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高齢の夫が「寝たきりの妻」を在宅介護、決め手となった3つの理由

2021-09-20 15:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です。

妻は「要介護5」で
寝たきり状態に
「施設から在宅へ」「病院から自宅へ」という旗印の下、政府は介護人材の不足を理由に在宅介護を推進している。特にコロナ禍の最近は施設でのクラスターを不安視し、在宅介護を選ぶ人が増加傾向にあるという。
 フリーライターとして働く平尾俊郎氏(68歳)もその一人。2年ほど前から在宅で妻(62歳、要介護5)の介護に取り組んでいる。子どもはおらず夫婦2人、千葉県千葉市の賃貸マンション暮らし(家賃8万5000円)。妻はアルコール依存から神経系の急性疾患「ウェルニッケ脳症」を発症し、四肢が自由に動かず寝たきり状態となった。会話はできるが短期記憶障害が残り、30分前に話したことを忘れてしまう状態。糖尿病と統合失調症も併発している。
「在宅で妻を介護するということ」は、そんな平尾氏の介護体験記だ。介護の専門家ではなく、一般の当事者として日々の気づきなどを綴っている。
「読者層は現在配偶者を介護している、あるいはこれから介護するであろう60~70代の男性を想定しています。過去にライターとして何度も介護現場を取材したことがあり、妻がこういう状況になったこともあって連載をスタートしました。ネットの記事などでは、在宅介護は『自由な時間が一切なくなった』『心身がボロボロになった』といった情報ばかりが目につくため、そんな風潮に一石を投じたいという思いがありました」
 もっとも、介護は症状や家庭事情などによってケースバイケースな問題であるため、一概に語ることは難しい。平尾氏も「この連載は在宅介護の正しさを証明するという趣旨のものではありません。あくまで一つの事例にすぎませんし、しかも私の場合はかなり恵まれていました」と念を押す。
 では、なぜ平尾氏は在宅介護という道を選んだのか。その理由を紹介しよう。
在宅介護を選んだ
三つの理由
 一つ目は経済的理由だ。平尾氏が利用中の介護サービスは、訪問診療(月1回)、訪問看護(週1回)、訪問リハビリ(週2回)、訪問入浴(週1回)、訪問歯科診療(月1回)となっている。
「妻を病院に入れた場合は最低でも毎月20万円、特別養護老人ホームでも12万円はかかります。私のような65歳過ぎのフリーランスの場合ですと定期収入もなくなり、退職金もなし。これから年金生活に入るという段階で、そんな額を毎月支払っていくのは厳しい。しかし、在宅介護を始めた頃の支出(介護サービス、薬代、その他消耗品)は月7万円程度で、現在は身体障害者手帳(1級)を取得し、千葉市から医療費助成やおむつ代支給などを受けているため、3万円程度の自己負担額で済んでいます。その中にはベッド、エアマット、ベッドのサイドレール、サイドテーブル、車椅子のレンタル料(合計3450円)も含まれています。日本や自治体の制度、自宅を訪問してくれる介護スタッフの方々には本当に感謝しています」
二つ目の理由として、平尾氏は職業柄在宅での仕事が多く、時間的余裕があったことも大きい。フリーランス人口が増加し、テレワーク時代の今は、平尾氏のように自宅で仕事と介護を両立させることはそこまで難しい話ではないだろう。
「たとえば、施設などではよくおむつ交換を朝6時と夕方16時に2度行いますが、在宅介護の場合は別にその時間にこだわる必要もありません。24時間家にいるので、暇な時間を上手に使って1日2度行えばいいだけです。食事介助が大変という話もよく聞きますが、ドラッグストアに行けばレトルトパックの介護食品や栄養調整食品がいくらでも売っています。値段は1袋150~200円と高めですが、レンジでチンすればいいだけなので調理時間もかかりません。もしお金が必要なら、外でバイトする時間だってとれるでしょう。実際、私も毎週金土日の3日間、18時から21時までの3時間、ファミレスの宅配を1年間続け、毎月約5万円を稼ぐことができました。時間を上手に使えばいろいろなことができます」
 三つ目に、妻の健康配慮のためだという。
「病院や施設では、寝たきりの人が毎日目にする光景といえば、無地の白い天井と蛍光灯くらいのもの…。私の両親もそうでしたが、刺激が少ない場所で生活していると良くなる病気も悪くなってしまう。そのため、我が家では妻のベッドをベランダに面した日当たりのよい場所に設置しました。ここなら青い空や流れる雲、街を行き交う人々を一望できるため刺激になります。ベッド脇にはスピーカーを置いて四六時中BGMを流し、ペットの猫もいる。このように、何をすれば妻が元気になるのかをいろいろ考えるのも楽しみの一つです」
最も反響があったエピソードとは
 しかし、もちろん在宅介護は苦労もある。
「連載で最も反響があった回は、車椅子からベッドに移乗する際の苦労を語ったエピソードでした。四肢を全く動かせない相手を持ち上げるのは本当に大変で、読者からも『同じく大変な思いをしています』『よく持ち上げられましたね』などの声がありました。また、病院から妻を連れて自宅マンションに帰ってきたときも、エレベーターに乗せることができず、困りました。朝方だったので住人も通らず、仮に通ったところで手伝ってもらうのも気がひけるため、結局救急車を呼びました。そんなことで呼んでしまい大変申し訳ないと思いながらも、どうしようもありませんでした。同じような経験をしたことのある介護者は多いと思います」
 こういった人的援助に加えて、経済的援助が必要な人もいるだろう。支援制度を調べて利用するだけではなく、何かあったとき金銭面で頼れるように、普段から兄弟や家族と良好な関係を築いておくことも大切だ。
 最後に、平尾氏は「在宅介護にして本当に良かった」という。
「介護は考え方次第でいくらでも面白くなります。シモの世話でも、今はいかにして上手におむつ交換するかなど技術を極めるようになりました。そして在宅介護の醍醐味はより夫婦の関係が密接になること。短期記憶障害のため、すでに亡くなったのに『お母さんどうしてる?』と聞いてきたり、自分の名前を旧姓で答えるなんてこともありますが、元気なときは冗談を言い合ったりもできます。今後、おそらく妻の認知症は進行していくでしょうが、それでもずっと彼女と一緒にいたいと思います」
 在宅介護と施設介護、どちらがベターかはケースによってさまざまだ。そのベターを判断するために、まずは在宅介護に対するイメージを変えるところから始めてはいかがだろう。


誘ってください」「パンツいりませんか?」と下着を売りつけようとする中学生も…危険すぎる子どものSNS利用の実態

2021-09-20 13:30:00 | 日記

下記の記事は文春オンラインからの借用(コピー)です。

 SNSいじめ、ゲーム依存、性被害……。子どものスマホ利用の実態はどうなっているのか。ジャーナリスト・石川結貴による『スマホ危機 親子の克服術』(文藝春秋)から一部抜粋して、子どものスマホ問題を紹介する。
◆◆◆
テレクラのアプリ版も
「SNS」と聞いて、おとなが思い浮かべるのはツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどだろう。ツイッターなら140字以内の短文を投稿、利用者同士は文字を打ち込んでメッセージを交換し、コミュニケーションする。
 一方、子どもたちの間では数年前から「トークアプリ」や「ボイスSNS」の人気が高い。ボイスSNSではその名のとおり「声」を使う。つまり会話をするのだ。
 中高生に人気のアプリ「斉藤さん」や「KoeTomo(こえとも)」は、利用者同士がランダムにつながり、匿名で会話できる仕組みだ。いわゆるマッチングアプリで、どこの誰につながるかはわからないが、自動的に誰かにつながる。90年代に流行したテレクラ(テレホンクラブ)のアプリ版、そう考えるとわかりやすい。
「クラスの女子の半分くらいは使ってますよ」と話すのは、高校2年生の愛莉さん。2年前から週に一、二度利用するという。
「ヒマつぶしにちょっと誰かと話そうかって使い方もできるし、友達と一緒にいたずら半分でやることもあります。『キモイ人に当たった』とか、『いきなり下ネタ振られた』とか、話のネタにするとみんなにウケるんです」
 愛莉さんはツイッターやインスタグラムも利用するが、「やっぱり声で会話できたほうが楽」だと笑う。
「テキストメッセージ(文章の投稿)は微妙なニュアンスが伝わらない。LINEのグループトークでも、ちょっとした言葉を誤解されてハブられる(仲間はずれにされる)ことがありますからね。その点、斉藤さんとかなら相手の声から年齢や雰囲気がわかりやすい。話がおもしろいとか、ノリがよさそうとか、少ししゃべるだけで伝わってくるじゃないですか。優しそうな人に当たると、『リアルで会ってもいいかな』って気持ちになるんです」
 実際には会ったことがないというが、その理由は「話した相手が遠くに住んでいたから」。逆に近くの人なら「今から会おう」と会話が弾み、ノリに任せて行動するというのだ。
投げ銭狙いで顔出し・コスプレする子もいる
「斉藤さんにはビデオ通話やライブ配信の機能もあって、よくできてますよ」と言うのは、高校3年生の菜穂さんだ。声だけでなく、利用者同士が互いの顔を見ながら話したり、自分の話している様子をそのまま動画配信して多くの人に聞いてもらうことができる。ライブ配信は映像のオンとオフを選択できるため、実際にはラジオ番組のように声だけを流す利用者が多いという。
「私もたまにライブ配信をやるけど、顔出しはNGにしてます。ひとりでやると途中で話がつづかなくなっちゃうから、たいていは友達と一緒ですね。要は友達としゃべってることを、まんま他人に聞かせちゃうんですけど、わざとおバカっぽいトークをしてます。お笑いライブじゃないけど、聞いてる人にウケること言うとコメントが多くなるし、チップがもらえたりするんです」
 おもしろいラジオ番組にリスナーからの反響があるように、斉藤さんのライブ配信でもコメントが寄せられる。加えて「投げ銭」という機能があり、チップが与えられる仕組みだ。チップとはゲームコインのようなもので、利用者がアプリ内で課金し、自分が気に入ったり、仲良くなった相手にプレゼントできる。
「配信やって、投げ銭もらえたら、それをアマゾンのギフトカードとかに引き換えられるんです。投げ銭狙いの子は、顔出ししてアイドル気取りで歌ったりとか、コスプレでしゃべったりしてます。私はそこまでガチでやる気はないんで、もらえるチップは月に数百円くらいですね。でも、顔出ししなければ少しくらいバカやっても平気だし、TikTokより自由度が高くて好きなんです」
「絶対に怪しい人間じゃないんで、1分だけ切らないでもらえますか」
「変な人に当たったら即切り(すぐに通話を切る)か、ブロックすればいい」、そう話す子どもたちはいたずら電話のような感覚でトークアプリやボイスSNSを利用する。どこの誰ともわからないという匿名性に加え、相手はアプリによって無作為に当たっただけ。つまり自分で選んでいないわけだから、そのぶん「切る」ことへの心理的ハードルが低くなる。
 一見、危険な相手を防ぎやすいのだが、逆に「いい人」ならどうだろう。前出の愛莉さんが「優しそうな人に当たると、会ってもいいかなって気持ちになる」と話したように、たまたまつながった相手と意気投合する場合もあるはずだ。
 現在は社会人として働く尚斗さん(23歳)は、数年前まで斉藤さんやKoeTomoを利用して数十人の少女と連絡先を交換した。最年少は小学4年生の女の子、一番多かったのは中学生で、いずれも簡単に個人情報を聞き出せたり、少しおだてると「すぐに食いついてきた」と笑う。
「女の子につながったら、まずさわやかに挨拶します。そのあと『絶対に怪しい人間じゃないんで、お願いだから1分だけ切らないでもらえますか』と低姿勢で頼むんです。1分って言われると、相手もまぁそれくらいならと思うじゃないですか。1分なんて軽く過ぎちゃうけど、時間だからって切る子はまずいなかったです」
中学生から「パンツいりませんか?」と…
 尚斗さんは「自分が振って、相手に返させる」ような会話で個人情報を聞き出したという。たとえば「僕は横浜に住んでます」と自分の話をしたあとで、「キミはどこらへん?」と尋ねて居住地を返答させる。「僕は大学生だけど、キミは何年生?」と振って学年を聞き出したら、学校での活動や友達関係などの話題につなげていく。相手の話に応じて、「がんばってるね」とほめたり、「僕もそうだったから、気持ちわかるな」と共感したりすると、たちまち警戒を解く女の子も多かった。
「距離が縮まったら、『楽しかったけど、これ切ったらもう話せない。寂しいな』とか言うんです。たまたまつながってることを逆利用するっていうか、実際なんにもしないで切っちゃったら同じ相手とはもう話せない。そういう仕組みって、お互いにいい感じになった場合には『連絡先、交換しなくちゃ』って焦りやすいと思うんですよ」
 すぐに切れる関係性は、反面では「切ったら終わり」だ。このまま終わるのは寂しい、そんな相手の気持ちを突いてまずは自分の電話番号を伝える。「お願いだから1時間以内にかけて。待ってるから、絶対だよ」と念押しすると、8割くらいの確率で女の子からの連絡があったという。
「そこからはショートメッセージとか、LINEでやりとりするとか、個人的につながる方法はいくらでもありますよ。僕はヘタなことして逮捕とかされたくないんで、小中学生とはリアルで会いませんでした。ただ、女の子たちは『誘ってください』とか、『前にも男の人と会った』とか平気で言ってくる。『パンツいりませんか?』って下着を売りつけようとする中学生の子もいました」
オンラインゲームの会話も音声へ
 かつて中高生の間で人気を集め、800万人もの利用者数を獲得した『ひま部』(2019年12月サービス終了)というSNSは「学生限定」。つまりおとなの参加が禁止されている子どもだけのSNSだが、ここでも「だれ通(誰でも通話ができる)」、「だれビ(誰でもビデオ通話ができる)」という機能があり、つながった相手と会話(ビデオ通話)ができた。
 国内で最大のSNSであるLINEにも、通話やビデオ通話機能が備わっている。こんなふうにSNSでのコミュニケーションは、すでに文字でのやりとりに限らない。互いの声を聞いたり、表情を見たりして、より関係性を深められるようになっている。
 コミュニケーションの広がりは、オンラインゲームも同様だ。仲間と一緒に闘ったり、ゲームを通じて友達を作ったりするソーシャルゲームでは、一部に「ボイスチャット」という機能が備わっている。
 もともとゲーム内では、「チャット」と呼ばれる文字でのやりとりが一般的だった。マンガの吹き出しやテレビ番組のテロップのように、利用者同士が文字を入力して会話する。とはいえ、ゲーム操作をしながらの文字入力では手間も時間もかかってしまう。そこでボイスチャット、つまり声で会話しながら遊ぶという形態が広がってきた。ちなみに子どもたちは略して「ボイチャ」と言う。
 株式会社ゲムトレの調査(2020年5月)では、小学生に人気のゲームは「フォートナイト」(22.1%)、「マインクラフト」(17%)、「あつまれどうぶつの森」(14.1%)などだ。1位の「フォートナイト」は利用者同士が生き残りをかけて闘うバトルロイヤルゲーム、同種の「荒野行動」や「コール オブ デューティ」は中高生の人気が高い。
ボイスチャットで飛び交う暴言
 フォートナイトや荒野行動などのゲームはボイスチャット機能を備えて仲間との意思疎通がしやすく、隣り合って遊んでいるような臨場感がある。一緒に叫んだり、笑い合ったりできることは、ボイスチャットならではのメリットだろうが、一方で深刻なトラブルが生じている。たとえば暴言や悪口、仲間はずれだ。
「子ども部屋から毎日のように『死ね』、『殺す』、『消えろ』なんて言葉が聞こえてくるんです。何度注意しても『ふつうだから』と言って本人はケロッとしている。あんなに汚い言葉を使いながら遊ぶのはやめさせたいんですが……」
 小学6年生の息子を持つ母親(39歳)は、スマホやパソコンでフォートナイトに熱中する子どもの様子を懸念する。子どもは同じクラスの男子数人でチームを組み、LINEで「今日は○時スタート」とゲーム開始の連絡を取り合う。いったん遊びはじめると汚い言葉を連発し、興奮して大声を上げたりすることもあるという。
「お互い協力して楽しく遊ぶならともかく、子ども同士で『クソ』、『ダッサ(ダサイ)』とけなしあったりするみたいです。それで本当に友達なの? 学校で大丈夫? と心配なんですが、息子はこれくらいやらなきゃダメだと言う。なんでもおとなしいタイプの子は、仲間から一方的に責められたり、バカにされたりすると」
 フォートナイトは生き残りを賭けて闘う、逆に言えば殺し合いをするゲームだ。だからといって必ずしも残虐というわけではなく、流血や体がバラバラになるような描写は使われていない。あくまでも遊びだと自覚し、ゲームマナーを守って利用するぶんにはいいのだろうが、小学生のような未熟な関係性ではむずかしい。
 おまけに会話となれば、相手の調子に合わせてつい感情的にもなるだろう。「なにやってんだ、バーカ」と言われたら、「おまえこそバカじゃん。失せろ」などと返してしまいがちだ。こうしたやりとりがエスカレートし、リアルの学校や家庭生活に影響が及ぶことも増えている。
 便利な機能は人と人とをつなぎやすくするが、だからといって人間関係がより豊かになるわけでもない。SNSにしろ、オンラインゲームにしろ、「声」を通じて不特定多数のおとなと関わるようになった子どもたちは、この先どんなリスクを抱えていくのだろうか。

石川 結貴
いしかわ ゆうき
ジャーナリスト
家族問題や児童虐待、ネット関連の社会現象などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに多数の話題作を発表している。


アンチエイジング、肥満、認知症……睡眠の質の低下が招く恐ろしい症状

2021-09-20 12:00:00 | 日記

下記の記事はプレジデントオンラインからの借用(コピー)です

「ある調査では、フランス人の平均睡眠時間は8.7時間、アメリカ人は7.5時間。対して日本人は6.5時間で、6時間未満の人も40%いると言われています。そのほかの調査でも日本人は世界一睡眠時間が少ないと報告されています。また、欧米では女性の方が10~20分ほど睡眠時間が長い傾向にあるのですが、日本人は逆。つまり日本人女性は世界一睡眠時間が短いのです」
西野先生は睡眠不足を『睡眠負債』と名付けている。「今日はちょっと寝不足」という負債が積もると債務超過になり、返済不能となる。つまり簡単に解決できないほど深刻な状況に陥ってしまうということだ。
「普段十分な睡眠をとっている人なら、1~2日寝不足になってもすぐにリカバリーできます。けれども慢性的に睡眠不足の状態の人は、長期的な視野で睡眠を改善していく必要があるのです」
時間だけではない。女性は40歳を過ぎるとホルモンバランスの関係で睡眠の質まで下がるというのだ。
「近年、性ホルモンやその代謝物が睡眠に影響を与えることがわかってきました。女性は月経、妊娠、出産、更年期などで、エストロゲンをはじめとする性ホルモンの分泌量が大きく変動します。通常、就寝中は、深部体温を下げるため、体は熱を放散します。ただ女性は月経時は低温期に、排卵時は高温期になるため、深部体温がうまく下がらないことがあるのです」
つまり、1ヶ月の中で、睡眠の質にばらつきが出やすいということだ。
睡眠不足が引き起こすさまざまな疾患リスク
では睡眠不足や質が悪くなると、どんな影響が現れるのか。睡眠には記憶の整理や定着、嫌な記憶を除去する効果がある。
「なかでも大事な機能として、脳の老廃物を除去するシステムがあります。脳には体と違って老廃物を流すリンパ節はありません。その代わり、脳室内にある脳脊髄液が脳の老廃物を排出しています。そして、この脳脊髄液は日中に比べ、睡眠中は4~10倍活性化されることがわかっています。脳の老廃物が溜まると、アルツハイマーなどの危険因子になる可能性があるため、脳のデトックスにおいて睡眠は極めて重要なのです」
また、短時間睡眠の人ほどBMI値が高くなる傾向があるという。
「睡眠不足になるとインスリンの分泌や反応が悪くなり、血糖値が高くなります。さらに食べ過ぎを抑制するレプチンや、食欲を増すグレリンというホルモンが分泌されるため、太りやすくなります。これは男性よりも女性の方が顕著に現れます」
他にも不適切な睡眠は、新陳代謝や免疫、肌の保水率が悪くなるなど、美容やアンチエイジングにも大きく影響することがわかっている。想像以上に体にとって睡眠は大切なのだ。
睡眠不足の解消には分散睡眠も効果的
では、よい眠りを得るためにはどうしたらいいのだろうか。
「一番大事なのは睡眠時間です。個人差があって、短時間の睡眠でも大丈夫な人もいるので一概には言えませんが、ショートスリーパー以外の方は6時間は確保してほしいですね」
寝不足の時は昼寝も有効だ。一般的には15分以内の仮眠が理想と言われているが、西野先生は1時間までなら寝てもいいという。
「昔と違い、今は子供も大人も圧倒的に睡眠時間が足りていません。そのため、昼寝によるデメリットよりもメリットの方が大きい。ある調査で、認知症の方とそのご家族に、昼寝の習慣についてヒアリングしたものがあります。その結果、昼寝を全くしない人に比べて、毎日30分未満の昼寝をしている人は、認知症発症率が約1/7に、30分~1時間取る人は約半分になることがわかりました。逆に1時間以上寝る人は、認知症発症率は約2倍になるということもわかりました。長時間の仮眠は、睡眠惰性で起きたときに頭がぼーっとするため、パフォーマンスも下がるという悪影響もありますので。昼寝は1時間以内に収めるといいでしょう」
どうしても睡眠時間が確保できないと言うときは、せめて質を高めることを心がけたい。その鍵となるのは、眠りについて最初の90分だ。
睡眠には2種類の状態がある。体は眠っているが、脳は活動している『レム睡眠』と、脳も体も眠っている『ノンレム睡眠』。入眠して最初の90分間は、最も深いノンレム睡眠がやってきて、続いてレム睡眠が訪れる。朝方になるとノンレム睡眠は浅く短く、レム睡眠の時間が長くなり、自然と目覚めが訪れる。これが睡眠の正しいリズムだ。睡眠の質を左右するのは、最初の90分のノンレム睡眠。このときにより深く眠ることができれば、睡眠の質は上がり、睡眠の重要な機能は確保できる。
睡眠は「ノンレム」と「レム」の繰り返し
引用:『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)
脳と体温のスムーズな切り替えが良質な睡眠へと導く
最初の90分を深く眠るためには、以下の2つのスイッチの切り替えを意識的に行ってほしい。
1.脳のスイッチ
寝る直前までスマホやパソコンでメールチェックやウエブ検索をしていないだろうか。
「ブルーライトが良くないと言われますが、それよりも頭を使って脳を興奮させていることの方が問題です。仕事が忙しくて興奮状態だったり、考えごとや心配ごとが頭から離れないままベッドに入っていないでしょうか。過緊張や過覚醒の状態だと、脳も興奮していて、スムーズに睡眠に入ることができません。音楽を聞いたり、気持ちが落ち着く本などを読んで、思考をオフにして、リラックスした状態になりましょう」
2.体温のスイッチ
前出の通り、眠気は深部体温を下げるために体が熱を放出したときに訪れる。これを妨げず、促してあげるのが質の良い睡眠につながる。
「深部体温」と「皮膚温度」の差が縮まると眠くなる
引用:『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)
スムーズに体温を下げる方法として、よく挙がるのが半身浴。ただし、入り方には注意が必要だと西野先生は言う。
「40℃のお湯に15分浸かると、深部体温は0.5~0.6度ほど上がります。体はこれを下げようとして、熱を放出するのですが、入浴前の状態まで体温が戻るまで約90分かかるのです。このタイミングでベッドに入れば深い睡眠が訪れますが、体温が下がらないままベッドに入ってしまうと、逆に寝つきが悪くなるのです」
深部体温は「上げ下げ」が鍵!
引用:『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)
入浴して寝るまでに90分も時間を取れないという場合は、40℃よりもぬるいお湯にしたり、入浴時間を短くする、シャワーで済ませるなどした方が睡眠の質は良くなる。
「女性に多いのが冷え性だから靴下を履いて寝るという方。靴下を履くと足先から熱を放散できなくなるため、避けた方がいいでしょう。冷え性の方は靴下で足を温め、寝る直前に脱ぐと熱放散をしやすくなるのでおすすめです」
もうひとつ体温を左右しているのが、サーカディアンリズムと呼ばれる体内時計。サーカディアンリズムは25時間周期のため、何もしないとどんどん夜型の生活になっていく。体を24時間周期にリセットするために、欠かせないのが朝日。朝、太陽の光浴びてから活動をスタートすると、夕方リラックス状態に入りやすくなるという。
「逆に最初に陽の光を浴びるのが午後や夕方になると、サーカディアンリズムは後ろにずれていくことがわかっています。良質な睡眠は朝の過ごし方から始まっているのです」
体の熱を放散できる寝具が睡眠の質を決定づける
熱放散をスムーズにするためには、寝具選びも見直すべきだろう。特に西野先生が重視しているのが頭。頭寒足熱と言われるように、頭や脳の温度を下げることは質の良い睡眠につながりやすい。ところが既存の枕では、熱がこもりやすく、脳の温度が下がりにくいのだ。そこでその問題を解決する枕を西野先生自らが考案した。それが、全体がコイル構造になった『ブレインスリーブピロー』だ。春雨のように全体に空気を内包した構造により通気性を確保。空気に触れる面が多いため、どんな姿勢で寝ても、頭の熱が逃げやすいようになっている。
『ブレインスリーブピロー+オーガニックコットンカバー』3万3550円(税込)/ブレインスリーブ
素材はポリエチレンを使用。縦は3層、横は5層と場所によって硬さが異なっており、寝返りがうちやすい構造となっている。さらに、1週間ほど使い続けると、頭の形になじんできて、まるでオーダーメイドのようなフィット感になる。枕が合わず、寝起きに肩が凝るなどの心配も無用だ。ポリエチレン素材のため、水洗いが可能で、ダニが繁殖しづらく、清潔に保てるなど、細部にまでこだわっている。
睡眠に悩んでいる人は、脳と体温、そして睡眠環境を見直してみてはどうだろう。
西野精治(にしの・せいじ)さん
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生態リズム研究所所長。株式会社ブレンインスリーブ最高経営責任者兼最高医学責任者。睡眠・覚醒のメカニズムを分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究。著書に『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)、「スタンフォード式お金と人材が集まる仕事術」(文藝春秋)など


眞子さま、一時金を辞退しても超高級マンションへ 見えてくる「金主」の存在

2021-09-20 11:00:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブンオンラインからの借用(コピー)です。

《眞子さま10月にも婚姻届 宮邸離れ、渡米の準備》──9月8日、共同通信が報じた記事が波紋を広げている。秋篠宮家の長女・眞子さまが小室圭さんと年内にも結婚される見込みであることは、9月1日に各社が報じた通り。それを追っての、さらなる衝撃的な報道だった。
「眞子さまが10月中に婚姻届を提出され、それに伴い皇籍を離脱、お住まいの秋篠宮邸を離れられ、一時的に都内のマンションに滞在される見込みという内容です。ご結婚後は小室さんの住むアメリカへ渡るご予定ですから、マンション滞在中にパスポートなど渡米のための準備を進められるようです」(皇室記者)
 ある皇室ジャーナリストは、眞子さまの行く末をこう案じる。
「結婚され、皇籍を離脱されれば、眞子さまは“小室眞子さん”として一般人になります。ですが、一般人とはいえ元皇族ですから、お住まいは厳重に警備されたセキュリティー万全のものでなくてはなりません。すると、金銭的な負担も相当でしょう。そんな高級マンションに住む費用を、眞子さまはどのように工面される予定なのか、心配でなりません」
 9月13日、眞子さまがお勤め先のインターメディアテク(IMT)に出勤されるということで、朝10時頃の赤坂御用地の巽門前には多くの報道陣が詰めかけた。しかし、眞子さまがお姿を見せられることはなかった。
「以前は週に3日のペースだったご出勤も、緊急事態宣言下では週1日になっているそうです。しかも、この2週間は出勤されていないよう。メディアの前に出ることに、ナーバスになられているのかもしれません」(宮内庁関係者)
 眞子さまは1億4000万円とみられる一時金を辞退されるご意向だという。一時金も失い、IMTでの収入も減っては、今後の生活が心許ないはず──それでもセキュリティーの堅牢な都心の超高級マンションに住めるというのは、一体なぜなのか。
眞子さまの“貯金”で1億5000万円
 眞子さまの暮らすマンションの費用は、どこから捻出されるのか。
「警備対象が一般人でも、警察が特別に必要と判断したら警備費用は税金で賄われます。眞子さまの場合も、そうなるでしょう。マンションの前に警察官が立ったり、ポリスボックスが設置されるなど、大掛かりな警備が予想されます」(別の皇室記者)
 しかし、マンションの家賃や生活費は、一般人となられた眞子さまと小室さんで支払う必要がある。そこで浮上するのが、各宮家の皇族に対し支給される「皇族費」だ。皇族としての品位保持に充てるもので、眞子さまの場合、成年されるまでは年間305万円が、成年後は年間915万円が支給されてきた。
「例えばこれまで支払われてきた皇族費を、秋篠宮さまのご判断で“眞子さまの名義で、すべて貯金されていた”とすれば、眞子さまの私有財産と捉えられます。すると、総額約1億5000万円が、税法上は問題なく眞子さまの手に渡ることになります。“一時金並み”の金額ですから、渡米までの期間は充分に品位を保った生活ができるのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト)
 しかし、眞子さまが渡米された後の生活には、さらにお金が必要になる。
「『元皇族』というお立場上、さまざまな犯罪やテロのターゲットになりかねないため、海外では日本以上に厳重な警備体制を敷く必要があります。外務省や在アメリカ総領事館との協力体制の下、現地警察が警備にあたることになるでしょう。そうした暮らしが10年も20年も続くと考えると、1億5000万円という金額では、まったく心許ない」(前出・別の皇室関係者)
 小室さんが予定どおりアメリカの法律事務所で働けたとしても、賄うのは容易ではないだろう。その場合、救いの手を差し伸べるのは眞子さまの“ご実家”しかない。
「いくら眞子さまが拒否されても、秋篠宮ご一家からの金銭的援助なしに生活できるとは思えません。ご一家が秘密裏にお金を回しても、国民に知る術はありません。
 日本にお住まいの黒田清子さんですら、質素な生活に徹していながらも、品位や安全を守るには相応の出費が必要です。夫の慶樹さんは東京都庁の職員で収入は決して少なくありませんが、それだけでやりくりするのは厳しいはず。ですからやはり、なんらかの形で皇室からの支援を受けているのでしょう」(前出・別の皇室関係者)
 それでも批判の声が上がらないのは、清子さんが慎ましい生活をされているからだろうか。
「秋篠宮さまに毎年支給される皇族費は年間9150万円です。皇族方の倹約精神は広く知られるところで、相当額の預貯金が想定されます。いずれ秋篠宮さまや悠仁さまが天皇となられれば、秋篠宮ご一家は天皇家となります。すると、ご一家の日常の費用に充てられるのは『内廷費』となります。今年度の内廷費は、3億2400万円でしたから、秋篠宮ご一家にもそれに近い額が支払われるでしょう」(前出・皇室関係者)
 年月を経るにつれて、より一層大きな額が眞子さまに渡ってもおかしくないのだ。眞子さまは「愛する人と結婚できるのなら、ほかに何もいらない」という思いで、ご結婚へと突き進まれている。だがその道は、“ご実家”という金主の支援なしには成立することはないのだ。


男が女より短命なのは、「交流ベタ」が原因?

2021-09-20 08:30:00 | 日記

下記は日経グッディからの借用(コピー)です

「おばあちゃんが亡くなったら、おじいちゃんも後を追うように亡くなってしまった」という話を聞くことがある。しかし、逆におばあちゃんがおじいちゃんの後を追うように…という話はあまり聞かない。これは迷信なのだろうかというと、実はそうではない。「統計データから検証すると、こういう傾向は実際にあるんです」と、社会疫学者の近藤尚己さんは話す(前回のインタビューは「『孤立』はたばこと同じくらい体に悪い?」)。パートナーとの死別はストレスの最たるものだが、そこから受ける影響には、男女の間で違いがあるようだ。
 男性、女性は、それぞれどういったストレスに弱いのだろうか。そこにも、健康的に生きるためのヒントが隠されていた。
パートナーと死別。男は後を追いやすいが、女は平気!?
前回のインタビューで、孤立は不健康に繋がり、寿命を縮めるというお話を伺いました。人との繋がりがあるかどうかが、健康に大きく関係しているということですね。それに関連して、近藤さんの研究の中に、「人との繋がりが健康に与える影響に男女差がある」というものがあり、非常に興味深かったです。
パートナーに先立たれた場合、後を追うように亡くなってしまう確率は男女で大きく異なります。
近藤 「死別の研究」ですね。結婚したパートナーに先立たれた場合、その後に死亡する確率はどのくらい上がるのかという研究を、ハーバード大学の大学院生と一緒にやりました。
 分析の結果、男女ともにパートナーに先立たれると、早く死亡してしまう傾向があると分かりました。パートナーが死亡した人は、その半年後までに、パートナーがいる人よりも41%ほど死亡する率が高いのです。半年がたつと死亡リスクはやや下がりますが、それでもパートナーがいる人より14%高くなります。
 興味深いのはここからです。男女に分けて調べると、男性の場合は23%の増加、女性はわずか4%の増加にとどまることが分かりました。ざっくり言うと、女性はパートナーが死んでもへっちゃらだということです。もちろん、これは統計上の話ですから、全員に当てはまるわけではありませんが。
 ここからは憶測ですが、女性は、男性と比べると、一人になっても別のコミュニティーを新たにつくる能力が平均的に長けているからだと思います。分かりやすい例が、定年退職です。これがものすごく健康リスクになる場合があります。
えっ、そうなのですか? ようやくリタイアして、自由になる時間がたくさんできて健康になるのかと思いました。
近藤 もちろん、退職してやりたいことをやろうと生き生きする人もいますけど、これまで仕事一筋だった人が、退職によってコミュニティーを失ってしまうというリスクもあります。
 仕事一筋の人にとってのコミュニティーは、職場と家庭しかありません。すると、退職によって職場というコミュニティーが失われてしまいますから、家しかなくなってしまいます。
 日本の場合、特に男性はそういった傾向が強い。例えば、退職後、仕事がなく家でウダウダしていると、奥さんに「じゃまよ」って怒られちゃいますよね。外に蹴り出されても何もやることがなくなってしまう。居場所もない。すると、パチンコにはまってしまったり、酒に溺れてしまったりします。
 やはり仕事と家庭以外にも、いくつかのコミュニティーを持っておくことは、健康面において大事な要素です。還暦を迎える前から、家と仕事以外の居場所、例えば地域の集まりや趣味の会などといった複数のコミュニティーに属している方が、自分の役割を意識して元気でいられるのではないかと思います。
 企業や労働政策の担当者には、社員が退職前から様々な活動に参加して、仕事と家庭以外のコミュニティーを持てるように、働き方の制度や職場のあり方を検討してほしいと思います。
外にコミュニティーを持つと、独りでも自立を維持しやすい
その点、女性の場合は、元々さまざまなコミュニティーに入ることを得意としているというお話がありましたね。
近藤 そうです。女性は元々コミュニティーをたくさん持っています。日本の場合、女性は家事や子育てだけでなく、地域の自治会に参加したり、子どもの学校を通じた繋がりがあったり、コミュニティーに属する機会がたくさんありますからね。だから夫が亡くなっても、自分の居場所や役割を失うことは少ないのではないでしょうか。
 一方、仕事一筋だった男性が奥さんに先立たれてしまうと、退職後は家庭の他にコミュニティーを持っていませんから、慰めてくれる人がいません。独りで悲しく家で過ごす毎日になってしまうのかなと思います。
認知症の原因にもなりそうです。
近藤 はい。周囲に慰めてくれるような人がいないことが、その後の認知症の発症と関係することを示したデータは日本からも報告されています 。
竹田徳則ほか 認知症を伴う要介護認定発生のリスクスコアの開発─5年間のAGESコホート研究 日本認知症予防学会誌 2016;4:25-35.
 また、これはまだ論文として発表されていませんが、先ほどの死別の話に限らず、パートナーがいない人の方が、高齢者では自立生活を営む力が低下するのが速いことが分かっています。ところが、地域活動への参加の度合い別に見てみると、パートナーがいなくても、地域の活動にしっかり参加している人は自立生活を営む力の低下速度がパートナーのいる人並みに遅いことが8年間の追跡でわかりました。パートナーがいなくても、地域の自治会や趣味の会に入って、外にコミュニティーを持っていれば元気に生活できるということを示しているのだと思います。
家庭以外に自分の居場所や役割を持っていれば、老後にパートナーがいなくても自立した生活を続けやすくなります。
繋がりは、とても大事なのですね。
近藤 極端なたとえですが、無人島で何年も独りで生活することを想像してください。どんなに食べ物が豊かで、生きるには困らないとしても、元気でいられるでしょうか。
そう考えると、モノがいくらあっても、元気に生きていく自信がありません。
近藤 孤独は人間にとって、とてもつらいことのようです。余談ですが、宇宙開発との関係で、こんな話があります。例えば火星に移住するケースを想定した時、最大の課題は「孤独からどう守るか」ということだそうです。長期間地球に帰れない状況を想定して、閉鎖された小屋の中で何カ月間も密閉生活をするという実験が実際に行われているそうですが、実験後に被験者の一人が言った「一番の苦痛は、家族と何カ月も会えないことだった」という言葉が耳に残っています。
貧困になると、女性と男性、どちらが寝たきりになりやすい?
興味深いお話です。コミュニティーが寿命に大きな影響を与えるということや、そこに男女差があるということも。
近藤 健康において男女差があることについて、僕らがやった研究はほかにもあります。これも高齢者を対象とした研究ですが、男性は女性より貧困に弱いかもしれない、という結果でした。
 可処分所得が全人口の中央値の半分未満のことを「相対的貧困」と定義することがありますが、それに該当する人たちを追跡調査しました。すると、男性は貧困になると、寝たきりになりやすくなる傾向が見られたのです。
 一方、女性は貧困だけでは寝たきりのリスクは上がりませんでした。ただ、貧困にプラスして、知人や友人がいないとか、経済的な理由で趣味活動などができないという「交流」の要素が制限されると、女性の寝たきりのリスクは1.7倍くらいに跳ね上がるという結果でした(*3)。
近藤 つまり、女性は、お金がなくても生きる力を持っていますが、繋がりまで失うと耐えられないということです。もちろん、男性はその両方がリスクとなりますので、より寝たきりのリスクが高いといえます。
 「お金と同じように、人との繋がりも資源だ」という考え方がありますが、まさにそれを反映している調査結果となりました。
そういえば、男性と女性とでは、平均寿命も異なりますよね。
近藤 男女で平均寿命に差があるのは、日本だけでなく世界中で見られる現象です。ちなみに日本人の場合、女性は87.05歳、男性は80.79歳(2015年、厚生労働省調べ)となっています。女性の方が寿命が長い。この理由も、もしかすると単に生物学的に女性のほうが強いとか、男性が弱いということだけではなくて、社会的側面が関係しているのかもしれません。つまり、「人と繋がる力」とか、「社会の中に適応する力」に男女差があり、女性の方が強いから、という可能性があるのです。
これまでのお話で、人との繋がりがこれほどまでに健康に影響することに驚きました。
近藤 人間にとってコミュニティーや社会というものは、不可欠というよりも、それが人間という生き物の特徴そのものなのではないかと思います。
 もちろん、職場もコミュニティーの一つですから、職場環境が悪ければ病気になりやすくなります。近年、「ブラック企業」という言葉がよく聞かれますが、これも職場環境の劣悪さのことですよね。職場環境は、労働時間などの労働条件に関する法律だけで決まるわけではありません。従業員の努力がちゃんと認められる環境になっているだろうか、働きやすい環境だろうか─。そういったことを規定する企業の経営理念やそれを決めている経営層には、非常に重い責任があります。
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 孤立は不健康に繋がり、ひいては寿命を縮めることがある。興味深いことに、女性よりも男性の方がリスクの要素が多いという。では、男性にとって特に重要なコミュニティーである会社とストレスの関係はどうなのだろうか。次回は、職業や職場での役割とストレスについて、詳しくお話を聞いていこう。
(聞き手:森脇早絵=フリーライター、写真=秋元忍)
近藤 尚己(こんどう・なおき)さん
社会疫学者、医師、医学博士 東京大学大学院医学系研究科准教授