【122】 2月27日(月)
作 松原敏春
音楽 渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り 松平定知アナウンサー
時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
小森千晶 細川直美
小森浩平 榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉 筒井道隆
宮下みつ 貴島サリオ
なぜか今日から宮下姓
おかみ 花 悠子
チンピラたち 志賀実 渉とケンカしたがその後、つるんでいる
三上壱郎 〃
伊東孝太郎 〃
本間和則 蓮池貴人
鳳プロ
セントラルスポーツタレント
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治 佐藤B作
小森晶乃 岸田今日子
小森友行 石坂浩二
制作統括 西村与志木
美術 深井保夫
技術 横山隆一
音響効果 加藤直正
記録・編集 阿部 格
撮影 石川明彦
照明 田中弘信
音声 山中義弘
映像技術 菊地正佳
演出 兼歳正英
解説(副音声) 関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
千晶が渉の言葉を心の中で反芻しながら小森屋に帰って来る。
和則がいる「おばちゃん、かりん、かりん!」
みつが庭の方から出てきて言う。
「あかりさんもご一緒です。かりんの実をもごうねって約束を」
和則がかりんの実をもいでいるのを見て、晶乃が言う。
「もうかりん、もぐ季節になったのね。
千晶の分身のかりんの木から、あかりさんの分身の和則ちゃんがもいで。
ここにもう一人千晶の分身がいたら」
千晶の部屋。
「父と話して、久美子さんの手前もあるし、昼間は旅館の仕事を手伝うことにしたの。
夜はミシンを踏むわ。蛙の子は蛙、これでも旅館の娘よ。
目指しているデザインのコンクールもあるし
もう誰かさんに怒鳴りつけられたりしないと思うわ」
「その誰かさんね、もうアメリカには行かないんですって。
クビになって‥、会社。負け犬ですって。
私達の笑顔がつら過ぎてあんな事言ったんですって。あかりに謝っといてくれって。
東京へ行くって言ってたわ」
「東京に行って何するの?
自分のことを負け犬だと思っている人間が東京で何が出来るの?
甘ったれるんじゃないっていうの。何が負け犬よ、バカバカしい!」
「私、しっかりした目標が出来るまで東京へ行かない方がいいと思うの。
あかりから田上君に言って」
「ごめんこうむります。東京でも大阪でも行っちゃえばいいのよ」
都座。 渉は鏡を見ている。
あかりが和則をつれて来る。
「映画のおじちゃんよ、挨拶しなさい」「こんにちは」
「おう」
「映画見てきていい?」と和則は客席の方に行ったようだ。
「賢そうな顔してる、父親似だな」 「末は金貸し?」とあかりは皮肉る。
かりんの実を出して
「千晶のところからよ。あなた、当分諏訪にいなさいよ、目標が見つかるまで。
人生七転び八起き。しばし戦死の休息ってことで」
「優しいこと言ってくれるじゃないか」
「千晶も東京には行かない方がいいって言ってたわ」
「小森が言ったのか? ホントか?」
「何よ、千晶が言ったらどうなのよ」
飲み屋。浩平と忠治が飲んでいる。
「お嬢さんと仲良くやってんすか?」忠治が訊く。
「ええ」
「じゃぁ、何で子ども うまれねぇんだろうな」
「それなりに努力はしているつもり」
「一事が万事。家ですよ、家。
お嬢さんに肩身の狭い思いをさせないのが役目でしょ?」
「立場としては弱いんだから気を使わないと。 だから毎晩帰りが遅くなって」
そこに、渉がチンピラ3人と連れだって入ってくる。
「渉くん! アメリカで頑張ってるそうじゃないか」
「イヤミですか?
日曜の晩にこんなところでうだうだ飲んでると、
奥さん他の男にとられてしまいますよ」
小森家茶の間、時計が8つ鳴るころ、忠治と浩平が帰ってくる。
弥之助・友行・千晶は、帰りをイライラしながら待っていて
「浩平くん、お義父さんが聞きたいことがあるそうなんだ」と友行。
弥之助の表情はいつになく厳しい。
(つづく)
作 松原敏春
音楽 渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り 松平定知アナウンサー
時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
小森千晶 細川直美
小森浩平 榎木孝明
本間あかり つみきみほ
田上 渉 筒井道隆
宮下みつ 貴島サリオ
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おかみ 花 悠子
チンピラたち 志賀実 渉とケンカしたがその後、つるんでいる
三上壱郎 〃
伊東孝太郎 〃
本間和則 蓮池貴人
鳳プロ
セントラルスポーツタレント
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治 佐藤B作
小森晶乃 岸田今日子
小森友行 石坂浩二
制作統括 西村与志木
美術 深井保夫
技術 横山隆一
音響効果 加藤直正
記録・編集 阿部 格
撮影 石川明彦
照明 田中弘信
音声 山中義弘
映像技術 菊地正佳
演出 兼歳正英
解説(副音声) 関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
千晶が渉の言葉を心の中で反芻しながら小森屋に帰って来る。
和則がいる「おばちゃん、かりん、かりん!」
みつが庭の方から出てきて言う。
「あかりさんもご一緒です。かりんの実をもごうねって約束を」
和則がかりんの実をもいでいるのを見て、晶乃が言う。
「もうかりん、もぐ季節になったのね。
千晶の分身のかりんの木から、あかりさんの分身の和則ちゃんがもいで。
ここにもう一人千晶の分身がいたら」
千晶の部屋。
「父と話して、久美子さんの手前もあるし、昼間は旅館の仕事を手伝うことにしたの。
夜はミシンを踏むわ。蛙の子は蛙、これでも旅館の娘よ。
目指しているデザインのコンクールもあるし
もう誰かさんに怒鳴りつけられたりしないと思うわ」
「その誰かさんね、もうアメリカには行かないんですって。
クビになって‥、会社。負け犬ですって。
私達の笑顔がつら過ぎてあんな事言ったんですって。あかりに謝っといてくれって。
東京へ行くって言ってたわ」
「東京に行って何するの?
自分のことを負け犬だと思っている人間が東京で何が出来るの?
甘ったれるんじゃないっていうの。何が負け犬よ、バカバカしい!」
「私、しっかりした目標が出来るまで東京へ行かない方がいいと思うの。
あかりから田上君に言って」
「ごめんこうむります。東京でも大阪でも行っちゃえばいいのよ」
都座。 渉は鏡を見ている。
あかりが和則をつれて来る。
「映画のおじちゃんよ、挨拶しなさい」「こんにちは」
「おう」
「映画見てきていい?」と和則は客席の方に行ったようだ。
「賢そうな顔してる、父親似だな」 「末は金貸し?」とあかりは皮肉る。
かりんの実を出して
「千晶のところからよ。あなた、当分諏訪にいなさいよ、目標が見つかるまで。
人生七転び八起き。しばし戦死の休息ってことで」
「優しいこと言ってくれるじゃないか」
「千晶も東京には行かない方がいいって言ってたわ」
「小森が言ったのか? ホントか?」
「何よ、千晶が言ったらどうなのよ」
飲み屋。浩平と忠治が飲んでいる。
「お嬢さんと仲良くやってんすか?」忠治が訊く。
「ええ」
「じゃぁ、何で子ども うまれねぇんだろうな」
「それなりに努力はしているつもり」
「一事が万事。家ですよ、家。
お嬢さんに肩身の狭い思いをさせないのが役目でしょ?」
「立場としては弱いんだから気を使わないと。 だから毎晩帰りが遅くなって」
そこに、渉がチンピラ3人と連れだって入ってくる。
「渉くん! アメリカで頑張ってるそうじゃないか」
「イヤミですか?
日曜の晩にこんなところでうだうだ飲んでると、
奥さん他の男にとられてしまいますよ」
小森家茶の間、時計が8つ鳴るころ、忠治と浩平が帰ってくる。
弥之助・友行・千晶は、帰りをイライラしながら待っていて
「浩平くん、お義父さんが聞きたいことがあるそうなんだ」と友行。
弥之助の表情はいつになく厳しい。
(つづく)