労働法の散歩道

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給与明細書の仕組み

2021-05-05 15:49:14 | 賃金

毎月の支払われる賃金給与が、時給、日給、月給のいずれであれ、給与明細書にして労働者に交付しないといけません(所得税法)。また社会保険料、雇用保険料を源泉したときも、計算書にして交付となります。それを1枚の給与明細書にして労働者に交付、事業主控えを賃金台帳にしている事業者もいます。給与明細書の仕組みはだいたい共通ですので計算流れを表にしてみたいと思います。

基本給 (a)
諸手当 (b)
時間外割増手当 (c)
休日割増手当 (d)
通勤交通費 (e)
総支給額 (F=a~eの合計)
雇用保険料 (g:F×保険料率)
健康保険料 (h:Fに対する標準報酬月額×保険料率)
厚生年金保険料 (i:同上)
社会保険料計 (J:g~iの合計)
源泉所得税 (k:税額表(F-J-eの非課税分))
各種控除 (l) 住民税(特別徴収)はこのグループに
控除合計 (M=J+k+l)
差引支給額 N=F-M

いわゆる手取りというのがNにあたります。ときどき相談板で私の賃金引かれすぎじゃないでしょうか、とNの手取り額で相談されても回答者はこまります。Fの総支給額もあわせて明示ください。ごくたまに手取りいくらにするには、額面いくら必要でしょうか、という質問をみかけます。算出不可ではありませんが、社保の適用ずれ、住民税納付等で変動すること、そして何よりも着地点複数値生じることもあります。

最初に述べましたが給与明細の法的根拠は、労基法にではなく、

  • 所得税法(所得税法231条、施行規則100条)
  • 健康保険料(法167条)
  • 厚生年金保険料(法84条)
  • 雇用保険料(徴収法32条)

です。所得税法以外は、それぞれの源泉する額の計算書としての交付義務として述べています。計算書を別途交付するよりは給与明細書に盛り込んで兼ねさせてます。労基法は賃金台帳として、支払い後遅滞なく作成とありますので、それ以外の要素としての労働時間、時間外労働時間等記載事項を給与明細書に併記して、別途台帳作成する手間を省いているといえるでしょう。

(2021年5月5日投稿、2024年5月30日編集)

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