備忘録
【彼が嘘をついた瞬間】
息子「A子ちゃんがトイレから出てきて手を洗わなかったから、手を洗わなきゃいけないんだよって言ったの。」
息子「A子ちゃんがトイレから出てきて手を洗わなかったから、手を洗わなきゃいけないんだよって言ったの。」
母親「えー!それは女の子に言ったらダメだよ。」
息子「でも、手を洗ってなかったの。」
母親「はーっ。あんたそれじゃモテないわー、そんなこと言ったら。
女の子がトイレから出てきたところをそんなに見ちゃダメだよ。」
息子「でも、、、。」
母親「とにかく女の子にそんなこと言っちゃだめ。」
息子「言ってないよ!」
母親「はぁ。さっき言ったっていったじゃない。」
息子「言ってないよ!」
母親「ははっ。確かに汚いけどさ。はぁー、モテないわそれじゃ。
そういうことは女の子は女の子に言われたいんだよ。」
息子「...。」
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5歳くらいの男の子とその母親の会話。
正しいと言われたことを素直に行動した結果、母親にそれではモテない、ダメだと評価される。
男の子が女の子を大切にする事を教えるのはいいと思う。でもこの場合は大切にしていることになるのだろうか。
理由も伝えずに、「そんな男はモテない」という、5歳児には理解しがたい母親の価値観を押し付けただけのようにみえる。
「モテるモテない」を基準に評価するところも私には理解できない。
そもそも5歳児なんて評価にさらされる段階ではない。
彼はおそらく正しい。
教えられた通りの正しいことをお友達に教えた、それを報告しただけなのに、
母親にモテない・ダメと言われ、
よくわからないけれどこれ以上傷つきたくなくて、
最終的に自分に嘘をつく。
彼が嘘をついた瞬間、とても悲しくなった。
あぁ、これがトリガーが生まれる瞬間なのか。
「モテない」というキーワードがザックリと胸にささって身動きがとれない彼の目は、なんとも言えない切なさが滲んでいた。
彼はまた嘘をつくのだろうか。
母親は変わらない。
彼はそこで生きていくしかないのだ。
彼の中に生まれた矛盾はどこを彷徨い、どこに着地するのだろう。
捻れてしまった心の糸が、なるべく早いうちに解けてくれることを祈るしかなかった。
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