったしんどさを感じてきたようです。
落ち着いた口調で、的確な言葉を選んで話す様子に、なんとなく「お寺の人っぽさ」を感じた筆者も、ある種のステレオタイプにとらわれているのかもしれません。これまで見て、感じてきたことを、教えてもらいました(取材は2021年7月)。
父の実態を知られれば「檀家さんに見放される」
両親、そして同居する祖父母は、いずれの組み合わせも不仲でした。「四つ巴(よつどもえ)の状態」だったというので、かなり穏やかではありません。

母親はおっとりとした性格で、父親にあまり逆らわないタイプでしたが、たまに「ちょっと違うんじゃない?」と意見などすると、父親はたちまち機嫌を損ねてしまいます。「家の空気がピリピリ」程度でおさまればいいのですが、「ドカーン」と爆発することもたびたび。母親に手を上げることもありました。
「機嫌がよければふつうにしゃべれるんですけれど、急に沸点が来ると、もう手がつけられなくなっちゃうんです。どこに怒らせるポイントがあるかわからないのも、面倒でした。まったく理解がないかというとそうでもなくて、『え、そこはいいんだ?』みたいなこともあって、基準が全然わからない。母からは(父のことを)『身体の大きな弟だと思いなさい』と言われるんですけれど、無理じゃないですか」
難しそうです。なぜ子どもが自分をだましてまで、親を受け入れねばならないのでしょうか。
何より耐えがたかったのは、家ではこれほど横暴な父親が、外では「人の道を説く僧侶」であることでした。酒を飲んでは「俺の稼いだ金で飯を食うな」と暴言を吐き、母親が用意してくれた食事を捨てたり、「女のくせに」と母親をこき下ろしたりしているその人が、「すべての人間は平等。お肉や野菜、食べ物はすべて何かの命をいただいている」などと教えを説き、一時は地元の保護司まで引き受けていたのです。
「お坊さんって、すごく『ちゃんとした人』というイメージがあるけれど、父は真逆なんですよね。そんな人が住職をやっているようなお寺だってわかったら、檀家さんに見放されて、私たち生活できなくなるのでは、という恐怖がありました。そもそも住職かどうか以前に、人として尊敬できないですし。それが、私にとってはすごくしんどくて。
もし『あのときはごめん』とか、子どもの前で母に謝って仲直りするような家だったら、また感じ方が違ったかもしれないんですけれど、嵐が過ぎ去ったらそれで終わりなんですよね。なんのけじめもなく、なんとなくまた会話が始まって、もとに戻る。子どもには『悪いことをしたら謝りなさい』と言っておいて、それはどうなの?というのはすごく思っていました」
「当たり前」のこととして求められる前提
いつか瑞樹さんが「お寺を継ぐこと」は、家族のなかで、言わずもがなの前提でした。
「檀家さんや祖父母からは『継ぐんだよね?』みたいな言い方をされる。親からは『継げ』とは言われないんですが、『宗派の大学に行ったらいいよね?』みたいな謎の誘導を受けて、私にはそれしか認められてないんだなって感じていました。『自分で考えなさい』と言われるんですけれど、じゃあ私が全然違う大学に行くって言ったら、入れてくれるの?みたいな。
ただでさえ家がしっちゃかめっちゃかなのに、私がそんなことを言ったら、うちはどうなっちゃうんだろうと思うし、母が周りからやぁやぁ言われて苦労するのも目に見えている。自分がやりたいこと以前に、いまの家庭環境を少しでも平和に維持するためには、その選択肢しかないんじゃないのかな、というのが最終的な自分の判断だったんです。いま考えると、もっと私自由に生きてよかったと思うんですけれど」
「こうしろ」とはっきり言われるよりも、「当たり前」のこととして空気で求められる要求のほうが、はねのけるのが難しそうな気もします。
悩みを共有できる相手が周囲にいなかったのも、つらいことでした。高校の頃に一度、友達に打ち明けようとしたら、話のさわりの部分で「お寺のことはちょっとわからないし、なんとも言えないね」と言われてしまったこともあったそう。
「だから大学に行って、同じような境遇の友達ができたとき、『自分だけじゃなかったんだ』と思って、めちゃめちゃうれしくて。初めて、自分の寺の悩みを正直にしゃべれる関係性ができたので。そういう意味では宗門の大学に行ってよかったな、と思うんですけれど、でもそういうレールに乗っちゃったことも悔しくて」
仲間は、ごく少数でした。そもそも、その宗派の大学に来ている男女の割合は、約9:1だったそう。それでも、わずかな女子のなかには瑞樹さんと同様、跡取りの立場の子も何人かいたので、仲良くなって、いろんな話を共有できたということです。
「次男だから?」人を好きになるのが難しくなった
大学時代は、恋愛や結婚についても、ずいぶん悩むことになりました。
「周りの子のなかにも、大学にくるとき親から『長男はダメ。次男、三男探しておいで』と言われてきた人は何人かいて。私も言われてますけれどね。要は『お寺を継いでくれる人を、大学で見つけてらっしゃい』ってことです」
つまり、将来お坊さんになって、お寺を継いでくれる相手としか結婚できないわけです。そんな人は、そうそういないでしょう。宗派の大学は男性が多かったものの、うち7、8割は、自分の家の寺を継ぐ長男たちです。寺の次男や三男、あるいは一般の男性も少しはいたものの、そのなかだけから選ぶというのは、なかなか無理がありました。
「長男と恋愛したときって、先がわかるんですよね。どっちのお寺に行くの?となったら、うちは確実に揉めるんです。妹は継がないし、檀家さんも私が継ぐと思っている。そうすると、私ひとり悪者になるの?みたいな。最終的に母が困ることを考えると、長男と恋愛してもいいこと1個もないな、と思うようになって。
じゃあ次男、三男だから好きになるかというとそうじゃないし。そのうち、その人自身が好きなのか、次男、三男という境遇が好きなのか、わからなくなってきて。人を好きになること自体、できなくなってきたんです。いいなって思う人がいても、『次男だから好きなのか?』と思ってしまって」
なんだかドラマのような話ですが、瑞樹さん本人からしたら、とても苦しいことです。周囲の「跡取り」の友人たちも、同様の悩みを抱えていたといいます。
「友達とは、恋愛の話のほかにも、『母が苦労しているよね』『お父さん最悪だよね』という話でも、よく盛り上がっていました。『お寺の女の人って“平等”からかけ離れて“奴隷”みたいだよね』とか『我慢しかしてないよね』とか」
男友達でも、同様の悩みを抱えている人はいたといいます。自分の母親が寺で苦労してきたのを見ているので、やはり「自分の好きな人にそんな思いをさせるのは躊躇する」と悩んでいたそう。
そもそも、お寺の女の人というのは、どんな仕事をしているのでしょうか。筆者もあまり訪れる場所ではないので、たいして想像がつきません。「法事で人が集まったときとか、大勢にお茶を出すの大変だろうな」といった程度しか、すぐに思いつかないのですが、あとはどんなことがあるのでしょう?
「そういうのもあるし、田舎のお寺は敷地が広いので、ひたすらずっと草むしりとか。日々の掃除や洗濯といった家事のほかに、広いお庭を維持したり、お御堂の掃除をしたり。電話もたくさんかかってくるし、来客も多い。まず人の顔を覚えるのも大変です」
頼まれてもいませんが、筆者など想像だけでへばりそうです。しかも、お寺に生まれた男性は「跡取り」として特別に育てられるため、瑞樹さんのお父さんのように男尊女卑で、DVやモラハラをする人も少なくないといいます。瑞樹さんは恋愛に、すなわち結婚相手選びに、とても慎重にならざるをえませんでした。
瑞樹さんの結婚までの経緯
さて、その後。いま瑞樹さんは、お寺に関係する仕事をしながら、夫と子どもと暮らしているといいます。結婚まで、どんな経緯があったのでしょうか。
「10年くらい前、いまの職場で出会った人と、たまたま運よく結婚できたんです。相手は一般家庭の出身で、『お寺に入ってもいいよ』と言ってくれる人だったので。私の知り合いに、『好きな人がいたけれど結婚できなくてずっと独身』という跡取りの女性は何人かいるので、私は本当に『ラッキー』という言葉以外にない感じです」
それは、何よりのことでした。では、やはりいつか、実家のお寺を継ぐのでしょうか?
「うーん、本当はもう交代してもいいのかもしれないんですけれど。わたし自身が、父と一緒にお寺に住んでやっていける自信がないんです。同居すれば諍いが起きる気がして、そういう場に夫を置くのも気が引けるし、ましてや、まだ幼い子どもにそういうものも見せたくない。私自身、親や祖父母の『四つ巴』を見てきてすごく嫌だったので。離れて暮らすことで、今もほどよい関係が保てていると思います」
早く継がねば、という気持ちもあるようですが、聞くと先代の住職が亡くなってから交代するお寺もあるそうなので、瑞樹さんもそれでよいのでは。お寺を継ぐだけで、十二分ではないのかなと感じます。
「継ぐハラ」はもうやめて
瑞樹さんは「家を継ぐか継がないかは、本人の自由にさせてやってほしい」と話します。
「世襲制って本当に人の自由を奪うところがあって。お医者さんや弁護士も『親の跡をとって』みたいなのがありますが、とくにお寺や歌舞伎の世界など『伝統』や『歴史』をいわれるところの世襲って、本当に逃げ場がない。『自分が逃げたら途絶える』みたいなイメージがあって、継がないことへの罪悪感が半端ないんですよね。それを誰にもわかってもらえない、というしんどさもあって。
歌舞伎の跡取りの子なども、しんどいだろうなって思います。小さい頃から舞台に立ち、ほかの生き方をしたいと思ったときには、後戻りできないところまでいっていると思うので。どうかグレずにそのまま、やりたいことが歌舞伎でありますように、と願います。やりたいことがあったらどんどんやってほしい。でも、その選択を応援してくれない社会があるから、気の毒だなと……」
気をつけねばと思います。われわれ一般人は、本人の苦しみなど想像もせず「跡取り」ともてはやし、その人たちを追い詰めてしまっているのでしょう。
「お寺の業界では周知の事実なんですが、うつ病になる人がとても多いんです。うつが高じると、自死までいってしまうこともある。そもそもお寺のなかが家族として機能不全で、しかも、世襲だから逃げられないという絶望感がありますよね。お寺じゃなければ、また、長男長女でなければ『こんな家(寺)、いつか出てやる!!』という思いを支えに頑張ることもできますが、跡取りはそうはなりません。
やっぱり、世襲制ってそれだけしんどいんだろうなって思います。だからどうか、家を継ぐか継がないかは本人の自由にさせてほしい。社会も温かく見守ってくださいって、正直思います」
気軽に「継ぐんでしょ?」とか言っちゃダメなんですね。そう筆者が応じると、「『継ぐんでしょうハラスメント』ですね(苦笑)」と、瑞樹さん。新語「継ぐハラ」が生まれたところで、取材を終えたのでした。


「むしろ寿命を縮める可能性も」がん検診にオプションを付けまくる人が陥る意外な落とし穴

2021-09-09 13:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

さまざまながん検診を詰め込んだ「メガ盛り」人間ドックを売りにしているクリニックがある。医師の中山富雄さんは「お得感だけで安易に手を出すと過剰診断を引き起こし、苦渋に満ちた治療を迫られるかもしれない」という――。
※本稿は、中山富雄『知らないと怖いがん検診の真実』(青春新書)の一部を再編集したものです。
悪さをしない「おとなしいがん」が治療対象に変わった
もう30年ほど前になりますが、医学部の病理学実習で70~80歳の男性には前立腺に8割方、小さながんがあると教わりました。
なんらかの病気でお亡くなりになった高齢の男性を調べると前立腺がんが見つかることは珍しいことではありません。亡くなったあとの解剖で見つかるがんをラテントがんといいます。生前にはなんら悪さをしなかった、いわば「おとなしいがん」です。
高齢男性の前立腺にできた「おとなしいがん」は症状もなく診断されることもなく、ご本人はがんの存在に気づかずに天寿を全うなさいます。がんを持っていても、必ずがんで命を落とすわけではないのです。高齢男性にはたいてい前立腺がんがあり、そのほとんどが「おとなしいがん」であることは医者にとって常識でした。
ところが、私が医者になってしばらくすると「前立腺のおとなしいがん」を取り巻く環境が変わり始めます。
前立腺にあるタンパク質の一種であるPSA(前立腺特異抗原)を測定して、前立腺がんを早期発見できるようになったのです。採血だけという手軽さや、メディアでの紹介もあってPSA検査はどんどん広まっていきました。
確かに、PSA検査の精度は高く、多くの方にがんが見つかりました。
精度が高いので本当に小さながんも見つかります。しかも、その多くがお年寄りです。30年前の解剖の授業ですでに常識として語られていた「高齢者の前立腺にはたいていおとなしいがんがいる」という状況を肯定する結果です。
当時と状況が異なるのは、おとなしいがんであるはずの高齢者の前立腺がんが、「早期発見」されたばかりに治療対象となってしまったことです。
PSA検査が浸透して前立腺がんはどんどん見つかっていきますが、患者数の増加に見合うだけの死亡率の大きな変化は見られませんでした。
早期発見・早期治療が奏功するがんを発見していたのであれば死亡率は大きく減少するはずなのに、死亡率はほんの少し減ったかなという程度だったのです。つまり、治療など不要な「おとなしいがん」が大量に発見されてしまったことを意味します。
患者数の増加と死亡率の変化が噛み合っていないことから、PSA検査は過剰診断に走りがちとの認識を持つ医療関係者も出てきて、検査の扱いを検討する議論も見られるようになりました。
さて、がんを手術や放射線などで治療することを「根治療法」といい、検査をしながら病気の進行を見守り、病状に応じて根治療法の時期を見極めることを「監視療法」といいます。
前立腺がんの10年間の死亡率が監視療法と根治療法で差がなかったことが明らかになり、現在では前立腺がんに対してはPSA検査の数値の変動を定期的にチェックする監視療法が取られるようになっています。
手術でかえって日常生活に支障をきたす可能性が高い
PSA検査では、おとなしいがんだけでなく質の悪い前立腺がんも見つかっているはずで、そうしたがんの治療は患者さんの命を救うことにつながっている可能性はありえます。
また、手術で前立腺を摘出してがんができる場所をなくしてしまえば、以後、前立腺がんのリスクをかなり小さくすることもできます。
しかし、だからといって「前立腺を取って以後のリスクが減るのならよい」とは簡単には言えません。
前立腺は排尿や性機能に関わる神経と接しているため、術後に尿漏れや性機能障害を起こす可能性が高いのです。これはQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)の低下を招きます。
特に尿漏れは日常生活への影響が大きく深刻な問題と言えます。
現代の高齢者は溌剌はつらつとして、ボランティアだ趣味だ旅行だと、大変活動的です。老後を「第二の青春」として謳歌おうかしている方のなんと多いことか。尿漏れやその対策のオムツは、往々にして活動の幅を狭めてしまいます。
前立腺に限らず、手術の後遺症というのは予測がつきません。あの人が大丈夫だから、この人も大丈夫というふうにはいかず、蓋を開けてみるまでわからないのです。
がんが見つかれば切除してほしいと思うのが人情
健康番組で紹介された品が、翌日のスーパーからゴッソリなくなるという話はよく聞きます。メディアの影響は医療現場にも及ぶもので、有名人ががんを公表したり、「○○検査でがんが見つかった」などと紹介されると、関連の医療機関が一気に賑わうというのはよくあることです。ある種のブームです。
すると、ある特定の病気について検査件数がグーンと伸び、追って「その病気である」と診断を受ける方がグググーンと伸びることがあります。こうしたブームが発生すると、検診を研究している立場としては「これは過剰診断ではないか」とちょっと身構えてしまいます。
お隣の国、韓国は長く検診後進国といわれていました。そこで政府主導でメディアも巻き込んだ乳がん、子宮頸がん、結腸がん、肝臓がんの検診が始まったのが1999年のこと。そのとき、オプションとして甲状腺がん検診も受けられることになりました。
超音波での検査はくすぐったいくらいで身体に大きな負担もなく、追加料金も3000~5000円ほどとお手頃だったので多くの人がオプションに加えます。
がん検診のオプションに入れられる前の甲状腺がんの患者数は年間1000人程度。それが2011年にはその約15倍もの方が「甲状腺がん」と診断されるようになりました。当然、治療を受ける人も激増します。
韓国の甲状腺がんの治療ガイドラインでは、腫瘍が1センチ以下の場合は切らないと示していましたが、がんが見つかれば切って取り除いてほしくなるのは人情です。5ミリ程度の腫瘍であっても、ほぼ半数の患者さんが手術で取り除くことを希望しました。しかしながら、死亡率に変化はありませんでした。つまり、手術してもしなくても死亡に関係のない完全なる過剰診断が横行してしまったわけです。
元気に長生きするための手術が逆に寿命を縮める皮肉な結果に
韓国で甲状腺がんの検診が増えたことは、過剰診断のほかに「偶発症」の問題も引き起こしました。偶発症とは、胃バリウム検査で台から落ちて骨折する、内視鏡治療で腸に穴を開けられるなど、検査や治療で障害などが生じることを指します。
甲状腺は喉仏の下にある臓器で、身体の代謝を調節する甲状腺ホルモンを分泌しています。手術によって甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまうと、後遺症として手などのしびれ、けいれん、便秘のほか、倦怠けんたい感があらわれることもあります。
偶発症としてよく知られているのが発声のトラブルです。
甲状腺の裏に通っている発声に関わる神経が傷つけられ、声が出せなくなってしまうのです。韓国のケースでは、手術を受けた人のうち2パーセントが神経を傷つけられたという報告も上がっています。
声帯にシリコンを入れれば発声はかなり改善しますが、うまく喉は動かせないままなので、食べ物が食道ではなく気管に入り込んでしまう誤嚥ごえんが起こりやすくなります。
高齢者の場合は誤嚥から誤嚥性肺炎となって、そのまま亡くなることも珍しくありません。日本では70歳以上の肺炎患者のうち約7割が誤嚥性肺炎。そして、誤嚥性肺炎は死因の第6位となっているほどです(2020年 厚生労働省)。
高齢になるにつれ咀嚼そしゃく力や嚥下力が衰えるので誤嚥性肺炎を起こしやすくなりますが、甲状腺がんの手術によって誤嚥性肺炎のリスクは一層上昇するかもしれません。
元気で長生きするための甲状腺の手術が、逆に寿命を縮めてしまうという皮肉な結果も予想されるのです。
医療の進歩でどんながんも見つけてしまえるようになった
過剰診断が起きてしまう大きな要因となっているのが医療技術の進歩です。今までなら見つからなかったような小さながんも、どんどん見つけてしまえるようになっています。
本来、治療とは命を助けるもの。そして、転移などのように状態が悪くなるのを防ぐためのものです。
治療そのものが、身体はもちろん、精神的にも大きな負担になるケースもあり、その負担をどこまで許容すべきか? その許容の線引きは医者がするのか? 患者がするのか? 実に悩ましいところです。
例えば大腸ポリープなどは検査のついでに取ることができ、患者さんもしんどい思いをすることもありません。
腸のなかにあって現物など見たことも触ったこともないのですから、ポリープに愛着などさらさらなくて「取ってもらった、ラッキー!」という反応がほとんどです。
しかし、そうはいかないケースは多々あります。
例えば、女性なら子宮や卵巣、乳房。男性なら前立腺など、その方の心の深い部分につながっている臓器に対しては、治療法の選択が苦渋に満ちたものになることもあります。
一昔前はとにかく「全摘」という治療が主流でした。がんがどこまで及んでいるのか手術前の段階では必ずしもわからないので、大きく取ってしまったほうがいいという古典的な外科の戦略です。
現在でも、ある種の乳がんに対しては全摘が標準療法としてガイドラインで定められています。
「なにか」の発見は必ずしも人を救うとは限らない
触診では見つけることができない非浸潤性乳管がん(DCIS)は、マンモグラフィーの登場で発見できるようになりました。がんの進行をあらわすステージは0期。早期といわれるI期にもなっていないため、「超早期がん」とも呼ばれます。
超早期なだけに予後も良好なので部分切除(温存療法)がおこなわれる場合が多いのですが、乳房全体に同時に複数できてしまった場合などでは全摘をすすめられることがあります。ごく早期でありながら、女性にとってはつらい決断を迫られる場合があるのです。
私のところにいらした30代の乳がん患者さんは、1年前に別の病院で泣く泣く全摘の手術を受けたそうです。「自分の命との取り引きだった」はずの全摘ですが、定期検査でCTを撮ったところ肺に小さな、本当に小さな「なにか」が映っていて、担当医に「転移かもしれない」と厳しい宣告を受けました。
事の顚末てんまつを語る女性の表情は暗く、今にも泣き出さんばかりの様子で言葉も途切れがちです。私も覚悟を決めてそのCT画像を見せてもらいました。
「へ? これですかね? この程度の小さな影は10人に1人ぐらい誰でも持ってますよ」
女性は半信半疑の様子です。紹介医である乳腺外科医に「乳がんの転移や肺がんなどではなく、感染症など炎症の可能性が高く、基本は放っておいてよい」と返事を書きました。
「心配なら半年後にまたいらしてください。そしたら大丈夫だって安心してもらえるでしょうから」
そして半年後。カルテを見ながら「おっ、あの女性か」と診察室のドアが開くのを待っていたら、別人かと見まがうほど晴れやかな笑顔の女性が入ってくるではないですか。おまけにこんがり日に焼けています。
「先生、私ね、この病院でも『転移してる』って言われたら、帰りにどっか飛び込んでたわ。でも、平気って言われて気持ちが軽くなって、もう嬉しく嬉しくて、この前ハワイに行ってきましたよ!」
「ハワイですか、よかったですなあ!」
改めて検査をしたら、肺に映っていたはずの小さななにかは、すっかりどこかに消えていました。
昔であれば、とうてい気づくこともなかった「なにか」を見つけられるほど医療技術は進歩しました。しかし、その「なにか」を見つけることが、必ずしもその人の命を、心を救うとは限らないのです。
お得感をくすぐる「メガ盛り」の人間ドック
お勤めしている方の楽しみのひとつと言えば「ランチ」でしょう。オフィス街には和洋中さまざまな店が軒を並べ、店先のメニューを見ていると目移りしてしまいます。
そんなとき、「おっ、これにしようか」と気持ちがなびいてしまうポイントは「お得感」ではないでしょうか。
例えば、肉がご飯の上にどっさり乗っている「メガ盛り」。
「こんなにたくさん! とってもお得!」
私もそう思います。なんなら「食べないと損!」と焦って店に入ってしまいます。損得が最初に来てしまうと、「ホンマに今日は肉の気分?」「こんないっぱい、入る?」「この肉、どこの肉?」なんてことは、もはや関係ありません。なんせ「得」なのですから。
ランチなら「イマイチだったな」で済みますが、お得感をくすぐる「メガ盛り」は医療の分野でもすっかり定番になっています。山盛りの検査メニューを売りにしている人間ドックなどは日本中にあります。
数年前のことです。ある自治体の検診を受託している某クリニックに、自治体の調査が入りました。
その自治体の職員は、クリニックが配布していたチラシを見て仰天します。
自治体の検診では5項目のところ、
当クリニックではわずか○千円の追加でなんと80項目できますよ
「The・メガ盛り」な内容を大々的にアピールしていたのです。
医療は患者さん一人ひとりの健康をサポートするためのものであり、その過程で人生に深く関わることもあります。患者さんとのファーストコンタクトになる可能性もある広告表現にも大きな責任が伴うのです。
「金額」は患者さんにとって気になる情報ではありますが、その表示の仕方には次のような姿勢が求められています。
――費用を強調した品位を損ねる内容の広告は、厳に慎むべきものとされておりますが、費用に関する事項は、患者にとって有益な情報の1つであり、費用について、わかりやすく太字で示したり、下線を引くことは、差し支えありません。費用を前面に押し出した広告は、医療広告ガイドラインにおいて、品位を損ねるものとして、医療に関する広告として適切ではなく、厳に慎むべきとされています。――
(「医療広告ガイドラインに関するQ&A」2018年 厚生労働省)
検査の量は必ずしも診断の質を担保しない
ちょうどその時期は病院が出す広告について法改正がおこなわれたばかりで、チラシの表現は法に抵触するのではないかと国に報告されました。
ただ、一般の方々はそんなことは読み取れません。
同じチラシを見ても「お得だ!」と肯定的にとらえてしまう方が多いでしょう。
なんせ80項目もあれば、身体のすみずみまで、それはしっかり診てもらえるような気がするではないですか。
ところが、80も検査項目があっても、それをきちんと読み取れる医者がいなければ意味がありません。そもそも、そんな大量の項目は無意味なのですが。
人間ドックの場合、検査項目が多いほどしっかり診てもらえそうな気がしますが、そういうわけではありません。
検査項目を決めているのは医者ではなく、ほとんどの場合、事務方だからです。
医学的知識がないと、「メガ盛りはウケがいい」「あのクリニックも入れてる」「ムダな検査なんてないだろう」と、やたらめったら項目を追加してしまうのです。
検査の「量」が必ずしも診断の「質」を担保するわけではないのです。
「高かろう悪かろう」の検診もある
「量」で検査の「質」を担保しようとするのが「メガ盛り」だとすると、「お金」で「質」を担保しようとするのが高額な人間ドックでしょう。
知り合いのフリー編集者の男性は、ここ10年ほどずっと人間ドックに通っているそうです。毎年1回ベーシックなコースで4万円ほどかかるそうで、50歳になってからは前立腺がんのPSA検査、脳ドックなどオプションも増え、かなりの金額に膨れ上がりました。
さて、日本の検診受診率が低い理由として「忙しい」「身体の調子がよい」とかいわれていますが、それを確かめるため「検診を受けたことがない人」数名にインタビューをおこないました。
中山富雄『知らないと怖いがん検診の真実』(青春新書)
皆さんいろいろな理由をおっしゃいます。
「時間がない」
「検診の通知に気づかなかった」
「日程の都合がつかなかった」
でも、なんとなく理由として弱い。あれこれ質問を変えながら一時間ほどみっちり何十人もの患者さんとインタビューを重ねてわかったのは「たいした理由はない」ということでした。
その話をしたところ、オチに大笑いしていた編集者ですが、ふと「じゃあ自分はなぜ高額な人間ドックを受けているのか」と疑問を口にします。
検診日時や病院を決められる、待ち時間が少なくゆったりしている。いくつか理由を挙げますが、どれも「4万円」の価値としては弱い気がすると言うのです。
うんうん考えた結果、彼が出した結論がなんだと思います?
「お布施なのかも」
「どういうことですか?」
「これだけ高額なら、きっと検査精度も高いはずと信じられるから……。御利益がありそうというか」
身銭を切る――それもそこそこの金額――ことですっかり安心しきっていたというわけです。
医者のすべてが経験豊富で技術に優れているとは限りません。医者との相性はわかっても、能力を見極めることは同業でない限り難しいでしょう。
「安かろう悪かろう」といいますが、「高かろう悪かろう」もまたあるのです。

中山 富雄(なかやま・とみお)
国立がん研究センター検診研究部部長
1964年生まれ。大阪大学医学部卒。大阪府立成人病センター調査部疫学課課長、大阪国際がんセンター疫学統計部部長を経て、2018年から現職。


「どれでも効くわけではない」ダイエット薬と呼ばれる市販薬に飛びつく人の大誤算

2021-09-09 12:00:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

市販薬の販売を担当してきた薬剤師の久里建人さんは「ダイエット目的で使われる市販薬は薬剤師に相談しながら使ってほしい」と訴えます。何に気を付け、どのように選んだらよいのでしょうか――。
※本稿は、久里建人『その病気、市販薬で治せます』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
体に合った薬を選ぶ
体重を減らす目的で市販薬を購入する方も多くいらっしゃいます。飲むだけで痩せるような夢の薬はもちろんありませんが、「運動や食事と合わせて、何か少しでもダイエットの足しになるようなものが欲しい」と願うお客さんは多いようです。
ところが、薬剤師たちから睨まれている薬が、まさにこのダイエット目的で使われる市販薬たちです。その理由については後ほど詳しく述べるとして、まずは体重減らしの薬の選び方から説明します(以下、肥満症の改善に効果があるとされる薬を「体重減らしの薬」と呼びます)。
体重減らしの薬を選ぶときには2つのポイントがあります。
1つ目は、「体に合った薬を選ぶこと」です。体重減らしの市販薬はみな漢方薬です。漢方では肥満症をいくつかのタイプに分けて、それぞれ異なる対処法を取るのが正しい使い方とされており、例えば防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という薬は、食べ過ぎなどによる脂肪太りで、お腹がヘソを中心に盛り上がったハリのある“太鼓腹”の人などに向く薬です。それに対して、水太りと呼ばれるようなぽっちゃりとした体型で、お腹はボテ~ンとしている“カエル腹”の人などに向くのは防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。
大ヒット商品「ナイシトール」
体重減らしの漢方薬の中で、おそらく最も売れているのは「ナイシトール」です。「ナイシトール」は、2006年に中高年男性をターゲットとして小林製薬から発売されて以来大ヒット商品となり、今や肥満の市販薬の代名詞と言えるほどの地位を築きました。ただし、「ナイシトール」シリーズの商品は全て防風通聖散なので、ダイエットしたいからといって知名度だけで飛びつくと、体に合わない漢方薬を使ってしまうことになります。
体質ごとに薬を選びやすいのは、クラシエの「コッコアポ」シリーズです。同シリーズでは、肥満のタイプ別に3つの漢方薬を用意しています。漢方薬は専門家に相談しながら選ぶのが基本ではありますが、色々な種類があることを知るには格好のシリーズだといえるでしょう。
同じ成分でも「量」が違う
薬選びの2つ目のポイントは、「成分の量」です。例えば市販の防風通聖散は、「ナイシトール」も含めて複数のメーカーから発売されています。お客さんから「何が違うの?」と聞かれることがありますが、一番の違いはエキスの量です。
例えば「ナイシトール」シリーズには「85a」「Ga」「Za」の3種類の商品がありますが、1日分あたりのエキスの量が「85a」で2500mg、「Ga」で3100mg、「Za」で5000mgと異なります(これらはパッケージをよく見ると記載されています)。エキスの量だけではなく、その原材料となる生薬の量も「85a」<「Ga」<「Za」の順に多いことがわかります。
市販薬で最も防風通聖散のエキス量が多い商品は何かと言うと、私が知る限りでは1日分あたり6000mgの商品(クラシエの「防風通聖散エキスZ錠クラシエ」など)です。ところが、外箱にも「6000mg」と大きく書かれているものの、成分表にある「生薬の量」をよく見ると、エキス量が5000mgと少ないはずの「ナイシトールZa」は総量28gで、クラシエは総量27.1gであることがわかります。
なぜこのようなことが起きるのかというと、防風通聖散の規格は実は6種類あり、さらに生薬からエキスを作る製法はメーカーによって異なるため、ほとんど同じ種類の生薬を使っていても、出来上がったエキスの量に差が出るのです。
これは医療用でも同じことで、その微妙な差からか、同じ漢方薬でも「××メーカーよりも、○○メーカーの方が効く」という評を時々聞きます。エキス量が多い方が効果が高いかどうかについては、非常に難しい問題です。そうであるという研究もあれば、そうではないという研究もあります。
防風通聖散は「ダイエット薬」なのか
さて、以上が体重減らしの薬の選び方のポイントですが、これを読んでドラッグストアへ走る前に、知っておくべきことがあります。それは、副作用の問題です。防風通聖散を「ダイエット薬」と表現することには、多くの薬剤師が躊躇します。なぜなら薬剤師は、防風通聖散による副作用が数多く報告されていることを知っているからです。
実は、市販の漢方薬の中で副作用の報告件数が一番多いのが、このダイエット目的の漢方薬なのです。2016年の調査報告によると、2005年度から10年間で厚労省が公表した副作用報告367件のうち、最も多かったのは防風通聖散の110件で、同じくダイエット目的で使われることがある大柴胡湯(だいさいことう)も4番目に多い14件でした。防風通聖散の副作用報告のうち、6割が肝機能異常、2割が肺障害でした。
防風通聖散の副作用
防風通聖散による副作用は、どのように起きるのでしょうか。
一例として2015年の症例報告では、49歳の男性がダイエット目的で市販の防風通聖散を飲み始めたところ、1週間後に発熱と呼吸困難を感じるようになり、入院。医師は薬の副作用による肺障害(薬剤性肺障害)と診断しました。決め手となったのは、男性の過去の副作用歴です。男性はこの8カ月前に病院から体重減量の目的で防風通聖散を処方されており、その時も服用後1カ月で発熱・倦怠感が出たため、自己判断で服用をやめていたのです。
久里建人『その病気、市販薬で治せます』(新潮新書)
なぜ、彼は体に合わないとわかっている薬を再び飲んだのでしょうか?
論文では、男性が市販で購入した防風通聖散は製品名が「ナイシトール」というカタカナだったことから、それが過去に服用して副作用の出た漢方と同じ薬であることに気づかず、ウッカリ購入してしまった可能性が指摘されています。
市販薬の中でも使用者が多い防風通聖散の副作用報告が多くなるのは自然なことでもあり、他の漢方薬と比較して特別危険であるとは言えませんが、軽々に使用している人が多いことは否定できません。“ダイエット薬”というどこか軽い響きに導かれて、自己流で飲み続けることは健康を害することになりかねないでしょう。
本当に体重が減らせるのか
肝心要の話として、防風通聖散で体重が減るという科学的根拠はあるのでしょうか。
ネズミを使った実験では、便の量が増えたことや、便に脂肪が多く含まれるようになったことなどが報告されています。人への効果はというと、肥満者120名(BMI≧25)を対象に、防風通聖散を約2カ月飲んだ人たちと、飲んでいない人たちを比べたところ、飲んだ人たちの体重は0.8キログラム減り、飲んでいない人たちは0.1キログラム減ったという報告があります。食事や排便の量だけでもそれくらいは減りますので、これはかなり小さな差であるように思います。
もちろん、これは報告されている試験の一つにすぎず、実際に漢方薬のプロフェッショナルの手によって体重減少に成功した人はいます。ただし、それには高い専門知識を駆使しながら、安全かつ適切な薬を選びながら……という条件がつくでしょう。
選び方にはコツが必要、効果には個人差が大きい、そして副作用の報告が多い。そんな“扱いにくい”薬だからこそ、資格者に相談しながら使って欲しいのがダイエットの薬です。


眞子さま、小室圭さんと「年内結婚」で日本人が覚悟すべき3つのリスク

2021-09-09 11:00:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です。

結婚は祝福すべきだが、日本という国にダメージをもたらす恐れ
 秋篠宮家の長女、眞子さまと小室圭さんがいよいよ年内に結婚される見通しだという。
 9月1日、マスコミ各社が報じたところによれば、小室さんがアメリカの法律事務所に就職する方向で調整が進んでおり、生活のメドが立ったからということらしい。結婚後、皇籍離脱する眞子さまもアメリカで生活されるそうで、1億3000万円余りとみられる一時金は辞退を検討しているという。
 アンチの方たちには怒られるかもしれないが、個人的にはこういう形で話がまとまって良かったのではないかと思っている。
 確かに、小室家の「金銭トラブル」はまったく解決のメドが立っていない。元婚約者の方や、社会に対するこれまでの対応から、小室母子の人間性というものを疑問視する人がいるというのもよく理解できる。
 ただ、それはそれとして、結婚というのは当事者の問題だ。互いに惹かれ合う2人を引きはなすことは誰にもできない、というのは世界の常識だ。もし国内世論や政治的プレッシャーで2人の結婚を阻止するような事態になれば、中国と並ぶ「人権侵害国」のレッテルを貼られてしまう恐れもある。
 スッキリしない話ではあるが、国民的には到底納得のいかない「税金1億3000万円を小室家へ投入」という事態も避けられるのであれば、いつまでもネチネチと結婚に反対しても不毛なだけだ。
 それよりも気持ちを切り替えて、結婚後に引き起こされるであろう「リスク」に目を向けて備えておいた方がいい。結婚自体はめでたいことだが、日本という国にとっては今後、喜ばしくない事態が起きる可能性が高いからだ。
「縁起でもないことを言うんじゃない!」というお叱りを受けるかもしれないが、残念ながら、「現実」を直視すれば、この結婚が日本という国にダメージをもたらす恐れがあることは否定しようがない。
深刻な3つのリスクとは?
狙われる「ロイヤルファミリー」
 眞子さまは一般の29歳女性ではなく、「菊のカーテン」の中で生まれて、我々日本人ですら知らない儀式を体験し、「皇室の秘密」を目の当たりにしてきた人である。そのような国家神道のキーマンが、かなりクセの強い母子と家族になる。しかも、異国の地で新婚生活を送っていくのだ。これで「リスク」がないと考える方がお気楽すぎる。
 では、一体それはどんなものかというと、深刻なものから挙げていくと以下の3つがある。
1.海外諜報機関が仕掛ける皇室スキャンダル
2.小室さんの「メーガン妃化」
3.眞子さまの「広告塔化」
 まず、1に関しては「スパイ映画の見過ぎだよ」と冷笑する方も多いかもしれないが、そうやって笑っているのは、平和ボケしている日本人だけだ。世界では「ロイヤルファミリー」はほぼ例外なく、国家間の諜報戦に巻き込まれる。その中でも特に、王室・体制から離脱した人物ほど「利用価値」が高いので格好の獲物となる。
 有名なところでは、ダイアナ妃がわかりやすい。
 チャールズ皇太子と離婚して、王室を離れた後も各国の諜報機関はずっとダイアナ妃を監視していた。米メディアによれば、NSA(国家安全保障局)は、ダイアナ妃の電話を盗聴していたという。
 なぜそんなストーカーみたいなことをしていたのかというと、イギリスの「弱み」を握るためだ。利害が衝突したり、対立しているような国からすれば、国家の根幹を揺るがすようなスキャンダルをいかようにも活用できる。例えば、非公式な交渉でカードとして使うこともできるし、メディアを使って公にして、国際世論を味方につけるということもできる。
 クアラルンプール国際空港で暗殺された金正男氏もそうだ。
 北朝鮮というベールに包まれた国の中枢を知る上で、これほど最適な人物はいない。彼が持つ情報の中には金正恩氏の権威・求心力を低下させ、北朝鮮の政治体制を崩壊させるようなものもあったかもしれない。だから、CIA(米・中央情報局)は金正男氏を「協力者」として重宝して彼の逃亡生活を支えていた。彼の息子も現在、CIAがかくまっていると言われている。
もし中国がスキャンダルを利用してきたら…
 さて、こういう「国際社会の常識」を踏まえて、今上天皇の姪にあたり、「菊のカーテン」を自由に出入りしていた眞子さまが、皇籍離脱してアメリカで新生活を送るということの意味を考えていただきたい。
 一時金1億3000万円辞退を検討しているくらいだから、日本から何人もの警護を引き連れていくとも思えない。要人の盗聴や工作活動を日常業務でやっている海外諜報機関からすれば、こんなチョロいターゲットはない。
 考えたくはないが、日本と利害が衝突するような国が、眞子さま、小室さんの夫婦への盗聴・監視によって、皇室内のスキャンダルや「不都合な真実」を入手したら――。
 例えば今、西側諸国は、中国の香港民主化運動や、ウイグル族への弾圧を人権侵害だと批判している。日本も遅ればせながら対応に動き、自民党内でも非難決議を出すべきという声が高まっている。しかし、もしそんな時、たとえば「日本の皇室は、今の時代にありえないような女性差別が行われている」なんて話が発覚したらどうか。中国共産党の報道官は、海外メディアの前で、こんな風に吐き捨てるように言うだろう。
「日本政府は、自国の非人道的な天皇制から国際社会の目を背けるために、中国に対してありもしない人権問題を捏造している」
 そんなバカな話を誰も信じないと思うかもしれないが、これまでもこういうスタイルで、日本は何度も「歴史戦」に敗れてきたという動かし難い事実があるのだ。
小室さんの「メーガン妃化」で、皇室の「謝罪会見」も?
 このような構図は、2の『小室さんの「メーガン妃化」』にも当てはまる。公表した長文の反論文を読めば明白だが、小室さんの中には、自分たち母子は、マスコミや世間によっていわれのないバッシングを受けた「被害者」という強い思いがある。
 今のところ眞子さまとの結婚を実現するため、なるべく波風を立てないようにしているが、結婚まで漕ぎ着けて、しかも遠いアメリカで暮らしているとなれば、押さえ込んでいた怒りを一気に爆発させることもありえる。ましてや、「一時金1億3000万」も辞退をするというのなら、宮内庁や皇室に対して、気をつかう理由もない。
 秋篠宮家との関係もこじれてしまうが、もともと良好な関係だったわけでもないし、結婚すれば眞子さまは完全に小室家側についているので、もはや怖いものはない。
 ならば、散々自分をけなしてきたマスコミや世論に反撃をして、「名誉回復」を目指すことだってありえる。また、出版やメディア出演で、積極的に自分たち母子の正当性を訴えていくということだって、やろうと思えばできるはずだ。
 まさしく、メーガン妃である。
 イギリスのロイヤルファミリーが、王室を離れてカナダに移住したメーガン妃の「人種差別告発」で謝罪に追い込まれたように、日本の天皇や皇室が「謝罪会見」を開くなんて悪夢のような話が現実になるかもしれないのだ。
眞子さまが新興宗教の「広告塔化」の恐れも
 そんな2つのリスクとやや異なって、3の『眞子さまの「広告塔化」』はちょっと方向性が違う。ストレートに言ってしまうと、小室さんの母・佳代さんが信仰している新興宗教に、一般人となった眞子さまが主体的に関わってしまい、布教活動のシンボルにされてしまうかもしれないというリスクだ。
 ご存じの方も多いだろうが、一部メディアが佳代さんの信仰について報じている。例えば、「週刊新潮」が報じた『小室圭さん母が信仰の新興宗教信者「“脱会したら罰が当たるぞ”と脅されてきた人生」』(2019年9月19日号)などだ。
 まず、はじめに断っておくが、筆者はこの新興宗教が問題だとか言うつもりは毛頭ない。記者をしていた十数年前、実際にここの信者の方たちにお会いして、お話を聞いたこともあるが、真面目に信仰に励んでいる方が多い印象だ。もし本当に佳代さんが信者だとしても、信仰の自由なので、誰かに批判されるようなものでもない。
 しかし、これはどんな宗教でも同じだが、新興宗教というのはどうしても「自分の神様が一番」ということを訴えて、信者を増やしていくというビジネスモデルだ。言い方は悪いが、他の宗教を下げて、自分たちを上げるという部分がある。この新興宗教も「唯一無二の神」をうたっているので、どうしてもそうなってしまう。
 さて、そんな宗教を信じる家庭に、日本の神道の頂点にいる天皇家に連なる血統の女性が嫁いだら、果たしてどんな事態が起きるだろうか。
 まず、「改宗」の可能性がある。創価学会などでも親子二代で信者というパターンは非常に多い。大切な家族が信じているものに影響を受けるのは、人として当然だ。
 もちろん、皇籍を離脱して一般人になるわけだから、どんな宗教を信じようとも眞子さまの自由だ。しかし、入ってこられる宗教側からすれば、どうしてもこれを利用したくなってしまうのではないか。宗教というのはあらゆる手段で「信者拡大」を目指すものだ。そのため、他宗教を下げ、自分たちがいかに素晴らしいかを訴える。それには「本当の信仰に目覚めた元皇室女性」は最適だからだ。
 また、その点では「アメリカで生活」も都合がいい。日本国内でもしそんなことをやろうものなら、この新興宗教のもとには、日本中から右翼の街宣車が集まって大騒ぎになるが、アメリカでやれば、そこまで悪目立ちをしない。
 ちなみに、この新興宗教のホームページには、「海外在住のご家族がいられる皆様へ」として、カナダのバンクーバー、カルガリー、アメリカのニュージャージー、ロサンゼルスなどの「海外会場」が紹介されている。
 もし一般人となった眞子さまが「特別ゲスト」として、これらの会場に現れたらどうか。もし「唯一無二の神」への信仰を語るようなことがあればどうか。信者の皆さんは大喜びで、新しい信者も続々増えていく。宗教団体なら、こんな強力な広告塔を利用しないわけがないのではないか。
 仮にそうなったとしても、「宗教の自由」があるので、誰も眞子さまを責めることはできない。ただ、これが天皇・皇室に対する求心力低下につながることが「リスク」なのだ。保守層からは、「なぜあんなことを許しているのか」「そもそも結婚をさせるべきではなかった」などという怒りの声が上がって、「日本人にとって皇室とは何か」という、これまで避けてきたタブーに切り込まなくてはならなくなるかもしれない。
これも時代の流れ…日本人が避けてきた問題に向き合おう
 このような3つのリスクを聞くと、「やはり小室さんとの結婚は反対だ、秋篠宮ご夫妻は国民のために全力で阻止すべきだ」という人もいるかもしれない。しかし、個人的にはこれはもう時代の変化で、しょうがない部分もあると思っている。
 仮に今回の結婚がなくなったとして、眞子さまが次に結婚相手として選んだ人物が問題ゼロになるとも言い切れない。また、佳子さま、愛子さま、悠仁さまと、まだこれから「民間人」との結婚が続いていくだろう。そのお相手が、小室さんのような人である可能性もなくはない。今の時代、日本国籍じゃないということだってあるかもしれない。
 つまり、これらのリスクは、今後も皇室の方たちが、我々国民と同様に、自分らしい生き方を目指していく限り、いつか必ず起きるものなのだ。
「開かれた皇室」をうたい、女性の人権を尊重すると世界に宣言する日本が、かつてのように皇室の人々の「結婚・恋愛の自由」を制約することは難しい。権力や国民のリンチで引き裂いても、いつかそれが蒸し返され、人権侵害だったと問題視される。つまり、日本としても、これらのリスクと真正面から向き合っていくしかないのだ。
 眞子さまと小室さんの結婚は、これまで日本人が避けてきた「天皇・皇室は個人の幸せをどれだけ追い求めていいのか」という問題を、しっかりと考えていくいい機会かもしれない。
(ノンフィクションライター 窪田順生)


「信じ難い」眞子さま・小室圭さんNY新婚生活に警察内部で動揺広がる

2021-09-09 10:00:00 | 日記

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《ついに“駆け落ち婚”へ》「信じ難い」眞子さま・小室圭さんNY新婚生活に警察内部で動揺広がる(朝霞 保人/文藝春秋)
過去には元女性皇族の誘拐未遂事件も
ご結婚後の眞子さまの身辺警護をどうすべきか
「まさに国境をまたいだ“駆け落ち”としか言いようがありません。秋篠宮家の長女・眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんが米ニューヨークの法律事務所に就職し、年内にも眞子さまと結婚する方向となったことで、警察内部では動揺が広がっています。驚きを通り越して『信じ難い』といった声も聞こえてきます。ご結婚後の眞子さまの身辺警護をどうすべきかについては、あまりにも問題が多すぎるからです」
ある警察関係者はこう語る。
小室さんは5月に現地のフォーダム大学ロースクールを卒業し、7月にニューヨーク州の司法試験を受けた。合否は遅くとも12月中旬までには判明する予定で、日本の司法試験と比べてハードルは低いことから合格の確率はかなり高いと言われている。そして無事合格となれば、そのまま法律事務所で働くことになる見通しだ。
当初10月に合否が判明すると言われていたことで噂されていた「10月結婚説」は実現困難になったとみられるものの、合格が判明すれば納采の儀などの儀式は省いて年内にも自治体に婚姻届を提出するもようだ。そうなればコロナ禍の状況を見ながら、眞子さまも現地で同居生活を始められることになるだろう。

過去には元女性皇族の誘拐未遂事件も
「秋篠宮さまが昨年の誕生日会見で『結婚と婚約は違います』とおっしゃったように、憲法の規定に基づいて婚姻の自由は尊重するが『決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない』以上、秋篠宮家として公式儀式は行わないということです。
しかし、皇室を離れて民間人になられるとはいえ、眞子さまが上皇・上皇后両陛下の初孫であることに何ら変わりはありません。天皇・皇后両陛下の姪でもあり、将来の天皇の姉でもあります。身辺の安全確保のため、何らかの手立てを講じる必要があります」(同前)
上皇・上皇后両陛下の長女・黒田清子さんは結婚後、皇宮警察本部や警視庁警備部警衛課の警護対象ではなくなったが、現在も必要に応じて地元警察署が警備対象としている。上皇陛下の姉の池田厚子さんは90歳の高齢だが、岡山の自宅は地元警察署の巡回警備の対象となっている。
「上皇陛下の妹・島津貴子さんは1960年3月10日に結婚していますが、身辺警備はわずか1カ月で解かれています。ただここで大きな問題が起きます。3年後の1963年10月に島津貴子さんを誘拐して身代金5000万円を要求する計画を立てていた誘拐未遂事件が発覚したのです。
警視庁に逮捕された犯行グループは、日本を震撼させた同年3月の吉展ちゃん誘拐殺人事件に触発される形で犯行計画を立てており、島津貴子さん誘拐未遂事件を教訓にして、皇籍を離れた元女性皇族には長期間にわたって必要に応じた警備が地元警察署によって行われることが慣例となっているのです」(同前)
元プリンセスの米国生活、安全確保をどうするか
ただ、眞子さまの場合は日本国内ではなく米国だ。現地では日本の警察には権限が一切ない。天皇・皇族の外国訪問では、皇宮警察の護衛官が身辺を固めるが、拳銃の携行などは通常認められていない。
「天皇陛下は1983年から85年にかけて英オックスフォード大学マートンコレッジに留学されていますが、昭和天皇の孫という立場で将来の天皇であったことから、身辺警護については日本政府が英国政府に依頼し、ロンドン警視庁の警察官が隣室に常時宿泊してマンツーマンの警護に当たっていました。さらに警察官僚だった末綱隆氏が在英日本大使館1等書記官として渡英し、警護兼相談相手を務めていました。
末綱氏は皇太子時代の上皇ご一家の護衛を統括する皇宮警察本部護衛部護衛第2課長を務めたことで、上皇・上皇后両陛下や天皇陛下の厚い信頼を得た人物です。そのために英国行きの白羽の矢が立ったというわけです。2004年5月に天皇陛下が記者会見で『雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です』と述べたいわゆる人格否定発言で天皇・皇后両陛下がバッシングにさらされると、翌2005年9月に再び相談相手として白羽の矢が立てられ、宮内庁東宮侍従長に就任しています」(同前)
現役の皇族で将来、事実上の国家元首となる立場におられた天皇陛下と、元皇族というお立場になる眞子さまを同列に語ることはできないが、米国にとって同盟国・日本の元プリンセスを完全に無視することはできまい。日本政府としても、眞子さまの身辺の安全確保は看過できない問題だろう。宮内庁関係者が語る。
「フォーダム大学は2018年6月、小室さんが8月から留学することをホームページで発表した際、小室さんを『fiance of Princess Mako(眞子内親王の婚約者)』として紹介したことは、現地でもある程度知られているはずです。ですから誘拐や強盗のターゲットにならないとは言い切れないでしょう。
また、眞子さまのご結婚が当初予定されていた2018年度の予算には結婚一時金として1億5300万円が計上されていました。眞子さまは『一時金はいらない』との意向を示されていると宮内庁内ではささやかれており、法律に規定がないので辞退が可能かどうかは不明なものの眞子さまのご意思を尊重するとともに国民世論も踏まえて皇室経済会議で不支給を決めることはできるかもしれません。
世論に反して結婚にひた走る眞子さま
ですが、結婚されるのならば元皇族としての品位を保つ必要があるので一時金は絶対に必要となるはずです。ましてや外国で就職したばかりの小室さんと二人だけで初めて民間人として生活するとなれば色々と物入りになります。物価の高いニューヨークとなればなおさらでしょう。
ただ、儀式を行わないで婚姻届だけ提出するとなると、どのタイミングで皇室経済会議を開くべきなのかも不透明です。先例にならえば、民間人となられてからでは遅いからです。そうなると、小室さんの試験合格で秋篠宮ご夫妻がご結婚に最終的なゴーサインを出されたという公(おおやけ)のアナウンスが必要になるのではないでしょうか」
眞子さまと小室さんのご結婚に否定的な意見が国民世論の間で根強いことの最大の理由は、小室さんの母・佳代さんの金銭に絡む様々な問題にある。元婚約者が一時返済を求めていた借金疑惑や事実婚をしても亡夫の遺族年金の支給は受けたい旨を綴ったメールの存在、「週刊新潮」(8月12・19日号)が報じた勤務先の洋菓子店でアキレス腱を痛めたとして労災を主張し、無断欠勤を続けているとされる疑惑などだ。
「新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、デルタ株の蔓延で感染拡大の収束が一向に見えてこないことで多くの国民が苦しむ中、結婚を強行して1億円を優に超える一時金を受け取られるとなれば、国民の間に批判の声が渦巻くのは想像に難くありません。ニューヨークで日本からの観光客の目に留まれば、暴言を浴びせられるようなトラブルも起きかねないのではないでしょうか。
身辺警備を現地の警察に依頼することや、在ニューヨーク日本国総領事館に警護兼相談相手となる眞子さまの担当ポストを設けることも検討される可能性はあります。ただ、こうしたものにも人件費はかかります。眞子さまがこれを辞退したとしても、日本政府も米国政府も『ああそうですか』という訳にはいかないのです」(同前)
反対の声に一切耳を貸さず小室さんとのご結婚にひた走る眞子さまに対して、宮内庁内には完全に諦めムードが漂っているとされる。秋篠宮妃紀子さまは2020年9月11日の誕生日に際して「長女の気持ちをできる限り尊重したいと思っております」と綴った文書を公表された。現在もそのお考えに変わりはないのだろうか。
事実上の“駆け落ち”を決意したというご長女について、紀子さまは国民にお考えをどう発信されるおつもりか。9月11日に公表される紀子さまの誕生日文書に注目だ。