ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『かりん』(107) ★昭和25年5月13日日曜日大安吉日夜8時8分

2006-02-09 21:04:20 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【107】 2月9日(木)

小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
本間洋一郎 笹野高史
本間二郎  三波豊和
本間三郎  丹羽貞仁
産婆    青木和子
小森晶乃  岸田今日子

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

湖水館。
都座から千晶と信太が駆けつけると、あかりの陣痛が始まっていた。
「20日も早い、気の早ええ子供だで」と二郎。
あかりの部屋の前では洋一郎、三郎がうろうろしている。

部屋に入るとちょうどあかりの陣痛は治まっているところだった。
順調なの?と千晶が訊くと、産婆さんが
「ちょっと出血があったで、油断はなんね、今日中には出てくるじゃろ。
 まあ本人のがんばりしかないわな」
信太もちゃっかり千晶と部屋に入ってきていたが
産婆さんに「男の入ってくるところでない!」と注意され、すごすご出て行く。
あかりは「ちょっとだけ千晶と2人にして」と産婆さんに頼み、
産婆さんは、階下の帳場に行く。

産婆さんは、ソファーに正座している。
産婆さんの
「陣痛が早すぎるのと出血が気がかり、
 もし赤ちゃんが出てきても出血が続くようなら、お医者さんを呼ばないと」
と説明する。
洋一郎は
「おしげさん(産婆)、どっちか一方だけしか助からん時は母体の方、
 娘の方を頼むでね!」
「父ちゃん!」 「万が一だわ!」


あかりの部屋。
あかり「おしげさん、私達兄妹四人とも取り上げてくれたの。
    この子、無事産まれてくるかしら、何だか怖いわ。
    20日も早いしまだ育ってないかも知れない
    産まれてくる力が無いかもしれないじゃないの。
    あたしは新でもいいからこの子だけは無事に産まれてほしい」
千晶は励ますが
あかりは「あたしが死んだら、千晶を許さないままになってたわね。
     そんな哀しいことはないわ。
     千晶は何も悪いことしてないのに。 勝手に逆恨みして。
     でもこの子が無事に産まれてきたら許せる気がする。それでいい?
     そうさせてお願い。・・・・千晶、私が死んだら千晶がこの子を育てて。
     約束して、私の代わりに母になってくれるって。
     そしたら安心して死ねるわ。」
千晶 「わかりました」
あかり「ありがとう」
千晶 「駄々っ子みたい」

以前はあかりが振り払った千晶の手を、あかりが自ら握る。

するとあかりは千晶の腕の時計を見つけ「買ったの?」と聞く。
千晶 「間宮さんにもらったの。」
あかり「へえ、すごい。」
千晶 「自動巻腕時計第一号よ。」
あかり「そんな貴重なもの千晶に? 東京でなにかあったの?」
千晶 「何にもないわ」
あかり「千晶は何でも隠すんだから。ひょっとして何も成長してないんじゃないのぉ~
    浩平さん、千晶のこと好きなんでしょう?」
千晶 「そんなこというんなら帰るわよ」
あかり「いいわよ」
千晶 「子どもも育てないわよ」
あかり「いいわよ かーえれ、かーえれ」とふざけあう。

そこへ晶乃が来る。
「女手があったほうがいいと思ってね 出産は女の一大事。
 殿方が雁首並べてもどうにもならないわ」
あかりは「あたしのためにありがとうございます」と言うが
晶乃は「”あたし”の為じゃないの、女のために来たのよ」と言う。
そして「千晶、あかりさんががんばって赤ちゃんを産み落とすところ見とくのよ。
    (あかりのお腹をいとおしそうになでながら)さあ!
    いつでも出てらっしゃい!」と頼もしく言う。

帳場、男四人。
洋一郎「三郎、お湯は沸いてるか? 
    花山君、きみの仕事、力になるよ。
    いっそ身内になっちまったらどうだね?」
二郎 「何考えてるんだおやじ」
洋一郎「万に一つってこともあるからな。
    あかりを嫁に・・・」などと言っていると
おぎゃあ  とゲンキな産声
「あかり!」「生まれた!」「お湯だ!」「でかした!」と大騒ぎ。


昭和25年5月13日日曜日大安吉日夜8時8分 
男の子誕生、母子ともに健在でした   

『かりん』(106) ★信太、千晶を映画に誘う♪

2006-02-08 02:27:39 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【106】 2月8日(水)

小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
川原清三  河西健司
関屋文雄  小磯勝弥  信太のところの従業員
英      出雲崎 良
蒔田    茂木和範
雅      渡辺高志  
従業員   藤森一朗  小森屋の新人
       中田浄  小森屋の新人
小森弥之助 小林桂樹

  田上伝六 不破万作 ※ おそらくキャスト表示されたと思います
  産婆  青木和子  ※ おそらくキャスト表示されたと思います

小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

諏訪。小森屋。

今年もかりんの花が見事に咲いた。
千晶が諏訪に帰ってから二週間経つ。
味噌の積み出しに精を出す千晶、弥之助、友行。
問屋に急かされて生産を増やさなければならない状況で、
「こういうときこそ味が落ちんようにせねば。
 諏訪業界全体の問題だからな、な、友さん。」と弥之助。 
台所で晶乃は千晶に愚痴る。
「塩田が閉鎖されたのに、銀行の融資の残金10万円、うちの負担なのよ。
 友行さん、わかりましたってそのまま帰って来るし、
 仕方ないずらっていうおじいちゃんもおじいちゃんだわ」

信太の布団屋。

千晶、おかずを作って持って来る。。 
「いつもすまない。めしは炊けてるんだ。 心苦しい、感謝している。」
と頭を下げる信太。 
そして遂に
「今度の日曜日、映画見に行かないか?ご馳走のお礼したいし」というと
千晶の返事は「いいわ」 都座に映画を行くことになる。
信太は何度も両手の握りこぶしをふって「よし!よし!よし!」と嬉しそうにする。

友行の研究室。 

友行は速醸味噌の増産の方法を考えている。
千晶が入ってくる。
「みっちゃん、どうしてるかしら。もうお嫁に行ったかしら。
 おばあちゃん毎日きつそうなの。
 おばあちゃんに負担がかかるから、みっちゃんいてくれたらなって思うの。
 みっちゃんにもう一度来てもらえないかって手紙を書いていい?」と相談する。
友行
「お父さんは駄目だな、僕が気がつくべきだったよ。
 踏ん張ってるつもりだったけど…。」
「今のままでいいわ。あんまり期待をするとくたびれるわ。
 私の元気をお父さんにお裾分けしてあげます。お父さん、私がついてるから。」

夜 千晶の部屋。

千晶は、生前の晶子が写っている一家の写真を見つめている。
そして浩平からもらった自動巻き腕時計を出してじっと見つめる。
腕時計に「元気、お裾わけしてください」といいながら写真の前に置く。

日曜日 映画館。

千晶と信太が楽しそうに映画を見ている。
信太は暗闇のどさくさにまぎれて隣の席の千晶の手を握ろうと試みるがダメ。
もう一度を…とトライした瞬間、誰かに肩を叩かれる。
伝六が「千晶さん、あかりさんが湖水館であんたを呼んでるよ」と呼びに来た



湖水館  あかりの部屋

産婆にお腹をさすってもらっているあかり。

(あかりの陣痛が始まった。さあ大変です。)  とナレーション

『かりん』(105) ★小森千晶様、間宮浩平 昭和25・4・20

2006-02-07 04:34:24 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【105】 2月7日(火)

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
花山信太  林 泰文
原口祥子  あめくみちこ
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治  佐藤B作
黒田文江  もたいまさこ
職業夫人  白川鮎美  (消費者友の会側の人物)
女子事務員 熊谷祐子、松阪和歌子、巻口久美子、藤本和子
電話交換の声 寺井くみ子 
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

翌朝だるま食堂。

浩平「このうまい味噌汁も今日で飲みおさめか。」
千晶「原口さん、うちの味噌扱ってくれるそうだからなくなったら回して貰って。」
文江「浩平さん、出て行くのどうしても今日じゃなきゃいけないの? 
   何だか急にさびしくなります。お別れ会させてください。」
忠治「そうだ文江、よく言った。こっちは身内同然に思ってきたんだ。
   浩平さん、あんた情が薄いよ。」
夜にお別れ会が開かれることになった。

諏訪 小森屋。
晶乃千晶からの電話で千晶が諏訪に帰ってくることを知る。
弥之助と喜んでいると、信太が一升瓶を風呂敷に包み挨拶に来る。
友行も玄関先に現れて、再会を喜ぶ。
信太は、千晶がじき諏訪に戻ってくることを知り、喜ぶ。

祥子の事務所(生活者連合会)では、ある女性ともめている。
消費者友の会の人間で、生活者連合会の会員を大量の引き抜き、
祥子がクレームをつけている。
「おたくの会長とは、引き抜きはしないって取り決めてるんだから」

そこに浩平が来る。
「特許、申請してきたよ。結果はずっと先だよ。」
「私のつっかえ棒になってくれるのね。 でも無理してない? 
 私が強引に頼んだから?」と祥子。
「明日君が探してくれたアパートに引っ越すよ。今夜夜警の仕事も正式にやめてくる。」
「明日?」と聞き返す祥子。
「お別れ会をやってくれるんだって」

夜お別れ会。
忠治「会うは別れの始めといいますが…」と挨拶。
文江「ところでお嬢さんともお別れですが、浩平さん、何か一言ありませんか?」
すると浩平、時計を取り出して千晶に渡す。
時計の裏には「小森千晶様」と、日にちも刻んであった。

    小森千晶様
    間宮浩平(小さな文字)

     昭25.4.20


「この時計 記念すべき第一号は君につけて欲しい。 君に使って欲しいんだ。」
と言うと、
千晶「ちょうだいします。ありがとうございます。大切にします。」と言う。
忠治「じれってえ、何か他にいうことあるでしょう? 何か。」と
何とか本当の言わせようとがんばるが
「元気でな」「間宮さんも」と二人とも目を見つめて挨拶するのみだったb。

朝。
浩平のいなくなった、がらんとした小屋に入ってみる千晶。
左腕の腕時計をそっと耳にあててみる。
チクタクと時を刻む音を、目を閉じて聞く千晶。

場面は汽車の三等車に乗っている千晶に変わる。
川を越え、諏訪に近づいていったのだった。

(こうして千晶は諏訪へ帰った。)


(つづく)

■『かりん』 第19週 (104) ★時計の完成・・千晶、諏訪に帰る決心をする

2006-02-06 20:04:59 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【104】 2月6日(月) ★時計の完成・・千晶、諏訪に帰る決心をする

作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
方言指導 有賀ひろみ
 


小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
花山信太  林 泰文
原口祥子  あめくみちこ
黒田文江  もたいまさこ
黒田正貴  中村洋一   
黒田和子  はた中美貴子
黒田耕一郎 越迫健太  
黒田忠治  佐藤B作
間宮浩平  榎木孝明


制作統括  西村与志木

美術    深井保夫  
技術    三島泰明
音響効果  加藤直正
記録・編集 阿部 格   
撮影    熊木良次
照明    関 康明
音声    佐藤重雄
映像技術  沼田繁晴 

演出    柴田岳志


解説(副音声) 関根信昭
 
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

翌朝、文江が昨夜見たことを忠治に語っている。
千晶と浩平の抱擁の再現シーンに 忠治は「あらら・・」
文江は更に語る。
「前からそうじゃないかと思っていたんです。お互い憎からず思っているって。
 お似合いだと思うんです、あたしたちみたいに」
忠治は
「でも、浩平さんには原口という女がいるんだぞ」とちょっと憎憎しげに反論するが
文江は
「本当に好きあっているとしたら、(私たちをくっつけてくれた)ご恩返しを」と言う。

千晶は、腕時計を見つめ
「今夜の7時で丸3日、どうか止まりませんように・・」と祈る
裏庭の井戸水を汲んでいると、浩平が出てくる。
昨夜の抱擁を思い出して、ちょっと照れあう2人。

「7時まで止まらなかったら、オレここを出て行く。 
 君は諏訪、オレは澁谷だ、お互い心機一転」

朝ご飯。
忠治が「立ち入ったことを聞くようですが」と浩平に質問する
「ここを出て行って、原口さんと一緒に住むんですか?」
「まさか」と浩平は否定するが
「あの女、手鍋さげてやって来ますよ」と忠治は手厳しい。
しかし千晶は
「間宮さんにそのつもりがあるならいいじゃないの・・」
と言う。


湖水館、花山信太が一升瓶を抱えてやってくる。
あかりが応対に出て、久しぶりの再開を喜ぶが、お腹に気がつき
固まる信太。

あかりの部屋で話す二人。
「父がやっとゲンキになってきて、呉服屋を手伝い始めたんだ。
 そしたら、諏訪へ行けって。
 諏訪に最近新しい旅館が建ちはじめたから、布団屋を始めろってさ。
 タカシマに一部屋借りて、事務所 兼 俺の住まい。
 布団のご用命は花山信太に・・・」
「父によく言っておくわ」


だるま食堂、裏の掘っ立て小屋では、浩平がすっかり荷造りをしていた。
千晶と忠治は、問屋さんへの挨拶まわりを終えてだるま食堂の前にいる。
千晶が 腕時計の針を見ながらカウントダウンし、
「ただいま!」と店に入ると、祥子がいた!

「お帰りなさい どう 時計?」
「動いています」
「これで3日経ったわね 完成だわ。浩平呼んできてくれる?」
忠治は「自分で呼んで来たらいいじゃないか」と気色ばむが
文江が呼びに行く。

「千晶さん、あなた自分で時計を止めるんじゃないかと思ったわ」と祥子
「浩平を引き止めるためよ」
「お嬢さんがそんなことするわけないじゃないか!」

浩平が来る。
「おめでとうございます」と千晶は、腕時計をはずして渡す。
「ありがとう、君のおかげだよ」と浩平

祥子は「祝杯あげようか」と誘うが、
「特許のための設計図を書かなきゃならないから…
 明日一杯かかりそうだ」と浩平は断る。

祥子は「じゃ、あさって引越しね」と言い、だるま食堂を出る。

千晶は祥子の後を追い、
「祥子さん、私 諏訪に帰ります
 東京営業所は忠治さんに任せますので、小森屋の味噌、末永くお願いします」
と言う。
諏訪に帰ると聞き、残念そうな嬉しそうな複雑な顔をする祥子。


だるま食堂の2階の部屋では、千晶は時計をはめていない左手首をそっとなでる。

明日は浩平とのお別れの日です とナレーション

『かりん』(103) ★千晶・浩平 抱き合う・・・・

2006-02-04 03:18:16 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【103】 2月4日(土) ★千晶・浩平 抱き合う・・・・

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
黒田文江  もたいまさこ 
小森弥之助 小林桂樹
原口祥子  あめくみちこ
花江    佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
女子事務員 熊谷祐子、松阪和歌子、巻口久美子、藤本和子

      鳳プロ
      セントラルスポーツ・タレント

黒田忠治  佐藤B作
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

友行が一人部屋で蓄音機のレコード聞いている。(ブラームスか?)
友行の濡れた革靴が、中に新聞紙が丸めて入れられて乾してあるのが映る。

 
弥之助が「なあに、こんなことはいっぺんきりだ。」と言う、
晶乃は「よくー、わからないんけど」
弥之助の解釈は
「友さん、体の中にまだ晶子が棲みついていたんだ。
 晶子に必死にしがみついていたんだ。それはよくねえ。
 それで晶子を追いかけたんだな。
 でもこれで友さん晶子が死んだんだとはっきりわかったんじゃないか」という。
晶乃は千晶に諏訪に戻って来れないのかと訊くが、千晶は無理だと答える。
そして弥之助も晶乃も「じきゲンキになる」と言うが
「それにしても副組合長か・・」と胸中は複雑である。

翌朝、だるま食堂2階の部屋。
千晶は、事情を黒田に話し「私がそばについてあげたいと思ったの。」と言う。
忠治も「それは、帰ってあげたほうがいい、
    なあに、文江に手伝わせてなんとかやっていけますよ、お嬢さん。」と言う。
そこに文江が「浩平さんがお呼びです」と来る。

裏の掘っ立て小屋。
浩平「おかえり」
千晶「できたの?」
浩平「今度は多少自信がある。
   3日間又腕に付けてくれないか。
   3日間のうちに針が止まったら、俺の限界だ。
   さあ、この3日間の勝負だ。」
丸1日経ったが、針はしっかり時を刻んでいる。

生活者連合会、祥子の事務所。 
祥子「あと1日半ね。 
   針が止まらなかったら浩平は私のところに来てくれる? 
   特許取れたら浩平お金持ちになる?
   この近くにもうアパート見つけたわ、見に行く?」
浩平「いや、いいよ。」
祥子「浩平、針が止まって欲しいと思っているんじゃないの?
   千晶さんとずっと一緒にいられるし。」
浩平「馬鹿なこと言うな」
祥子「何故私に時計をあずけてくれなかったの?
   あの子が無理やり時計を止めてしまったらどうするの?」
浩平「やめろ」と遮る。

その夜、千晶は浩平の小屋に行く。
浩平「時計、とまったの?」
千晶「動いてるわ。あと1日ね。あと1日止まらなかったら、完成ね。
   そしたら私、諏訪へ帰ります。」
浩平「どうして?」
千晶「父のそばにいてあげたいの。間宮さんに出会えてよかった。
   間宮さんとはあと一日でお別れね。
   私は浩平さんに出会えてよかった。」

千晶は小屋を出て夜空を仰ぐ。 後から浩平が出てくる。
そしてふたりは見つめあい、浩平が千晶の肩を抱き寄せ、千晶も腕をまわし
自然に抱き合うのだった。


(つづく)



『かりん』(102) ★組合長選 落選す! 6票 vs 24票

2006-02-03 03:01:01 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【102】 2月3日(金)

小森千晶  細川直美
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
小森弥之助 小林桂樹
本間二郎  三波豊和
金本謙太郎 網野あきら (前回 【12】 10月15日 & 【2】 10月4日 )
組合員   田村元治  河原崎洋央 
仲居    田中佳代(湖水館の仲居さん)

      鳳プロ

鶴本哲夫  矢崎 滋
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

組合長改選は、2年前同様、湖水館で行なわれる。
千晶は、一足先にやって来て、あかりに会う。

あかりの部屋。 二郎のお見合いが自分のせいで失敗したと話すあかり。
「ふしだらな妹がいるなんてとんでもないって事よ。
 帰ってくるんじゃなかったかなー
 本間あかり 肩身の狭い思いをしてます
 兄さんたちも責めてくれればいいのに・・」
そして
「好き勝手やったから 神様の天罰かしら。おとなしくしてろって。
 でも、どんな状況にあってもおもしろいことを見つけるんだわ」とあかり。
「この子が生まれたらまた東京に行くかも。正郎が助けてくれるだろうし」
千晶は
「あかりは何も悪いことしてないわ。 あかりはお母さんになるのよ。
 まず子どものことを考えなくちゃ
 周りの事なんか気にしちゃ駄目よ。」と言う。 
それでもあかりに
「岸元が生きていてくれたらと思うの」と言われると何も言えない。


選挙会場、洋一郎と二郎が廊下から中をうかがっている。
立候補者席に、友行とツルヤの哲夫が座っている。
弥之助が、改選が始まる前に・・と 千晶を紹介する。
千晶の挨拶
「小森屋の千晶です。かけだしの新米ですが信州の味噌が全国に広まるように
 頑張っております」
「ムコさんはまだか?」など声がとぶ。

演説の時間になり、まず哲夫が話す。
「もう友行さんには任せておけん! 友行さんがやったことは
 我々の足をひっぱった自家製塩だけじゃないか!
 友行さんが再選されるようなら、ツルヤは組合を脱退する」とまで言う。

対する友行の弁。
「確かに塩は中止せざるを得ない状況です、しかし
 原料不足の中、少しでも美味しい味噌を作るための手助けになったと自負しています。
 時代の流れに伴い、見直すところは見直し
 更なる発展のために働かせていただきたいと思います」

投票結果は、ツルヤ24票  小森屋 友行 6票 で惨敗だった。

友行は千晶に「おしかったな、もうちょっとだったのに」と言い、
また弥之助には頭だけ下げ、部屋から出て行ってしまう。

千晶は戻ってこない友行をあちこち捜しに行く。
友行は、湖にいた。

「晶子、駄目だったよ。
 君に合わせる顔が無いよ。
 情けないよ。
 みっともないよ。
 なんだ、晶子、そこにいたのか。
 いるならいるって言ってくれればいいじゃないか。
 今行くよ。」
と、湖の中へ入っていく。

千晶が、腰まで水につかった友行を見つけ 「お父さん! やめて」と叫んでも
友行は「もう一人ぼっちじゃないよ」と、晶子に向かって話しかける。
千晶がすがりつき「お父さん! お父さん!」と呼びかけると
友行は、はっと我に帰り「千晶・・うぅぅ」と泣く。

湖の中で、抱き合って泣く父と娘だった


(つづく)

『かりん』(101) ★祥子、「女を捨てるの やめる」宣言

2006-02-02 03:09:29 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【101】 2月2日(木) ★祥子、「女を捨てるの やめる」宣言

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
黒田文江  もたいまさこ
小森弥之助 小林桂樹
原口祥子  あめくみちこ

      鳳プロ

黒田正貴  中村洋一   
黒田和子  はた中美貴子
黒田耕一郎 越迫健太  
黒田忠治  佐藤B作
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

弥之助の電話の用事は 15日に組合長の改選があるから
応援に帰ってきてほしいということだった。
「友さん、迫力不足っていうかな…、千晶がいればゲンキにもなるだろうし」
千晶は、あれからもう2年も経ったのね・・と言い、わかったわと電話を切る。

夕飯を食べながら、忠治と文江に事情を説明する千晶。
「お父さん、組合長に再選されるのは難しそうだわ」
文江は「優しくて、争いごととかお好きじゃなさそうですものね」と言うが
忠治は「何を言ってるんだ、向いている向いていないじゃなく
    大ダンナ様から組合長もひきつぐ、それが小森屋の格式ってもんだ」
と言う。

店の方で食事しながら黙って聞いていた浩平は、小屋に戻る。
祥子は
「あの子に何 言われたの?」と訊く。
「浩平がすぐに来ると確信していたのに、やって来たのはあの子で
 来られないって」
浩平は「あの子という言い方はやめろ、小娘って感じじゃないか」と諌める。
そして
「一歩踏み出すのは腕時計を完成させてからと言われたんだよ」と説明する。

祥子はメガネをはずしマイクのように持ち
街頭録音の時間です」とインタビューの真似事をする。
間宮さん、本格的な恋の芽生えってヤツでしょうか」
行き着く先は、味噌屋の婿養子、
      田舎でのんびり暮らせていいんじゃないでしょうか」

「やめろよ」
「おおこわー。ムキになる所が怪しいなぁー」とちょっとからかうように言ってから
「それが完成したらここを引き払って! あたしアパートを見つけとく」

祥子は宣言する。
「あたし、浩平に対して女 やめてた。
 でも、今日から復活よ、浩平」

「おじゃましました」
店の中を通って帰る祥子は千晶に一言言っていく。
「もう少し、浩平をお預けしますから、ご指導よろしくね、千晶さん。
 あなたの言うことはよく聞くようだから」

忠治は「文江、塩まいとけ」と言うが、文江は「(塩が)もったいない・・」


改選の前日、千晶は諏訪に帰る。
弥之助が出迎えて
「名目は応援じゃなくて、東京営業所のこともあるから千晶のお披露目だぞ」
と、気をまわす。
夕飯時、弥之助は
「千晶をお披露目しようと思ってな、皆さんがそろう機会だから」と話し
「明日は、代々の当主様も晶子も見守ってくれている、
 やるだけのことはやった、再選間違いだ!」と友行を励ます。

しかし、友行は本当は気が進まないようだ。
千晶が友行の部屋で2人だけで話をすると
「統率力なんてないんだし、ツルヤさんがやるって言ってるんだから
 それでいいかなぁと思うんだけど
 でも、とてもとてもそうはいかないよ」と胸のうちを明かす。
「僕が組合長にならなかったら お義父さんもお義母さんもガッカリするんだろうな
 小森屋の面目、丸つぶれだ。千晶、落選したらなぐさめてやってくれよ、
 おじいちゃんとおばあちゃんをだよ」
「自家製塩だってうまくいったし、よくやったわ自信を持って」と慰めても
「地震雷火事オヤジ、しかしオヤジに自信なし・・」などと力なく言う。
それでも、
「勝ち目がなくても、胸を張って堂々と 玉砕しようか」
と半ば、ヤケ気味の友行だった

(つづく)


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カナディアン・アコーデオン

     森のあいだを曲線の道が静かにのびていく
     深いブルーに沈み込んだ湖
     無数に舞い散る粉雪が風を形にして見せる
     冬の景色に流れそうなたそがれ
     君が誰だか知らないけれど
     僕は何にも言わないけれど
     恋の言葉は異国の響き ささやき
     冬を奏でる カナディアン アコーデオン     

『かりん』(100) ★昭和25年4月

2006-02-01 03:04:26 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【100】 2月1日(水) ★昭和25年4月

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
本間二郎  三波豊和
黒田文江  もたいまさこ
原口祥子  あめくみちこ
小森弥之助 小林桂樹
川原清三  河西健二
本間三郎  丹羽貞仁
英      出雲崎 良
蒔田    茂木和範
雅      渡辺高志  
黒田正貴  中村洋一  (今日から 黒田姓) 
黒田和子  はた中美貴子(今日から 黒田姓)
黒田耕一郎 越迫健太  (今日から 黒田姓)
花江    佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
五十嵐   市原清彦  元公団職員
電話交換の声 沢田澄代 

       鳳プロ

鶴本哲夫  矢崎 滋
黒田忠治  佐藤B作
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

4月になりました (と ナレーション)

だるま食堂(小森味噌東京営業所)では、千晶が味噌の出荷の調整をしている。
電話をしながら帳面に 鈴木 と書き込む。
    山田屋 5貫目 / 吉田屋 3貫目 / 細ノ屋 10貫目 と記入済み

忠治が、五十嵐というもと配給公団の人間を連れてきて
「味噌をまわしてほしいと言っておられます、どうしましょうか」と言う。
忠治は生産が間に合わないのでは? と心配するのだったが、
千晶は
「問屋が一軒も見つからなかったことを思えば間口を広げた方がいいと思うわ。
 一軒の割り当てをちょっと我慢してもらいましょう」と
引き受けることにする。

浩平の腕時計はまだ完成していない。

湖水館では、洋一郎がぷりぷりして帰ってくる。
二郎のお見合いの返事が遅いので媒酌人に訊くと、断ってきたのだと言う。
本人同士は意気投合して都座に映画を見に行く約束をしたというのに
あかりのことを調べたらしい。
二郎も三郎もあかりに「気にするな」と慰める。

だるま食堂 夜。
掘っ立て小屋から何か唸り声がし、千晶・忠治・文江は様子を見に行く。
浩平が、腕時計の完成まで、あと一歩なのだと唸っていたのだった。
「・・・このプレス加工する爪の先端が、
 100分の20ミリに研ぎ澄まされなきゃだめなんだよ! 100分の20ミリ!」
「5分の1ミリってことかしら? よくわかんないんだけど・・・?」
千晶は「少し寝た方がいいと思うわ」と言うが、
「神経が冴えて眠れない、子守り歌でも歌ってくれるか」と浩平。
そして「君は、ゲンキの素だ、やる気が出てきたよ」と浩平は言う。


改選の日が近づいて来たある日、ツルヤの哲夫が小森屋を訪れ
自分の弁を教える、と言い出し、
「自分は塩のことを話すつもりだ、友行がやった自家製塩は失敗だ、
 あんたには先見の明というものがない」とイヤミを言って帰る。

だるま食堂の夕飯時に、再び祥子が来る。
忠治は「今日は早いですね」とチクリとイヤミを言う。
浩平が食事中なので「今日は、浩平の陣中見舞い、裏で待ってるわ」と言い、
子ども達に
「草加のせんべい、ホントの醤油で焼いたのよ、後で食べてね」と渡す。


そこに電話が鳴る。電話交換手の声で「諏訪からです」
弥之助からで
「千晶、どうしてもすぐに帰ってきてほしいことができたんだ」
と言う。

(つづく)

『かりん』(99) ★止まった自動巻き腕時計 & 二郎の見合い

2006-01-31 02:54:46 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【99】 1月31日(火) ★止まった自動巻き腕時計 & 二郎の見合い

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
田上伝六  不破万作
本間二郎  三波豊和
原口祥子  あめくみちこ
本間三郎  丹羽貞仁
小森弥之助 小林桂樹
川原清三  河西健二
英       出雲崎 良
蒔田     茂木和範
雅      渡辺高志  
花江     佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
岡田秀子  鈴木久仁子  (二郎の見合い相手)
秀子の母  木村 翠 
仲居     田中佳代(湖水館の仲居さん)
仲人     柳田 豊
仲人     三上 瓔子
女子事務員 熊谷祐子  松阪和歌子  (祥子の同僚)
       巻口久美子  藤本和子  (祥子の同僚)
黒田文江  もたいまさこ  今日から黒田姓 
黒田忠治  佐藤B作
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

千晶の大声の「ダメ!」に、忠治と文江が驚いて飛んでくる。
「一人身がながいからって変なことしちゃいけません!」と忠治。

千晶は浩平の腕を掴み、掘っ立て小屋に連れて行き
止まってしまった腕時計を見せる。
「これを完成させるまでは、新しい一歩は始まらないの。
 間宮さんの人生は、この時計と同じなのよ。
 戦争で針が止まってしまって動かない。時を刻まない・・
 止まった腕時計はガラクタと同じ。間宮さんよ」
「生意気 言うんじゃない!」 怒鳴る浩平
「ごめんなさい。でも止まったままでいてほしくないの。
 歩き出してほしいの」 千晶は出て行く。

店では忠治と文江が何事かと待っている
「何がダメなんですか?」 が千晶は
「間宮さんが、怒った・・・ こわかった・・・」


諏訪

友行が湖を見ているところに、ちょうど伝六が自転車で通りかかる。
(千晶と渉が かつて話をした場所でもある。)
新しい映画「また会う日まで」のフィルムを運んでいる途中だという。
   映画 → また会う日まで 
並んで座る友行と伝六。
アメリカにいる渉の話題になり、伝六が
「あっちとこっちじゃ、日にちが違うって言うじゃないですか」と訊く。
「日付変更線って言ってですね」と友行が説明すると
「へえ、そんな線がねぇ、飛行機飛ぶのに邪魔でしょう」と言う。

そして、遠いところにいる子どもを思い
「渉には何にもしてやれねぇから、自分が倅になったつもりで
 あいつに恥じない生き方をしようと思っている
 それがあいつの無事につながると思う」と友行に話す。
友行は「田上さん、立派ですね」と言い、伝六は
「息子に『また会う日まで』はね・・・」と映画のタイトルを口にする。 


二郎の見合いでは、仲人があかりのことに触れるが、
それ以上の追求はなかった。
あかりは言われたとおり、部屋でじっとしていた。

友行は、伝六に会って話したこともあり、弥之助に
「組合長の改選に出ます」と伝える。
「娘に恥じぬ生き方をしたい」のだと。
弥之助は喜び「めったなことでは負けないさ、よし、これから挨拶まわりだ」と
残りの仕事は、清三たちに任せる。


浩平は、腕時計の修理にとりかかり、千晶は祥子の所に
「間宮さんは行けない」と伝えに行くと言い、
祥子の事務所「生活者連合会」に出向く。

事情を聞いた祥子は
「わかったわ。でも完成したら、ひきとめないでね。
 その後の浩平はあたしのもの。いいわね 約束」と指きりの小指を出す。

千晶は、指切りをしてしまう

(つづく)

■『かりん』 第18週 (98) ★浩平と祥子はもと婚約者!

2006-01-30 02:51:19 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【98】 1月30日(月) ★浩平と祥子はもと婚約者!


作    松原敏春
音楽  渡辺俊幸 コンセール・レニエ(演奏)
主題歌 井上陽水
語り   松平定知アナウンサー 


時代考証 小野一成
味噌指導 嶋崎光秋
方言指導 有賀ひろみ
資料協力 牛山尭雄 ・岡本英治 




小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
本間二郎  三波豊和
黒田文江  もたいまさこ
原口祥子  あめくみちこ
本間三郎  丹羽貞仁
花江    佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治  佐藤B作
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二


制作統括  西村与志木

美術    深井保夫  
技術    横山隆一
音響効果  石川恭男
記録・編集 阿部 格   
撮影    石川一彦
照明    田中弘信
音声    大塚 豊
映像技術  菊地正佳 

演出    兼歳正英

解説(副音声) 関根信昭

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

「原口よー、原口しょうーこぉ」とだるま食堂の戸を叩く。
忠治が「まったくこんな時間に…」と、店に招き入れると「千晶さん呼んで」と言う。
ちょうど千晶が2階から降りてくると、千晶に「浩平呼んでくれない?」と言い、
忠治は「だったら最初から浩平さんって言ってくれれば・・」と文句を言うが
千晶が浩平を呼んでくるのを待てずに、ほったて小屋に行く祥子。

「どうしんたんだ、何かあったのか」と浩平。
千晶が席を外そうとすると「行かないで、ここにいて」と言う。
水を一杯飲み、話し出す。
「お酒は飲んでるけど、でも酔ってない。
 あたしたちの組織動き出したわ。代表者はこのあたし。
 生活者連合会っていうの。 
 世田谷区を中心に杉並・目黒・渋谷、会員数は2000名」
「すごいじゃないか!」「さすが原口さんだわ」と浩平と千晶。
しかし祥子は
「安いお給料でみんなよくやってくれてるわ。
 でもね・・基本方針に賛同して集まったのに、個々の仕事のやり方はバラバラ
 どーして女同士ってこうなのかしら。
 1年でいい、せめて半年、あたしのそばにいて。
 あたしには、今つっかえ棒が必要なの。浩平が必要なの」
と浩平にヘルプを求める。

「あたし、あなたのこと助けたわよね?
 あたしたち、結婚の約束をしてたでしょ?(千晶は聞きながらえっ?と驚く)
 戦争が終わって浩平から無かったことにしてほしいって言われた時
 あたし、どうした? 誰とのかかわりも断ち切りたかったのよね。
 一人になりたかったのよね。
 かわりに今度はあたしを助けて」
名刺を置いて、帰っていく祥子。


諏訪では、友行は組合長の改選に出ないつもりだと言い出す。
「ツルヤの哲夫さんがやるって言ってるんだからいいじゃないですか」
「こればっかりはおめーさんの一存で決められては困るんだ」と弥之助。
友行は
「組合も大事だけど、まずは小森屋をきちんと一切をやりたいんです」
と言うのだが、しかし弥之助も晶乃も発破をかける。
「何を気弱なことを言ってるんです! 
 小森屋は代々、諏訪味噌業界をとりしきってきたんですよ」
「1期2年の実績もあるし132年の信用があるずら、
 ここでひきさがっちゃ7代目の名がすたる」

湖水館では、洋一郎・二郎・三郎があかりに
「今日は二郎の見合いの日だから、部屋から出ないでじっとしていてくれ」と
話す。
「2時に来るんだ」と二郎はちょっとうきうきしているが
あかりは、顔を曇らす。

だるま食堂では、新規の問屋さんがまた決まり、東京営業所は順調である。
千晶が、腕時計と柱時計を見比べると、腕時計がたった今止まってしまっていた。

浩平がそこに「オレ 祥子の所に行くよ」と言いに来たので
千晶は、大きな声で「行っちゃダメ!」と止める。

(つづく)


『かりん』(97) ★組合長選改選 ツルヤ・哲夫の宣戦布告

2006-01-28 14:29:25 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【97】 1月28日(土) ★組合長選改選 ツルヤ・哲夫の宣戦布告

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
黒田忠治  佐藤B作
池田文江  もたいまさこ
原口祥子  あめくみちこ
小森弥之助 小林桂樹
蒔田     茂木和範(かつての小森屋従業員)→前回【13】10月17日  
雅       渡辺高志(かつての小森屋従業員)→前回【13】10月17日  
池田正貴  中村洋一   
池田和子  はた中美貴子 
池田耕一郎 越迫健太
問屋     松平龍門、佐々木梅治、佐藤祐治、田畑ゆり
鶴本哲夫  矢崎滋  (ツルヤの倅、現・当主) 
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

3日が経ち、新しい問屋さんは4軒と契約が成り立った。
出荷日等は、公団の様子を見ながら…と相談する千晶と忠治。

「あなた」「文江」と仲睦まじく呼び合うふたり


小森屋の事務所の黒板には

    3月25日
         出荷  午後2時
         塩   入荷
         カネモト来店 打合せ
      ◎公団解散 3月31日 寄合アリ

おととしの夏、人減らしのために辞めて行った、蒔田と雅が帰ってきた。
「よく戻って来てくれた」「晶子も喜んでいるよ」と歓迎する弥之助たち。
「奥さん、実家のイモです」と大きなズタ袋を晶乃に渡す。

そこにツルヤの哲夫がやって来る。組合長の改選の件らしい。
「友行さん、今度の組合長選、また出るんだそうですね」
「一期2年じゃ短いからね。ワシも3期6年やったが、長いとは思わなかった。
 父上のツルヤさんには副組合長として頑張ってもらった」と弥之助が答える。
「弥之助さんの3期6年は納得しちょります、人望があったでねぇ」
晶乃は「友行さんには無いみたいじゃないですか?」と気色ばむ。
哲夫は耳を貸さず、
「ワシが当選するのは火を見るより明らかだ、1軒1軒説得してまわったんだ。
 みなさん口を揃えて『弥之助さんならともかく友行さんじゃなぁ』と言っている。
 勝ち目の無い選挙に出るのはやめときなさい」と言い残し
帰っていく。


だるま食堂では、浩平がヒゲをそり落として朝ご飯に来る。
「長々と御見苦しい顔で・・・・」と謝る浩平は
「見てほしいものがあるんだけど」と小さな箱を千晶に渡す。
「試作品の段階だけど、絶対リューズを巻かないでほしい、
 一度どのくらい止まらずにいるかを試したいんだ」

千晶は、2階の部屋に行くと左腕にはめ、行進して腕をふってみたり
左手を軽く振ったりして、時計の音を聞くのだった。

深夜近く、だるま食堂の表で戸を叩く女がいる。
祥子だった。


(つづく)

・:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・♪・:*:・:♪・:*:・・:*:・♪・:*:・・:*:・

カナディアン・アコーデオン

     森のあいだを曲線の道が静かにのびていく
     深いブルーに沈み込んだ湖
     無数に舞い散る粉雪が風を形にして見せる
     冬の景色に流れそうなたそがれ
     君が誰だか知らないけれど
     僕は何にも言わないけれど
     恋の言葉は異国の響き ささやき
     冬を奏でる カナディアン アコーデオン     








『かりん』(96) ★高砂や~~~ 忠治&文江の祝言

2006-01-27 14:25:22 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【96】 1月27日(金) ★高砂や~~~ 忠治&文江の祝言

小森千晶  細川直美
黒田忠治  佐藤B作
池田文江  もたいまさこ
池田正貴  中村洋一   
池田和子  はた中美貴子 
池田耕一郎 越迫健太

      鳳プロ

間宮浩平  榎木孝明

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

忠治はどうしても「一つ屋根の下」にこだわり、出て行くという。
行き先はかつてのリンタク仲間の住んでいる調布、電車で1時間半ぐらいだ。
そこから毎日通ってくる・・と言い張る。
和子が「忠治おじちゃん、耕一郎の入学式来てくれるの?」と訊き、
耕一郎は「お父ちゃん来てよ」と呼ぶので、文江はつい耕一郎を叩いてしまう。

浩平は、忠治を掘っ立て小屋に連れて行き話をする。
忠治が福島の飯坂温泉のあるところの出身だとか聞いたあと、
文江のことを「お荷物だったでしょう」などと言い、
なんとか忠治本人に「好きだ」と言わせるように仕向ける。
千晶も文江を小屋の外に連れてきて、その話を立ち聞きさせる。
そして忠治はついに浩平の首をしめながら、
「オレ、奥さんにぞっこんだから~~~~」と言う!

その夜、ささやかな祝言が行なわれる。

浩平が「高砂や~~」と詠ずる。

子ども達と一緒に忠治の前に座りなおす文江。
「ふつつか者ではございますが 子どもたちと末永くよろしくお願いします」
頭を下げる文江、耕一郎の頭を抑えてお辞儀させる浩平 (*^_^*)

そして、浩平のはからいで近所の旅館に一泊の新婚旅行に行く二人であった。


子どもたちを寝かしつけ、店でお銚子の酒を飲む浩平と千晶。

「間宮さんってあったかい人なのね。今日そう思った。
 なのに、どうして自分には冷たくて厳しいの?」

(つづく)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

だるま食堂のメニューが久しぶりに映った。

納豆 15円

オムライス 80円
カツ丼   90円
親子丼 
ライスカレー 60円
ハヤシライス 70円


『かりん』(95) ★1つ屋根の下にこだわる忠治・文江

2006-01-26 14:17:02 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【95】 1月26日(木) ★1つ屋根の下にこだわる忠治・文江

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間二郎  三波豊和
小森弥之助 小林桂樹
池田文江  もたいまさこ
川原清三  河西健二
英      出雲崎 良

      鳳プロ

池田正貴  中村洋一   
池田和子  はた中美貴子 
池田耕一郎 越迫健太
黒田忠治  佐藤B作
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

友行が諏訪に帰った翌日。
忠治は友行の言ったこと気にして裏の掘っ立て小屋に泊めてくれと言い出す。
浩平は、今は夜勤に行っていないし、ともても狭くて無理だと断る。
「間宮さんの小屋なら”1つ屋根の下”じゃない」

すると文江が
「私たちをお嬢さんの部屋に・・・押入で寝ますから」と言い出す。
浩平が「それだって上と下で同じでしょう」と言うと
「上と下?」「上と下・・」と妙に反応する忠治と文江。

浩平と千晶は、忠治・文江の気持ちを確かめるが
「戦友の奥さんにめっそうもない」「そんな恐れ多いです」と気持ちを隠す。

掘っ立て小屋で、浩平と千晶は
「さっさと結婚すれば良いのに」「ですよねー」と話し合う。
そして「君のお父さん、妙なこと言ってたぞ」と諏訪移住のことを話す。
千晶は
「お父さん、お母さんのことがあるからだと思うけど、ちょっと変なんです
 だから気にしないで」
と言う。


諏訪・小森屋

友行が東京での様子を報告し、忠治が手伝っていることを話す。
弥之助は渋っていたが「友さんがよければいいさ」と許す。
新しい問屋も確保できそうだし・・と友行は「さぁ仕事仕事」と張り切る。
工場でも、はりきり過ぎる様子に清三と英も訝しげな顔をする。

湖水館では、あかりが玄関の廊下の拭き掃除をしている。
「少しは肩身の狭い思いをしてるんだから、やらせて」と言うが
二郎に「わざわざ人目につくところに出てこなくてもいいずら」と言われ
部屋に戻り、ファッション雑誌を眺めている。

だるま食堂では、忠治が「出て行く!」と荷物をリヤカーに運び始めた。


(つづく)

『かりん』(94) ★問屋さんとの顔つなぎ、友さん様子が変

2006-01-25 14:15:54 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【94】 1月25日(水)★問屋さんとの顔つなぎ、友さん様子が変

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
池田文江  もたいまさこ
藤原    沖 恂一郎(中野の もと小森屋の卸問屋)
問屋    松平龍門  佐々木梅治 
       佐藤祐治  田畑ゆり 

      鳳プロ

池田正貴  中村洋一   
池田和子  はた中美貴子 
池田耕一郎 越迫健太
黒田忠治  佐藤B作
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

だるま食堂裏の掘っ立て小屋。
浩平が手ぬぐいを被り無精ひげを生やし、ルーペを覗いている。
顔をあげ、何気なく小屋の入り口に目をやっると、
何と友行が満面の笑みをたたえ立っている!

「この度は…」とお悔やみを言う浩平。

「今度は何を作っているんですか?」
「まだお話できるようなものでは・・」と答える浩平に
「浩平さんはあれだなぁ、意外に秘密主義なんですね」と友行は拗ね
「腕時計のようですねぇ」と話をふる。
浩平は「自然にネジが巻ける腕時計を・・」とやや曖昧に答える。
友行は「諏訪に来る気はありませんか? 静かな環境の中で発明三昧」と誘い
生前の晶子が言っていたことを話す。
「諏訪移住の件、考えてみて下さい」

そこに千晶が「お父さん」と入ってくる。
友行は、妙にはしゃぎ「お父さん来たぞ! 来た来た~~~」と身振りも大きく
千晶も浩平も怪訝な表情をする。

夕食時、忠治は小森味噌の東京営業所を本格的に手伝っていることを話す。
友行は、「それはありがたいが、忠さんのお給料も出さないとね」と言い出す。
友行は、忠治と文江が再婚しているものと決め付けていて
千晶が「ちがうの」と否定しても
「いい年をした男と女が1つ屋根の下に住んでいるんだ、
 それもよりそっていたいっていう風情で、じゃないか」
と子ども達の前でエスカレートする。
寝る前も
「あの二人はなるようになると思っていたんだ。
 世帯を持ってケジメをつけたほうがいいんじゃないか」とゆずらず
「千晶も他人事じゃないんだぞ」と言い出したが
「まぁその話はいずれ」と収める。

「明日はだるま食堂を休みにして、奥さんに料理を作って貰って振舞うんだ。
 もちろん味噌汁付きで!
 2人でも3人でも扱ってくれる人がいらっしゃれば、
 父さん安心して諏訪に帰ることができる」


忠治と文江は友行の言ったことを考えて眠れないようだ。
忠治は食堂のテーブルの上に布団を敷いて寝ているのだ。
文江は茶の間と店を仕切っているガラス戸を見つめている。

翌朝、友行は裏庭の三輪車に腰をおろし、考え込んでいる。
浩平も、千晶ももその表情の暗さを不安そうに見て、話し掛けはしない。

昼、だるま食堂には10人ちょっとの人が来ている。
友行は中野の藤原さんに礼を言い、
「小森屋の味噌をお取り扱いくださいますよう伏してお願い申し上げます」と
名刺を配り、接待する。


諏訪への帰路、D5149の汽車の中、友行は背中を丸めて座っている。
再び、こわい表情になっている。

(つづく)



『かりん』(93) ★友行、刑務所の野中に面会に行く

2006-01-24 14:14:53 | ’05(本’93) 50 『かりん』
【93】 1月24日(火) ★友行、刑務所の野中に面会に行く

小森千晶  細川直美
間宮浩平  榎木孝明
本間あかり つみきみほ
本間洋一郎 笹野高史
池田文江  もたいまさこ
小森弥之助 小林桂樹
黒田忠治  佐藤B作
ツルヤ   松村彦次郎(味噌組合)
花江    佐藤春日(だるま食堂のお運びさん)
郵便配達員 角谷栄次(渉からのエア・メールを配達)
看守    田辺日太  刑務所の看守

      鳳プロ

野中辰彦  児玉 清
小森晶乃  岸田今日子
小森友行  石坂浩二

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

刑務所の面会室。看守の監視の中、檻越しの友行と野中。
友行「晶子のことです」
野中「晶子さんが どうしたんです」
友行「死にました。2月10日心臓発作ということでした
   ‥あなたにお伝えしようと決めたのは、色々いきさつがあったにせよ
   あなたが心底晶子を愛してくださった方だから、
   晶子もあなたを愛したことがあったから」
野中「小森さん、あなた・・・」
友行「晶子は僕の妻です。でした。
   でもあなたにお伝えするのが義務だと思い立ったんです。
   お伝えしない方が良かったでしょうか」
野中「わからない。でも聞いてしまいました。お悔やみ申し上げます。
   心底残念です」
友行「晶子は支えでした。ぼくが晶子の支えでした。支えあって生きてきたんです」
野中「20年ぶりに会って、そのことが良くわかったんです!
   結局、私は彼女に救われた。彼女とあなたに救われた。
   あなたが私に会いに来るのを許してくださったから……」
友行「(涙ぐみながら)いや・・・」
野中「晶子さんもういないんですね。死ぬなと言ってくれたあの人は・・・
   残念です」
友行「僕ですね野中さん、泣けなかった 涙がでてこないんですよ。
   身を切られるように痛いのに泣いちゃいけないっていう意識もあって
   義父と義母がいますからね、(泣きながら)何たって婿養子ですから…。
   娘もいますし。夫婦は一心同体って言うのに、死ぬ時は別々だなんて」
野中「小森さん、あなたは千晶さんの支えなんだから」
友行「今日来て良かった お伝えして良かった
   泣いてくださったんですものね」


だるま食堂では、千晶は忠治と公団の人に会いに行くところである。


諏訪、小森屋には、同業者のツルヤ先代がやって来て、
組合長の改選の年だが、代を譲った倅が組合長選に出ると言っている、
小森谷さんに任せておけばいいと言ったのだが、力がなくて説得できない
申し訳ないと言うのだった。


湖水館では、あかりが晩ご飯までまてないらしくお茶漬けを食べている。
お腹もだいぶ目立つようになってきた。
そこに洋一郎が来て、話す。
「岡谷の有賀さんのところに行ったら聞かれたよ。
  娘さんずっと帰っているようですが大学は?って。
  ありゃ何かうすうす知っとる顔だ
 あかり、覚悟はできてるんだろうな。
 ワシや二郎・三郎がかばっても、かばいきれないこともでてくるんだぞ。
 この先、世間の目は冷たいぞ」
あかりは
「わかってるわ、かばってくれなくても良いわよ」と強がるが
洋一郎は
「なーに行ってるんだ、生意気な口たたくんじゃない。
 ありがとうぐらい言っとけ」
あかりは 考え直したかのように2度黙って頭を下げる。


掘っ立て小屋では、浩平が何か発明を完成させようとしている。
そこにひょっこり友行が顔を覗かせる。

(つづく)


・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

友さんと野中さんの二人のシーンは良かったと思う。
友さんは、まだまだ晶子の死を受け入れてないのだ。
充分に悲しんでいないのだ・・・。

その気持ちを吐露できたのが野中というのは皮肉なものかもしれないが
晶子がすばらしい女性だったのは、友行がいたからこそなのだ。


ちょっと情緒不安定気味な友行さんが心配