皆さんと一緒に考えましょう

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

私に定年はない 90歳の「世界最高齢」総務部員

2021-02-09 13:30:00 | 日記

下記の記事は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です


90歳の大阪の女性がギネス世界記録に認定された。「世界最高齢の総務部員」として。64年間、ネジの専門商社で働いてきた。「私に定年はない。私には未来がある。あしたのために今をたくましく生きるんです」。力強さはハンパじゃない。
パソコンで経理も庶務も
 「ただただ、びっくり。当たり前のことを積み重ねてきただけです」。昨年末、大阪市西区のサンコーインダストリーであったギネス記録の認定式。壇上の玉置泰子さん(90)がサプライズに驚きながら、明るい声を響かせた。
 430人余が働く会社の総務部で、パソコンを使って経理や庶務を担う。「言葉をよく知る大先輩」と信頼は厚く、得意先への礼状や優秀社員の表彰状の文面も考える。
ここから続き
 勤務は午前9時~午後5時半。新型コロナで今は午後4時までに短縮され、月2回の「コロナ休暇」もある。だが、ほんの2、3年前までは朝7時に出社し、終業後もみんなの帰りを見届けた。
ヨガをしてから「BMW」で出勤
 目標をクリアするのが楽しくてたまらない。だから、仕事をやめようと思ったことがない。60歳の定年を迎えたときもそうだった。「自分の席で死にたいと言われてますから」と上司の佐藤宏彦部長(47)。定年後は、本社から出向する形で1年ごとに契約更新を続ける。会社には80代前半の社員もいる。
 大阪府豊中市で三つ下の妹と暮らす。朝5時半に起きてヨガを30分、般若心経を3回唱える。「BMWで1時間かけて通勤しています」。バス(Bus)と地下鉄(Metro)に乗り、駅から歩く(Walk)。「B・M・Wでしょ」。おちゃめに舌を出す。
 入社は1956年。社員20人だった会社の「生きざまと合わせて生きてきた」。70年の大阪万博の好景気にのった後、石油ショックで売り上げが減ったが挽回(ばんかい)。90年代のバブル崩壊、2008年のリーマン・ショックも「ピンチのときこそ伸びるもんや、と一つになって乗り越えた」と振り返る。20年以上前にパソコンが入ったときは、ワープロも表計算ソフトも独学でものにした。
 「人の役に立つために働く」という信条は10代のころから。15歳で父を亡くし、きょうだい3人を進学させる責任を感じた。商業高校を出て、家族のためにずっと仕事をしてきた。
 今は、社員一人ひとりのために力を尽くしたい。40歳で課長に昇進したときは、つまずきもあった。理想が高く、部下に細かく注文をつけ、反発された。ある日、残業を頼んでも誰も残らない。みなの湯飲み茶わんを洗いながら考えた。「偉そうに上から言ってもダメ。勉強の場を与え、成長できるようにしよう」
 教育信条は「守・破・離」になった。見て覚える「守り」。自分流にやってみて「破り」、納得できたら先輩から「離れる」。3本柱で後輩を育てた。
読書も漢字検定もゲームも
 人生の師匠――。総務部員の上茂(うえしげ)裕美さん(36)は14年間ともに働き、そう慕う。「50歳以上、年が離れていても線引きしない。野球大会の応援、送別会も皆勤。社員の名前をみんな覚えてくれている」。武藤麻古課長(43)も尊敬のまなざしだ。「本をたくさん読んでいて、知識がすごい」
 新入社員は研修で、玉置さんの薫陶をうける。会社の歴史の「語り部」として、「贈る言葉」を投げかける。昨春は――。
 〈らせん階段を上るようにして目的地にたどりつきたい。一段上るごとに見える景色が変わってくる。次へ期待や希望が生まれる。知らない世界への興味が生まれる。目的地に着いた時、きっと信じられないほど成長した自分に会える〉
 毎年違う言葉を贈ろうと、本や新聞でネタを仕入れ、気に入った言葉を手帳に書きとめる。全集をそろえ、読み返す。開高健や宮尾登美子のファンだ。漢字検定の準1級に挑むかと思えば、カードやマージャンのゲームも。「勝負事が好き」と目を輝かせる。
 「結婚はしなかったけれど、会社というすばらしいパートナーに出会えた。宇宙に私はただ一人。どこまで行けるか、がんばってみます」。すがすがしい。(河合真美江)
ますます増える現役シニア
 「人生100年時代」といわれるなか、シニアの働き手は増えている。厚生労働省の「高年齢者の雇用状況」によると、従業員31人以上の企業の常用労働者は約3234万人(昨年6月1日現在)。このうち60歳以上は約409万人で、前年より約23万人増えた。10年前と比べれば約167万人増と、右肩上がりだ。
 この調査による企業の受け入れ態勢をみると、66歳以上が働ける制度があるのは33・4%。前年より2・6ポイント増えた。中小企業(従業員31~300人)では34・0%(前年比2・6ポイント増)、大企業(301人以上)は28・2%(同2・9ポイント増)で、中小企業のほうが進んでいる。
 高年齢者雇用安定法が改正され、4月からは70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となる。現役のシニアはますます増える。



コメントを投稿