ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

■『かりん』 第22週 (122)

2006-02-27 08:08:01 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【122】 2月27日(月)

作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ




小森千晶   細川直美
小森浩平   榎木孝明
本間あかり  つみきみほ
田上 渉   筒井道隆
宮下みつ   貴島サリオ  なぜか今日から宮下姓
おかみ    花 悠子
チンピラたち 志賀実    渉とケンカしたがその後、つるんでいる
        三上壱郎     〃
        伊東孝太郎    〃
本間和則   蓮池貴人

       鳳プロ
       セントラルスポーツタレント

小森弥之助  小林桂樹
黒田忠治   佐藤B作
小森晶乃   岸田今日子
小森友行   石坂浩二


制作統括  西村与志木

美術    深井保夫 
技術    横山隆一
音響効果  加藤直正
記録・編集 阿部 格   
撮影    石川明彦
照明    田中弘信
音声    山中義弘
映像技術  菊地正佳

演出    兼歳正英 



解説(副音声) 関根信昭
 
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

千晶が渉の言葉を心の中で反芻しながら小森屋に帰って来る。

和則がいる「おばちゃん、かりん、かりん!」
みつが庭の方から出てきて言う。
「あかりさんもご一緒です。かりんの実をもごうねって約束を」
和則がかりんの実をもいでいるのを見て、晶乃が言う。
「もうかりん、もぐ季節になったのね。
 千晶の分身のかりんの木から、あかりさんの分身の和則ちゃんがもいで。
 ここにもう一人千晶の分身がいたら」

千晶の部屋。
「父と話して、久美子さんの手前もあるし、昼間は旅館の仕事を手伝うことにしたの。
 夜はミシンを踏むわ。蛙の子は蛙、これでも旅館の娘よ。
 目指しているデザインのコンクールもあるし
 もう誰かさんに怒鳴りつけられたりしないと思うわ」
「その誰かさんね、もうアメリカには行かないんですって。
 クビになって‥、会社。負け犬ですって。
 私達の笑顔がつら過ぎてあんな事言ったんですって。あかりに謝っといてくれって。
 東京へ行くって言ってたわ」
「東京に行って何するの? 
 自分のことを負け犬だと思っている人間が東京で何が出来るの?
 甘ったれるんじゃないっていうの。何が負け犬よ、バカバカしい!」
「私、しっかりした目標が出来るまで東京へ行かない方がいいと思うの。
 あかりから田上君に言って」
「ごめんこうむります。東京でも大阪でも行っちゃえばいいのよ」

都座。 渉は鏡を見ている。

あかりが和則をつれて来る。
「映画のおじちゃんよ、挨拶しなさい」「こんにちは」
「おう」
「映画見てきていい?」と和則は客席の方に行ったようだ。
「賢そうな顔してる、父親似だな」 「末は金貸し?」とあかりは皮肉る。
かりんの実を出して
「千晶のところからよ。あなた、当分諏訪にいなさいよ、目標が見つかるまで。
 人生七転び八起き。しばし戦死の休息ってことで」
「優しいこと言ってくれるじゃないか」
「千晶も東京には行かない方がいいって言ってたわ」
「小森が言ったのか? ホントか?」
「何よ、千晶が言ったらどうなのよ」

飲み屋。浩平と忠治が飲んでいる。
「お嬢さんと仲良くやってんすか?」忠治が訊く。
「ええ」
「じゃぁ、何で子ども うまれねぇんだろうな」
「それなりに努力はしているつもり」
「一事が万事。家ですよ、家。
 お嬢さんに肩身の狭い思いをさせないのが役目でしょ?」
「立場としては弱いんだから気を使わないと。 だから毎晩帰りが遅くなって」

そこに、渉がチンピラ3人と連れだって入ってくる。
「渉くん! アメリカで頑張ってるそうじゃないか」
「イヤミですか? 
 日曜の晩にこんなところでうだうだ飲んでると、
 奥さん他の男にとられてしまいますよ」

小森家茶の間、時計が8つ鳴るころ、忠治と浩平が帰ってくる。
弥之助・友行・千晶は、帰りをイライラしながら待っていて
「浩平くん、お義父さんが聞きたいことがあるそうなんだ」と友行。

弥之助の表情はいつになく厳しい。

(つづく)


『かりん』(121) ★「小森とやり直せるものなら」(by 渉)

2006-02-25 01:59:35 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【121】 2月25日(土)

小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明
田上 渉  筒井道隆
花山信太  林 泰文
小森弥之助 小林桂樹
関屋文雄  小磯勝弥
映像技師  浜田孝夫  都座でフィルムチェックしてた人
運転手   浜田道彦 花山観光の運転手

      鳳プロ

黒田忠治  佐藤B作
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

浩平と千晶の部屋。
「どうだった?」
「ええ、つつがなく。どじょうすくい、好評だったわ」
「何も出来ないけど、話だけはしてくれよ。
 これでも一応亭主、小森屋の婿養子だからな」

翌日。花山タクシー(信太の会社)
従業員の関屋、運転手と打合せをする社長の信太。
そこに傷だらけの渉が入ってくる。
「田上! ずいぶん派手にやったな。関屋、1号車洗車してこい!」
「虫の居所が悪くてな」
「でも限度があるよ。本間にあんなこと言うし、おまけに喧嘩になるし」
「小森に会えないかな、伝えておいてくれ、いいな」


小森屋。
忠治は上諏訪駅まで問屋を見送り、一緒には帰京せず、戻ってきた。
「はっきり言います。 このままでは早晩東京は全滅します。
 味噌は小森屋のでねぇと と言ってくださる方もいますが、
 それなら顧客名簿を作ってここから送ったほうがいい」
「いいもんは必ず残る、うちの味噌を喜んでくださるのは東京だけじゃねえ」
「とてもとても。東京営業所をやっていく自信はありません。
 小売店からももっと安く、と要請が」
「あんな味噌!味噌の外道だ!」
「いえ引っ張りだこです。
 小森屋を潰したくなければ原料を落としてでも、安い味噌を造ってください」
「わかったわ忠治さん。
 おじいちゃん、これからの味噌屋は、
 お客様の好み・事情を考慮して何種類かの味噌を造るべきだと思うの。
 安いだけを売り物にしても看板に傷をつけることにならないわ。」
「言ってることは頭じゃぁわかる。だが体が50年使ってきた体が納得しようとせん。
 もう少し時間をくれ」

信太から話を聞き、都座に行った千晶は渉とお稲荷さん近くの道で話をする。

「あかりが東京を引き払って来たわ」
「俺のせいかな。だったら俺、いいことしたんだ。まだ言い足りない位だ」
「アメリカで人間が変わったのかしら。思いやりのかけらもないわ。
 その上、ケンカまでして!」
「そう突っかかるなよ。若奥様は本日ご機嫌斜めですか?」
「田上君なんてもうさっさとアメリカへ帰ったらいいのよ」
「…オレもう行かない…行けないんだ。クビになった。
 大口叩いて船に乗って出て行ったのに、
 使いっ走りだけで企画出しても読んでもくれない、で、殴ってクビ。
 休暇ってことにして親父の顔を10日ぐらい見たら東京へ行こうと思ってた。
 小森には事実を言ったほうがいいと思って。
 親父には昨夜話した、おやじはさぞ情けない息子と思ってるだろうな。
 …夢破れて山河あり、か。 小森と本間と花山の笑顔がまぶしくてな・・
 本間に会ったら謝っといてくれ」

「田上君、それでどうするの?」
「映画はもうやめた。
 アメリカでさ、ついつい酒飲むんだ、バーボン。
 小森がせっかく俺を好きになってくれたのに、それほっぽっといたから
 その報い、ばちが当たったんだ。
 そう思えば思うほど、お前のことが…結婚なんかしやがって。
 もう一度やり直せないか?
 今度はこの腕にお前を抱きしめて誰にも渡さない、誰にも」

千晶にとっては思いがけない渉の言葉でした。 「もう一度やり直せるものなら…。」 

とナレーション

(つづく)


・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

きーーーっ!  オトコってやつは 

今日の『風のハルカ』でも 正巳帰ってきたんですよね
修行に出されたけど





『かりん』(120) ★小森屋主催、問屋親睦会

2006-02-24 01:56:37 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【120】 2月24日(金)

小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉  筒井道隆
田上伝六  不破万作
本間二郎  三波豊和
小森弥之助 小林桂樹
みつ     貴島サリオ
川原清三  河西健司
藤原    沖 恂一郎(中野の もと小森屋の卸問屋)
上総屋   松平竜門  東京から来た卸問屋(屋号は初出)
岡田商店  佐々木梅治 東京から来た卸問屋(屋号は初出)
問屋たち  佐藤祐治   
       田畑ゆり   
英       出雲崎 良(小森屋従業員)
蒔田    茂木和範(小森屋従業員)
横井    藤森一朗(小森屋従業員)
中田    中田 浄(小森屋従業員)

      さがみ企画
      石井光三オフィス

黒田忠治  佐藤B作
鶴本哲夫  矢崎 滋
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

小森屋。
東京の問屋達が揃って歓迎の挨拶を受ける。 
千晶もきちんと着物を着ている。

「ようこそおこしくださいました」お辞儀する弥之助。
「正式の挨拶は後ほど湖水館で当主の友行の方からさせていただくが
 遠路はるばる ありがとうございます」
「何もしていない私までご招待いただいて」と中野の藤原。
「とんでもない、藤原さんあっての・・・」
「お世話になりました」と千晶も頭を下げる。

蔵で忠治が友行と千晶に内緒話をしている。
「汽車の中で寝たふりして聞いたんですがね、
 ツルヤからうちの問屋全軒に更に一割値引きをしてもいい、と手紙がいってるようで。
 余程気を引き締めていかないと何軒か持っていかれますよ。
 今は質より量、なんとかうちの味噌安くなりませんかねえ」
そして「お嬢さん、浩平さんは」と訊く
「仕事で」と答える千晶に「会には出るんですね 出ない? 何で」と畳み掛けるが
みつが
「皆さん、湖水館のほうにお移りになるようです」と呼びに来る。

湖水館の広間。

友行が挨拶する。
「戦前は年に一度、このような会を開いておりました。
 戦中戦後いろいろあり、やっとこうして初の会を開くことができまして、
 小森屋七代目としてこんな嬉しいことはありません
 小森屋の味噌が東京でご愛顧いただいているのも皆さまのおかげです」
挨拶が終わると ツルヤの哲夫がすかさず
「ツルヤの哲夫でございます、ツルヤは現在全国展開しておりまして…」と挨拶を開始。
弥之助は「何だあいつ、指名されてもいないのに‥‥」

そこへ二郎がそっと入ってきて千晶に
「つい今しがたあかりが東京から帰ってきた」と言う。

あかりの部屋に行く千晶。
「東京の洋装店辞めてきたわ。家財道具は後から正郎が送ってくれる。
 ここでがんばるわ、父の助けも誰の助けも借りずにね。
 私、そのうち必ず諏訪で洋装店開いてみせる。
 千晶、長い間和則を預かってくれてありがとう」
「いいの?それで」
「渉君に感謝しなきゃ。真っ向から否定されたの初めてだもの」
「二郎さんの奥さん、大丈夫?」
「あたしがちょっと我慢すればいいのよ、昼は旅館、夜はミシン踏むわ」
「そんなに簡単に決めていいの?」
「あたしは即断即決ですもの」

都座。
渉は留置場から帰ってきていた。 渉に無言で酒を注ぐ、父 伝六。
渉、目から一筋の涙。

湖水館の広間は宴たけなわ。
弥之助と友行がどじょうすくいを始めようとすると、なんとタイミングよく
ツルヤの哲夫が芸者さんを二人呼び入れてしまう。
弥之助と友行は衣装もかえ懸命に踊るが、問屋連中は芸者さんの酌で酒を飲み語り、
どじょうすくいを見ている人はいない。
かつて「弥之助さんのどじょうすくいは最高だ」と教えてくれた藤原でさえ
芸者さんの酌に酔っている。
晶乃と千晶は目をふせてしまう。
更にツルヤの哲夫は
「小森屋さん主催の会にいつまでもお邪魔するのも無粋ですので失礼しますが
 お土産を…。 ペガサス時計の高級置時計であります。
 何を隠そう、小森屋の一人娘千晶さんのお婿さんの会社の時計です。
 小森屋さんは味噌よりも時計に力を入れていらっしゃるようなので、むはははは!」


その夜。
みな無言でお茶を飲んでいるところに、
「上総屋です、岡田商店です」と問屋がやってくる。
「ご招待いただいた晩に申し訳ありませんが、取引は今月いっぱいで」
と言う。
「卸値のことでしたら納得いくようにいたします」と忠治が言うが、
弥之助は首を横にふる。
2人を玄関で見送る一同。

そこにちょうど浩平が帰宅する。
「ただいま。 忠治さんいらっしゃい」と言うが、みな千晶を残し奥へ引っ込む。
「何かあったのか?」
「ううん」

小森屋はピンチに立たされています。 とナレーション

『かりん』(119) ★渉、ケンカで拘置所に

2006-02-23 09:07:41 | ’05(本’93) 50 『かりん』

オリンピックの放送の関係で録画失敗
キャストは、あわててオンタイムにメモ、
あらすじは、2ちゃんねるの あらすじスレ からお借りして加筆 m(__)m

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

【119】 2月23日(木)

小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉  筒井道隆
本間洋一郎 笹野高史
本間二郎  三波豊和
花山信太  林 泰文
みつ     貴島サリオ
本間三郎  丹羽貞仁
田上伝六  不破万作
川原清三  河西健司
本間久美子 麻生侑里 (あかりとは絶対に気のあわない二郎の妻)
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治  佐藤B作
本間和則   蓮池貴人

藤原    沖 恂一郎(中野の もと小森屋の卸問屋)
問屋    松平龍門    ◆このあたり 曖昧です
       佐々木梅治  ◆
       佐藤祐治    ◆
       田畑ゆり    ◆

チンピラたち 志賀実   渉とケンカした
        三上壱郎     〃
        伊東孝太郎    〃
鶴本哲夫  矢崎 滋
小森浩平  榎木孝明
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

渉とチンピラ達の乱闘は続き、警官二人が駆けつける。

湖水館ではその頃和則がいなくなったと大騒ぎをしていたが、
千晶が和則をおんぶしてくる。
二郎も三郎も「よかったー」とほっとするが
久美子は「ここより千晶さんのところの方がいいんだ。どっちが母親なんだか。」
と嫌味。
あかりは下を向いてしまう。

あかりの部屋。
「和則は私のこと母親だと思ってないの。そう思わせたのは私。
 渉君の言う通りね。必ず今にしっぺ返しが来る、か。もう来てるわ」
「田上君、酔ってたのよ」
「私は思い上がって高慢ちきな女。東京でも他のお針子さん達とぶつかってばかりなの。
 傍から見れば私の方が間違っていたのかも」
「そんな風に言うのやめなさい、あかりらしくないわ」
「何もかもみーんな間違っているような気がしてきたわ。何もかも。」

翌日。小森屋。
信太が渉のことを知らせにくる
「派手なけんかだったらしいよ。まだ田上、警察にいるらしい。 
 本間は今朝東京へ戻ったんだって」
千晶と信太は都座へ行く。

小森屋にツルヤの哲夫が来る。
「東京の卸問屋招待会、万事予定通りだね?」と確認に来たらしい。
「行ってみたら、全て前日に終わってたなんてのは困るからね」
友行が一家総出で招待する予定である、と言うと、
哲夫は
「小森屋さんは友行さんの代で味噌作りをやめるらしいともっぱらの噂だ。
 婿さん、ペガサス時計? いくら千晶さんがりっぱでも、所詮女は女だでね」とイヤミ。

都座。
伝六が事情を教えてくれる。
「あいつから売ったケンカみたいだ、喧嘩だけならともかく、公務執行妨害罪で…。
 でも、取り調べにはちゃんと答えて、三日ばかり留置場へ入れとくって…、
 あの馬鹿」

(そしてその夜)
小森屋。夕食。
晶乃「みっちゃん、この鯉こく、おいしかったわ」
みつ「奥様に教えられたとおりに作っただけです」

そこに珍しく浩平が早めに帰宅する。
友行が今晩も一緒に踊りの稽古が出来ると嬉しそうにするが、
浩平が申し訳なさそうに言う。
「明後日の会は スイスからの来客で出席できなくなった。
 すみません。お許しください。」
弥之助は
「ははは、どうぞお好きに。 何の不都合もねえ。 
 千晶、いっそのこと、そのスイスの何とかいう人に、
(婿さんを)スイスに連れてって貰ったらどうだ?」

翌日、東京から卸問屋さんたちが来た。 出迎えをする小森屋の一同。

忠治の引率で、東京の問屋達がやって来ました。 何やら波乱含みです。

(つづく)

『かりん』(118) ★4人での再会

2006-02-22 03:41:43 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【118】 2月22日(水)

小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
田上 渉  筒井道隆
花山信太  林 泰文
本間和則   蓮池貴人
チンピラたち 志賀実   渉とケンカする
       三上壱郎     〃
       伊東孝太郎    〃
おかみ   花 悠子

       鳳プロ

小森浩平  榎木孝明
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

いつもの店、渉が遅れて入ってくる。
"long time no see you" と信太が挨拶する。
「なんて言ったの?」という千晶に「久しぶりってこと」と信太。

あかりはなんとなく渉とは目をあわせない。
カウンター席に、千晶・あかり・渉・信太の順番で座り久しぶりの挨拶をかわす。
あかりが渉に「かわらないわね」と言うのに対し、
「変わったな、子持ちだろ?」としらっとして言う渉。

その頃、小森屋では、
友行の”一緒にどじょうすくいを踊ってくれないか”との申し出を浩平が受け入れ、
二人でこっそり、踊りの練習をしている。

再び居酒屋。
話題は、あかりの髪型が「ローマの休日」のヘプバーンさんに似ている、とか
信太が一国一城の主だとか、千晶もがんばってる、など話が続いている。

信太「田上、聞いてくれよ。小森、俺の目の前で結婚宣言したんだぞ。
   俺泣いちゃったよ、涙ぽろぽろ。
   よーし、いつかとびっきり上等な女を見つけてやる」
渉がアメリカの映画会社や大金持ちの話をしだすと、
あかりが「あーあ、アメリカかぶれしちゃって…」と言い、次第に険悪な雰囲気になる。
「さっきから黙って聞いてれば、イヤミ言っちゃって」
信太が「せめて今夜だけでも仲良くやろうよ、友達だろ?」ととりなしても、
コップ酒の掛け合いになり、渉とあかりの言い合いになる。

渉「自分を何様だと思っているんだ?
  早稲田に入ったはいいがその後はなんだ? 
  岸本? 金貸しの手先になって弱いもの苛めばかり。
  何が愛だ? 岸本は殺された。因果応報でざま見ろだ。 
  そんなお前をこの俺が子どもごと面倒見るって手を差し伸べてやったんだ。
  言うとおりにしときゃ、最初から俺を好きになってりゃ何もかもうまくいったんだ。
  私一人で子供を守って見せます? 親がかり友達がかりじゃないか。
  いつかしっぺ返しが来る。 冬の寒空の下で野垂れ死にだ!」
とうとう千晶が渉の頬を引っ叩く。

千晶がさんざんな歓迎会から小森屋に帰って来ると、家の前に和則が立っている。
「おばちゃんの家がいい」
「駄目よ、お母さん、お家に着いた頃よ、送っていくわ」
「いやだ、いやだ!」

渉。
お稲荷さん近くで、チンピラが三人との乱闘になってしまった。


『かりん』(117) ★小森家のムコ殿と本間家のお嫁さん

2006-02-21 03:38:08 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【117】 2月21日(火)

小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉  筒井道隆
本間二郎  三波豊和
本間三郎  丹羽貞仁
小森弥之助 小林桂樹
花山信太  林 泰文
みつ     貴島サリオ
川原清三  河西健司
本間久美子 麻生侑里 (あかりとは絶対に気のあわない二郎の妻)
関屋文雄  小磯勝弥
本間和則   蓮池貴人
英       出雲崎 良
蒔田     茂木和範
横井    藤森一朗 (小森屋従業員)
おかみ   花 悠子
運転手   浜田道彦  花山観光の運転手

       鳳プロ

本間洋一郎 笹野高史
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

パーマをかけてグリーンのワンピースを着たあかりが、小森家の玄関に来る
みつが驚いたように出てくる
「千晶、いる? あと…和則も」

「お嬢さん、あかりさんです!」と庭に呼びにいくみつ。
「あかり!」
和則に「ほら、お母さんお待ちかねよ」と言っても、和則は千晶にしがみつく。
「久しぶりだから照れてるのね」
「この前は4月だったかしら… 半年ぶり」
「急に休暇がとれたからとんで帰ってきた」
「駅から直接?」
「(うんと頷きながら)3日いられるから、和則連れて帰ろうと思って」
「ねえあかり、田上君、休暇で帰ってきてるの。
 花山君と三人で会おうって言ってたの。あかり、丁度いい時に帰ってきたわ」
「…会うぐらい いいですけど」
和則は、いつもの枕を持って、あかりと湖水館に帰る。

信太の観光会社。
千晶からあかりの帰郷の知らせを受けて
「そうか、早速今夜、いや、明日の晩、盛大にぱあっとやろう。
 旧交を温めあおう、な、小森」


小森屋。夕食。
弥之助は
「友さんのドジョウ掬い、さまになってきたんだ。
 どっかの誰かさんに爪の垢でも煎じて飲ませてやりてえ」とチクリ。
‘和則がいないだけでさびしい’という話題にも
「一本歯が抜けたみたいだ、
 逆にどっかの誰かさんが晩飯にいたら一本歯が多いな。
 紺屋の白袴だ。時計を作っているやつがこう時間に目茶苦茶では、
 出来る時計も高が知れとるで。」と、さらにチクリ。

湖水館。夕食。
「こんな風に夕飯に全員が揃うなんてねぇ、前はいつだったかしら。
 あかりさんが帰って来たときね」と久美子がイヤミを言う。
あかりは、きんぴら牛蒡の味付けにイヤミを言う。
「久美子さんのいいなり」
「私実家に帰らせて…」
「どうぞ。」
「いい加減にせんか、二人。
 あかりも2~3日で東京に戻るんだからここにいる時位にこにこ出来んか」
和則はその場から逃げ「おばちゃんちへ帰る。」とぐずるので、
あかりは思わず和則をひっぱたいてしまう。
和則泣く。「ごめん、和則…」 だきしめるあかり。

小森屋。
遅めの晩ご飯(お茶漬け)を食べる浩平に
「四人で会うことになったけどいいかしら?」
「いいも悪いももう決めてるんだろ?行って来いよ。大いに楽しんでらっしゃい」
そこに友行が入ってきて言う。
「一緒にどじょうすくいを踊ってもらえないだろうか。
 君への風当たりが強いのはわかっているだろ?
 当日になって僕もやります、是非やらせてくださいって言ったら
 お義父さん喜ぶと思う、君への心象がかわるよ、ね?」

弥之助と晶乃の部屋。
「あなた、いくら何でも、コトバが過ぎますよ。
 清さん達のいる前で、千晶の立場がないじゃありませんか」
「わしは悔やんでも悔やみきれん。あの時徹底的に反対しておけば良かった。
 別れさせるか? 幸か不幸かまだ子供はいねえ。…なんとかせにゃ。
 どうせワシのほうが先に死ぬんだ」

(そして翌日の晩)
いつもの呑み屋。
千晶、あかり、信太が談笑しているところに、渉が入って来る。
「やあ」
「田上! 遅いじゃないか」

桜ヶ丘高校第一回卒業生四人がこうして久方ぶりに揃ったのでした とナレーション

■『かりん』 第21週 (116)

2006-02-20 07:56:29 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【116】 2月20日(月)

作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
安来節指導 花柳糸之
技闘指導 瀬木一将




小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉  筒井道隆
田上伝六  不破万作
みつ     貴島サリオ
本間久美子  麻生侑里  あかりとは絶対に気のあわない二郎の妻
本間和則  蓮池貴人
仲居     田中佳代(湖水館・従業員)
板長     管野達也 (湖水館・従業員)
板さん    田中賢司 (湖水館・従業員)

       鳳プロ

本間二郎  三波豊和
本間三郎  丹羽貞仁
本間洋一郎 笹野高史
小森友行  石坂浩二




制作統括  西村与志木

美術    荒井 敬 
技術    三島泰明
音響効果  石川恭男
記録・編集 阿部 格   
撮影    熊木良次
照明    関 康明
音声    岡本幹彦
映像技術  沼田繁晴

演出   大加章雅 


解説(副音声) 関根信昭

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

渉です。 渉がアメリカから帰ってきました。

「やあ」
「お帰りなさい」
「変わりないか?」
「元気そうね」
「バリバリだ。小森、変わりなくないだろ?結婚したんだろ?
 浩平さんか? おめでとう」
「もう三年半になるわ。」
「子どもはまだか? 何やってるんだよ。」
「…… あかりの子供、大きくなったわよ。
 今私が預かってるの。あかりは東京の洋裁学校に行ってるの。
 花山君は観光会社の社長さん。
 花山君が3人で会おうって」
「がんばってるな、あいつ。
 …小森、幸せか? …小森、女っぽくなったな。子ども、なんで出来ねえんだ?
 替わりに俺がつくってやろうか? ジョークだよ、ジョーク。
 アメリカのジョークはきついんだよ」

小森屋。

千晶がさげて帰ってくると、みつが芋を蒸かしている。
中庭で友行と和則は、キャッチボールをしている。
友行は白髪が増えている。
「大きくなったら野球の選手になる!」
「ほう、青バット赤バットか? (千晶に向かって)いやあ、男の子っていいなあ」
「女の子ですみません」
「お義母さんが和則が千晶の子だったらいいのに・・って」
「(ほほ笑んで)田上君に会ったわ」
「かわりなかったか … 初恋の人だもんな」

都座の映写室裏の部屋。
お茶漬けを食べる渉を見ている伝六もまた髪が白くなっている。
「4年と8ヶ月ぶりに帰ってきてたった10日しかいねえのかよ
 せめて1ヶ月とかよ」
「又帰ってくるよ」
「父ちゃん、死んじゃうよ。親孝行、したい時には親はなしってな」
「親孝行したくねえのに親がおり ってな」
頭を叩く伝六。
「いてーな。帰ってきた甲斐があるってもんだよ
 何かいえよ、また憎まれ口叩いてやるからさ」

「小森に会ったよ 汲み湯の道の脇の所で。女っぷりがあがってた」
「若奥様だからな」
「逃がした魚は大きいってな」
「渉、妙な気を起こすなよ」
「もう起こしちまった。(頭を叩かれる)…ジョークだよ、ジョーク」


湖水館。 テレビジョンが来たようだ。

洋一郎は、二郎・三郎と板前仲居を前に、
「ついに我が湖水館に待望のテレビがやって来た。
 1つだけ皆に注意しておく。チアンネルは時計回りにまわすこと。
 ひとたび逆に回すと壊れる。では、スイッチを入れる」
 一同正座して固唾を呑んで見守り「まだずらか?」 と電話がなり三郎が取りに行く。
「画が出るまで15秒かかる」と洋一郎・・。やっと映る。
二郎の嫁の久美子が
「お義父さん、チアンネル、変えてみてもいいずらか?」とがちゃがちゃ回す。
「おい! 久美子さん! 何をするんだ?  …む?壊れない?逆も真なりか?」
電話はあかりからで
「あかり、休みがとれたんで明日帰って来る」

夜、浩平と千晶。
「田上君帰ってきたのよ」
「一人?」
「そうよ、一人よ。どうして?」
「ひょっとして青い目の奥さんを連れて帰って来たのか、と思ってね」

翌日、大きな白い帽子を被りグリーンのワンピースを着て歩いてくるあかり。

折りしも、あかりが東京から帰って来ました。 とナレーション

『かりん』(115) ★浩平への風当たりと 渉の帰国

2006-02-18 20:48:49 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【115】 2月18日(土)

小森千晶  細川直美
田上 渉  筒井道隆
花山信太  林 泰文
川原清三  河西健司
みつ     貴島サリオ
小森弥之助 小林桂樹
英       出雲崎 良
蒔田     茂木和範
雅       渡辺高志
本間和則  蓮池貴人
中田    中田浄 (小森屋従業員) 今日より‘中田’
横井    藤森一朗 (小森屋従業員) 今日より‘横井’

       鳳プロ
       劇団ひまわり

鶴本哲夫  矢崎滋
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

小森屋の庭では、みつが洗濯機を回し、チビ和則が三輪車で遊んでいる。

小森屋の事務室では 千晶がそろばんをはじいている。 
友行「どうした?浮かない顔をして。」
千晶「先月に比べて売り上げが落ちてるの 来月はご招待もあって出費がかさむし」
友行「味噌も過当競争の時代だな。
   ツルヤさんもビタミン味噌なんて良く思いついたよね」
千晶「安いアメリカ大豆で、色をつけるためのビタミンがね」
友行「内海醸造さん、ツルヤに吸収されるそうだね」
千晶「向かうところ敵なし、日の出の勢いね。お父さん、しっかりしてよ」

そこに、観光タクシーの運転手の格好をした信太が来る。
今は車4台だが、来年は10台にしたい、ゆくゆくは観光バスも、と夢を語る。
「田上が帰って来るんだって? 盛大に歓迎会をしよう」と言う。
「本間は?」と訊く信太。
「夏にでも帰ってくるって言ってたんだけど、洋装店が勉強になるんですって
 和ちゃんのことは私がいいからって言ってるの」
「田上、頭、金髪にしてたりして」とお茶目に言って帰る信太。

そこに「ご免」とツルヤの哲夫。
一応、お土産の酒は持ってきたようだ。
弥之助「ご用件は?まさかこの小森屋を吸収なさろうとでも?」
哲夫 「まさかツルヤ風情が・・・
    親父が死んで3ヶ月、すっかり自分の代になった、
    小森屋が東京の卸問屋を接待する宴会に、
    顔つなぎということで同席させて欲しい
    そのかわり費用は、折半、いや全額だしてもいい」
千晶 「お断りします」
哲夫 「止むを得ない。こっちはこっちでやらせてもらう。
    こちらの問屋さんには挨拶状は出してある、
    問屋はとにかく安い店を捜している、自由競争なんですよ。
    結局強いものが勝つ。」

夕食。
カレーが出ている。

友行 「湖水館に頼んでツルヤに宴会の場所を貸さないよう頼みましょうか?」
晶乃 「挨拶したいんなら挨拶させてやればいいじゃありませんか。
    そのほうが目が行き届くわ。
    費用も全額だか半額だか持つって言うんでしょ?」
千晶 「そうね … 陰でこそこそやられるよりはいいわね」
弥之助「友さん、ツルヤに行ってどうぞご同席ください、
    ただし、費用はうちが全額持ちますって伝えてきてくれ。
    なあに、うちの問屋にそんななびくようなところはねぇ。
    結局は、人と人とのつながりだ」

話は夕飯にいない浩平のことになる。
「千晶、今夜も婿さん遅いのか?」
「ええ、機械の大量生産が遅れてて」
「ワシらと晩飯を食うのがイヤなんじゃないのか」とチクリ
すかさず晶乃が「あなた」とたしなめる。

「千晶、いつまで待たせるんだ?
 早くわしと晶乃にひ孫をみせてくれ。昔は子供のできん婿養子は里へ帰されたもんだ」
「あなた、そこまで」とまた晶乃。

千晶たちの部屋にはチビ和則が寝ている。


翌朝。 
お稲荷さん近くの道を買い物籠を持った千晶が歩いてくると、
スーツケースをさげた渉が来る。

渉はサングラスをはずす。
「やあ」 「お帰りなさい」

田上渉です。 それは、かって千晶が愛した初恋の相手でした とナレーション

『かりん』(114) ★千晶・浩平の結婚 そして3年半

2006-02-17 08:10:02 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【114】 2月17日(金)

小森千晶  細川直美
小森浩平  榎木孝明  今日から‘小森’です
本間あかり つみきみほ
黒田忠治  佐藤B作
小森弥之助 小林桂樹
田上伝六  不破万作
川原清三  河西健司
みつ     貴島サリオ
本間和則  蓮池貴人  あかりの子ども(チビ和ちゃん)

      宝井商店
      鳳プロ
      セントラル子供タレント

小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

千晶と浩平の結婚式当日

千晶は花嫁衣裳を着ている。
晶乃を先頭に、友行・清三・忠治が部屋に入ってくる。
千晶は弥之助たちに挨拶をする。

「千晶は浩平さんの妻になります。今までいろいろありがとうございます。
 これからもかわることなく小森屋の為に働きますのでよろしくお願いします」
「千晶、浩平さんにかわいがってもらうんだよ」と友行。

「今更言っても詮無いことだけれど晶子に見せたかったですね」と晶乃。
あかりが、机の上の写真を友行に渡す。
友行は、写真の晶子に目をやり、そして千晶の方に向ける
「晶子、見てご覧、きれいだろ
 忠さん、三国一の花嫁だってさ。晶子・・晶子・・晶子!」
千晶の目から涙がこぼれる。
「千晶、泣いちゃダメ! … 千晶!」

湖水館の一室。
寝巻き姿の千晶と浩平が向かい合っている。
「不束者ですが末永くよろしくおねがいいたします」千晶が挨拶する。

小森屋の 弥之助・晶乃の部屋。
「いいお式でしたね。
 でも花婿さんが ♪高砂や~ ってのも珍しいですわね」
「ありゃ、目立ちたがりだな」
「でも、あなたに遠慮して新婚旅行に行かないで湖水館に一泊なんて」
「(ふんという調子で)♪高砂や~ 上っ調子で威厳ちゅうもんがまるでナイ」

友行は、額に入った家族3人の写真を見ている。

千晶の結婚式から一週間が経ちました。あかりが東京へ旅立つ日がやって来ました。
小森屋のかりんの木の下
「行って来るわ」「行ってらっしゃい」
「和則、よろしくお願いします」「かしこまりました」
あかりが、小森屋から去っていくと赤ちゃんの和則は、あかりの方に視線を移し泣く。
あやす千晶。

かりんの木に雪が積り、花を咲かせ、実をならせた映像が映る。

昭和29年10月、秋です

あれから3年半、和則は4歳4ヶ月に成長していた。

弥之助と友行は、安来節のレコードをかけて、ざるを手に踊りの練習をする。
友行はうまく踊れない。
レコードをかけたり止めたりするのは和則の役目で、一緒に踊ったりもする。

台所で千晶とみつが練習を見ている。
「大変ですね。問屋様がたに、あれするの、大旦那様だけではいけないんですか?」
「ツルヤのビタミン味噌が大当たりだから…。
 うちの問屋が三軒なびいて鞍替えしてしまったから、少しでも誠意をね」
「お嬢様のだんな様はいいんですか?」
顔を曇らせる千晶。
「余計なことを言いました」

会社勤めを続けている浩平は
「今度の問屋さんたちのご招待には必ず出るようにするから」と言う。
「いってらっしゃい」と見送っていると、
伝六が来て
「オハヨ! 千晶さん、渉が帰って来るんだよ! 羽田から電話があったんだ
 休暇で、今夜の夜行で!」と、知らせる。

千晶には思いがけない知らせでした。 渉がアメリカから帰って来るというのです。 とナレーション




『かりん』(113) ★あかりの赤ちゃん、和ちゃん(和則)を預かる?

2006-02-16 04:51:04 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【113】 2月16日(木)

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
小森弥之助 小林桂樹
本間二郎  三波豊和
花山信太  林 泰文
みつ     貴島サリオ
関屋文雄  小磯勝弥(花山貸ふとんの従業員)

      鳳プロ
      セントラル子供タレント

小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

千晶は弥之助から味噌作りの手ほどきを受けている。

婚礼は晶子の喪の明けた昭和26年4月ときまりました (と ナレーション)

浩平はペガサス時計の諏訪研究所に赴任した。


湖水館 「湖水館で結ばれる幸せ」のポスターの前、友行と洋一郎が話す。
「どうですか、花嫁の父の気分は」
「嫁に出すわけではないのでね・・・披露宴よろしくお願いします」
「小森屋さんに披露宴で使ってもらって、箔がつくってもんですよ。
 二郎、とにかくぬかりなくやるんだぞ」
「二郎さんも、結婚するそうで・・」
「お見合い、9回ですよ、9回」
照れるが嬉しそうな二郎。

小森家、あかりが赤ちゃんの和則を連れて遊びに来ている。
晶乃もみつも相手をして遊んでやって、ニコニコ。
(  和ちゃんは眠いのか、ちょっとぐずっています )

あかりはある決心を話す。
「千晶、私もう一度東京に行こうと思うの。
 この町は、父親のいない子供を生んだ女は住みにくいわ。
 秋になったら 絶対気の合わない二郎兄さんのお嫁さんも来るし。
 洋裁学校に通って、諏訪に戻って洋装店を開いて、町の皆に見せてやるわ。
 こんな女でもやれることがあるって。」
「和ちゃんどうするのよ」
「連れて行くわ、昼間は働いて、夜は学校、正郎だっているし。
 学校は2年、本間あかり、和則連れて死んだ気になって、歯をくいしばって」


花山貸ふとん。
  
 黒板には 「 四月四日
         九日  下諏訪合宿所 10組納入
         十一日 丸山会館 → 確認
      
        四月十四日 小森君挙式 」 と書いてある。 
          
赤いカーディガンを来たみつが来る。
「なんだ、みっちゃんか」
「お嬢さん、浩平さんがお食事にくるので、わしが代わりに来ました」
「その、‘彼’はよく来るのか?」
「週に2回ぐらいは・・・」
「2回も 泊まったりはしないんだろうね」
「寮にお戻りになります
 でも、あと10日で婚礼だから、そうしたら毎日お泊りにもなります」
ちょっと嫉妬する信太だが、みつの作った星型にんじんのおかずを箸でつまむ。

小森屋の研究室。
千晶は、浩平に、あかりの子供を預かりたい、と話す。
「和則君を預かる?」
「勉強に集中させてあげたいの
「いくら正郎さんがいたって、本来男なんだから」
「おっぱいは?」
「もう乳離れしてます」
「子どもか・・」とちょっと想像する様子の浩平
「あかりの子どもだから面倒みたいんです」

あかりの部屋。
「どうして? 駄目よ、私の子どもよ、東京へ連れていく」
「産む時、もし死んだら、赤ちゃんをお願いって言ったじゃないの」
「死んでないわ」
「これから死ぬの! あかり、死んだ気になって歯を食いしばってって
 言ったじゃないの」
「ああ言った、こう言ったってうるさいなぁ!」
「あかり母親の横暴よ。横暴だし無謀。・・・・たったの二年じゃない。
 せめて一度くらいあかりの役に立つこと、私にさせて。」
「千晶…」
あかり、とうとう頷く。

かくして千晶のお願いをあかりは聞き入れることになったのでした。 とナレーション


(つづく)


『かりん』(112) ★「あたしたちの結婚を承諾して下さい」

2006-02-15 04:42:42 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【112】 2月15日(水)

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
小森弥之助 小林桂樹
花山信太  林 泰文
原口祥子  あめくみちこ
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

( 手を取り合い走って湖水館に戻ってきた浩平と千晶 )

湖水館の部屋

信太が挨拶を始める
「初めまして。この度は、原口さんとご結婚おめでとうございます。
 新婚旅行には是非また諏訪に。僕が案内します。
 いずれは観光事業をやりたいと思ってます。観光王としてですね…」
浩平は「失礼!」と遮り
「祥子、俺は君と結婚できない。この人と結婚したい、結婚する」と言う。
千晶も「祥子さん、そうさせて下さい、お願いします。」と祥子に言う。
あかりは「千晶…」と、その決心を認め、信太は下を向いて泣き出してしまう。
信太の肩に手をおき励ますようなあかり。

「祥子、俺は・・」
「もういい! もういいわ。土壇場で逆転負けか。
 原口祥子の命がけの恋もとんだ茶番で終幕。
「千晶さん、お望み通り、お譲りします」と言って、浩平の頬をひっぱたき
「さよなら」と祥子。
部屋を出て行く間際に 
「千晶さん、味噌は今まで通りでお願いします。
 惚れたハレタと仕事は別個。」と言い残す。
「花山くん、あたし、結婚する」
千晶の手をとり「お、おめでとう…」と信太。

小森屋。茶の間。代々の当主の写真が映る。
千晶と浩平が皆に結婚の意志を表明している。
「おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、あたしたちの結婚を承諾して下さい」

「あんたが謝罪して原口さんは納得して下さったのか」
「あたしが謝ったの」
二人の気持ちを聞いて
「反対する理由はなかろうがな」といっていた弥之助だが
「千晶と結婚するということは小森屋に婿養子に入るということだで」
「ハイ」
「小森屋の八代目として味噌造りに・・・」と問い
「それはできません」と答えた浩平に、
「話にならん 」と一喝する。

千晶が「浩平さんには別の仕事をしてもらいます」と説明し
友行が「浩平さんには類まれなる発明の才能がある」と言っても
「発明?話にならん。友さんで証明済みだ。帰ってもらえ」と席をたつ。

「帰りますが、私の気持ちはかわりません
 東京でお許しが出るのを待ちます。
(千晶に)いいね、一人で待つんじゃない、できるね。」
「いつまでも待つだ?」
「はい」と言い出て行く。

晶乃も最初に話を聞いたときは「何ですって?」と言ったが
「よく考えてみれば… 本人を前にこういうことを言うのもあれですけど」
と前置きをして
「友行さんだって研究が花咲いたっていう具体的な事実もないですし、
 とりたててみごとに花開いたというわけでもないですけれども
 なんとかどうにかやっているわけですから、
 千晶さえしっかりしてれば…。」
弥之助は
「132年の伝統にかけても認めん。それとも晶子の二の舞で駆け落ちでもするか?」
と怒りがおさまらない様子。
すると千晶は
「出て行きます。浩平さんと結婚します。結婚して、毎日ここへ通って来ます。
 あたしはは小森屋の娘です。
 お母さんから受け継いだ小森屋の仕事を投げ出すわけにはいかないの!」と言い、
部屋に戻り、机の上の腕時計をつかんで部屋を出る。

浩平の後を追いかけようとする千晶を晶乃が呼ぶ。
「千晶!追いついたらね、一緒に戻っておいでって、おじいちゃんが…」

千晶微笑む。 
オープニングテーマの カナディアン・アコーデオンがBGMに流れる

千晶は走る。
浩平の後姿を見つけ「浩平さぁん!」と呼ぶ。

浩平振り返る。

千晶が両手をあげてバンザイをする。その手首には腕時計がはめてあった。

走り寄り、抱き合う 千晶と浩平。


(つづく)




『かりん』(111) ★気持ちを確かめ合う二人

2006-02-14 23:58:27 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【111】 2月14日(火)

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
小森弥之助 小林桂樹
本間二郎  三波豊和
原口祥子  あめくみちこ
みつ     貴島サリオ
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

(浩平がやって来た)
「祥子さんは?」
「あかり君が町を案内すると言ってね」
「まあまあ、上がってください」と友行

座敷。
弥之助が
「相変わらず、発明なんてごちゃごちゃしたことをやっ・・」といいかけたところに
「あなた!」と晶乃。
「ごちゃごちゃしたものは、一旦整理して今は消費者運動の方をしております」
と答える浩平。
発明を快く思っていない弥之助は、嬉しそうに
「ほう! でしたら味噌の方もいろいろ知っていただいて・・・」
と、相好を崩すが、
友行が、浩平と祥子の結婚話のことを告げると、驚く。
晶乃は驚きながらも
「晶子の遺言は、千晶のお相手は浩平さんだったのよ。
 おっとりふんわり、奥深いかた、といって。
 でも、こういうことはご縁ですから。 おめでとうございます。」と言う。
そこにみつがお茶を持って来て
「あれ?お嬢さん、腕時計はどうなさったんですか?」と訊く。
「止まったのかい?」
「ううん、部屋に置いてあるの」

友行の研究室。
三角フラスコの水をアルコールランプで沸騰させ、お茶の葉をフラスコの中に入れる友行。

「浩平さん、この研究室であなたと研究に打ち込められたら、と思ってました。
 発明の仕事は止めないで頂きたい。
 地方都市に住む三流発明家からのたっての願いです」
「特許は取れなかったが、問い合わせが来て精密機械のメーカーから
 来ないかと言われているんです、いずれお世話になろうと思ってます
 研究は続けたいと思ってます。
 僕をそういう気持ちにさせてくれたのは、お父さん、千晶君なんです。
 空襲で亡くなった父が、男はいつも心に明々と燃えるものを持ってなきゃいけないぞ、
 と言ってました。
 千晶君が僕の心に点火してくれたんです。」

庭で千晶がみつと樽を洗っていると、友行がやってきて
「浩平さんがお前に話があるそうだ」と浩平を連れてくる。

「時計をはずしたのは俺が祥子との結婚を決めたからだね?」
「ごめんなさい。」
「あかり君に聞かれたよ。…小森家から君を連れ去るわけにはいかない。
 しかし君が好きだ。離れることで自然にお終いになると思ってた。
 しかし消えない。消せない。子との結婚を承諾することで消えると思ってた。
 しかし、消えないどころか、益々明々と…。」
「浩平さん!」
「俺は生き方を変えるつもりは無い。君と一緒に俺の生き方を貫く。
 君と結婚したい。」
「・・・・・」
「渉君か? 渉君をまだ待ってるのか?」
「私はあなたが好き。田上君は母が死んだ日に(心の中で)死んだんです」
浩平、千晶の手を取り、「行こう!来るんだ!」


湖水館の玄関。
二郎が、祥子と、祥子を町案内していたあかりと信太を迎えていた。
そこに、息を切らして走って帰ってきた千晶と浩平。

(つづく)

■『かりん』 第20週 (110) ★千晶の気持ちと 浩平の気持ち

2006-02-13 23:50:29 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【110】 2月13日(月)

作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
安来節指導 花柳糸之 



小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
小森弥之助 小林桂樹
原口祥子  あめくみちこ
みつ     貴島サリオ
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

 

制作統括  西村与志木


美術    山内浩幹  
技術    横山隆一
音響効果  平塚 清
記録・編集 阿部 格   
撮影    石川一彦
照明    田中弘信
音声    本  弘
映像技術  菊地正佳 

演出    鈴木 圭


解説(副音声) 関根信昭

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

湖水館の浩平の宿泊している部屋。

祥子が宣言する。
「あたしたち結婚するの」
「そういうことになったんだ」 浩平も同調する。
目に涙をためておめでとうというようにお辞儀だけして部屋を出る千晶。

あかりが追いかける。
「千晶!」
「帰るわ」
「待ちなさいよ。もっと話すことあるでしょ? 浩平さんが好きなんでしょ?」
そこに、ちょうど信太がやってきて立ち聞きしてしまう。
「好きよ。私は間宮さんが好き。
 でも祥子さんみたく結婚までは考えてなかったって事。
 私と結婚することは小森屋の八代目になることよ。
 私のために生き方を変えてもらえないわ。」

「… 花山くん …」「小森帰るんだろ? 送るよ」

お稲荷さんの近所で立ち止まる二人。
「ちがうんだよな。そうなんだよな。
 人を好きになることと結婚はむすびつかないんだよね
 制約や障害があっても突き進んでいっても、そこに幸せが約束されているわけじゃない。
 情熱で わーっと飛び越える人もいるけどね、本間なんかそのタイプだ。」
「母はそうだったわ」
「俺はね、小森、君のためだったら
 どんな風にでも生き方変えてみせる。変えられる」
「花山君はいい人…。でもあくまで友達として」
「いいんだ。わかってる。でもゴールが見える、ばら色のゴールが!」

小森家の茶の間では友行が千晶の帰りを待っている。
柱時計が8回 ぼーん・ぼーんと鳴った時、千晶が帰ってくる。
「お帰り、浩平さんゲンキだった?」
「ええ、結婚するんですって」
「(茫然と)なんだって?」
「お相手は、お父さんも知っている、祥子さんよ、彼女も今湖水館に来ているの」

それだけ言い、自分の部屋に行く千晶。  
部屋で千晶は、浩平にもらった腕時計をはずし畳の上に置き、涙ぐむ。


湖水館。

あかりの部屋に泊まることになった祥子とあかりが話している。
「千晶さん、あなたに浩平のこと好きだって言った事あるの?」
「どうしてですか?」
「あかりさん、彼女に聞いたでしょ? 『いいのか』って」
「口で言わなくたってそれぐらいわかります
 千晶の気持ちはあなたもご存知でしたよね」
「千晶さんは一度も浩平に意思表示をしなかったもの。
 彼はまだ迷ってるわ。どちらかといえば千晶さんに向かっていると思うの。
 でも徐々に彼の気持ちを私に向かせて見せる。誰よりも浩平を愛してるのは私。」


千晶の部屋。
千晶は、寝床の中で天井を見たり寝返りを打ったりしている。


浩平の客室。襖がすっと開く。女の足が浩平の方に近づく。

浩平がばっと起きる。 あかりだった。
「どうしたんだ?」
「千晶は私に、あなたを好きだって言いました。
 でも、千晶は、自分と結婚する事は小森屋の人間になることだ、
 自分のために、浩平さんの人生を変えることはできない、って言ったんです。
 浩平さんはどうなの? 千晶が好きなんでしょう?」
「好きだ」
「せめてそれだけは言ってあげて下さい。後はあの子の判断。
 小森屋を捨ててあなたに走るか…。
 何を怖がっているんですか? 私は何も恐れない。後で後悔しない。
 でも千晶はそれが出来ない。周りの事ばかり考えて。」


翌日、小森屋。

弥之助「どうも天気がはっきりせんなぁ。」
晶乃 「六月ですから。みっちゃんとタラの芽摘みに行こうとしてたけど・・。」

そこへ、「こんにちは、間宮浩平です」の声。
はっとする千晶。

(つづく)

『かりん』(109) ★浩平、諏訪に来る・・「祥子と結婚する」と言いに

2006-02-11 08:10:03 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【109】 2月11日(土)

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
みつ     貴島サリオ
本間二郎  三波豊和
原口祥子  あめくみちこ
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

小森屋玄関。
あかり「東京から浩平さんが来てるの。
    いろいろお世話になったでしょ、和則のこと知らせたの。
    見にいらしてくださいって。
    夜にでもいらっしゃいよ。会いたいでしょ?それとも会いたくない?」
友行も出てくる。
友行「ご出産おめでとうございます。見に行こうと思っていながらなかなか・・・」
あかり「じゃ千晶、待ってるわ。必ず来るのよ。
    (友行に)うちに浩平さん来てるんです」と言い帰る。
友行はほうと嬉しそう。

台所。
みつ「お嬢さん、お昼お蕎麦にしました」
千晶「みっちゃんの料理おいしいって、清さんたちに評判よ」
みつ「うれしいな。ほういって頂くと作りがいがあります」
友行が来て
「お父さんも浩平さんに会いたいな」とうきうきした様子で言う、千晶はほほ笑む。
みつ「東京のお友達ですか?」
友行「千晶のこれ(腕時計を指して)作った人だよ、世界的な発明家なんだよ」

信太がやって来てみつに千晶の行き先を聞いている。
「湖水館へ」
「えっ? 本間のところか?」
「はい、お友達に会いにいらっしゃいました」
「お友達? ・・・ 男かなぁ」
「多分そうだと思います。コウヘイと言う名前の女性はいらっしゃらないと思います」
信太はがっくりと肩を落とす。
「急ぎのようでしたら、湖水館に行かれたらどうでしょう」
帰り際に信太は「みっちゃん、がんばれよ!」と励ますと、
みつは「何を?」と考える、ほっぺに手をやる。

湖水館の客間。

浩平は二郎と将棋を指している。
あかりが「千晶が来たわ」と入ってきて将棋を無理やり片付ける。
あかりと二郎は部屋を出て行く。
千晶と浩平、畳の上で向き合う。   
「(和則くんは)丸々と太った立派な赤ちゃんだな
 忙しいかい? 俺は何だか祥子に使われているよ。
 周りは女ばっかりで気の使いっぱなしだ・・女は強くなったよ…
 (時計)動いてるかい?」
「ええ」
「特許、おりないそうだ。一年も前にスイスで特許が下りてるそうだ。
 でも、君の腕で動き続けてるだけで充分満足だ。
 あかり君に根掘り葉掘り聞かれたよ。
 ありのまま話したよ、俺が元気になったのは君のお陰だってことを」
あかりが入ってくる。
「ところで千晶、いつお母さんになるつもり?」
「なにに言い出すの、ずっと先よ」
「その気になればすぐなれるわ。千晶、浩平さんの赤ちゃん産めば?
 ちゃんと結婚してから。浩平さん、お婿さんはお嫌?」

そこに、二郎が「お客さんだよ」と言いに来る。 
なんと祥子だった。
「祥子・・・」
「明日日曜日だから来ちゃった」
他に空室が無いという二郎に「この部屋でいいわ」と言い
「浩平、まだ皆さんに話してなかったの? 千晶さん、私達結婚するの。」と祥子。
千晶は呆然とする。
「…そういうことになったんだ」

「おめでとうございます」と言うのが精一杯の千晶。
「千晶、あなたはそれでいいの?」とあかりは訊くが、
千晶は目に涙を浮かべお辞儀して部屋を出て行く。
浩平は、障子窓を開け、外をじっと見る。

(つづく)

『かりん』(108) ★みっちゃん小森屋に戻る!

2006-02-10 23:46:36 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【108】 2月11日(土)

小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
みつ     貴島サリオ
本間二郎  三波豊和
田上伝六  不破万作
小森弥之助 小林桂樹
本間洋一郎 笹野高史
川原清三  河西健司
本間三郎  丹羽貞仁
英       出雲崎 良
蒔田     茂木和範
雅       渡辺高志  
従業員    藤森一朗
        中田浄
おかみ    花 悠子
客      ト字たかお

       鳳プロ
       セントラル子供タレント

小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
あかりの子どもは 和則と名付けられました。則 は道則の「則」です (とナレーション)

あかりの部屋。 
洋一郎は「あかり、お父さんに抱かせなさい、おう、よしよし。」と
実にいとおしそうに赤ちゃんの和則を見つめる。
「今日はお七夜だな、赤飯炊いてもらえ、おうよしよし。」と二郎・三郎に言うと
「もう炊いてあるよ」との答え。
「次、俺にも抱かせてくれよ」と二郎が言うが
「お前は赤飯の前に嫁さんだ」とか、皆幸せそうな笑顔である。
あかりも和則を抱っこして
「あんなおじちゃんたちにならないようにね」と話しかけている。


小森屋。
晶乃と千晶が樽を洗っていると、「こんにちわー」という声。みっちゃんの声だ!
飛んでいく千晶と晶乃。「みっちゃん・・」「来てくれたのね・・」
田舎に帰っていく時に千晶があげた帽子を被り
赤い長袖のカーディガンを着ているみっちゃんがいた。
「奥様のお葬式に出られなくてすみません」

茶の間。
友行 「無理を言ったんじゃないだろうね…」
弥之助「みつ、よろしくたのむで。」
みつ 「覚えていてくれて果報者です、みつは嬉しいです。
    奥様、亡くなられて残念です。 わし、奥様に良くしてもらって…。
    何の恩返しもできねえまま…。」と残念がる。
田舎の様子を弥之助が訊くと、みつは
お父さんの腰も大丈夫、寝たきりのばあちゃんも何とか頑張っている
台所は、妹がしっかりやれる
大奥様から教えてもらった料理のメモを妹に渡してきたから・・と答える。

千晶とみつは、庭のかりんの木を見上げ、みつが
「きれいに咲いてますねえ。
 お嬢さん、わし、このかりんの実がなるまでおいて下さいますよね。」と言い、
千晶が「実がなって、もいで…、その先も」と言う。
「ずっといます」と言うみつに
「そんなにいたら、みっちゃんお嫁にいけなくなるわよ」と千晶。
みつは木の枝をちょっと持ってきて、かつてのチャップリンの歩くまねをしてみせる。


信太の貸し布団屋。
千晶が「この油味噌、みっちゃんが作ってくれたの。」とおかずを持ってくる。
信太 「今夜少し時間ある?話したいことあるんだ。」
千晶 「ええ。」
信太 「君がいる。僕がいる。そして田上はいない。わははは」

居酒屋(かつて、友行と洋一郎が一献酌み交わす趣旨で呑んだ店である)
お銚子を1本呑んでいる信太。千晶がやってくる。
信太「今夜は帰さないから。」
千晶「えっ?」
信太「冗談、冗談。一度そういうセリフ、言ってみたかったんだ。」と言っていると、
伝六がひょっこり入ってきて、
「いいねえ。若いもんは。青春は二度と来ねえんだ、結構結構。」といって離れる。
二人、向かい合って酒を飲む。
信太「卒業式のかりん酒以来だな。
   知らない人が俺達を見てたら何と思うだろうね。 
   兄と妹?それはないよな。妹と弟?まさかね。
   夫婦?あ、まさかね、いくらなんでも。」と一人しゃべる。
そして、「敗者復活戦って知ってる?」と切り出し、
「僕の気持ちは以前とちっとも変わってない。
 もう一度俺を男として見つめ直してくれ。
 花山信太は、ここに、改めて、小森千晶に愛情を告白します!
 好きだ!大好きです!」
と 告白する。


六月に入り、小森屋は忙しい。
みつが あかりさんがいらっしゃってます と呼びに来る。
千晶が玄関に出ると あかりは「東京から浩平さんが来てるの」と知らせる。


(つづく)