労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

定年後の給付金を多くもらうには

2024-09-21 06:34:59 | 雇用保険

定年を控え60歳から65歳までの間もらえる高年齢雇用継続基本給付金をなるだけ多くもらえるにはどうしたらいいか、という質問をたまに見かけます。

別記事にも書きましたが、簡略的に記事にしてみます。

要点は次の3つです。

  • 5年以上の被保険者期間
  • 60歳前賃金
    • 到達前6カ月平均月額(a)
  • 60歳以降賃金
    • (a)の75%割り込むと給付金もらえ、61%で最高率

被保険者期間

まず、60歳定年時に被保険者期間が5年無いといけません。定年前5年間に転職して前職と現職の間でハロワのお世話になっていたり、その間の無職期間が1年以上あいていたら前職期間と通算しませんので現職5年無いと受けられませんが、65歳までに5年達すればその時から対象になります。

60歳前賃金

その60歳到達前の半年間、具体的には59歳の最後の6カ月(※1)をなるだけ働いて高い賃金を稼ぎだします。一応上限があり令和6年8月現在494,700円。しかも毎年8月に上限額の見直しがあり、ここ数年毎年約8千円の上昇をみているので、5倍足しこんだ54万円がひとつの目安でしょう。これ以上働いているなら目安額をキープ、達しない額ならなるだけ残業等して59歳最後の6カ月(※1)に稼ぎ出してください。なお、前項の5年の被保険者期間無い場合の最後の6か月は、60歳前の6か月でなく5年に達する前の6カ月になります。

60歳以降賃金

次に、60歳定年に達し契約見直しになるのでしょうから、前項で述べた6か月平均額(上限こえているなら上限額)の61%にあたる月給額契約を結びます。令和6年8月現在の上限額(494,700円)を例にすれば61%にあたる30万1767円あたりの契約をむすべばいいでしょう。そうすれば給付金最高率15%(※2)の45,265円(令和6年8月~7年7月)を毎月受給できるでしょう。上限に達しなくとも、60歳前6か月平均の61%契約をお結びください。ただ残業がみこまれるなら、61%を超えた額に応じ、給付金の減額を見ます。残業代、月割り通勤手当もみこんだ額を算出契約ください。

さいごに

お勤め先によっては自由にならない部分もあるでしょうが、押さえられる点を工夫してみてください。不明な点は厚労省サイトQ&Aをお読みになるか、各種相談サイトで質問たててください。最後に、別記事にもかきましたが、給付金0円となる稼ぐだけ稼ぐ働き方が、最高の手取り額になることを書き添えておきます。

※1:6か月平均の対象となるのは、60歳到達(誕生日の前日)前の最後の賃金締め日を基準に各月11日以上働いた月(ない場合は飛ばしての)6か月です。9月21日生まれの月末締めでお働きなら、59歳の3月から8月締めの賃金額となります。

※2:令和7年4月以降60歳に達する人は、給付率15%が10%となります。

(2024年9月21日投稿)

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2024雇用保険みなおし

2024-05-01 11:31:55 | 雇用保険

雇用保険制度の見直しが予定されています。

支給制限

自己都合退職ですと、給付制限2カ月(重責解雇、過去5年間3回目以上は同3カ月はそのまま)を1カ月に短縮し、離職中、離職前1年間に自ら教育訓練を行った場合は、給付制限そのものを解除することとしています。(令和7年4月施行予定)

対象者拡大

被保険者の対象は、平成元年におこなわれたフルタイムの3/4以上から1/2(週20時間相当、当時は22時間)以上へ拡大されたのに匹敵する改正が、令和10年10月に予定されています。フルタイム1/4にあたる週所定10時間以上(20時間未満)労働者を被保険者とするものです。すると今まで11日以上といった基準が根こそぎ変更されることになります。

  改正後 改正前
賃金支払基礎となった日が 月間6日以上 月間11日以上
ない場合働いた時間が 月40時間以上 月80時間以上
失業認定基準 日2時間未満 日4時間未満

これまで失業認定にひっかからない、半日に達しない時間で小遣い稼ぎできたのが、2時間でアウトになるのでは働いていないのも同然で、そういう仕事があるのかも含め厳しいものがあります。

副業関係

社会保険とは異なり、複数の雇用主のもとで働いていても、雇用保険はどちらか主とする方のみ資格取得となります。これが10時間で資格取得できるなら、複数雇用主に雇われている対象者が増えるでしょうが、雇用保険に関しては1社のみの扱いにかわりありません。マルチジョブホルダー制度として65歳以上をして複数勤務いずれでも満たせないが合算して雇用保険資格満たすなら労働者申し出で加入扱いを令和4年から施行しており、その制度の長短をこれから検証するとのことで、それが将来的に全年齢展開されるとしても、まだもう少し先になるでしょう。

その後の経緯

改正雇用保険法が成立し、2024年5月17日公布されました。これとは別の法案で、育児休業給付金8割給付が審議中です。

(2024年5月1日投稿、2024年5月17日編集)

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雇用保険制度の沿革

2023-07-15 15:07:35 | 雇用保険
1947年(昭和22年) 失業者の生活の安定を目的として、「失業保険法」(昭和22年法律第146号)制定。その中に、失業保険制度をが創設。
1974年(昭和49年) 失業者の生活の安定、および三事業(雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業)を目的として、「雇用保険法」(昭和49年法律第116号)が制定され、失業保険法を廃止。失業保険制度に代わって雇用保険制度創設。労働保険の保険料の徴収等に関する法律が制定され、保険料の徴収手続きが労災保険と一本化。
1977年(昭和52年) 雇用安定事業が規定され、三事業は四事業となった。
1989年(平成元年) 雇用改善事業が雇用安定事業に統合され、四事業は再び三事業となった。
1994年(平成6年) 高年齢雇用継続給付の創設、育児休業給付制度の創設。
1998年(平成10年) 教育訓練給付制度の創設、介護休業給付制度の創設。
2003年(平成15年) 就職促進手当の創設、通常労働者と短時間労働者の給付内容の一本化。
2005年(平17.3.31) 一般保険料料額表の廃止
2007年(平成19年) 雇用福祉事業が廃止され、三事業は二事業となった。被保険者および受給資格要件の一本化(短時間被保険者という区分を無くし、一般被保険者に一本化、自己都合等離職の基本手当受給資格が2年内12カ月に)。
2009年(平成21年) 特定理由離職者区分の創設。
2010年(平成22年) 船員保険の失業部門を切り離し、雇用保険に統合。
2017年(平成29年) 1月から65歳以上も、雇用保険への加入義務づけ、それまでは、65歳前から雇用され引き続き65歳に達した以後雇用されている者を対象とした「高年齢継続被保険者」として扱われていた。雇用保険料の支払いはひきつづき免除。
特定受給資格者の基準を見直し(被保険者期間12カ月から6か月に短縮等)
2020年(令和2年) 4月から雇用保険料免除の措置がなくなり、65歳以上の従業員でも、雇用保険料の納付が必要。これまでは、毎年4月以降に64歳以上が労使とも免除。被保険者期間の算定にあたり、月間日数だけでなく、労働時間による基準を補完的に設定(令和2年8月施行)。65歳以上のマルチジョブホルダーの創設(令和4年1月施行)
10月から、自己都合退職者の給付制限3か月から原則2か月に短縮。
  雇用期間 所定労働時間 年収要件
昭和50年~ 反復継続して就労 通常の労働者3/4以上かつ週22時間以上 年収52万円以上
平成元年~ 1年以上雇用見込み 週22時間以上 年収90万円以上
平成6年~ 1年以上雇用見込み 週20時間以上 年収90万円以上
平成13年~ 1年以上雇用見込み 週20時間以上 年収要件撤廃
平成21年~ 6か月以上雇用見込み 週20時間以上
平成22年~ 31日以上雇用見込み 週20時間以上

注:ほうぼうからの寄せ集めです。正確性は保証できません。

(2023年7月15日投稿、2024年10月3日編集)

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当月締め、当月支給の離職証明書の書き方

2023-05-04 14:25:02 | 雇用保険

賃金支払いの違いで、離職証明書の書き方が異なる2タイプを比べて説明してみます。パターンAは月末日締め、翌月支給の場合、パターンBは、同じく末締めですが、基本給当月支給、残業代、欠勤控除は翌月支給での清算の形をとる場合です。月給制(日給月給を含む)の労働者が、締め日に退職した形です。月給制は本来なら、(A)に基本給、残業代合算した額を記載します。ここでは視認性高め、理解の一助となるため(A)基本給、(B)残業代に分けて書いてあります。実際は記載要領に従い記入願います。また基本給、残業代の1桁目は何月分のかを示しています。

パターンA:月末締め、翌月支給

⑫賃金額   給与明細
賃金支払
対象期間
⑩の基礎日数   基本給 残業代 総支給額
(A) (B)   200,006 1,236 201,242
6月1日 離職日 30 200,006 1,236 201,242   200,005 2,345 202,350
5月1日 5月31日 31 200,005 2,345 202,350   200,004 3,454 203,458
4月1日 4月30日 30 200,004 3,454 203,458   200,003 4,563 204,566

パターンB:月末締め、当月支給(当月残業代は翌月支払)

⑫賃金額   給与明細
賃金支払
対象期間
⑩の基礎日数   基本給 残業代 総支給額
(A) (B)   - 1,236 1,236
6月1日 離職日 30 200,006 1,236 201,242   200,006 2,345 202,351
5月1日 5月31日 31 200,005 2,345 202,350   200,005 3,454 203,459
4月1日 4月30日 30 200,004 3,454 203,458   200,004 4,563 204,567

(2023年5月4日投稿)

参考サイト

ハローワーク  業務取扱要領50451(1)「賃金日額の算定の基礎となる賃金」

同  記載例「残業をした月に戻して記入」

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自己都合か、会社都合か

2022-12-13 06:45:32 | 雇用保険

ハロワサイトに掲載されている特定受給資格者、特定理由離職者の範囲を一覧表にしてみました。いわゆる会社都合退職と言われているのは、「Ⅰ.」「Ⅱ.1」(当面※)です。

    項目 詳細 / 例示 対象外
Ⅰ.特定受給資格者の範囲
1倒産等による離職
  (1) 倒産等 破産、民事再生、会社更生、手形取引停止等  
(2) 大量離職 再就職援助計画申請  
(3) 事業所の廃止 再開見込みのない事業活動停止を含む  
(4) 事業所の移転による通勤困難(概ね往復4時間以上)  
2解雇等による離職
  (1) 解雇   重責解雇
(2) 雇入れ時に明示された労働条件の著しい相違  
(3) 賃金遅配 2カ月連続、または半年間に3回 遅配額が1/3以下
(4) 賃金低下 85%未満に低下した場合 低下が予見可能であるもの
(5) 過重労働 離職前6カ月間に
・連続3カ月45時間以上
・1か月100時間以上または連続する2カ月以上平均80時間以上
・行政指摘による健康障害防止措置を講じなかったために離職
 
(6) 産休育休介護休等の不当な利用制限により離職した者  
(7) 職種転換に際して必要な配慮(研修等)を受けられずに離職した者  
(8) 3年以上の有期雇用者への不更新  
(9) 更新(延長)確約のある有期雇用者への不更新 本人更新希望していない場合
(10) 各種ハラスメントに対する雇用管理上の措置が講じられなかったために離職した者  
(11) 退職勧奨 ・直接の勧奨
・人員整理等退職募集(募集期間3カ月以内)
常設の早期退職優遇制度
(12) 3カ月以上にわたる使用者責めの休業  
(13) 法令違反業務を理由に離職  
Ⅱ.特定理由離職者の範囲
1有期雇用期間満了し、更新がないことによる離職(更新確約はないが、更新する場合があるケース)※ 本人更新希望していない場合
2正当な理由のある自己都合離職
  (1) 体力減退、心身障害、疾病負傷等  
(2) 妊娠出産育児等で離職し、給付期間延長した者  
(3) 父母の死亡疾病負傷等で、家庭事情急変による扶養義務履行によりやむを得ず離職した者  
(4) 配偶者、扶養親族との別居生活継続困難により離職したもの  
(5) 通勤不可、または困難者 ・結婚による住所変更
・育児による保育所、親族への保育依頼
・事業所の通勤困難地への移転
・自己の意に反する転居(住居立ち退き、天災被災等)
・公共交通期間の廃止、運行時間変更
・転勤(出向)命令による別居の回避(配偶者側を含む)
・結婚転居で離職から転居までひと月超える場合
(6) Ⅰ.2(11)に該当しない人員整理に応じた離職  

表に転記するとき、簡略・言い換えした部分が多分にあります。また随時内容の見直しが行われています。ご自身の退職のいきさつ境遇があてはまるかは、ハロワーが個別に両方の言い分等をもとに判断します。そろえる裏付け書類(就業規則、給与明細、出勤簿、通勤関連は時刻表等)に何が必要かはハロワーに照会ください。

※:離職の日が平成21年3月31日から令和7年3月31日までの期限付き暫定措置。到来のつど延長されてきました。

(2022年12月13日投稿、2023年5月27日編集)

出典

ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

同 判断基準

参考記事

特定受給資格者、特定理由離職者

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