帰って来たのり爺の手には一個のしいたけがありました。肉厚の大きいしいたけ、ジャンボしいたけです。前の年、試しに、少し駒打ちしたのが思いがけずひとつだけ出ていたそうです。
のり婆は、ジャンボしいたけには驚きましたが、やれ、やれ(ー。ー)、のため息です。それは、今年駒打ちしたのは、ほとんどがジャンボ。そんなのが一度に出て来た時どうなる?しかも早めに出てくるとか。
のり爺が言いました
「しいたけ味噌を作ったらどんげじゃろ?」
「誰が作ると?」
「・・・・・(しばらく返事なし)・・・おれ・・・。」
(食品取り扱いに何か許可が必要じゃないか。容器の消毒や、品質管理のことなど、のり婆の頭の中を走りました。これは絶対させまい、させない!)
たった1個のジャンボを焼いてみました。
のり爺 「うん、おいし、おいし!」
のり婆 「・・・・・・・・・・・・・・・・」(もう、味などしらん!)
つづく