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小6女子をいじめ自殺に追い込んだ「一人一台端末」の恐怖

2021-09-18 15:30:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です。

子供たちに「一人一台端末」を配る国の「GIGAスクール構想」の被害者が出た。昨年、全国に先駆けて端末を配った東京都町田市のICT推進校で、小6の女の子がいじめを苦に自殺したのだ。配布端末のIDは出席番号、パスワードは全員「123456789」で、なりすまし被害が横行していた。当時の校長は、20年以上前からICTを学校教育に取り入れてきた先駆者で、GIGAスクール構想の旗振り役として知られる人物だった――。
学校で配られた端末でYouTube見放題
「あれ、和哉(仮名)、まだYouTube見ているの?」
昨年9月某日の夜11時。ベッドの上で寝転びながら、動画を見ている小学6年生(当時)の和哉さんを見て、母の小林愛菜さん(仮名)は驚いた。小林家では夜9時以降、クロームブックは使えない設定にしていた。「宿題をやっていた」と言い訳する和哉さんからクロームブックを取り上げて、YouTubeからログアウトしてみたら、家庭で使っているIDとは別のものが入っていた。
「005○○-○○○」
それは、和哉さんの学校で配られたクロームブックのIDだった。
昨年の5月下旬、和哉さんが通う町田市立小学校では、休校中の学習に使えるようにと6年生に一人一台、クロームブックが配られた。
文科省が推進する「GIGAスクール構想」――学校のインターネット環境を整備し、生徒一人に一台ずつ端末を配って教育の情報化を進めていく――で、全国の自治体に「一人一台端末」が行き渡ったのは、今年3月末のこと。この学校での配布はこれより10カ月も早い。一学年だけとはいえ一人一台を配備できたのは、ICT教育推進に熱心なA校長(当時)の方針だった。
A校長は20年以上前から授業でICTを取り入れてきた先駆者で、現在のGIGAスクール構想につながる「学校教育の情報化に関する懇談会」(2010年~2013年、座長・安西祐一郎氏)に第一回から参加。ほかにも文科省の「教育の情報化に関する手引」作成委員(2009年)、「学びのイノベーション推進協議会」委員(2011~2014年)を務めるなど、日本のICT教育推進の旗振り役として知られている。
A校長をそばで見てきたPTA会長は次のように振り返る。
「A校長は、とにかく『一人一台端末』を強く求められてこられました。先生がいらっしゃることでICT推進校に選ばれていた本校ではいちはやく6年生に配れることになったんです。2019年11月には全国から500人くらい先生たちがくる大規模なICT教育の研究報告会が学校で行われて、文科省や経済産業省の方と座談会をされていました。その翌日に、『国で一人一台が決まった。一生懸命、訴えてきたからね』と大変喜ばれていたのを覚えています」
こうして配られた端末は、ゲームし放題、YouTube見放題の設定になっていた。制限がかかっていたのは一部の成人向けや暴力的なサイトだけで、利用時間などの制限はない。やがてこの端末が、家庭や学校に混乱を招き、最悪の事態を招くことになる。
「最初は気づいていませんでした。学校で配られたタブレットなら、当然、時間や検索に制限がかかっていると思っていたんです。ましてやICT教育の第一人者で知られるA校長がいるので、信頼していた。でも、子供の様子がおかしかったので調べてみたら、なんでも検索できるし、ゲームもできてしまう。学校からはクロームブックを使った宿題が出ていて、やけに時間がかかっているなと思っていたのですが、9月の一件で遊んでいたんだとわかったんです」(小林さん)
家庭のコントロールが効かない端末
ほとんど制限がない形で渡されたクロームブック。学校側が“設定ミス”をして、このような仕様になっていたわけではない。
和哉くんの同級生のお母さん、木村聡子さん(仮名)は教えてくれた。
「A校長は、あえてルールを設けず、子供の自主性に任せて、失敗のなかで学ばせるという方針なんです。クロームブックを持ち帰らせる際も『長時間や深夜の使用はしないようにしてください』『勉強以外に使わせないようにしてください』と書いたお便りを渡すだけ(写真参照)。でも、これは家庭に押し付けているだけ。無責任だと思います」
A校長が先駆者としてICT教育について取材を受けた記事がある。そのなかでA校長は「ルールをつくらなかったことで自主運営できるようになった」と話しているが、木村さんは「これはウソ。実際にはめちゃくちゃな状態で、記事を読んだ時はどこの学校の話かと思いました」と断じる。
2人が何より迷惑だと語るのは、家庭で使っている端末も学校のID・パスワードでログインすると、使い放題になってしまうことだ。
「わが家には学校で配られる前からクロームブックがあったのですが、それについては私のメールアドレスでアカウントを作成し、検索のフィルタリングをしたり、使用は1時間以内と制限をかけていました。しかし、子供は制限のかかった家庭のアカウントからログアウトし、使い放題の学校アカウントでログインして、ゲームをしてしまう。家庭でのルールが無意味になってしまうんです。学校が管理権限者なので、私たちは設定に触れることができません。家庭に管理を押し付けるなら、せめてコントロールできるようにして、って言いたいです」(小林さん)
保護者提供
クロームブックを渡す際に配布されたお便り。管理を家庭に押し付けている
授業中もゲームし放題。ICT推進校の実情
子供たちが配られたクロームブックで遊んでいたのは、家庭内だけではなかった。
和哉くんと、その同級生である勇くん(仮名)、直之くん(仮名)は「授業中も自由に検索したり、ゲームしていた」口を揃える。
学校で人気だったのは、「slither.io」というヘビのゲームや「VENGE」というシューティングゲーム。VENGEはオンライン上で待ち合わせて一緒にプレイする子もいたという。
「友達とはハングアウトというチャットでやりとりできました。部屋(対戦するステージ名)を伝えれば、そこで待ち合わせできます」(勇くん)
先生に見つかって叱られないのかと聞くと、「厳しい先生だと没収されることもあるけど、優しい先生だと『やっちゃダメだよ』くらいにしか言われない」(直之くん)という。さらに、クロームブックは授業中に先生の目を盗んで遊びやすい機能もあるのだという。
「クロームブックは、Alt+Tabを押せばすぐに画面が切り替わるので、先生が通ったときだけ課題の画面にすればいい。みんな課題はさっさと終わらせて、残り時間は遊んでいました」(勇くん)
人のアカウントを使う「なりすまし」が横行
端末を“正しく”使った授業中でも、トラブルは多発していた。
「スプレッドシートを使って、授業の感想や気づいたことなど、みんなで書き込みをするのですが、全部消されて15分くらい授業が止まってしまうことがよくありました」(勇くん)
これは操作ミスで、意図せず消してしまったケースもあったが、なかにはいたずらで消した子もいたという。被害を訴えるのは、勇くんの友達の蓮くん(仮名)だ。
「スプレッドシートが消えたときに、履歴をたどればだれがやったかわかるのですが、身に覚えがないのに僕がやったことになったんです。5回くらい続いて、違うっていっても信用されませんでした。だけど、クロームブックから離れて友達と話していた時間に、俺が操作したことになっていたことがあって、それで別の人がやっているってわかってもらえたんです」
つまり、授業中に誰かが蓮くんに“なりすまし”て、いたずらをしたのだ。
なぜ、こういうことができたかというと、IDはクラスごとに前半が同じ数字で、末尾の3ケタが出席番号、そしてパスワードは、全員共通で「123456789」だったからだ。同じクラスの児童なら、出席番号がわかるので、簡単に蓮くんになりすますことができた。
「いろんな人が『なりすまし被害』にあっていて、書いていたものが消されたり、勝手に書き込まれたりしていました」(勇くん)
別の同級生の女の子も、「なりすましされるのがイヤすぎて、自分でパスワードを変えた子もいました。そうしたら先生に勝手に変えるなと怒られていました」と証言する。なぜ、同じパスワードにしたのか理由はわからないが、子供たちは意地悪したい相手や気になる相手のアカウントにログインして、作成中のスライドに“スタ連(スタンプを連打する)”したり、チャットに入って会話を覗いたり、とにかくやりたい放題の状態が続いた。
チャットで悪口を書かれた女子児童が自殺
A校長のいう「自主性に任せて、失敗の中で学ばせる」方針は、結局、取返しのつかない事態を招くことになる。
昨年11月30日の夜、当時6年生の山根詩織さん(仮名)が、自宅の部屋で首を吊って亡くなったのだ。部屋にあった遺書には「学校でいじめにあって自殺する」「A子とB子にいじめられていた」などとはっきりと書かれていた。
A子とB子がチャット上で「詩織、ウザイ」「まじで死んでほしい」とやりとりしていることは、“なりすまし”で覗くことで多くの同級生が知っていた。そして、詩織さん自身もクロームブック上でそれを目撃し、C子とD子に相談していたが、その後、C子とD子にもいじめられていた。これらは遺族が同級生からの証言を集ることでわかったことだ。
母親の弘美さん(仮名)は語る。
「わが家でスマホは与えていませんでした。パソコンもリビングに家族共有のデスクトップを一台置いていただけ。でも、クロームブックがわが家にきて、娘は部屋に引きこもるようになりました。クロームブックで悪口を書かれ、娘自身が自殺のことを調べていたこともわかっています。自殺の直接の原因はいじめですが、学校で配られたクロームブックがそれを助長し、娘を追い詰めた面もあるのではないでしょうか?」
山根夫妻は11月30日のうちに、遺書を持ってA校長を訪ねて調査を依頼する。しかし、その後、学校の対応に不信感を募らせていくことになる――。
森下 和海(もりした・かずみ)
プレジデントオンライン編集部


「時計もカレンダーも読めない」プロ家庭教師が嘆く学力低下の衝撃

2021-09-18 13:30:00 | 日記

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スマートフォンは現代社会に不可欠だ。だが、プロ家庭教師集団名門指導会の西村則康さんは「時間や曜日の感覚がわからない子が増えている。子供のうちはスマートフォンの時計やカレンダーではなく、アナログのものを使ってほしい」という――。
「LINEを始めたら、成績が下がった」
近年、中高生の多くがスマホを持ち、友達とのやりとりやSNSの発信、YouTube鑑賞などを楽しんでいる。今はまだ少ないけれど、今後は小学生の多くがスマホを持つようになるかもしれない。スマホを持つと、一日の多くの時間をスマホに奪われ、学力低下につながると言われている。
よく聞くのが、中学生がLINEを始めると成績が下がるというもの。グループLINEの内容が気になって、勉強に手がつけられなくなったり、夢中になっているうちに夜更かしをしてしまい、翌日の学校の授業に支障が出てしまったりするからだ。大人でも常にスマホを触っていないと落ち着かないという人がいるくらいなのだから、自制心がまだ効かない中学生に自己管理させるのは難しいだろう。
スマホによる弊害は、時間を奪われることだけではない。むしろ、私が懸念しているのは、学習の基礎力が身に付かなくなってしまうことだ。特に小学生がスマホを持つと、弊害が大きいと感じている。
「キャッシュレス社会」で失った、数の感覚を学ぶ機会
近ごろ、四捨五入の計算が苦手な子供が増えている。数の感覚がつかめないのだ。その理由の一つとして、小銭を持たなくなっているからではないかと推測する。今の子供たちは塾や習い事に忙しく、家のお手伝いをする機会がほとんどない。ひと昔前なら、「おしょうゆが切れちゃったから買ってきて。余ったお金でお菓子を買っていいわよ」と親から小銭を渡されて、しょうゆとお菓子の値段を見比べながら、いかに自分が得するか考えたものだ。そうやって、小銭の感覚、すなわち数の感覚を身に付けていったといえる。
ところが今は、親自身も現金で買い物をしなくなっている。スーパーの買い物もスマホ決済などキャッシュレスが主流になっている。また、子供にお金を渡すときも、鉄道会社のICカードなどにチャージするケースが増えている。昔と比べて、現金を使う機会が極端に減ってしまっているのだ。しかし、小学生のうちからキャッシュレスに慣れてしまうと、数の感覚が身に付かなくなってしまう。近年、算数の基礎中の基礎である10進数の感覚が理解できない子供が増えているのだ。
「スマホの読み方」と「国語の読み方」は違う
また、スマホは文章の読み方も変えてしまう。スマホやPCの文章は、スクロールして読み進めていく。こうした読み方は、素早く読むときにはいいが、文章を味わうには向いていない。速読と同じように、目に付いた大切そうな言葉だけを追う読み方になってしまう。こうした読み方をしていると、入試で問題文を読み飛ばしたり、大事な条件を見過ごしてしまったりとミスが出やすくなる。
特に国語ではしっかり読むことが重要だ。速読のような読み方では、細部の重要な言葉や表現を見落としてしまう。スマホの読み方と入試問題の読み方は違うということを認識しておく必要がある。
カレンダーや時計は「アナログ」を与えてほしい
スマホには時計やカレンダーなど便利な機能が付いている。しかし、小学生のうちからこうした機能に慣れてしまうのは、よくないと感じている。近年、子供たちの指導をしていると、「えっ!?︎ これが分からないの?」と驚くことが増えている。例えば、暦が分からない。1年は365日で、何月が何日で、祝日がいつかという日本人であれば当たり前に持っている感覚が鈍っているように感じる。受験算数に「日暦算」というものがあるが、暦の成り立ちを知っていれば簡単に解ける問題が解けない子が多い。
同じように時計の動きが分からない子供も増えている。秒針と分針の動きが理解できていないと、「時計算」を解くことができない。こうした背景にあるのが、スマホの存在だ。スマホには時計、カレンダー、スケジュール帳、辞書、計算機などさまざまな機能がある。こうした機能はとても便利ではあるが、時間の感覚や曜日の感覚がまだ身に付いていない小学生には使わせない方がいいと感じる。時計はデジタルではなくアナログのものを使い、秒針や分針の動きの感覚をまずは身に付けさせることが賢明だ。また、カレンダーも大きな紙のものを部屋の壁に貼り、1週間の感覚を身に付けさせてほしい。
大人ならすでにそういう感覚が身に付いているので、便利な機能がついているスマホを活用してもいい。でも、まだその感覚が身に付いていない子供には、針のある時計や紙のカレンダーなど、アナログの道具を使って、生活の基礎を教えてあげてほしい。
検索機能は「分かった気」になりやすい
スマホを使うメリットの一つに検索機能がある。分からないことは、すぐに調べられ、答えを知ることができるため、学習にも使うことが多い。しかし、検索機能で出てくる答えは、すべてが正しいわけではなく、その判断が難しい。また、なんとなく分かった気になっているけれど、厳密には理解できていないことも多い。
検索機能は、すぐに答えが見つかるが、そのことしか出てこない。辞書を引けば、その前後の説明があったり、補足があったりして、全体を理解することができる。言葉の意味や表現を多く知るためにも、やはり小学生には辞書を使うことをすすめる。
一方、スマホで調べるメリットもある。例えば植物を調べるときなどに、画像や動画でビジュアルがすぐに確認できることだ。ただし、パパッと検索して見つけたものは、忘れるのも早い。図鑑などで苦労して探す方が記憶には残りやすい。やっと見つけた! という感動とともに、身体感覚として残るからだ。小学生の子供は身体感覚で学習する。自分の手で触ったり、実際に見たり、手を動かしたりすることで、自分の記憶として残り、知識を吸収していく。
不便だからこそ、頭が鍛えられる
スマホは大変便利なツールだ。だが、小学生の子供にはできるだけアナログなものを使わせてほしい。不便だからこそ工夫をし、苦労するからこそ記憶に残るからだ。冒頭でキャッシュレスについての危惧を伝えたが、小学生に現金を使う機会が必要なのは、10進法の感覚を身に付けるためだ。小学生が学習する算数は、数や単位の感覚だったり、図形の性質の理解や解き方だったりといった基本である。私はそれを道具と言っているが、算数は道具が少ない。その少ない道具を使って工夫しながら考えることによって、頭が鍛えられる。
一方、数学は方程式など便利な道具を使って解くものだ。それを使えるのは、小学生で基礎を学んでいるから。基本的な道具が使えるようになってこそ、便利な道具を活かすことができる。これは、アナログ時計や紙のカレンダー、辞書などを使って基礎を身に付けることと同じ考えだ。
小学生の子供にはできるだけアナログのものを使わせ、不便な経験をさせよう。不便は工夫を生み出す。自分なりに工夫する経験を積んでから、スマホを持たせるとその便利さに気づくだろう。スマホを持たせるのは今じゃない。
西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。


この冬こそコロナ・インフル「恐怖の同時流行」を警戒すべき5つの理由

2021-09-18 12:00:00 | 日記

下記の記事はダイアモンドオンラインからの借用(コピー)です。

つい2年前まで、冬の感染症といえばインフルエンザだった。しかし今、人々は季節を忘れて新型コロナウイルスと闘い続けている。そして今年の冬は、新型コロナとインフルの「同時流行」になるかもしれない、というのが世界の専門家の見立てだ。なぜそう考えられるのか、両方から身を守るための最善策は何だろうか。(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
インフル復活への序章か
RSウイルス感染症が大流行
 覚えている人もいると思うが、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行は昨シーズンも懸念されたことだった。しかし結果は大方の予想を裏切り、インフル患者は記録的な激減を見せた。
 国立感染症研究所の推計によれば、2020年9月~2021年3月のインフル受診者数の推計は、全国で約1万4000人だった。例年なら1シーズンに約1000万人とされている。700分の1以下だ。1999年に現行方式で記録を取り始めて以来、初めて「流行なし」となった。
 大きかったのは、新型コロナに対する人々の予防意識の高まりと実践だろう。皆が皆マスクを装着し、冬でも換気を心がけ、手洗いやソーシャルディスタンスを徹底した。飛沫感染と接触感染が主な伝播経路のインフルにも、効果てきめんだ。
 このままいけば、今年もインフルは流行せずに済むのではないか……そんな期待もかかる。
 だがこの夏、気がかりなニュースが飛び込んできた。インフル同様、昨年は例外的に流行のなかったRSウイルス感染症が、早々に大流行したというのだ。
 RSウイルスは、赤ちゃんを中心に風邪の原因となり、せきや鼻水など呼吸器症状を引き起こす。2~3割は気管支炎や肺炎に陥り、まれに急性脳炎を引き起こすため、楽観は禁物だ。
 例年は、秋から流行が始まり、年末頃にピークを迎えて春まで続く。しかし国立感染症研究所によれば、今年は6月には全都道府県で患者が報告された。さらに、7月までに2018・2019年の年間累積患者数を上回ってしまった。
 しかもコロナ前と違い、2歳以上の患者数とその全年齢に占める割合が高くなっているという。この点は見逃せない。
 通常は生後1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルス感染を経験する。再感染もあるが、その場合は受診の必要がないくらい軽いことも多い。
 今年の2歳以上の受診増は、昨年流行がなく未感染の乳児が多かったせいに違いない。その子たちが今年になって初感染しているのだろう。
 実はRSウイルスのこの夏の復活流行は、日本に限ったことではない。
 世界の複数の地域で、昨年はRSウイルスの流行が消失した。ところが日本と同じ北半球の米国や英国、フランスなどで、今年になって感染が増加している。南米でも同様に、激減から一転、今年は感染が増加し、高いレベルで推移している(国立感染症研究所)。
インフルは例年以上の勢いに?
米CDCが指摘する5つの要因
 こうした呼吸器系ウイルスの動向を、米国CDC(疾病予防管理センター)のインフルエンザ監視チームも注目している。
 チームリーダーのリネット・ブラマー氏は今年7月、同国のニュース専門チャンネルCNBCで、RSウイルスの活動がすでに新型コロナ前に戻っていると指摘。CDCは、「インフルエンザウイルスの流行サイクルが、パンデミック前のレベルに戻るのに備えている」とした。
 さらに「次のインフルエンザシーズンは、通常よりも厳しいものになる可能性がある」と明言し、5つの理由を挙げている。
(1)新型コロナ感染予防のための社会生活・経済活動の制限が、緩和され続けている。
(2)インフルエンザに対する抗体は、時間の経過とともに減弱する。
(3)ワクチン接種による免疫は、自然に感染して得られる免疫よりも早く衰える。
(4)昨季に流行がなかったため、成人(特に昨年ワクチン未接種の人)の免疫力は、2季以上前のインフルエンザウイルスとの接触に依存する。
(5)幼い子どもたちも未感染や未接種が多く、インフルエンザに対する免疫力が低いとみられる。保育園・幼稚園、学校で感染が広がる可能性がある。
 その上でCDCは、「ワクチン接種は、ご存じの通り、インフルエンザとその深刻な合併症から皆さん自身と愛する人を守るための、ベストな方法に変わりありません」と呼びかけている。
 これには異存はないだろう。インフルエンザワクチンの接種はこの秋も必須だ。
 特に今インフルにかかると、平時以上に厄介な思いをすることになる。
 まず、発熱やせきなどの症状のある人を受け入れている医療機関を探さなければならない。見つけても、いきなりは受診できないことの方が多い。受診したら、インフルと新型コロナ両方の検査を受け、結果を待たねばならない。
 その間、ずっと「新型コロナでは」と本人も周囲もハラハラし続けることになる。
 要するに、体力的にはもちろん精神的にもキツイ。そんな目に遭うくらいなら、ワクチンを打っておく方がずっと賢明というものだ。
インフルワクチン供給の遅れ
コロナと同時接種で影響小さく
 気になるのは、インフルエンザワクチンの供給見通しだ。
 厚労省(9月1日発表)によれば、今季の供給量は最大約5580万人分で例年並みと発表している。ただ昨年は、1996年にデータを取り始めてから最多の供給量で、それでも足りなかった。昨年に比べると、今年は供給量としては2割減となり、新型コロナワクチン生産によって世界的に製造資材を入手しにくく、供給ペースが遅れるという。
 ナビタスクリニックでも通常なら10月の接種シーズン直前に、いったんまとまった数量が納品される。だが今季、当初の供給量は昨季の6割程度になる見込みといわれる。その後は12月上旬まで順次供給となる模様で、予約受付も入荷次第適宜となるだろう。
 ワクチン接種後すぐに十分な免疫が得られるわけではない。ぜひ本格的な流行時期よりも2週間以上前、11月前半までには打っておきたいところだが……。
「そもそも自分は新型コロナワクチンもまだ完了していない。10月以降になりそう」という人もいるだろう。その場合、インフルワクチンとの「同時接種」をおすすめしたい。
 1度の受診で複数のワクチン注射を行う同時接種は、日本人にはまだあまりなじみがないかもしれない。新型コロナワクチンに関しても、2月に薬事承認された当時の「同時接種は行わず、接種間隔は13日以上の間隔をおく」という方針のまま、放置されている(第18回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会)。
 だが、2週間も空けなければならないとなると、供給がスムーズでないインフルワクチンの接種機会や最適なタイミングを逃しかねない。そこで同時接種を、というわけだ。
 海外では、同時接種そのものは以前から普通に行われてきた。新型コロナワクチンに関しても、当初こそ様子見だったが、安全性や有効性への影響については問題ないとみられていた。
 そして今年5月、米国CDCは「新型コロナワクチンと他のワクチンは、タイミングを問わず接種してよい」と、同時接種を解禁。7月には英国NHS(国民保険サービス)も基本的に同じ方針を示している。
 私も日々、診療の中で、さまざまなワクチンの組み合わせの同時接種を行っている。新型コロナワクチンとインフルワクチンについても、科学的に合理性があれば同時接種を行うつもりでいる。
「ウイルス干渉」で同時流行の
可能性が低下する説は本当か?
 昨季に新型コロナとインフルの同時流行が起きなかった背景としては、もう一つ、「ウイルス干渉」についても指摘されている。
 ウイルス干渉とは、ざっくりいえば「あるウイルスが流行すると、似たような病気のウイルスは流行できない」という現象だ。宿主を早い者勝ちで奪い合うようなイメージだろう。
 実際、昨年『The Lancet』誌に発表された研究では、年間を通して風邪を引き起こすライノウイルスの感染が冬場だけ減り、その間にインフルエンザが流行することが、2016~2019年の臨床データ分析から示された。
 細胞レベルの実験も行われ、ライノウイルスに感染した細胞は免疫活動が高まり、インフルエンザウイルスへの感染から免れることも分かった。
 ではこの冬、人々がワクチンを積極的に打たなくても、新型コロナのウイルス干渉によってインフル流行が抑えられるのだろうか。
 それはあまりに楽観的だと私は考えている。「ウイルス干渉」は万能ではない。一人でインフルと新型コロナをいっぺんにしょい込む「同時感染」の報告もあるくらいだ。
 ウイルス干渉の詳しいメカニズムは明らかになっていない。おそらく、インフルによっても免疫が十分に活性化されていない細胞では、新型コロナ感染は起きるのだろう。
 そもそもインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスでは、感染のとっかかりとなるタンパク質(スパイクタンパク)の種類が違うし、それらが取りつくヒト側の“入り口”(受容体)の種類も違うため、感染が起きる細胞にも違いが出てくる。
 インフルの入り口は気道粘膜の細胞上に多く存在し、呼吸器症状が顕著だ。一方で、新型コロナでは気道や肺以外にも、消化管や腎臓、目、脳など、さまざまな器官・臓器の細胞上に存在して、より多様な症状や合併症が現れる。
 新型コロナは感染の突破口が多い。インフル感染で全身の免疫活動が盛んになったとしても、果たして守り切れるか――。そこまで期待できる根拠はない。
「ウイルス干渉」の可能性は否定できないが、不確かで不十分な“神風”を期待するようなものだ。まずは科学の蓄積の上に開発されたワクチンをもっと信頼し、その効果を適切に得られるよう行動すべきだろう。
(監修/ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
◎久住英二(くすみ・えいじ)
ナビタスクリニック理事長、内科医師。専門は血液専門医、旅行医学(Certificate of knowledge, the International Society of Travel Medicine)。1999年新潟大学医学部卒業。2008年JR立川駅の駅ナカにナビタスクリニック立川を開設。働く人が医療を受けやすいよう、駅ナカ立地で夜9時まで診療するクリニックを川崎駅、新宿駅にも展開。


納豆を食べる人ほど死亡リスク低下 日本の食生活調査

2021-09-18 08:30:00 | 日記

下記の記事は日経グッディからの借用(コピー)です   記事はテキストに変換していますから画像は出ません

発酵性大豆食品、特に納豆の摂取が、死亡リスクの低下と関係することが、日本の中高年約9万人を対象として行われた大規模疫学研究で明らかになりました。
納豆などの摂取量は、総死亡リスクとも関係?
これまでに行われた研究でも、発酵性大豆食品の摂取量が多い人は高血圧のリスクが低いことや、納豆の摂取量が心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患による死亡リスクの低下と関係することなどが示されていました(関連記事「納豆、週1パック 循環器疾患の死亡リスク下がる?」)。しかし、心血管疾患以外による死亡と発酵性大豆食品の摂取の関係は検討されていませんでした。
そこで、国立がん研究センターの片桐諒子氏らは、日本人の生活習慣・生活環境と病気との関わりを明らかにするための大規模疫学研究「JPHCスタディ」に参加した、45歳から74歳までの9万2915人(男性4万2750人と女性5万165人)の食生活と死亡の関係を調べることにしました。
海藻 よく食べる人は心筋梗塞リスク低く
筋トレ効果高める「朝のたんぱく質」
研究チームは、参加者全員が受けた食物摂取頻度調査のデータの中から、大豆食品(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、納豆、豆乳、味噌)全体の摂取量と、発酵性大豆食品(納豆と味噌)、非発酵性大豆食品(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、豆乳)の摂取量を推定し、さらに、それぞれ別個に納豆、味噌、豆腐(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐)の摂取量も明らかにしました。
これらの食品群または個々の食品の摂取量が最も少ない人から最も多い人まで順番に並べて五等分し、少ない方から最低五分位群、第2五分位群、第3五分位群、第4五分位群、最高五分位群としました。ただし納豆については、1万2000人超が「全く食べない」と回答していたため、食べない人を最低五分位群とし、残りの人々を摂取量に基づいて第2五分位群、第3五分位群、第4五分位群、最高五分位群の4群に分けました。
大豆食品の摂取量と、あらゆる原因による死亡(総死亡)、および、死因別の死亡(がん、あらゆる心血管疾患、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷による死亡)の関係を検討しました。
発酵性大豆食品を多く食べる人ほど死亡リスク減少
14.8年の追跡期間中に、1万3303人が死亡していました。大豆食品の摂取量と死亡の関係に影響を及ぼす可能性がある要因(BMI〔体格指数〕、喫煙歴、飲酒習慣、余暇時間の運動量、糖尿病と高血圧の有無、コーヒーと緑茶の摂取量、健康診断受診歴、閉経前か後か、女性のホルモン補充療法歴、総摂取熱量、野菜/果物/魚/肉の摂取量など)を考慮した上で分析し、大豆食品の摂取と死亡の関係を検討しました。
その結果、大豆食品の総摂取量と非発酵性大豆食品の摂取量は、総死亡のリスクに関係しないことが明らかになりました(表1)。一方で、発酵性大豆食品については、男女とも、摂取量が多いほど総死亡が少ない、逆相関関係を示しました。品目別の分析では、納豆と味噌の摂取と総死亡の関係が、女性でのみ、統計学的に有意な値になりました。
続いて、死因別死亡と大豆食品の摂取との関係を調べました。男女ともに、死因別死亡との関係が最も明らかだったのは納豆でした。全く食べない参照群に比べ、男女ともに1日に26.2g超を摂取していた最高五分位群では、心血管疾患などで死亡リスクの有意な減少が見られました。国内で市販されている、四角い容器に入っている納豆の内容量は1パック40~50gで、丸い容器の場合には30~40gです。
(データ出典:BMJ. 2020 Jan 29;368:m34. doi: 10.1136/bmj.m34.)
今回の結果は観察研究で得られたものであり、現時点で因果関係があるかどうかは不明ですが、発酵性大豆食品、特に納豆の摂取が多い人は、死亡リスクを下げられる可能性が示唆されました。
なお、呼吸器疾患による死亡と大豆食品の摂取の関係の方向性は、男女間で大きく異なっていますが、その理由については、著者らは言及していません。一般に、女性に比べ男性では、喫煙関係の呼吸器疾患の罹患率と死亡率が高いこと、今回の研究では、喫煙習慣に関する情報が得られなかった人が男女ともに比較的多かったこと、呼吸器疾患による死者は他の疾患による死者に比べ少なかったことなどから、分析の統計学的検出力が低くなった可能性が考えられます。解釈には注意が必要でしょう。
論文は、2020年1月29日付のBMJ誌電子版に掲載されています[注1]。
[注1]Katagiri R, et al. BMJ. 2020 Jan 29;368:m34. doi: 10.1136/bmj.m34.
大西淳子
医学ジャーナリスト。