皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

がんを疑うべき人が抱える「9つの症状」と治療法

2021-09-16 15:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です。

日本人を悩ます「がん」とはいったいどんな病気なのか? がんの発見法から治療法までを、『超リテラシー大全』から一部抜粋・再構成してお届け。今回教えてくれるのは、東京がん免疫治療センター長の明星智洋さんです。
「2人に1人はがんになる」とまで言われていますが、がんにまつわる情報は様々です。今回は、がんについてのリテラシーを考えていきましょう。そもそもがんとは、細胞の暴走による病気です。人間は誰もが「がん遺伝子」を持っており、この遺伝子に異常が起きるとがん細胞が増殖し、身体のあちこちに悪影響を与えるようになります。
胃にできれば胃がん、筋肉にできれば肉腫、血液の成分ががんになる白血病など、その性質もあらわれ方も様々です。がんは遺伝が関係すると考えている人も多いのですが、遺伝的ながんというのは極めて限定的で、ほとんどが生活習慣によるものです。家族で同じがんになることがあるのは、食習慣・生活習慣が似てしまうからだと考えられています。
とにかく「早期発見・早期治療」が重要
がんに関してとにかく重要なのは「早期発見・早期治療」です。早く見つけ、適切な時期に治療できれば身体への負担は最小限で済ませられるのですが、病院嫌いによって気づいたときには手遅れ、ということも少なくありません。
ここではまず検診の仕方について紹介していきましょう。必要な検診と、そうでない検診について紹介します。まずは、推奨したい検査についてです。
<受けるべきがん検診の種類>
1 胸部CT
2 腹部超音波検査
3 胃カメラ
4 大腸カメラ(できなければ、便潜血検査)
5 血液検査
6 腫瘍マーカー(CEA、CA─9、SCC、男性はPSA)
7 女性の場合は乳がん、子宮頸がんの検査
まず、胸部CTで肺に腫瘍などがないかのチェックを行います。放射線被ばくが心配な方は、「低線量CT」といって、通常のCTと比較して被ばく量が10分の1程度に抑えられる検査もあります。腹部に対しては、腹部超音波検査をおすすめします。ただ、お腹の脂肪が多い方やガスが多い方は、うまく検査ができないこともあります。
そのような場合は、CTで腹部の臓器のチェックを行います。ただし、胃腸の内部は、CTや超音波検査では、見づらいので、できれば胃カメラや大腸カメラをおすすめします。6つ目の「腫瘍マーカー」は血液検査の一種なのですが、がんがあると特殊なタンパク質や酵素ができることがあり、その数値をチェックできる検査です。
種類が非常に多いのですが、胃がん、大腸がん、すい臓がんなどに対応しているCEAやCA─9がベーシックなものになります。余裕があれば、肺がんや食道がんなどに対応しているSCC、さらに男性の場合は前立腺がんに対応しているPSAがおすすめです。
女性の場合には乳がんと子宮頸がんの検査を行い、経過を見ておくと安心です。これらを1年に1度、かかりつけの病院などで受けておき、医師に「毎年の変化」を見ておいてもらうと早期発見につながりやすくなります。反対に、受けなくてもいい検査は以下の通りです。
<「受けなくてもいい」検査>
・胸部レントゲン検査
・胃バリウム検査
・PET検査
これらは検査として十分でなく、むしろ悪影響の場合もあります。まず胸部レントゲンでは1センチ以下の腫瘍を見つけることが難しく、特に心臓や横隔膜に隠れた腫瘍の見落としも多くなります。コスト的に割高にはなりますが、可能であればCTを利用したいところです。
また、胃バリウム検査もちょっとした泡がポリープやがんに見える場合があり、異常があればいずれにせよ胃カメラを飲むことになります。放射線技師によって検査の精度にも差があり、見落としの可能性もあるので、最初から胃カメラを選んだほうが安心でしょう。
最後のPET検査は、ブドウ糖代謝の指標となるFDGという薬を用いて、がんの有無を見ていく検査方法です。がん細胞は増殖するときに糖分を多く取り込もうとするので、その性質を利用した検査になります。
がんを疑うべき症状とは?
近年人気を集めているのですが、この検査は本来、すでにがんと診断された人が、がんの広がりを調べ、ステージを決めるときに使われるものです。そのため、精度としてそこまで高いものではなく、1センチ以下の腫瘍や、もともと糖分を多く取り込んでいる脳や心臓、血流の多い腎臓、膀胱などにがんがあっても見つけられません。
「PET検査を健常者が利用しても、がんの発見率は1%以下である」とアメリカの核医学・分子イメージ学会は伝えているほどです。さらにデメリットとして、被ばく量が多い、進行が遅いがんを見つけてしまって過剰治療につながる、といった問題もあり、検診は基本的におすすめできません。なお、もしも日常で次のような症状があった場合には、定期検査を待たずに近くの医師に相談してみてください。
【注意すべき9つの症状】
□ダイエットをしていないのに、直近3ヶ月で体重が10%以上落ちた場合
□37度5分以上の発熱が続く、毎晩大量の寝汗をかく場合
□便が黒くなった、急な便秘、便が急に細くなった、血が混じっているなどの場合
□爪がそってスプーンのようになっている、下のまぶたの裏が白い場合(貧血の疑い)
□咳が長引き、血痰が出る場合
□口臭が以前よりきつくなった場合
□舌のひだひだがなくなった、口内炎や舌炎がなかなか治らない場合
□急に血糖値が上がり、糖尿病と診断された場合
□皮膚が急に黒ずみだした、まぶたが腫れているなど、皮膚の状態が変化した場合
がんができると、「腫瘍熱」という発熱症状が起きたり、腫瘍部から出血して血便が出たり、貧血症状が出たりします。また内臓の働きに異常が出て、急にやせる、急に血糖値が上がる、肌に異常があらわれる、といったこともあるのです。
「何かいつもと違う」と感じる症状があれば、必ず受診するようにしてください。
治療法はさまざま
続いては、がんの治療についてです。がんの標準治療は、手術・化学療法(薬剤)・放射線に分かれ、何を使うかはがんの種類やステージ、また医師の得意分野によっても異なってきます。がんのステージはIからIVまでの4段階あり、たとえばステーシIのがんなら手術で腫瘍を切除するだけの場合も多いのですが、ステージが進行してくると抗がん剤や放射線を組み合わせての治療になっていきます。
肺がんなどの場合、抗がん剤でまず腫瘍を小さくして、切除する範囲を最小限におさえるという方法もあります。このように治療法の選択肢は幅広く、患者側も「どのような方法があるのか」を知っておくことは、ベストな治療を考える上で重要になります。
特に近年は化学療法の進歩がめざましく、従来の抗がん剤では悪性腫瘍も正常な細胞も一緒にたたいてしまっていたところを、「分子標的薬」という悪性腫瘍だけをピンポイントでたたける薬剤ができ、治療の選択肢も広がっているのです。
ただし、薬剤の種類が増えてきたことで、それらを「適切に扱える医師」が少ない、ということが課題にもなっています。また、分子標的薬のような新しい薬剤は薬価の設定が非常に高く、1日数万円かかることも珍しくありません。保険適用であれば高額療養費制度が使えますが、多用されれば国の医療費を圧迫することにもつながります。
人間の免疫機能を利用した「免疫療法」も注目を集めています。たとえば免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(商品名:オプジーボ)の治療も保険が一部のがんにしか適用されなかったり、効果があらわれるまでに時間がかかるので、急速に大きくなっているがんには効果発現が間に合わないなど、決して万能な治療なわけではありません。
中にはエビデンスのない薬剤を組み合わせるなど、信頼性に欠ける治療を行っているクリニックもあるので、「先進的な治療法」「代替医療」については慎重に考えていかなければなりません。
『超リテラシー大全』(サンクチュアリ出版)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。
「Journal of the National Cancer Institute」(2017年)に発表された論文では、代替医療を選んで標準治療をしなかった人が5年以内に死亡するリスクは、標準治療を受けている人と比べて5.7倍という結果もあります。いきなり飛び道具に頼るのではなく、早期発見を行い、標準治療で治していくほうが確実性は高いのです。
現在の医療では、固形がんの場合はステージI〜IIIまで、血液がんの場合にはステージIVでも治せる可能性があります。なお、このような最新の治療法について知りたいときには「がん薬物療法専門医」の資格を持つ医師が候補として挙がります。専門医資格の中でも最難関と言われる資格で、資格の取得・保持には幅広い経験と知識が必要になります。日本臨床腫瘍学会のホームページから名簿を検索することができるので、必要に応じて利用してみてください。
明星 智洋 : 東京がん免疫治療センター長


「プチ断食」でオートファジー、“長寿遺伝子”を活性化 生殖機能の向上にも効果が

2021-09-16 13:30:00 | 日記

下記の記事はデイリー新潮オンラインからの借用(コピー)です。

「断食」と聞けば、何やらハードルが高いイメージもあるが、実は自宅でも簡単かつ安全に実践できるという。なぜ食を断つことが「若返り」に繋(つな)がるのか。ノンフィクション・ライターの西所正道氏が「プチ断食」を体験。その医学的メカニズムも取材した。
 ***
“断食”がいま、ちょっとしたブームになっている。
 水だけで何日も過ごす修行のようなものではない。連続約16時間食べない、いわば“プチ断食”といわれるものだ。空腹の時間は、代謝を高めることで血液をさらさらにし、若返りの効果があるとされ、若い世代にも流行する食事療法である。
 自身、そうした断食生活をほぼ40年間実践してきたのが、イシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)医師(72)。“プチ断食”の先駆者である石原医師はその効果についてこう述べる。
「一言でいえば、若返りですよ。体が若返れば、病気が予防できる、長生きもできる。おまけに生殖機能も元気になって、新しい命だって作れる力が甦る。鶏も、1年ぐらい卵を産み続けると産まなくなります。ところが30日間断食させ、水だけを与え続けると、毛がはえかわり、また卵を産むようになるんですよ。私はこの年で子どもを作ろうとは思いませんけど、この40年、病気知らず。唯一の悩みは、長生きしすぎてこのまま死なないんじゃないかってこと(笑)」
 絶好調の石原医師の食生活は、至ってシンプル。
 朝は人参とリンゴを搾(しぼ)ったジュース(以下「人参ジュース」)、昼はビタミンとミネラルが豊富な黒糖と血行をよくするショウガを入れた「特製紅茶」、夜だけは普通に食べるという「1日1食」生活である。これで週5日、1日10キロもジョギングするというのだから驚きである。
20年以上通う常連の石原慎太郎さん(他の写真を見る)
 もともと予防医学に興味があった。長崎市出身の石原医師は、長崎大医学部、同大学院を修了した後、「断食」などの食事療法を採り入れて実績を上げるスイスのB・ベンナー・クリニックなどに通って研究。それを参考に1985年、静岡県伊東市の山中に、断食を主体にした療養施設「ヒポクラティック・サナトリウム」を設立した。
 この施設、36年間で10万人以上が利用しているというから驚きだ。安倍晋三、細川護煕、羽田孜(つとむ)の総理経験者を含め政治家は100人以上。作家の石原慎太郎さんは20年以上も通う常連だ。医師も300人以上、法曹関係者では元最高裁判所判事をはじめ約100人、その他、著名な経済人、俳優、スポーツ選手も多数利用する。
 たとえばテニスプレーヤーの伊達公子さんは、デトックス(体内の老廃物や毒素を排出させること)や健康管理、病気予防のために、すでに5~6回通っているし、アルピニストの野口健さんは10年近く毎年のように断食に訪れる。
伊達公子さんら著名人も実践(他の写真を見る)
「彼は、エベレストなど高い山に登るので、低酸素や気圧の変化などに何度もさらされます。ある時、かかりつけの病院で検査を受けると、血液がドロドロになってしまっていた。体も重だるく、睡眠薬も効かないほどひどい不眠が続いていました」(石原医師)
 そこで、8日間断食を行った結果、体力・気力ともに快調に。断食中によく眠れるようにもなったという。
 サナトリウムが行う断食の場合、メインメニューは文字通り1食も食べず、食事の代わりとなる人参ジュースである。1回あたり約540cc、240キロカロリー。これを毎日3回飲みながら1週間程度滞在するのが基本だ。断食で体の老廃物を一掃し、免疫力を高め、リフレッシュするのが目的である。
空腹感なし
リゾートホテルにいるかのような……(他の写真を見る)
 そんな食事ともいえない3食で平気でいられるのか。
 そこで筆者が、1泊2日の断食を体験させてもらった。
 7月某日、朝昼兼用の食事を午前11時に食べたあと、伊豆高原を目指した。
 JR伊東駅からバスと徒歩で約40分の山の中にサナトリウムはある。シングルルームが多く1泊1名1万円台前半から3万円台までの部屋がある。眼下に緑が広がる温泉やサウナ、トレーニングルームも併設し、リゾートホテル並みの充実ぶりである。到着してほどなく、17時45分にジュース夕食を摂った。
 人参ジュースをコップ3杯。味は甘みがあり飲みやすい。これをグイッと一気に飲むと体を冷やすので、唾液が出るのを確認しながら、噛むように飲みこむのがコツだ。
ヨガ体験(他の写真を見る)
 人参ジュースは3杯でわずか240キロカロリーなので、食後に1時間強のヨガ体験をすると、20時頃から強い空腹感に襲われる。石原医師曰く、
「空腹というのは、血液中のブドウ糖、つまり血糖が減少して感じるのです。ここで食べるのを我慢し、体を動かしてみてください。空腹の状態で体を動かすと、アドレナリンが分泌され、血糖値を上げる作用が働きます。興奮すると空腹を感じなくなるのと同様です」
 さっそく石原医師推奨の「空腹ストップ体操」を試みる。負荷の軽い順に、両手でグーとパーを交互に繰り返す運動、椅子に座って足先を床につけたままかかとを上下させる貧乏揺すり体操、そしてスクワット。それぞれ無理のない範囲で1セット20~30回が目安という。部屋の中でもできて、効率的に効果が得られる運動だ。
 が、30分ほどで再び空腹感が訪れる。今度は部屋に備え付けのショウガ紅茶に黒糖をたっぷり加えて飲む。この紅茶は飲み放題だ。重要なのは「空腹状態」を維持することで、「空腹感」を保つことではないようだ。だから黒糖や飴などは食べてもいいと石原医師は言う。その後、再び運動をして、黒糖を食べ、その夜は空腹をしのぐことができた。
 7時間弱の睡眠で、スッキリ目覚める。空腹感なし。このまま食べなくても大丈夫かも、という感覚だ。
 8時には昨日と同じジュースを3杯飲む。いくぶん嗅覚と味覚が敏感になっている気がする。
 石原医師夫人で、サナトリウムを支える石原エレーナさんは、滞在者と笑顔で会話を交わしている。印象に残る人も数多くいるという。
 たとえば、60代の男性経営者は、4週間滞在して体重が7・5キロも落ち、会社に戻ったら、社員に「若くなりましたね」と驚かれた。頭が冴え、決断力が上がったと喜んでいたそうだ。
 年間5~6回訪れるヘビーユーザーの70代女性経営者は、腸の働きがよくなり便秘が改善。肌が若々しくなった。
 別の70代の女性は、数年前に子宮頸がんの手術をした。翌年から毎年数回、1カ月間サナトリウムに滞在。すると寒がりだったのが嘘のように、年を追うごとに体温が上がり、現在平均体温は約36・5度に。デトックスと体質改善が進み、がんも再発していない。
 こうした断食作用の裏には、どんなメカニズムが働いているのか。石原医師に解説してもらった。
自己治癒力を導く
1.オートファジーが働く
「現代人は食べ過ぎている」
 これが石原医師の持論だ。食べ過ぎが健康に悪影響を及ぼしていると指摘する。
「私たちが摂取して、体が利用した栄養の9割は排尿や排便などで、1割は呼気などで外に排出されますが、食べ過ぎると、糖や脂肪、タンパク質などの栄養素が血液中に残ってしまいます。それらを放置すると、高血糖、脂質異常症などの病気につながるのです」
 さらに過剰栄養物質から、クレアチニン、尿素窒素、尿酸、乳酸などの老廃物が血中で増加し、それらが病気の原因になるのだ。
これがプチ断食中のメニュー(他の写真を見る)
 絶食して飢餓状態になると、これらの物質をきれいに分解する“小さなお掃除部隊”が現れるのだという。
「実はこれ、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士が解明したオートファジーという体のシステムなんです。面白いことに空腹になると稼働を始める。栄養不足に陥った細胞が生き延びるために、自身の細胞の一部を自ら分解します。自分(オート)を食べる(ファジー)ことから、“自食作用”ともいわれています。肺の細胞に侵入した新型コロナウイルスも自食される可能性が十分あります」
 オートファジーが面白いのは、過剰栄養物質や病原体などを分解したあと、古いタンパクを利用して新しいタンパクをつくり、細胞を生まれ変わらせる点だ。
「まさにリサイクルシステムです。それによって細胞が若返ります」
2.オートリシス現象
 オートファジーとよく似ている「自己融解」ともいわれる現象だ。
「空腹になると、生命を維持するために重要な脳や心臓、肺、肝臓に、優先的に余分な糖、脂肪、ときには老廃物などが利用されるようになるのです」
 その際、生命維持に必要のないがん細胞や浮腫、炎症といった異質な組織に供給されていたタンパク質が、脳や心臓に振り向けられるので、エネルギーのルートを絶たれた腫瘍などの病変が消えたり、縮小するなどの効果が表れることも。つまり空腹が自己治癒力を導き出すというわけだ。
3.サーチュイン遺伝子が活性化する
 サーチュイン遺伝子は、米マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ギャランテ教授らのグループが発見したもので、「老化を防止する作用をもち、長寿に導く」とされる。
「空腹の時間をつくることでサーチュイン遺伝子が活性化し、老化や病気の元凶である活性酸素の攻撃から遺伝子を守ることがわかっています。その結果、体を若々しく保って、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病といった病気を防いでくれるのです」(石原医師)
生殖機能も…
「ヒポクラティック・サナトリウム」(他の写真を見る)
4.免疫力アップ
 新型コロナなど病気に負けないように、栄養をたくさん摂らなければと思いがちだが、何事も過ぎたるはなお及ばざるがごとし。
「私は白血球を長年研究していたので、顕微鏡で観察し続けていましたが、食べ過ぎて、血液中に栄養が過剰にあると、免疫を司る白血球の能力が落ちるのです。なぜなら、白血球もそれらの栄養を食べてお腹いっぱい。病原菌やがん細胞に食らいつこうとしないのです」
 ところが、断食すると白血球も空腹なので、病原体やウイルス、がん細胞などにも食らいつき分解してくれるのだ。
5.認知機能に関わるグレリンの分泌が高まる
 空腹が、グレリンという認知機能に深く関係するホルモンの分泌を活発化することもわかっている。
「このホルモンは記憶の中枢である海馬に作用し、記憶力をよくする効果があります。また自律神経にもよい影響を及ぼすので、うつ病などの精神疾患の改善にも役立ちます」
6.断食で消化に要する血流を減らし、便秘解消と美肌、生殖機能を高める
 石原医師によると、「消化というのは大量のエネルギーを要する営み」だという。全身の血液の多くを胃や小腸に集めるので、食べ過ぎの状態を続けると、消化に関わる臓器などに負担をかける。絶食で休息させることで、次のような効果があるという。
 まず便通がよくなる。
「“吸収は排泄を阻害する”が生体学上の常識なんです。食べ過ぎて排泄に関係する直腸、腎臓、膀胱などへの血液の供給が足りなくなって便通や排尿が悪くなる。これも断食をうまく使えば改善します」
 こうしたデトックス的作用は血液の中でも起きる。血液の汚れを浄化することで、肌の張りが出たり、発疹など皮膚の炎症が改善したり、白髪が減ったりする。
 さらに生殖機能も高まる。男性の場合、「断食して血液がペニスに集まりやすくなる」のだという。
 さて断食体験をした私だが、さすがに1泊2日では目に見えた効果はあまり得られにくいようだ。ただ、その後、腹八分目を心がけたことで、体重は700グラムほど落ちた。眠りの熟睡度も高まった気がする。
 では、自宅で断食を実践したい場合、どう始めればいいだろう。サナトリウムで医師の指導のもと行っている断食を、個人の判断で行うのは危険なので、安全な導入方法を石原医師に聞いた。
 手始めは「朝だけ断食」である。冒頭で述べたように、朝食の代わりに人参2本とリンゴ1個を、皮をむかずにジューサーで搾って飲む人参ジュース。もしくは黒糖を入れたショウガ紅茶。ショウガが苦手な人はハチミツ入りの紅茶でも可。午前中をしのげば前日の夕食から「16時間断食」になる。
 昼食は軽く食べる。「軽く」食べられているかどうかの判断は、食後に眠くならないか。眠くなるのは食べ過ぎている証拠だ。
 夕食は好きな物を食べる。もちろん、食べ過ぎない程度を心がける方がよい。
 夕食にありつくまでにお腹が空く場合は、黒糖やチョコレート、ハチミツなどでしのぐ。あとは前記の「空腹ストップ体操」で体を動かす。
 石原医師は言う。
「断食が体に合っているかの決め手は、数日続けて、“体調がいいな”という感覚が得られるかどうかです。あまり調子がよくないと感じたら、それは体に合っていない証拠なので、中断して、腹八分目の生活を送ってください」
 この「1日2食」断食で体調がよくなった人は、昼も朝と同様に、人参ジュースか黒糖入りショウガ紅茶だけですませてみる。夜は満腹にならない程度で好きなだけ食べていい。
 これは石原医師が続けている方法とほぼ同じ「1日1食」だが、数日間続けて調子がよければ、その食生活をキープしてみる。キツいなと思ったら「1日2食」に戻す。
楽しむ断食
石原結實医師(他の写真を見る)
 石原医師によれば、
「断食は苦しみながら努力して続けるものではなく、体の調子がよくなっていく感覚を楽しむものです」
 注意する必要があるのはそもそも断食をやってはいけない人もいることだ。それは、糖尿病で血糖値を下げる薬を服用している場合だ。
「断食をすると血糖値が下がるので、薬でも血糖値を下げると、痙攣や昏睡に陥ることもあり、危険です」
 ところで、気になるのは、断食して栄養が不足しないかということだ。
 それに対して石原医師は、「大丈夫」と断言する。なぜなら先に紹介した手作りの人参ジュースでも健康維持に必要なビタミン約30種類、ミネラル100種類を含んでいるからだ。
 とはいえ、とくに高齢者の場合は、体が虚弱になる「フレイル」の危険性が指摘され、積極的に栄養を摂ることが推奨されている。肉を食べたほうがよいという意見もある。
「アルブミンというタンパク質を摂るために肉を、という考えだと思いますが、短絡的です」(石原医師)
 アルブミンは、「寿命予知タンパク」ともいわれる重要な栄養素で、肝臓で作られる。その数値は栄養がしっかり摂れているかを示し、基準値は3・9g/dL以上で2・0g以下になると生命の危険があるとされる。絶食をしている人の血液を石原医師がチェックしたところ、
「アルブミンが下がると思うでしょ。実は、上がる人が多かった。アルブミンは食物から摂らなくても肝臓で作られる。断食によって合成力が増すのです」
 石原医師は、好みの問題で肉をあまり食べず、エビ、カニ、イカなどを食べることが多いそうだ。これも好きなものを食べるという意味での「実践」である。
 6千年前のエジプトのピラミッドには、
〈人は食べる量の4分の1で生き、残り4分の3は医者の食い扶持に〉
 という碑文が刻まれている。病を患うことで医師の食い扶持の要因となっている我々の食事量。それを減らしていけば、思わぬ若返りと長寿の効果が期待できるのだ。
西所正道(にしどころまさみち)
ノンフィクション・ライター。1961年奈良県生まれ。京都外国語大学卒業後、雑誌記者を経てノンフィクション・ライターに。


同居の姑が好きになれない!感謝もされない

2021-09-16 12:00:00 | 日記

下記の記事はハルメクWebからの借用(コピー)です。

56歳女性の「同居の姑が好きになれない」というお悩み
夫の兄弟は母親をとても大切にしていて、好きにさせているので、本人もそれが当たり前だと思って好きな放題しています。

そのために私たち家族が金銭的にも時間的にも制約を受けていても、当たり前だと思っているのか、夫の兄弟から「いつもありがとう」とか「迷惑かけてごめんね」などと言われたことなど一度もありません。昔ならではの嫁扱いなのでしょう。

だから余計に、そんな姑の世話をしたくないし、嫌いになってしまって仕方ないのです。また、そう思ってしまう自分が嫌になってしまいます。

(56歳女性・おはぎさん)名取芳彦さんの回答:姑が嫌いでも愛する夫の母の視点を
嫁姑問題の一つの落とし所は、昔の都々逸(どどいつ)にある「たとえ姑が鬼でも蛇(じゃ)でも主(ぬし)を育てた親じゃもの」(※「主」は夫のこと)でしょう。

恋愛の結果として結婚したとしても、結婚してから夫婦らしい恋愛感情が生まれたとしても、現在自分が愛している夫を生み、育ててくれた人なのだから我慢するしかない、という意味です。

自分が大切にしている人や物があれば、それに関係する人や物にも大切に思う心を広げて覆ってしまおうという考え方です。お気に入りのバッグがあれば、それを作ったメーカーも好きになり、会社の社長にも親しみを感じるようなものです。

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の逆バージョンですね(笑)。人の本心は「わからないもの」として進む勇気が必要
ご主人の兄弟からおはぎさんに感謝の言葉も、ねぎらいの言葉もないことも、モヤモヤの原因の一つのようですね。

でも仮にご主人に相談して、兄弟から「ありがとう」や「迷惑かけるね」と言われても、おはぎさんは「主人に言われたらから言っているだけ」と思うでしょうから、やはりモヤモヤは晴れません(ご主人にボヤくくらいならいいですが)。

理想は、おはぎさんが直接義理の兄弟に、冗談っぽく「お礼の一つ、ねぎらいの言葉一つくらい私に言っても、罰は当たらないわよ」と言える関係でいることですが、文面から察するに、そのようなザックバランな関係ではないのでしょう。

ご兄弟がおはぎさんの苦労を当たり前と思っているのか、感謝しているのに言わないだけなのか、それは本人に聞かない限りわかりません。

でも、少なくとも、おはぎさんはご自分と似た苦労をしている人に共感できる、やさしく素敵な人になれた事実に変わりはありません。人の本心は「わからないもの」として、進む勇気を持てればいいですね。ずっと先になって「ありがとう」と言われる場合もある
私の母は嫁という立場で、5年間自宅で寝たきりの姑の世話をしていました。

祖母が亡くなった時、父の弟が「お義姉(ねえ)さん、長い間面倒をみてくれてありがとうございました」と言ってくれたそうです。お葬式が終わった後、母は私に「あのひと言で、それまでの苦労やモヤモヤが全部なくなった」と教えてくれました。

おはぎさんも「それまで我慢して待ちましょう」などと酷なことは申し上げませんが、「この先、そういうこともあるかもしれない」と思えば、モヤモヤ解消の一助になります。
相談の文面に「昔ながらの嫁」とありますが、私のお寺がある地域は、東京とは言いながら、いまだに「嫁」という感覚が色濃く残っています。

姑が生きているうちは70歳を過ぎても「嫁」です。しかし、姑が亡くなると呼び名が「姐(ねえ)さん」に格上げされます。嫁の苦労の総仕上げとして、姑のお葬式を出すことで得られる名誉ある称号です。

こうした呼び方をされなくても、周りの人はその功績をしっかり認め、一目置いてくれているものです。おはぎさんも、今は「姐さん」になるための修行期間なのかもしれません。やりたくないことは「ご恩返し」の気持ちで取り組むこと
私は50歳を過ぎた頃から、やりたくないことをするとき、この年まで育ててくれた世間や人さまに対するご恩返しの真似事のつもりでやることにしました。

できないことをするのではありません。この年まで生きてきたおかげでできるようになったことを使って、世間や人の役に立てるなら、やらせてもらおうという心意気です。

このように考えることで、感謝の言葉も期待せずに、楽な気持ちで取り組めるようになりました。おはぎさんも、ご恩返しのつもりで接すれば、お姑さんも笑顔で感謝の心を返してくれると思います。

そんなことをしてくれる姑ではないと思ったら、お風呂に入ったときや洗濯物を干すときに「たとえ姑が鬼でも蛇でも~♪」と、お姑さんにそれとなく聞こえるように、ひと節(ふし)唸ってみてはいかがでしょう。
回答者プロフィール:名取芳彦さん
なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。


愛子さま、12月で20才に 「女性天皇」実現に向けた議論も加速

2021-09-16 11:00:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブンオンラインからの借用(コピー)です。

上皇陛下は9月6日、歴代天皇の中で最高齢(3万2032日)になられてから初めて外出された。
「皇居から出られる際、車窓を全開にされ、にこやかな表情でお手振りをしてくださいました。ご退位後、ニュースでもほとんどお姿を見る機会がなかったので、お元気そうな姿がうれしかったです」(居合わせた人)
 近頃の上皇陛下は、皇居の生物学研究所で魚類のハゼの研究をされたり、お住まいの仙洞仮御所で美智子さまとお庭を散策されたりしてお過ごしだという。生前退位をされて以降、穏やかに暮らされている上皇ご夫妻だが、長く懸念されている事柄がある。
「『安定的な皇位継承』についてです。上皇ご夫妻は、かねてより皇族の減少を強く憂いておられ、万が一にも皇統を途絶えさせぬよう、女性宮家創設や、女性・女系天皇実現について思案されてきたそうです。政治サイドでは、『上皇ご夫妻は女性天皇容認にも異を唱えられはしないだろう』と認識されています」(皇室ジャーナリスト)
 その日、奇しくも女性皇族を巡る新制度について、画期的な報道があった。
《天皇ご一家と4宮家存続の構想 政府、女性皇族が継ぐ案を想定》(共同通信)
 現行の制度では、女性皇族は結婚に伴い皇族の身分を離れなければならない。しかし、現存の4宮家を存続させるために、天皇家に長女の愛子さまが残り、秋篠宮家を次女の佳子さまが継がれる案が政府内で浮上しているという。皇室記者が解説する。
「報じられた『4宮家存続構想』は、女性皇族が結婚後も皇室に残る選択肢を作るという点で、女性宮家創設に近い案だと考えられます。ただし、そう難しく考える必要はありません。そもそも日本の一般家庭では“男子しか家を継げない”という家督相続制は戦後すぐに廃止され、現代では、性別や年齢に関係なく相続できることが当然のことです。皇室の“家”も、より常識に近づくということでしょう」
 その構想が報じられると、ネット上に書き込まれたのは、こんな声が大半だった。
「男女差別は時代遅れ。そもそも、男女の平等は憲法で定められている。女性天皇は認められるべき」
「天皇は、直系の長子優先がいいと思う。国民の声を反映して、いまの時代に合った皇室になってほしい」
 天皇家に愛子さまが残られるのであれば、いずれ「天皇家の当主=天皇」に愛子さまがなられる可能性も残るということだ。共同通信が行った世論調査(2020年4月)では女性天皇の実現に85%が「賛成」と答えるなど、女性天皇実現はもはや国民のほぼ総意である。一方で、天皇家は、長く男系男子によって継承されてきた。
「『万世一系』という男系維持の観点から、女性天皇の子供が天皇になる『女系天皇』に反対の立場の人は少なくない。しかし、女系反対派でも、『男系の女性天皇』に賛成する人は、案外多いのです。つまり、“愛子天皇”が望ましいと考える人は圧倒的に多数だといえるのです」(前出・皇室記者)
天皇皇后両陛下、親としての思い
 安倍政権以降、遅々として議論が進まず、事実上実現は不可能とみられてきた「女性天皇」。しかし、愛子さまのご成人前という“滑り込み”のタイミングで菅義偉首相が退任を表明。次期総理のもとで、女性天皇実現に向けた議論が活発化する可能性もある。
 さらに議論を先延ばしにできない事情もある。
「愛子さまが、今年12月1日に20才の誕生日を迎えられ、成年皇族の仲間入りをされます。現実的には、いつ愛子さまがご結婚され、現状のルールに則って皇室を離れられてもおかしくないのです。そもそも、将来があやふやなままで成人を迎えられる胸中はいかばかりでしょうか。早く結論を出すことが、政治の責任であり、タイムリミットが迫っているのです」(自民党関係者)
 愛子さまが幼かった頃から、女性天皇実現はしばしば俎上に載ってきた。結婚される場合、降嫁で一般人になるのか、女性宮家の当主になられるのか、はたまた結婚にかかわらず女性天皇となられるのか—愛子さまは見通しが立たないながらも、立派に成長されてこられた。
「成長されるにつれ、ご両親のお立場やご自分の置かれた状況を自覚されるようになったでしょう。不安定なお立場でも、皇族としてふさわしい振る舞いを続けられることは、並大抵のことではない。
 やはり、ご自身を厳しく律され、常に他人を気遣う父・天皇陛下の影響が大きい。愛子さまはお生まれになったときから、陛下の考え方に接されていますから、そういった振る舞い方を自然に身につけられたのだと思います」(宮内庁関係者)
 議論が進めば、当然ながら、天皇皇后両陛下にも、政府サイドから内々にもご意見を賜る機会があるはずだ。
「両陛下は、愛子さまの将来を深く案じられています。天皇への道が開けるのならば、その重責をよくご存じのおふたりの胸中には、さまざまな思いが去来するでしょう。天皇皇后として、両親として、愛子さまのご意思を尊重すべきか、相当に迷われるのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
 9月6日午後、天皇ご一家が赤坂御所から皇居・御所への引っ越しに着手された。
「それまで降っていた雨が止み、空が明るくなりました。愛子さまは、両陛下とは別の車に乗られていました。黒髪をひとつに結ばれ、車の窓を開けて、小刻みに手を振りながら沿道の人たちに微笑みかけておいででした。まさに天皇家のお嬢様といった、圧巻のたたずまいでした」(前出・居合わせた人)


 期待は高まるばかりだ。首相官邸のホームページより

1 歴代の女性天皇
▽ 歴代の女性天皇は 代 方( 方は重祚) 10 8 2
< 世紀~ 世紀> 6 8
①第 代 推古天皇(在位: 年~ 年) 33 592 628
②第 代 皇極天皇(在位: 年~ 年) 35 642 645
③第 代 斉明天皇(在位: 年~ 年 〔皇極天皇が重祚〕 37 655 661 )
④第 代 持統天皇(在位: 年~ 年 〔称制 年~ 年〕 41 690 697 686 689 )
⑤第 代 元明天皇(在位: 年~ 年) 43 707 715
⑥第 代 元正天皇(在位: 年~ 年) 44 715 724
⑦第 代 孝謙天皇(在位: 年~ 年) 46 749 758
⑧第 代 称徳天皇(在位: 年~ 年 〔孝謙上皇が重祚〕 48 764 770 )
< 世紀~ 世紀> 17 18
⑨第 代 明正天皇(在位: 年~ 年) 109 1629 1643
⑩第 代 後桜町天皇(在位: 年~ 年


雅子さまが直面した"約束と違う"皇室生活

2021-09-16 10:00:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

1987年に外務省に入省された皇太子妃雅子さまは「均等法第一世代」にあたる。コラムニストの矢部万紀子氏は「均等法第一世代は、均等と言われて入社したものの、“男性ファースト”の会社組織に『約束と違う』と感じてきた世代だ。雅子さまも皇室外交を期待して皇室入りしたものの、“お世継ぎファースト”な皇室に『約束と違う』と苦しまれたのではないか」と語る――。
※本稿は、矢部万紀子『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

「究極のキャリアウーマン」だった雅子さま
雅子さまが「均等法第一世代」だったことは、皇室入りしてからの雅子さまのいろいろなことに影響していると思う。
東京大学を中退された雅子さまが外務省に入省したのは、1987年4月。外交官試験に合格した「総合職組」だ。しかもハーバード大→東大→外務省という抜群の経歴。ご成婚が決まった頃から「究極のキャリアウーマン」「エリート中のエリート」と書かれ、大変な美人でもあった。度外れた才色兼備の女性が「皇室に嫁ぐ」という事実は、総合職女性に少なからぬ影響を与えた。
1988年に「アエラ」という週刊誌が創刊された。創刊後しばらくして、均等法第一世代の女性に関する記事を増やし、部数がどんどん伸びた。
女性を採用はしたものの、組織はほとんど変わっていなかった。依然、「男性ファースト」の世界だった。均等法第一世代はそういう現実を、「そんなものだろう」とは思わなかった。「約束と違う」ととらえた。だって、「均等」を約束されて入ったのだ。
「アエラ」は「約束と違う」さまざまな現実を切り取った。それでも組織にとどまり努力を続ける女性たちを書き、見切りをつけて留学、転職、結婚など別な道を選ぶ女性たちも書いた。編集部に均等法第一世代女性が増えたことが、大きかった。同世代が同世代に向けて書き、部数が増えた。
だから「アエラ」は、ずっと雅子さまの味方だった。
雅子さまの皇室入りは「転職」
均等法女子たちは、雅子さまの皇室入りを「嫁入り」でなく「転職」と見ていたと思う。新しい職場で、究極のキャリアウーマンがどのように力を発揮してくれるのか。そう注目していた。
雅子さま自身、「嫁ぐ」意識より「転職」意識が強かったのではないだろうか。
そのことは1993年1月、皇室会議で結婚が決まった後の記者会見からもうかがえる。外交官の職を捨てることに悔いはないかという質問に、小和田雅子さんはこう答えている。
「いろいろと考えた結果、今私の果たすべき役割というのは殿下のお申し出をお受けして、皇室という新しい道で自分を役立てることなのではないか、と考えましたので、決心したわけですから、今は悔いというものはございません」
新しい場所で力を発揮する。その意気込みが伝わってくる。
その34年前、婚約後の正田美智子さんは、皇室に入ることについてこう言葉にしている(宮内記者会のアンケートへの文書回答)。
「よい家庭がつくれて、それが殿下のご責任とご義務をお果しになるときのなにかのお心の支えになり、間接的な、ちいさなお手伝いとしてお役に立てばと心から望み努力をしたいと思っております」
この二つの言葉は、のちに何度か「アエラ」が対比することになるのだが、平成が終わろうとしている今になって改めて読んでみると、なおさら複雑な気持ちにさせられる。
「お世継ぎファースト」な人生のしんどさ
1993年に皇后陛下の主治医になり、皇室医務主管という「皇室のホームドクター」を2012年まで務めた金澤一郎さんは、医務主管退官直後に雅子さまの「適応障害」についてこう語っている。
〈ご成婚前に、いわゆる「皇室外交」もできるからと説得をお受けになったようですね。ただ、皇室に入られてから、想像されていたことと違うことがさまざまおありだったと思うのです。皇室では、外国の王室も同様ですが、まずは「お世継ぎ」を期待されます。しかし、初めの6年半はお子さまに恵まれなかった。〉
(「文藝春秋」2012年8月号「前皇室医務主管独占インタビュー」)
均等法第一世代は「約束と違う」世代だ。
均等ですよ、と言われて入社し、「男性ファースト」の会社組織に「約束と違う」と苦しんだ彼女たち。雅子さまは皇室外交できますよ、と言われて皇室入りし、「お世継ぎファースト」の皇室に「約束と違う」と苦しまれたことだろう。
ここは皇室なのだ、「お世継ぎ」をクリアしなくてどうする。そう考える人の気持ちもよくわかる。だが一方で、同じ働く女性としては、出産だけが期待される人生はしんどいだろうと思う。
まして雅子さまは転職を決めたとき、「お世継ぎファースト」と聞いていたかどうか。転職を勧める側は、厳しい話より楽しい話をしがちだろう。
さらに思うのは、「お世継ぎファースト」さえクリアしていれば、雅子さまはオールハッピーになっただろうかということだ。
雅子さまの肉声はほとんど聞こえなくなった
2001年、敬宮愛子さまが生まれ、雅子さまは「生まれてきてくれてありがとうという気持ちでいっぱいになりました」と語り涙ぐまれた。
その8カ月後にニュージーランド・オーストラリアを訪問、帰国後の記者会見で「外国に参りますことが、(略)私の生活の一部となっておりましたことから、6年間の間、外国訪問をすることがなかなか難しいという状況は、正直申しまして私自身その状況に適応することになかなか大きな努力が要ったということがございます」と心情を吐露した。
が、それを最後に、雅子さまの肉声はほとんど聞こえなくなった。
「民間初の皇太子妃」の美智子さまは、同世代女性のあこがれだった。ご結婚後、どんどんやせていった美智子さまの姿に、同世代女性は「嫁いびり」という言葉を思い浮かべ、いっそう思い入れを強めた。「嫁同士」だからだ。
「魅力ある働く女性」1位だった雅子さま
雅子さまへのあこがれは、「キャリアウーマン」が決め手だった。ご成婚直後に就職情報調査会社「文化放送ブレーン」が就活中の女子大生約7500人に「魅力ある働く女性」を尋ねたところ、1位に輝いたのは雅子さまだった。
なのに皇室内での活躍が見えず、2003年12月から公務を休んでしまう。
その5カ月後に「アエラ」が掲載したのは「他人事ではない私たち 雅子さま異例のご静養の陰で」という記事(2004年5月3日号)だった。
「ダイアナ妃が『愛』を求めて苦しんだのに対し、雅子さまはもっと『自分らしく生きること』を求めているのではないか」
そんな同世代女性の声を紹介している。
「適応」しようとすると心を病んでしまう
この記事が載った「アエラ」の発売直後、雅子さまの心が傷ついていることを明らかにしたのは、夫である皇太子さまだった。
矢部万紀子『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)
「雅子にはこの10年、自分を一生懸命、皇室の環境に適応させようと思いつつ努力してきましたが、私が見るところ、そのことで疲れ切ってしまっているように見えます。それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」
2004年5月、ヨーロッパ訪問にあたっての記者会見で突然、そのように発言されたのだ。
その2カ月後、雅子さまの病名が「適応障害」と発表された。
皇室に「適応」しようとし、雅子さまは心の病を得てしまった。逆に表現するなら、皇室は「適応」しようとすると、心を病んでしまうような場所だということになる。まさかそれほどまでとは思っていなかった。
当時、多くの国民が感じたショックは、そんなふうだったと記憶している。
矢部万紀子(やべ・まきこ)
コラムニスト
1961年生まれ。83年朝日新聞社に入社し、記者に。宇都宮支局、学芸部を経て、「アエラ」、経済部、「週刊朝日」に所属。「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理を経て、書籍編集部で部長を務め、2011年、朝日新聞社を退社